ウィークリーレポート(2025年4月18日)

4月第第3週、日経平均株価は+3.41%、NYダウは▲2.66%、ユーロストックス50は+3.09%となりました。
S&P500の動きをベースに見ると、高値から20%近くの下落を付けた後の反発局面入りとなっており、4月末に向けて5600pt弱、日経平均で36000円程度までの回復を目指す動きとなりそうです。
とはいえ、パウエル議長は物価安定を優先し株価の下落で利下げは行わないと発言し、また、前週レポートでもふれたように既に10%の関税は発動している状況で、景気後退リスクが減少したわけでもなく、綾戻しの相場にロングで向かうよりはダウンサイドを気にした方がよいと思われます。

改めて、リセッションリスクはどの程度のリスクなのか見てみたいと思います。
1970年から1980年初頭の米国景気後退局面をスタグフレーション期として見ると、米国10年債利回りは全期間での景気後退時は平均で345bpの利回り低下に対してスタグフレーション期は232bpの低下と下げ幅がマイルドになっています。また、原油に関して、長期データを取るためにWTI原油価格ではなくアラビアライトを指標として計算していますが、スタグフレーション期には▲5.20%とマイルドな下落となっており、債券とコモディティに関しては通常の景気後退時とは異なり緩やかな変動となるようです。

足元の相場状況でどの程度まで下がるのか目安を確認するために、2020年4月から2025年4月17日までの景気拡張期間中の高値に、スタグフレーション期間時の平均下落率をかけて想定安値を算出しました。
NYダウは30274ドルとコロナ後の2022年の安値近辺が目途となります。日経平均は意外にも34422円と、すでに過去のスタグフレーション時の下落率を織り込んだ水準となっています。基準とした70年・80年代が高度経済成長期と重なっていたため下落率が低く見積もられたとも言えますが、NYダウの下落率▲32.75%を当てはめると28397円とやはり2022年株価水準となります。
インフレ時に株式以上の上昇率をみせる金に関しては、意外なことにスタグフレーション時は安全資産と言えず株式と同様に30%超の下落となっています。1990年代以降の低インフレ時代での景気後退局面でも平均26.7%の下落となっており、景気後退に対して強い資産ではありません。
原油については、2022年3月のロシアのウクライナ侵攻時に急騰し高値134ドルを付けていることから、高値からの下落率5%で安値127ドルと、現在値よりも高い数値が出されました。
ドル円については127円18銭と2022年に通過し2023年に安値を付けた水準となります。
総じて、2022年の価格水準あたりが、仮に米国経済がリセッション入りした場合の安値水準としてダウンサイドリスクを考えてみるとよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年4月11日)

4月第第2週、日経平均株価は▲0.58%、NYダウは+4.95%、ユーロストックス50は▲1.87%となりました。
週足ベースで見れば小幅な下落ですが、4/7(月)には歴代3位となる2644円安、4/10(木)には歴代2位となる2894円高と、昨年8月以来の大荒れの相場となりました。
チャート上でも31000円前後で安値を付け切り返す形が昨年8月の下落と似ていますが、クラッシュ後の価格変動の高さは昨年以上のものとなっており、まだまだ予断を許さない状況と言えます。

また、S&P500の調整局面入りアノマリーでは、やはり1998年と同じく20%ドローダウン手前で反発となっており、上昇も速度が異なるものの値幅は10%ドローダウン手前までとなっています。1998年のアジア通貨危機/LTCM破綻時の混乱は、VIX指数が連続48営業日30pt超で推移するという状況でした。足元では、7営業日連続で30ptを超えており、アノマリー継続ならばまだまだボラタイルな展開が継続しそうです

4/10(木)の大幅高は、前日に発効した相互関税(対日24%)の90日間の暫定的な停止がきっかけとなりました。
しかしながら、ベースとなる10%の関税は発効しており、また、自動車・鉄鋼の関税25%も発動済みということで、相互関税24%を延期したところで、昨年末の環境へ元通りというわけではなく、やはり、マクロ環境としては下押しへの要因が続くものと思われ、昨年8月とは異なり、38000円-40000円のレンジには収束しないと思われます。
ストラテジーに関しては、VIX 40.53pt、日経VI 44.36ptと非常にオプションIVの水準が高くなっており、ボラティリティの買いよりは売りの方が魅力的に見えます。先週に引き続き、プット売り+先物売りのカバードプットが有効に見えます。

4月の業種別騰落率を見ると、小売、食料・不動産など内需株が上位にランクインしており、内需/低ボラティリティ銘柄の相対パフォーマンスは引き続き強いものと思われます。しかしながら、対TOPIXで下落がマシというレベルなら、カバードプットで利益を狙いに行った方がいいかもしれません。


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ウィークリーレポート(2025年4月4日)

4月第第1週、日経平均株価は▲9.00%、NYダウは▲7.86%、ユーロストックス50は▲8.50%と先進国の株式市場は大幅下落、一方で米国10年債利回りは25bp下落し昨年10月以来の4%割れ、日本10年債利回り32bp下落し、債券市場は大幅高となりました。

4/2に発表されたトランプ政権による相互関税が混乱の原因ですが、相互関税の導入については従前よりアナウンスがあったものの、貿易加重平均だと日米間では2%前後であったため当然そのレベルでの関税と思われていましたが、発表された数値は、貿易赤字額を(米国の)輸入額で割った数値を「非関税障壁を含めた不均衡な関税」によるものとして、その半分の比率を報復関税とするという、非常に乱暴なものでした。

(日経) 「トランプ関税」の税率、貿易赤字÷輸入額で計算か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN030N90T00C25A4000000/

あまりにも乱暴な数値のため、実現するのかも怪しいとは思いますが、すべての貿易国への10%の一律基本関税は4/5に発効、上乗せ分は4/9に発効とされており、マーケットの混乱は深まるばかりです。

(Reuters)トランプ氏が相互関税発表、日本は24% 全ての国に一律10%
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/B2TZTNUZA5MZHG3W4UTL5OTO3Q-2025-04-02/

無茶苦茶な政策ですが、とにかく株価への影響を何かしら推測しないといけません。
トランプ政権並みの乱暴な推測になりますが、2024年の対米輸出は21兆2947億円で、その24%は5兆1107億円となります。2025年3月期のTOPIX構成銘柄の予想純利益は52兆2960億ですので、約10%が米国政府の税収へ変わり、日本企業の減収要因となります。実際には、貿易収支には非上場企業のものも含まれ、また、TOPIX構成銘柄のすべてが輸出企業というわけでもありませんので、あくまで乱暴な仮定であることを繰り返します。

TOPIXの12か月予想EPSが10%下落した局面は、2006年以降で、2008年リーマンショック(高値からTOPIX下落率60.25%)、2015年チャイナショック(28.76%)、2020年コロナショック(33.23%)と、いずれも20%超の下落で弱気相場入りとなっています。今回の関税ショックも予想EPSを10%下げるものとすれば、足元の下落(2024年7月高値から14.25%)もまだ道半ばと言え、関税を織り込んでない予想ベースでのPERで割安感から買い、と判断するのは控えた方がよいでしょう。昨年8月の安値2227ptまでまだ11%を残しています。

日経VIは一時39.33ptと大きく上昇し、オプションプレミアムが高騰していますので、単純にプットを買うよりは先物売り+プット売りのカバードプットが良さそうです。

TOPIXと12か月予想EPSの推移

【米国株】
S&P500は10%調整後のアノマリーで、1998年コースを順調になぞっており、このまま同じ轍を進むなら、2月の高値から20%下落の4917ptが下値目途となります。

S&P500の調整局面入り比較チャート

【為替】
ドル円為替レートは前週比2円92銭安の146円93銭で週末の取引を終えました。関税自体は米国の貿易赤字が減少=日本の貿易黒字縮小という事で、円安要因となります。また、IMM通貨先物市場では投機筋は既に円ロングに相当数傾いており、足元の円高は内外金利差縮小に連動しているだけのように見えます。円高の目途としては200日線137円52銭あたりが意識されそうです。

【その他メモ】
・VIX指数も45.31ptと上昇。終値で40pt超えは2020年のコロナショック以来。
・ハイイールドスプレッドは4.30%と拡大。
・米国リセッションリスクで米国債が変われているが、輸入物価上昇によるインフレ再燃はまだ織り込まれていない。2022年ピークと1974年ピークの比較チャートからは、2025年後半から第二次オイルショックのような状態もあり得るか。
・4月から関税スタートなので、4-6月期決算を見て影響を確認するまで混乱か。

米国CPI推移(2022年ピークと1974年ピークの比較)


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ウィークリーレポート(2025年3月28日)

3月第第4週、先進国の株式市場は下落し、一方で債券はこじっかりとなりました。週末のアトランタ連銀のGDPナウ指数の下方修正にともない、リスクオフの流れが強まりました。日本では年度末を挟むことでフローが複雑化しますが、基本的には海外(米国)の動きにつられていくものと思われます。
S&P500の調整局面入りの比較チャートでは、1998年のチャートと似た動きとなっており、トレースするならば来週さらに10%弱の下落となります。念のためヘッジのプット買いがあった方が良さそうです。

【株式】
日経平均▲1.48%、NYダウ▲0.96%、ユーロストックス50▲1.70%、と日米欧株価はすべて下落となりました。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)も▲5.99%と2月最終週以来となる5%超の大幅下落で、終値ベースで1月高値から20%超の下落となり弱気相場入りとなりました。
日本市場では期末配当の再投資期待があったものの、権利付き最終日の大引けでも大きな波乱は無く、債券価格の下落により年金基金のリバランスフローは株式ではなく債券に向かった可能性が指摘されています。

【債券】
その債券ですが、米国長期金利は+0.3bpと小幅に上昇、日本の10年債利回りも1.9bp上昇となりました。金曜日のNY市場では、アトランタ連銀のGDPナウ指数が▲1.81%から▲2.8%へと悪化し、株式から債券へとリスクオフの資金フローが強く出ました。
日米金利差は今年の1月から一貫して縮小しており、1月の3.55%から足元では2.70%と2022年8月の水準まで縮んでいます。

アトランタ連銀:GDP Now
https://www.atlantafed.org/cqer/research/gdpnow

【為替】
NISAによる円投フロー、貿易赤字と3年前とは環境が異なることもあり、日米金利差の縮小にもかかわらず、ドル円為替レートは2022年8月末が137円64銭だったのに対して、週末の149円84銭と水準が大きくことなります。金利差だけで見れば円高方面へベットしたくなりますが、IMM通貨先物市場では投機筋の円買越しポジションが前週比2627枚増加の117,323枚と依然として高水準にあり、円安方面へのリスクが高い状況です。

【その他メモ】
・VVIX指数(VIXのボラティリティ指数)が102.44ptと一週間でまた100pt超えへ。
・VIX指数も21.65ptと再度上昇しており要注意。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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ウィークリーレポート(2025年3月21日)

3月第3週の株式市場は、日経平均は+1.68%と続伸、NYダウは+1.20%の反発、ユーロストックス50も+0.36%の反発となりました。

前週に高値から10%下落で調整局面入りをしたS&P500は+0.51%とアノマリー通りに反発となりました。アノマリーが継続するならば、次週も小康状態か小幅上昇が見込まれ、カバードコールが有利です。

米国株が反発する中で、新興国では、3/18(火)に成長懸念からインドネシア株が下落、5%超の下落で一時売買停止となりました。また、3/19(水)には、エルドアン・トルコ大統領の政敵であるイマムオール・イスタンブール市長が拘束されたことをきっかけにトルコ株/通過が売られ、週間で▲16.57%の大幅下落となりました。
新興国株の急落が相次ぐと、アジア通貨危機のような状況を想像し身構えますが、MSCIエマージングマーケット指数は+1.05%と上昇しており、国際金融システムの問題ではなくあくまで個別の事象と捉えてよさそうです。
Bloombergで取得できる89か国の主要株価指数(93指数)を基に、週間で5%下落した指数の割合を作成しました。足元ではトルコのイスタンブール100種指数が該当しますが、その他の指数は堅調であることから下大幅下落指数の割合は低く推移しています。
過去の事例を見ると、リーマンショックやコロナショックなどの局面で5%超の下落が発生する指数の割合が大きくなっていますが、予見的に先の相場の下落を示唆すものではなく、むしろ陰の極みを示す指標と言えます。

という事で、新興国危機は杞憂と考え、前週から続く上述のアノマリーをベースにカバードコール、もしくは配当の再投資に関わるトレードが良さそうです。配当の再投資に関しては、権利付き最終日前後にTPX売り/ダウ買いとドテンにするところまでアノマリーと考えると二度美味しい取引です。

大証TOPIX先物÷大証ダウ先物

S&P500の調整局面入り比較チャート


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