3月の第3週の日経平均は+6.62%、NYダウも+5.50%、ユーロストックス50指数+5.85%と大幅反発となりました。
ウクライナ情勢では、依然としてロシアによる攻撃が続いているものの、ウクライナとロシアの停戦協議は継続されており、株価へのインパクトという点では小康状態となっています。既にロシアへの強力な経済制裁が課されている以上、経済的な悪影響はすでに織り込まれていると思われ、今後、ウクライナ首都キエフが陥落したとしても、非人道的な兵器の使用などでNATO参戦の機運が高まらない限りは株価への影響は限定的と考えられます。
FOMCでは25bpの利上げ、ドットマップでは年7回の予想と市場予想よりもタカ派な内容であったものの、これまで利上げを織り込んできたことからSell the rumor, buy the factの形で大幅反発となりました。
足元では、米国VIX指数は23.87ptと前週火曜日36.45から大幅な下落となっており、さらにVIX指数先物の期間構造も約1カ月ぶりに期近<期先とコンタンゴの形状に戻ったことから、ひとまずマーケットは正常化されたと考えられ、当面の間はリバウンド局面が継続していくと思われます。
当ブログの年初の見立てでは、25270円まで下落のリスクシナリオを想定していましたが、ロシアによる軍事侵攻と資源価格高というシナリオではなく、あくまでFRBのバランスシート引締めによる信用収縮の形としての想定でした。そのバランスシート縮小ですが、最短で5月から開始が示唆されており、5月以降の相場には注意が必要です。
また、5月中旬からは3月末決算期企業の本決算及び来期(‘22/3月期)見通しが発表され、足元の資源高の影響がどれだけ企業業績に影響を及ぼすのか注目が集まるタイミングでもあります。
ウィークリーレポート(2022年1月3日) – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=15631
これまで、新型コロナ感染症対策として、FRBだけでなく日銀、ECBと世界中で量的な緩和が実施されており、2020年3月のパンデミック相場からの株価急反発のドライバーとなっていました。この緩和策が逆回転することで、貸出等などへのダメージは当然想定されるわけです。
参考指標としては、米国ハイイールド債(ジャンク債)の利回りと米国10年国債の利回りスプレッド、中小企業への貸出等を証券化した証券化商品CLOの指数、同じく中小企業への貸出等を資産にしたREIT型の上場商品BDC(Business Developing Company)指数などに注意が必要と考えています。
ICE BofA US High Yield Index Option-Adjusted Spread
https://fred.stlouisfed.org/series/BAMLH0A0HYM2
PALMER SQUARE CLO DEBT INDEX
https://www.palmersquarecap.com/clo-indices/palmer-square-clo-debt-index
S&P BDC Index
https://www.spglobal.com/spdji/en/indices/equity/sp-bdc-index/#overview
当面は、ボラティリティ市場が示唆するように、一方的な下落相場は終了し、配当の再投資・大学ファンドの買付など需給面のサポートから日経平均は200日線28293円を目指す展開と考えていますが、株価の反発局面(=リスクオン局面)でも上記指標が悪化しているようなら、2016年のような展開(前年のチャイナショックからの回復局面からの急落)も考えられます。