ウィークリーレポート(2022年4月1日)

4月の第1週の株式市場は、日経平均▲1.72%、NYダウ▲0.12%、ユーロストックス50+1.32%とまちまちの展開となりました。

米国では金曜日、2年-10年債利回りが終値ベースで▲0.7bpの逆イールドになりました。逆イールドは景気後退入りを示すシグナルとして働きますが、シグナルが出てから実際に景気後退入りするまで半年から2年ほどと時間がかかります。長い場合だと、2006年3月に逆イールドが派生した際にはその後、S&P500株価指数は2007年10月の高値まで27%上昇しており、景気後退シグナルに過剰に反応することは機会損失となります。

イールドカーブの形状と株価の関係について当ブログでまとめてあり、現在、足元ではベア・フラットニングが進行している状態です。教科書通りの順番で訪れるなら今後はブル・フラットニング(長期金利の低下)が予想され、物色動向は石油・商社などから食品・運輸などへと変化していくパターンとなります。
2006年と同じように逆イールドが常態化したまま推移するか、5月のFRBバランスシート縮小により長期金利が再度上昇するか、いずれにせよ過去の例では株価は上昇するパターンとなります。

イールドカーブと株価の関係 サマリー表 – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=13700

とは言え、逆イールドがリセッションのシグナルであることは間違いなく、今後の株価急落には注意を払いたいところです。過去のデータからはブル・スティープニング(短期金利下落でカーブが傾く)時が最も株価が下落しており、FRBが利下げを実施する局面と重なります。ですので、現在、年内あと6回利上げをするとタカ派なFRBが利上げを見送る/利下げを検討するなどトーンの変化が出たときはいよいよ注意が必要となります。

4/4からは東証市場再編により新市場区分でのスタートとなります。新市場区分では東証一部の大部分はそのままプライム市場へ移行と代り映えがしませんが、新興市場ではJASDAQとマザーズが統合されグロース市場と生まれ変わります。昨年末から、圧倒的なアンダーパフォームであったマザーズ指数/新興株に変化が出るか注目です。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年3月25日)

3月の第4週の株式市場は、日経平均は+4.93%、NYダウ+0.31%、ユーロストックス50指数▲0.89%とまちまちな展開となりました。米国株式市場は小幅な動きにとどまったものの、VIX指数は前週に続き▲3.06ptと大幅に下落、引き続きリバウンドの中にあるとみています。一方で、欧州市場ではVSTOXX指数は+2.32ptの32.22ptと依然として30ptを上回っており、先物市場も場期近高のバックワーデーションの形状が継続していることから要警戒です。

日本市場に関しては「遠くの戦争は買い」といった状況に加え、前週から2.61円の円安と為替市場の動きが株高のサポートとなっています。
特に、3/25の動きは為替と株価がよく連動しており、円安=株高の構図が復活しつつあるようです。

週明けには、権利付き最終日があり、配当の再投資が期待されることから、引き続き日本市場は堅調となる見通しです。
4月以降については、新年度入りと言う事もありフローの変化に注意が必要ですが、日本株高の要因になっている為替については、資源高→輸入額上昇→貿易赤字拡大→通貨安→貿易赤字さらに拡大というサイクルが意識されており、原発の再稼働や日銀の引締めは議論されておらず、このサイクルが途切れる状況にはありません。
2011年東日本大震災により原発を停止したのち貿易赤字が拡大、その後、日銀の大規模緩和も合わさって、75.35円⇒125.86円と50円の円安になったケースを考えると今回は151円を目指してもおかしくありません。ただし、2015年に125円を付けた後、日銀の黒田総裁が円安牽制発言をし、円安が沈静化した経緯を考えると、今回も125円あたりで当局が何かしら反応を示す展開となりそうです。

足元では前述のとおり、円安に対して株高の反応を示しており、4月中旬までは円安を背景に日経平均は30,000円を目指す展開、その後4月下旬からは3月決算企業の決算と22/3月期の見通しが出てきて、ここもとの資源高の企業業績への影響(おそらくネガティブ)が意識され反落、というシナリオを想定します。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年3月18日)

3月の第3週の日経平均は+6.62%、NYダウも+5.50%、ユーロストックス50指数+5.85%と大幅反発となりました。
ウクライナ情勢では、依然としてロシアによる攻撃が続いているものの、ウクライナとロシアの停戦協議は継続されており、株価へのインパクトという点では小康状態となっています。既にロシアへの強力な経済制裁が課されている以上、経済的な悪影響はすでに織り込まれていると思われ、今後、ウクライナ首都キエフが陥落したとしても、非人道的な兵器の使用などでNATO参戦の機運が高まらない限りは株価への影響は限定的と考えられます。

FOMCでは25bpの利上げ、ドットマップでは年7回の予想と市場予想よりもタカ派な内容であったものの、これまで利上げを織り込んできたことからSell the rumor, buy the factの形で大幅反発となりました。
足元では、米国VIX指数は23.87ptと前週火曜日36.45から大幅な下落となっており、さらにVIX指数先物の期間構造も約1カ月ぶりに期近<期先とコンタンゴの形状に戻ったことから、ひとまずマーケットは正常化されたと考えられ、当面の間はリバウンド局面が継続していくと思われます。

当ブログの年初の見立てでは、25270円まで下落のリスクシナリオを想定していましたが、ロシアによる軍事侵攻と資源価格高というシナリオではなく、あくまでFRBのバランスシート引締めによる信用収縮の形としての想定でした。そのバランスシート縮小ですが、最短で5月から開始が示唆されており、5月以降の相場には注意が必要です。

また、5月中旬からは3月末決算期企業の本決算及び来期(‘22/3月期)見通しが発表され、足元の資源高の影響がどれだけ企業業績に影響を及ぼすのか注目が集まるタイミングでもあります。

ウィークリーレポート(2022年1月3日) – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=15631

これまで、新型コロナ感染症対策として、FRBだけでなく日銀、ECBと世界中で量的な緩和が実施されており、2020年3月のパンデミック相場からの株価急反発のドライバーとなっていました。この緩和策が逆回転することで、貸出等などへのダメージは当然想定されるわけです。
参考指標としては、米国ハイイールド債(ジャンク債)の利回りと米国10年国債の利回りスプレッド、中小企業への貸出等を証券化した証券化商品CLOの指数、同じく中小企業への貸出等を資産にしたREIT型の上場商品BDC(Business Developing Company)指数などに注意が必要と考えています。

ICE BofA US High Yield Index Option-Adjusted Spread
https://fred.stlouisfed.org/series/BAMLH0A0HYM2

PALMER SQUARE CLO DEBT INDEX
https://www.palmersquarecap.com/clo-indices/palmer-square-clo-debt-index

S&P BDC Index
https://www.spglobal.com/spdji/en/indices/equity/sp-bdc-index/#overview

当面は、ボラティリティ市場が示唆するように、一方的な下落相場は終了し、配当の再投資・大学ファンドの買付など需給面のサポートから日経平均は200日線28293円を目指す展開と考えていますが、株価の反発局面(=リスクオン局面)でも上記指標が悪化しているようなら、2016年のような展開(前年のチャイナショックからの回復局面からの急落)も考えられます。


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ウィークリーレポート(2022年3月11日)

3月の第2週の日経平均は▲3.11%と4週続落となりました。NYダウも▲0.86%と株安が止まりません。

週明けは多くのイベントが集中しており、非常に神経質な展開が予想されます。
月曜日は、3/12の対ロシアSWIFT制裁が発動、3/13の米国サマータイムが導入直後の最初の営業日ということもあり金融機関のバックオフィスが神経質となります。
3/16にはFOMCが開催されます。先立って開催された3/10のECB理事会では、市場が期待していたウクライナ危機/ロシア制裁による金融機関へのショック緩和のシグナルはなく、むしろエネルギー価格高を背景としたテーパリング加速というタカ派な結果でした。FOMCも同様に、資源価格高へ対応したインフレ抑制/金融引き締め色の強い内容となりそうです。
一方で、3/18には日銀金融政策決定会合が開催されますが、こちらは足元の物価上昇率も2%目標未達と言う事から現状の大規模緩和維持が予想され、日米金融政策の方向性の違いから、週末に116円80銭の5年ぶり高値を付けたドル円は円安傾向を強める可能性があります。

FOMCと同日の3/16にロシア国債の利払い日があります。いくつかの金融機関では担保価値としてはすでに0%へとされ、大手格付け会社もジャンク級に格下げたロシア国債ですが、改めてデフォルトとなるとCDS(デリバティブ商品)のトリガーともなり、もう一波乱悪影響が及びそうです。

目先、株式市場には明るいニュースは全く見当たりませんが、ここひと月の株価下落で、予想EPSの平均値から1σマイナスのライン(25580円)を割り込みました。このラインを割り込むと年金等長期資金での買いが見られ、今回は、4月から運用を開始する大学ファンドの買いが報じられています。

(日経新聞)日本株に「クジラ買い」観測 大学ファンド、運用開始か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0961Y0Z00C22A3000000/

また、最終週には配当の再投資もあり、日本株は年度末に向けて需給改善が見込まれます。

2018年のFRBの資産圧縮局面で起きた株価の下落と、今回のS&P 500の下落パターンが類似しており、穴このまま同じ動きをトレースするならS&P500 1/3 4796pt × 0.80 = 3836ptが安値となります。同様の下落率を当てはめると日経平均では23500円となり、3/16のFOMCで株安となるならここを当面の安値目途としたいです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2022年3月4日)

3月の第1週の株式市場も、ウクライナ・ロシアの予備交渉開始の報道で反発、ロシアのウクライナ原子力発電所への攻撃で下げると先週に引き続きヘッドラインに揺さぶられる展開となりました。ただし、日米株は大きく下値を掘り下げる展開はなく、ヘッドラインへの耐性もついてきた模様です。週間での騰落率は日経平均▲1.85%、NYダウ▲1.30%、対ロシアのSWIFT除外で銀行株が大幅に下げたユーロストックス50指数は▲10.44%の大幅下落となりました。

日米株価が一進一退する中で、コモディティ価格はロシア・ウクライナの長期戦を睨み大きく上昇しました。WTI原油先物の直近限月は前週比+26.30%と大幅上昇となりましたが、湾岸戦争時との比較チャートでは、2022年1月3日の76.08ドルに対して216%=164ドル高値となり、足元の急騰でもまだ上値余地はあるようにみえます。
週末には、イランの核開発をめぐる摩擦で、再度合意に至りイランの原油供給が増えるとの見方からやや値を下げました。

(大和アセットマネジメント) 100米ドルを突破した原油価格
https://www.daiwa-am.co.jp/specialreport/market_letter/20220303_02.pdf

(Reuters) イラン核合意再建協議が大詰め、最終決着には慎重な声
https://jp.reuters.com/article/iran-nuclear-idJPKCN2L02UD

債券市場では、ロシアのSWIFT除外による金融市場への動揺を抑えるため、FEDがより慎重なアプローチになるとの予想から金利低下しました。2月上旬にはFF金利先物市場において、3月FOMCの利上げを90%以上の確率で50bp利上げと織り込んでいましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けた各国の制裁なども踏まえ、3月利上げは25bpが94%の確率となりました。

日米の株式市場はヘッドラインに右往左往しながらも週間では横ばいとなりましたが、別の市場ではコモディティ価格上昇と債券価格上昇/金利低下というデカップリングが発生し始めています。ウクライナの戦況次第ながらもこういったデカップリングはどこかで大きく調整するので注意が必要です。
ウクライナ危機が一朝一夕には解決しそうにない状況ではコモディティ高が正当化され、債券高が否定される可能性が高いわけですが、中央銀行が目先のインフレリスクよりも金融市場の動揺を抑えることを優先するならしばらくこのデカップリングは継続しそうで、その点で3/10のECB理事会でどういったメッセージを出すか注目です。


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