4月第第3週、日経平均株価は+3.41%、NYダウは▲2.66%、ユーロストックス50は+3.09%となりました。
S&P500の動きをベースに見ると、高値から20%近くの下落を付けた後の反発局面入りとなっており、4月末に向けて5600pt弱、日経平均で36000円程度までの回復を目指す動きとなりそうです。
とはいえ、パウエル議長は物価安定を優先し株価の下落で利下げは行わないと発言し、また、前週レポートでもふれたように既に10%の関税は発動している状況で、景気後退リスクが減少したわけでもなく、綾戻しの相場にロングで向かうよりはダウンサイドを気にした方がよいと思われます。
改めて、リセッションリスクはどの程度のリスクなのか見てみたいと思います。
1970年から1980年初頭の米国景気後退局面をスタグフレーション期として見ると、米国10年債利回りは全期間での景気後退時は平均で345bpの利回り低下に対してスタグフレーション期は232bpの低下と下げ幅がマイルドになっています。また、原油に関して、長期データを取るためにWTI原油価格ではなくアラビアライトを指標として計算していますが、スタグフレーション期には▲5.20%とマイルドな下落となっており、債券とコモディティに関しては通常の景気後退時とは異なり緩やかな変動となるようです。
足元の相場状況でどの程度まで下がるのか目安を確認するために、2020年4月から2025年4月17日までの景気拡張期間中の高値に、スタグフレーション期間時の平均下落率をかけて想定安値を算出しました。
NYダウは30274ドルとコロナ後の2022年の安値近辺が目途となります。日経平均は意外にも34422円と、すでに過去のスタグフレーション時の下落率を織り込んだ水準となっています。基準とした70年・80年代が高度経済成長期と重なっていたため下落率が低く見積もられたとも言えますが、NYダウの下落率▲32.75%を当てはめると28397円とやはり2022年株価水準となります。
インフレ時に株式以上の上昇率をみせる金に関しては、意外なことにスタグフレーション時は安全資産と言えず株式と同様に30%超の下落となっています。1990年代以降の低インフレ時代での景気後退局面でも平均26.7%の下落となっており、景気後退に対して強い資産ではありません。
原油については、2022年3月のロシアのウクライナ侵攻時に急騰し高値134ドルを付けていることから、高値からの下落率5%で安値127ドルと、現在値よりも高い数値が出されました。
ドル円については127円18銭と2022年に通過し2023年に安値を付けた水準となります。
総じて、2022年の価格水準あたりが、仮に米国経済がリセッション入りした場合の安値水準としてダウンサイドリスクを考えてみるとよさそうです。
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