ウィークリーレポート(2023年1月3日)

2022年の株式市場は、日経平均▲9.37%、NYダウ▲8.93%とユーロストックス50は▲11.90%と日米欧市場ともに下落となりました。またNASDAQ総合指数は▲33.51%と2008年以来の大幅下落となりました。
2022年の市場のテーマはなんといってもインフレであり、米国のCPIは一時9.0%まで上昇しました。しかしながら年末には11月CPI 7.11%と鎮静化の様相を見せてきており、2023年はインフレに鎮静化を前提に、急激な利上げによるリセッション懸念がテーマとなりそうです。
具体的には、CPIは確実に減速しているか、利上げのピークはいつか、急激な利上げによる景気悪化はどの程度か、悪化度合いが大きい場合にFRBは年内に利下げに転じるのかという観点が中心になるでしょう。

FF金利先物市場では6月にFRBの政策金利はピークを付けその後利下げに転じると予想しています。インフレが鎮静化しFRBが利下げに転じた1981年、1984年のケースでは、米国10年債金利はその後、変化率で10~20%下落しており、昨年末の3.87%の20%強下落ということで3.00%までの低下を想定します。
米国金利低下を背景に、ドル円為替レートは円高傾向が継続すると考えており、1998年の円安からの切り返し局面を参考に、2023年は110円~125円のレンジに収束していくと想定します。

景気循環に関して、米国GDPは2022年上半期に2期連続マイナスとなり、テクニカルにはリセッション入りとなっていますが、正式なリセッション認定はNBER(全米経済研究所)が十数か月後に判断します。正式なリセッション判定を持たず、簡易的に米国の景気先行指数の動きで過去のケースを振り返ると、1970年代以降、先行指数が明確に0を下回ったのは昨年7月を含めて8回となります。過去7回のケースでは6か月~13か月でボトムをつけ(平均で▲6pt)、その後、回復に向かっています。足元の指数が2022年7月にマイナスに転じていることを加味すると、2023年7月前後がボトムとなりそうです。

2000年以降の景気先行指数とS&P500の実績EPSの関係を見ると、同指数がピークから15pt以上下落した場合にはS&P500のEPSは平均で半減しており、上述の先行指数のボトム平均▲6ptまで下落する場合はEPSは▲54%の減少になると予想します。ただし、この”実績”EPSは株価のボトムのよりもだいぶ後に実現するので注意が必要です。2023年のS&P500は、昨年末のレポート同様、1981年の比較チャートから、年末比▲15%の3254ptから同+18%の4536ptのレンジを想定します。
日経平均については、円高逆風を加味して、23600円~29100円を年間のレンジとして想定、日米両指数とも、年前半に安値をつけ、秋口以降の反発と予想します。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年12月23日)

12月第4週の株式市場は、日経平均▲4.69%の続落、一方、NYダウ▲0.86%とユーロストックス50は▲0.34%と反発となりました。
日銀政策決定会合では、大規模量的緩和の枠組みを維持しながらも、YCC政策の10年金利許容変動幅を25bpから50bpまで拡大し、これまで上限25bpに張り付いていた長期金利は48.7bpまで急騰しました。事実上の利上げ措置に、為替市場は137円45銭から130円58銭まで円高となり、株価も急落となりました。

さて、12/23時点での年初来騰落率をみると、株式市場では、日経平均は▲8.88%、NYダウ▲8.63%ともに年間で下落となっています。さらに、金利上昇の影響を受けやすいハイテク銘柄の多いナスダック総合指数は▲32.90%と大幅な下落となりました。
1970年代以来の記録的なインフレを受けて、FRBは政策金利を1年で425bp引き上げ年末時点で+4.5%となっています。また、米国10年債金利は前年末比+223bpの3.74%となりました。
為替市場ではFRBの引締め政策によるドル高、貿易収支悪化による円安が重なり、10月には151円95銭の急激な円安となりました。

FRBの急激な利上げにより米国のインフレ率は6月CPI前年比9.0%から同11月7.1%まで沈静化の傾向が見えてきましたが、一方で、景気先行指数は7月にマイナス圏に入り、米国の景気後退リスクが意識されてきています。
相場アノマリーでは2023年卯年はウサギ跳ねるといい、また米国でも大統領選前年の株価は上昇しやすいということで株高が示唆されていますが、ファンダメンタルズは悪化しており、年明けの相場動向は予想し難い状況です。

過去の事例に倣うならば、米国の景気が悪化し始め、当時のボルカーFRB総裁が20%まで跳ね上げた政策金利を引き下げ始めた年、1981年のS&P500のチャートが参考になるかもしれません。
2022年のチャートと重ねると、来年の相場は、9月まで株安、その後急激な反発なり年初来ではプラスとなります。
まったく同じように過去のチャート通りに推移するとは思いませんが、来年の前半は景気後退を前提にディフェンシブな債券投資、ただし、円債については日銀の政策転換もあり円高リスクを考慮して、【2621】iShares 米国債20年超ETFなど為替ヘッジ付き外債がよいと思われます。5月の政策金利ピークでは先の利下げを睨みながら、1-3年の短期ゾーンのヘッジ付き米国債ETFも良いかもしれません。
年後半、FRBの利上げ停止/利下げ観測局面からは株価の反発のターンが期待されますが、日本株やヘッジ付き米国株、あるいは大阪取引所上場のNYダウ先物は円決済なので為替リスクを気にする頃なく投資できるのよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年12月16日)

12月第2週の株式市場は、日経平均▲1.34%の反発、NYダウ▲1.66%と反落、ユーロストックス50は▲3.52%と下落になりました。12/15に発表されたFOMCの内容は、これまでのパウエル議長の会見と同様に、短期的見通しでは市場予想よりタカ派でしたが、当日の債券市場は反応薄、しかしながら翌日のBOE、ECBの利上げで株式市場はリセッション懸念から下落となりました。リセッション懸念による株安と報道されていますが、米国ハイイールドスプレッドは4.97%とここ数週間と同じ水準から動いておらず、むしろ年末に向けた株式市場のポジション調整ではないかと思われます。

(Bloomberg)パウエル議長が高金利長期化を警告もウォール街の投資家は半信半疑か
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-15/RMWOYDDWLU6B01

日銀政策決定会合が終わると年内はイベントなく閑散とした相場が継続するかと思われますので、来年の相場について考えてみましょう。

まず、S&P500は12/16時点で、年間下落率▲19.17%と大幅な下落となっています。年間で10%以上下落となったのは1947年以降で11回、うち翌年も下落したのは3回で残り8回は上昇となっています。下落となった3回は、高インフレだった1974年、ITバブル崩壊時の2001年、2002年です。
足元のインフレ率は7.1%と6月の9.0%から下落しておりピークを越えたと考えられ、FRBの利上げが相次いでいたにも関わらず前年末8.7%のインフレが加速し12月は12.3%までインフレが加速した1974年とは異なる状況と言えます。

また、S&P500の向う12か月の予想PERを見ると、コロナショック以降の上昇相場では20倍を超えITバブル以来の過熱水準となっていましたが、足元では16倍台とITバブル崩壊後2002年の水準と近しい水準となっており、景気の急激な悪化がなければやはり、ITバブル崩壊後の状況とも異なるように思えます。
したがって、2023年はうさぎの跳ねる卯の年という事で、予想外の+20%のリバウンドとなるかもしれません。

年間の株価推移をみると、上昇パターンと下落パターンのそれぞれの平均は、3月中旬までは±10%の範囲でもみ合っていますが、4月に入るとトレンドの違いが鮮明になってきており、2023年になっても第一四半期は
相変わらず大きいレンジでのBOXとなりそうです。

さて、ウィークリーレポート(2022年11月18日)ではFRBの利上げが停止した後の各種アセットの動きを取り上げました。また、ウィークリーレポート(2022年12月2日)では、景気先行指数がマイナスになった後の各アセットの動きを比較しました。前者ではNYダウは上昇、後者では下落と結果は別れましたが、一方で、金利安、ドル安という点については両分析で共通していました。

2022年は急速な円安が進んだこともあり、いざFRBの利上げ停止が確実になると反動での円高も予想されます。また来年4月の日銀総裁人事に絡んで、黒田現総裁の大規模緩和政策の修正観測も出てきており、さらに週末には、政府・日銀のアコードの修正観測までは出ていることから、YCCの短期化やETFの購入停止など、現在の大規模緩和の出口が意識されるとなるとやはり円高の動きとなりそうです。

ウィークリーレポート(2022年11月18日) – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=17792
ウィークリーレポート(2022年12月2日) – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=17876

(Bloomberg)日銀新体制で来年に政策検証も、春闘や海外経済見極め-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-14/RMVAIMT1UM0W01

(Bloomberg)岸田政権が物価目標柔軟化検討、日銀との共同声明改定へ-報道
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-17/RN0WVJDWLU6C01

仮に115円まで円高になるとすると、137円⇒115円で16%の円高ドル安となり、S&P500が来年20%上がっても円換算では4%しか儲からないことになります。S&P500の意外高は上述の通りですが、景気の急激な悪化リスクが皆無という事ではありません。金利安にかけるというのがより確度の高い投資と思われますが、デュレーションによっては為替差損の方が大きくなりかねません。

東証上場ETFには、為替ヘッジ付きの商品も多く上場しており、マーケットメーカーによりしっかりと流動性が確保されているものがあります。2023年はこれらの商品(ヘッジ付き米株買いETF+ヘッジ付き米債ETF買い)をプッシュしたいところです。
ただし、現在の日米金利差の水準では、為替ヘッジはゲインではなくコストなるので、5年10年と持ち続ける商品ではないことに注意が必要です。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2022年12月9日)

12月第2週の株式市場は、日経平均+0.44%の反発、NYダウ▲2.77%と反落、ユーロストックス50は▲0.89%と10週ぶりに反落とちぐはぐな展開になりました。
週明けに米国CPIとFOMCの重要イ ベントがあり、積極的なリスクテイクの動きが控えられたようです。

米国11月CPIについては、クリーブランド連銀のNowcastでは前年比7.49%、市場予想中央値7.3% といずれも前月7.7%から鈍化を予想しており、前月を上回る数値でないかぎりポジティブに反応すると思われます。
12/15のFOMCでは、市場予想では50bpの利上げとなっています。またドットチャートも発表される予定で、2023年度中に政策金利がピークを付けることとターミナル金利の水準の確認となります。FF金利先物から逆算されるCME Fed watchの予想は、政策金利は5月にピークを付ける予想で、前回のドットマップから市場予想を追認する方向性ならば波乱もなく、マーケットは金利安・株高のポジティブな反応を示すと考えています。

テクニカル的には、NYダウは8月高値を超えた水準で足踏みとなり、5日線が25日線を割り込みデッドクロスを狙っている形に見えますが、NYSE市場の騰落レシオ(Bredth Indicator)を見ると8月のラリー相場のように過熱感はなく、足元の相場の停滞はこの先の値幅調整を示唆しているというよりも、日柄の調整のように見えます。イベント通過で上抜けするならば、年内はS&P500は52週線の4140pt、日経平均は8月高値29222円が意識されます。

ダウンサイドリスクとしては、2023年から米国企業の自社株に課税が課せられるようなることが相場の不安定要因となりそうです。また、日本市場では、個人投資家に人気のあってレバレッジ系ETFの信用証拠金が60%に引き上げられるとめ、これまでBOX相場での逆張りの主体であった個人投資家の売買動向が弱まることで、日経平均はボラティリティが上昇するのではないかと思われます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2022年12月2日)

12月第1週の株式市場は、日経平均▲1.79%反落、NYダウ+0.24%と小幅続伸、ユーロストックス50は9週連続の上昇となる+0.39%でした。

11/30のパウエル議長の講演内容は、前回FOMC後の説明と同内容でしたが、マーケットはやはり都合よく解釈し好感、NYダウは737ドル高、米国10年債利回りは10bp低下となりました。インフレピークアウト&今後のFRBの利上げフェーズ5月終了をマーケットはすでに織り込んでいる印象です。12/2金曜日の雇用統計にしても、市場予想+20万より多い+26.2万人の雇用増加とインフレ抑制の観点からすれば都合の悪い数字でしたが、それでも市場は株高/金利安となりました。

今後はCPIの大幅な悪化(上昇)がなければ、来年5月に政策金利はピークを迎えインフレも沈静化するという見方が既定路線になる一方、次のステージとして、インフレが収まる過程で経済指標がどれだけ悪化するかが焦点となりそうです。

そこで、米国景気先行指数がマイナスに転じたタイミングでの各種アセットの比較してみました。先行指数がマイナスに入ったのにも関わらず利上げを継続したのは、1973年、1978年、そして今回の2022年(7月からマイナス)となります。1973年、1978年のNYダウ平均株価は、先行指数がマイナスに転じた月から半年ほど▲10%程度までのレンジで推移し、その後下離れとなっています。
ドルインデックスは、景気先行指数がマイナスになった月以降にピークを迎え、その後低下する(ドル安になる)のが平均的な動きとなっており、足元の円高と整合的です。

1998年の円安局面と今回の円安との比較チャートでは、一段の円高を示唆しており (1998年と同じ下落率なら116円台まで円高) 、また、12月に入ってからの日経平均株価の動きは、海外株価指数が堅調な中でも円高に反応して一人負けの様相ですので、NYダウ買い/日経平均株価売りのペアトレードなどが良いかもしれません。


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