債券相場は大幅安。日銀は、この日の政策決定会合で、YCCにおける指し値オペの水準を0.5%から1%に引き上げたことを受けて金利の先高観が高まり売りが加速した。長期金利指標となる新発10年国債は一時0.575%とおよそ9年ぶりの水準まで上昇した。
日銀展望リポートでは、2023年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを前年度比2.5%上昇(従来は1.8%上昇)に大幅に引き上げた一方、24年度は1.9%(同2.0%上昇)に引き下げ、25年度は1.6%上昇を維持した。
燻っていた日銀政策修正観測は、指値オペ水準の拡大でいったん収束、長期金利は市場動向にゆだねられることで今後、実需の投資家も買いやすくなるとの見方。目先はファンダメンタルに基づいた均衡水準を探る展開になりそう。
【メモ】
植田総裁の会見の主な発言(出所:Bloomberg)
「YCCの柔軟化は金融緩和の持続性高める」
「物価の上昇リスクに対応する余地を広げた」
「物価上振れ顕在化してからの対応は後手に回り混乱する」
「下振れリスク顕在化なら長期金利低下で緩和効果維持される」
「0.5%と1%の間での長期金利上昇を容認」
「機動的に過度な金利上昇圧力を抑制」
「長期金利が1%まで上昇することは想定していない」
「YCCの柔軟化、修正とそれほど意味は変わらない」
「YCCは、微調整は容易ではない仕組み」
「インフレ上昇した後の微調整は投機を呼び込む」
「為替市場も含めて金融市場のボラティリティーを抑える」
「為替をターゲットにしていない」
「国債買い入れ減るか、やってみないと分からない」
「春闘交渉などを背景に賃金上昇率は高まっている」
「予想物価上昇率も再び上昇する動きが見られる」
「基調的な物価2%へ、距離あるとの判断変えていない」
「短期金利引き上げにはまだ、だいぶ距離がある」
「政策正常化に踏み出す動きではない」