ウィークリーレポート(2022年9月30日)

9月の最終週の株式市場は、日経平均は▲4.48%、NYダウ▲2.92%、ユーロストックス50▲0.91%と反落となりました。

前週末の英国債ショックの余波で米国10年債は一時4.015%をつけるも、9/28水曜日に英国中央銀行BOEが超長期英国債の買い支えを発表すると債券市場は落ち着きを取り戻し、米国10年債利回りは3.82%で週末を迎えました。米国債の恐怖指数MOVE指数は158.99ptと6月高値156.16ptを上回る水準まで急騰しましたが、BOEの救済政策発表後にやや落ち着き、週末は148.14ptとなっています。

日米欧とも3週連続の株安となっていますが、S&P500の益回りと米国10年国債利回りの格差を見ると2.70%前後で安定して推移しており、ここもと株安が景気不安などによる株の投げではなくバリュエーション調整によるものだとうかがえます。逆に言うと、金利が下がるならば、自動的に株が上がる相場とも言えます。
6月の金利高/株安局面では、米国長期金利は3.5%を付けた後、2.5%まで100bpの下落となりました。今回も同様の下落幅を想定すると3.00%までの調整が見込まれます。

テクニカル面では、米国版の騰落レシオbreadth indicatorを見ると、10日間平均が40%を下回り、6月上旬・9月上旬のに続き売られ過ぎのシグナルを発しており、ここ一年間はこの水準からの株価の急反発が続いています。
バリュエーションの話に戻りますが、10年債利回り3.00%水準ではS&P500は4169ptとなり9月高値近辺までの反発が期待でき、日経平均も同様に28500円がターゲットとして意識されます。
上記反発の目途4169ptはS&P500の予想EPS不変を前提としているので、米国経済の悪化が意識される展開となると様相が変わるため、10/7雇用統計など経済指標には注意が必要です。

インフレ率が鎮静化するには失業率が上昇し賃金上昇が滞る程度には米国経済が減速する必要があるとみており、つまり長期手にはリセッションは避けられないと思われので、目先の反発局面でも上値を追いかけるトレードは避けたいところです。10月からショートスクイーズ相場にかけるならば、SQに向けてのダウンサイドの損失が限定されるC275ロングなど良いかもしれません。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年9月22日)

9月の第3週の株式市場は、日経平均は▲1.11%、NYダウ▲4.00%、ユーロストックス50▲4.34%と反落となりました。

FOMCでは市場予想通りの75bp利上げとなりましたが、FOMC委員によるドットチャートは、2023年のターミナルレートが3.75→4.75と大幅上昇、一方で、ロンガーラン金利は2.50%の据え置きとなりました。米国2年債利回りは4.09%へ上昇し、長期金利は3.53%とほぼ変わらずとなり逆イールドが深化しました。
日本時間同日の日銀政策決定会合では現状維持となり、これまでどおりの大規模緩和を継続することから円安が進行、一時は145円89銭となりました。
夕刻、財務省による24年ぶりの円買支え為替介入が実施され、142円47銭まで円高が進行しましたが、日米金融政策の違い、貿易赤字とった構造的な問題は解決していないため円安トレンドの転換にはならず一時しのぎとしかならないと思われます。

米国10年債金利は FOMC後も明確な下落とならず、それどころか翌9/23に発表された英国の大幅減税策による世界的な金利上昇で前週比+23bpの3.68%となりました。長期金利と株式益回りのイールドスプレッドは拡大しており、米国株の(国債利回りとの比較で)割高感が残ったままとなっています。したがって、引き続き見通しとしては、アップサイドよりもダウンサイドの方が大きい状況とみています。

月末までは配当再投資と日経平均リバランスを踏まえたフローが意識される展開となるでしょうが、10月からは米国雇用統計(10/7)、CPI(10/13)を挟んで、11/8の米国中間選挙に向けたアノマリートレードが意識されそうです。1994年-2018年までの米国中間選挙前後のチャートを見ると、10月中旬まで弱く、その後選挙に向けて反発となりますので、タイミングとしては10/11日本市場SQ、10/13米国CPIあたりがトレンド転換のタイミングとなるかもしれません。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2022年9月16日)

9月の第3週の株式市場は、日経平均は▲1.11%、NYダウ▲4.13%、ユーロストックス50▲1.95%と反落となりました。
9/13に発表された米国8月CPIは市場予想を上回る8.3%となり、ダウは1276ドルの大幅安、6月同様CPIショックとなりました。一方、米国長期金利の同日の反応は5bp上昇程度にとどまり株式市場ほどの大げさな反応とはなりませんでした(とはいえ、週間では6週連続の上昇となっています)。

木曜日9/22にはFOMCが開催されます。利上げ幅についてはCPI発表後、100bp上げの可能性が取り沙汰されていますが、今回は四半期末の開催日でFOMCメンバーによるドット・チャートが公表されますので、75bpか100bpかよりもターミナルレート(利上げのピーク時の利回り)がいくらになるかが短中期の金利(と為替レート)にとって重要になります。また、失業率に対して中立な影響とされるロンガーラン金利が2.5%で据え置かれるのか否かで長期金利も大きく動くことになります。

CPIショックという事で6月と比較したくなりますが、長期金利と予想株式益回りのイールドスプレッドで見ると6月よりむしろ4月中旬からの下落局面と似ています。
4月は2.34ptから2.93ptまで調整がすすみました。同様の調整幅を想定すると、長期金利がこれ以上上がらないとして、おおむね3750ptあたりまで株価下落となります。

週末時点で米国長期金利は3.465%となっており、同じく週末の3901.35ptはイールドスプレッドからみたレンジの上限に位置しています。FOMCの結果がタカ派と受け止められた場合は、株価は下方に修正する動きとなります。逆に市場が現在織り込んでいるよりもハト派な場合、株価は上昇するでしょうが、長期金利が3%まで低下しても4000pt台でレンジ上限となり、リスクリターンで考えると今回のイベントはダウンサイドへかける方が、分がよさそうです。
下落局面での比較チャートでは、前者の楽観シナリオの場合、これまで通り2001年との比較ライン(黄点線)に沿ってレンジ継続を想定します。後者のリスクシナリオの場合は、2008年3月のベアスターンズ破綻前後の動きとの比較から(赤点線)、6月安値割れの3457pt(イールドスプレッドの表からは長期金利が3.6%まで急騰)を想定します。

さて、米国市場については下目線となりがちですが、日本市場については月末にかけて配当の再投資が期待されます。また、日経平均の銘柄入れ替えに伴い売りフローが発生することから、権利付き最終日の28日までは日本株買い、その後は売りというパターンが意識されます。配当再投資については年々先回りポジションが増えており、権利付き最終日を待たずにピークアウトするケースが増えているものの、権利落ち日でのプレポジションの解消は依然として定番となっており、日経平均のリバランスフローと合わせて狙い目です。取引としては、FOMCの結果次第ながらも、国際市況の影響を相殺できるダウとのレシオ取引にチャンスがありそうです。


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ウィークリーレポート(2022年9月9日)

9月の第2週の株式市場は、日経平均は+2.04%、NYダウ+2.66%、ユーロストックス50+0.72%と反発となりました。
S&P500は2001年との比較チャートパターン通りの反発となり、目先4140ptまでの反発が見込まれます。
ただし、週明け9/13には米国8月CPIの発表があり、翌週にFOMCを控えているだけに、数値のブレ次第では、長期金利の急騰/株価の反落のケースも想定されます。特に日本市場はFOMCの週は月・金が祝日となっているため極端に需給が傾く可能性に注意です。

為替市場では一時144円99銭まで円安が進んだのち、日銀・金融庁・財務省の三者会談、黒田総裁・岸田首相の会談が伝わると一転円高となり142円47銭と高値から2円以上下落して週末を迎えるという荒い展開となっています。円高の背景としては、米国5年債利回りの上昇が一服していたことがあげられ、要人会談はその円高を後押した格好となっており、米株同様、9/13の米国CPI次第では上下どちらにも振れやすい状況です。

日本市場では、投資部門別売買動向で海外投資家が6月第3週以来となる1兆円越えの売り越し(1兆1854億円)となりました。このところの海外勢の動向は逆指標となることが多く、6月と同じパターンなら日本株も反発となりそうです。節目29000円が上値の目安となりますが、市場予想+8.1%の米CPIが大幅に下落して楽観が広まるという場合でなければ、ベースとしてはS&P500の2001年との比較チャートの推移に沿うと考えていますので、29000円までの反発は先物売り/プット売りなどショートポジションの仕込みのタイミングとなるかもしれません。

図. 海外投資家が1兆円以上買い越した週(緑線)と1兆円以上売り越した週(赤線)のタイミング


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ウィークリーレポート(2022年9月2日)

9月の第1週の株式市場は、日経平均は▲3.46%と反落、NYダウ▲2.99%、ユーロストックス50▲1.65%と続落となりました。

9/2金曜日には22年ぶりとなる1ドル円140円の節目を超え円安が加速しました。円安のドライバーとしては日米金利差の拡大が効いており、特に5年債の利回り格差によく連動しています。
日本国債市場は日銀のYCC政策で低金利に抑えられているため、日米金利差の変動は米国債側の動きに左右されています。FF金利先物市場からは政策金利の予想は来年3月に3.95%のピークを付けた後2024年1月に3.55%まで低下となっており、この先2年債が政策金利のピークと同じ3.95%、10年債が3.55%まで金利上昇が続くと仮定すると、線形補完で5年債利回りは3.79%となり、52bpの上昇余地があります。
今年に入ってドル円為替相場は5年債金利1%の上昇でおよそ5.62円円安が進むというペースでしたので、52bp上昇で2.92円、143円が現時点の上限幅と見込まれます。

米国市場では、市場予想+298Kをやや上回る+315Kの雇用者数増加となった8月米雇用統計の結果、一時前日比1.3%の上昇となったS&P500ですが、その後上値を抑えられ▲1.07%安となりました。
8月下旬からの米国金利の一段の上昇によりS&P500の予想益回りとの格差、イールドスプレッドは縮小し、株式投資の相対的な魅力が減少しています。イールドスプレッドはここ数か月2.7%~3.3%のレンジとなっており、足元の12か月先予想EPS 236.71ptをベースに考えると、長期金利の水準に応じたS&P500のレンジは以下のようになります。


週末の米国10年債利回り3.18%を所与とすると、目先のリバウンドはあっても4000ptちょっとという水準になります。

2001年との比較チャートでも、同時多発テロによるチャートの急落を別にして、この先は緩慢とした下落を示唆しています。ジャクソンホールからの急落局面でもVIXは上昇する一方、VIXのオプションから計算されるVVIXは穏やかで、加速的な下落になるとは市場では想定されていないようです。
だらだらとした下げ局面に対しては、先物売り/プット売りのカバードプット戦略が有効です。


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