2021年の株式市場は、日経平均+4.91%、NYダウ+19.69%、ユーロストックス+20.56%と欧米株上昇のなか日経平均は冴えない年となりました。
さて、2020年3月のコロナショックによる暴落からの騰落率を振り返ると、リーマンショック時と比較して早期に日本国債以外は全てショック前の水準を上回っており、この背景には世界的な大規模金融緩和がありました。この大規模な金融緩和ですが、2021年に入ってマネタリーベースの伸び率は減速してきており、2022年にはFRBはテーパリングを終え(つまりベースマネーの伸び率0%)利上げが予想されています。さらに12月FOMC後のパウエル議長の会見ではバランスシート問題(量的引締め)すら言及されています。
(ピクテ) 12月FOMCが「想定内」とは言えない理由
https://www.pictet.co.jp/investment-information/market/deep-insight/20211220.html
マネタリーベースの伸びが鈍化する時期には、コモディティ価格が下落する傾向があります。また、パリバショックやギリシャショックなどリーマンショックほどではないものの、局所的な小さなバブル(フロス)がはじける事が恒例となっています。
2022年の相場は、どこでフロスが発生しているか目を凝らす必要があるものの、パリバショック時のサブプライムローン(あるいはファンドオブファンズによるヘッジファンド資産の膨張)など一般投資家には馴染みのない商品や、あるいは意外とGAFA株や米国債の低金利など当たり前に受け止めて気づいていない可能性もあり、どこかしら資産価格が急落していないか注意が必要でしょう。
(日経新聞)「寅、千里を走る」は本当? 相場のアノマリーを知る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB244OL0U1A121C2000000/
相場格言では、「寅千里を走る」と勇ましいですが、過去の統計では負けが込んでおり、非常に神経質な1年となるのではないでしょうか。
したがって、2022年はデリバティブを用いたリスクコントロール/ヘッジが肝要となるわけですが、ヘッジ売りにしても裸売りにしても、ショート戦略の最大の問題は、そろそろ急落が来そうとシグナルを捉えても急落がいつから始まるかピンポイントでわからない点です。2015年のチャイナショック時には、6月には上海株が暴落し始めていましたがグローバルな株安となったのは8月になってからでした。
ただし、2020年3月の暴落時~リバウンド時にはプロテクティブ・プット戦略がS&P500のバイアンドホールドを上回っていましたので、暴落時の損失回避にはやはりプット買いが有効でしょう。
ここまでリスクシナリオの話となりましたが、改めて2022年の相場について述べると、21年年末のレポートで述べた通り、コロナ禍からの回復にともなう経済成長/株高の楽観シナリオ29700~31400円がベースシナリオ、マネー引締めによるフロス崩壊で25270までの下落がリスクシナリオと考えており、また、2015年チャイナショックの例を再度上げますと、ショック後も世界経済は成長して株高を更新している点からも過度にリスク回避的になることもないと考えます。