ウィークリーレポート(2022年9月16日)

9月の第3週の株式市場は、日経平均は▲1.11%、NYダウ▲4.13%、ユーロストックス50▲1.95%と反落となりました。
9/13に発表された米国8月CPIは市場予想を上回る8.3%となり、ダウは1276ドルの大幅安、6月同様CPIショックとなりました。一方、米国長期金利の同日の反応は5bp上昇程度にとどまり株式市場ほどの大げさな反応とはなりませんでした(とはいえ、週間では6週連続の上昇となっています)。

木曜日9/22にはFOMCが開催されます。利上げ幅についてはCPI発表後、100bp上げの可能性が取り沙汰されていますが、今回は四半期末の開催日でFOMCメンバーによるドット・チャートが公表されますので、75bpか100bpかよりもターミナルレート(利上げのピーク時の利回り)がいくらになるかが短中期の金利(と為替レート)にとって重要になります。また、失業率に対して中立な影響とされるロンガーラン金利が2.5%で据え置かれるのか否かで長期金利も大きく動くことになります。

CPIショックという事で6月と比較したくなりますが、長期金利と予想株式益回りのイールドスプレッドで見ると6月よりむしろ4月中旬からの下落局面と似ています。
4月は2.34ptから2.93ptまで調整がすすみました。同様の調整幅を想定すると、長期金利がこれ以上上がらないとして、おおむね3750ptあたりまで株価下落となります。

週末時点で米国長期金利は3.465%となっており、同じく週末の3901.35ptはイールドスプレッドからみたレンジの上限に位置しています。FOMCの結果がタカ派と受け止められた場合は、株価は下方に修正する動きとなります。逆に市場が現在織り込んでいるよりもハト派な場合、株価は上昇するでしょうが、長期金利が3%まで低下しても4000pt台でレンジ上限となり、リスクリターンで考えると今回のイベントはダウンサイドへかける方が、分がよさそうです。
下落局面での比較チャートでは、前者の楽観シナリオの場合、これまで通り2001年との比較ライン(黄点線)に沿ってレンジ継続を想定します。後者のリスクシナリオの場合は、2008年3月のベアスターンズ破綻前後の動きとの比較から(赤点線)、6月安値割れの3457pt(イールドスプレッドの表からは長期金利が3.6%まで急騰)を想定します。

さて、米国市場については下目線となりがちですが、日本市場については月末にかけて配当の再投資が期待されます。また、日経平均の銘柄入れ替えに伴い売りフローが発生することから、権利付き最終日の28日までは日本株買い、その後は売りというパターンが意識されます。配当再投資については年々先回りポジションが増えており、権利付き最終日を待たずにピークアウトするケースが増えているものの、権利落ち日でのプレポジションの解消は依然として定番となっており、日経平均のリバランスフローと合わせて狙い目です。取引としては、FOMCの結果次第ながらも、国際市況の影響を相殺できるダウとのレシオ取引にチャンスがありそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年9月9日)

9月の第2週の株式市場は、日経平均は+2.04%、NYダウ+2.66%、ユーロストックス50+0.72%と反発となりました。
S&P500は2001年との比較チャートパターン通りの反発となり、目先4140ptまでの反発が見込まれます。
ただし、週明け9/13には米国8月CPIの発表があり、翌週にFOMCを控えているだけに、数値のブレ次第では、長期金利の急騰/株価の反落のケースも想定されます。特に日本市場はFOMCの週は月・金が祝日となっているため極端に需給が傾く可能性に注意です。

為替市場では一時144円99銭まで円安が進んだのち、日銀・金融庁・財務省の三者会談、黒田総裁・岸田首相の会談が伝わると一転円高となり142円47銭と高値から2円以上下落して週末を迎えるという荒い展開となっています。円高の背景としては、米国5年債利回りの上昇が一服していたことがあげられ、要人会談はその円高を後押した格好となっており、米株同様、9/13の米国CPI次第では上下どちらにも振れやすい状況です。

日本市場では、投資部門別売買動向で海外投資家が6月第3週以来となる1兆円越えの売り越し(1兆1854億円)となりました。このところの海外勢の動向は逆指標となることが多く、6月と同じパターンなら日本株も反発となりそうです。節目29000円が上値の目安となりますが、市場予想+8.1%の米CPIが大幅に下落して楽観が広まるという場合でなければ、ベースとしてはS&P500の2001年との比較チャートの推移に沿うと考えていますので、29000円までの反発は先物売り/プット売りなどショートポジションの仕込みのタイミングとなるかもしれません。

図. 海外投資家が1兆円以上買い越した週(緑線)と1兆円以上売り越した週(赤線)のタイミング


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2022年9月2日)

9月の第1週の株式市場は、日経平均は▲3.46%と反落、NYダウ▲2.99%、ユーロストックス50▲1.65%と続落となりました。

9/2金曜日には22年ぶりとなる1ドル円140円の節目を超え円安が加速しました。円安のドライバーとしては日米金利差の拡大が効いており、特に5年債の利回り格差によく連動しています。
日本国債市場は日銀のYCC政策で低金利に抑えられているため、日米金利差の変動は米国債側の動きに左右されています。FF金利先物市場からは政策金利の予想は来年3月に3.95%のピークを付けた後2024年1月に3.55%まで低下となっており、この先2年債が政策金利のピークと同じ3.95%、10年債が3.55%まで金利上昇が続くと仮定すると、線形補完で5年債利回りは3.79%となり、52bpの上昇余地があります。
今年に入ってドル円為替相場は5年債金利1%の上昇でおよそ5.62円円安が進むというペースでしたので、52bp上昇で2.92円、143円が現時点の上限幅と見込まれます。

米国市場では、市場予想+298Kをやや上回る+315Kの雇用者数増加となった8月米雇用統計の結果、一時前日比1.3%の上昇となったS&P500ですが、その後上値を抑えられ▲1.07%安となりました。
8月下旬からの米国金利の一段の上昇によりS&P500の予想益回りとの格差、イールドスプレッドは縮小し、株式投資の相対的な魅力が減少しています。イールドスプレッドはここ数か月2.7%~3.3%のレンジとなっており、足元の12か月先予想EPS 236.71ptをベースに考えると、長期金利の水準に応じたS&P500のレンジは以下のようになります。


週末の米国10年債利回り3.18%を所与とすると、目先のリバウンドはあっても4000ptちょっとという水準になります。

2001年との比較チャートでも、同時多発テロによるチャートの急落を別にして、この先は緩慢とした下落を示唆しています。ジャクソンホールからの急落局面でもVIXは上昇する一方、VIXのオプションから計算されるVVIXは穏やかで、加速的な下落になるとは市場では想定されていないようです。
だらだらとした下げ局面に対しては、先物売り/プット売りのカバードプット戦略が有効です。


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ウィークリーレポート(2022年8月26日)

8月の第4週の株式市場は、日経平均は▲1.00%と反落、NYダウ▲4.22%、ユーロストックス50▲3.39%と大幅安となりました。

ジャクソンホールでのパウエル議長の講演は、高インフレ根絶のため金利高を継続する可能性が高いことを示唆しましたが、内容としてはこれまでのFED高官からのタカ派な発言内容と平仄を合わせるもので目新しいことはありませんでした。しかしながら、7月FOMC後の会見で自身が述べた”データ次第では利上げペース鈍化もありうる”との表現からは強硬なスタンスとなったため、株価は急落、S&P500は1日で▲3.37%となりました。
一方、米国長期金利は+1bp上昇、週間でも+6bpの3.04%とマイルドな反応にとどまり、8月のリバウンド局面で株式市場だけが楽観的なシナリオを織り込んで上昇していたことを示しています。

前週取り上げた、S&P500の2001年相場との比較ですが、リバウンド局面を重ねたチャートでは、8月末までリバウンド、その後下落となります。9月からFRBバランスシート縮小ペースが計画上限の月950億ドルに倍増することからも目先のリバウンドの有無にかかわらず目線は下に向けたほうがよさそうです。

引き続き下値の目安は、日経平均27500円、S&P500は節目4000pt、7/8高値3918ptあたりを想定します。


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ウィークリーレポート(2022年8月19日)

8月の第3週の株式市場は、日経平均は+1.34%の3週続伸、NYダウ▲0.16%、ユーロストックス50▲1.23%と反落となりました。

これまで当レポートで取り上げてきたS&P500のベアマーケット入り後の比較チャートからは大きく逸脱してリバウンドとなっています。そこで安値から10%以上リバウンドしたタイミングでS&P500のチャートをそろえると、2020年3月のコロナショック後のV字回復に次ぐ上昇ペースであることがわかります。
2020年3月のケースではFRBのみならずECB、日銀など世界中の中央銀行が一斉に緩和を拡大した結果の株価急騰となりましたが、今回は真逆の引き締め局面であることに留意です。

現在のリバウンドの幅/期間を見ると、2001年ITバブル崩壊時のリバウンド局面と形状が似ているように思えます。2001年4月からのリバウンド局面では安値から19%超の上昇後反落となり、9月に同時多発テロにより急落となりました。この先、何かインシデントが起こり急落するかどうかは予言できませんが、テロの影響を除いても当時の株価は下落基調だったことに変わりなく、急反発の反動で目先反落の可能性が高いと思われます。

さて、2000年のITバブル崩壊時との類似点について、S&P500の12か月先予想PERを過去30年間の推移を調べると、ITバブル時と今回のコロナショック後の大規模緩和による株高時が、30年間の中央値から1.5標準偏差以上の乖離をしており、今年の株安がバブル状態からの調整であることがうかがえます。
一方、相違点としては、当時は米国景気先行指数が前年からマイナスに突入し景気悪化がすでに始まっていたのに対し、2022年現在、景気先行指数はまだマイナス圏に突入しておらず、また、足元の雇用も強い状況が続いています。
雇用の強さは逆説的に、インフレ圧力の強さであることから、FRBのさらなる金利引き締め懸念を惹起するものですが、株式市場はこの点については目をつぶっているようです。

長期的にどこまで下がるのかは今後の経済データ次第ながらも、目先の反落の安値目途としては、S&P500は13週線4011pt、日経平均200日線27549円あたりが意識されます。日本市場でも裁定買い残が1兆3248億円と3月の1兆3237億円を抜いて今年最大の高水準にあり、目先反落が期待される局面ですので、日経VI17.91ptと低水準であることから9P27500プットオプションの買いが妙味あるかもしれません。


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