ウィークリーレポート(2023年4月28日)

4月第最終週は、日経平均+1.02%、NYダウ+0.86%、ユーロストックス50▲1.12%とまりました
4/28の日銀政策決定会合ではすべて現状維持となったものの、「1年から1年半程度の時間をかけて」ここ四半世紀の金融緩和の影響を検証すると書かれており、少なくとも1年間の政策変更はなしとの思惑から株価は上昇しました。夕刻の植田新総裁の記者会見では、物価目標達成ならばレヴュー期間中に政策変更はあり得ると発言があり、やや上値は重くなりましたが無風と言える範囲でしたので、マーケットは新総裁とその政策をハト派として受け止めたようです。

(日銀)当面の金融政策運営について
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230428a.pdf

日銀の次は5/4のFOMCとなります。「最後の利上げは買い」というのがアノマリーとして意識されます。1994年以降の過去のパターンでは、S&P500平均で5%の上昇となっており、昨年8月高値4340ptまでの上昇が考えられます。同様に、各セクターでの過去の平均推移を並べてみると、利上げ後50営業程度はITセクター、半導体セクターが強く、その後は、金融、不動産セクターがけん引していることがわかります。

一方、FRB最後の利上げ前後の同じタイミングで日経平均の推移を比べると、米国とは打って変わって右肩下がりのチャートになります。偶然か必然か、「最後の利上げ」のタイミングで1997年アジア通貨危機、2006年量的緩和解除など、マーケットにネガティブなイベントが重なっていることが要因です。
FRBがまず利上げ、その後欧州、日銀と引き締めが続くケースが多かったことから、FRBの引き締め最終局面で日銀が緩和から舵を切るというパターンも2006年当時と似ていますが、植田新総裁が緩和継続を続けるならば、「今回は違う」となるかもしれません。
東証33業種の比較チャートでは、全体的に下落傾向ですが、不動産業がもっともパフォーマンスがよいです。
日米ともに共通している点ですが、「最後の利上げ」後の長期金利低下に伴いREIT指数が上昇していますので、ゴールデンウイーク(FOMC)明けの上昇を見込んでREIT指数の買いがよさそうです。

日経新聞では1970年代から80年代の高インフレ時の最後の利上げ後の株価動向から、最後の利上げは買いではない可能性を報じました。しかしながら当時は、FOMCの開催の有無に関わらず、非開催日にも政策金利を変更していた時代であり、また、1979年からのボルカー総裁からは政策金利ではなくマネーサプライをターゲットとしたことから、マーケットが当時の政策金利の引き上げが最後なのか予見できない時代だったと言えます。高インフレ時代という共通点はありますが、当時と現在では政策変更の予見性という点では大きな隔たりがあります。
政策金利の変更がFOMCの開催と一致し始め、また、フォワードガイダンスの重要性が認識されてきた1994年以降のデータでは、やはり、最後の利上げは買いと言えます。

(日経)米国株「最後の利上げ、買いでない」著名ストラテジスト
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2488K0U3A420C2000000/


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年4月21日)

4月第3週は、日経平均+0.25%、NYダウ▲0.23%、ユーロストックス50+0.41%とまちまちな展開でした。
木曜日に発表された4月第2週の投資部門別売買動向では、海外勢が現物先物合わせて1兆5902億円の大幅買い越しとなりました。第3週も東証立会中は日本株が独歩高する場面が見られ、前週に続き買いが入っている様子でした。週間ではTOPIXバリュー指数が1.15%と同グロース指数の0.47%を上回っており、東証のPBR1倍割れ企業への改革姿勢が評価されているのかもしれません。

週明けは月末最終週となりますが、月末の4/28には植田新総裁の下での初めての日銀政策決定会合が開催されます。前年、米国の金利高の格差の拡大からYCC撤廃期待が台頭し、国債市場は大荒れ、黒田総裁退任後の会合で政策変更の期待もありましたが、植田新総裁は2月の所信表明でYCCを支持し、国債購入の正当性を訴えるなど国債市場の鎮静化を図ってきました。
その2月の所信表明時に大問題と言及した、日銀によるETF購入に関しては、その後言及はなく、またマーケットでもフォーカスされていないためノーガードな状態に見えます。
海外勢が大幅に買い越している間は売り向かっても報われる可能性が低いですが、仮にこの流れが変わるとすれば、日銀によるETFの購入停止サプライズが考えられます。ETF購入停止となるならば日本株式市場のボラティリティ上昇が見込まれますので、ゴールデンウイーク前の宝くじ感覚でプット買いというのも面白いかもしれません。

そのゴールデンウイーク中の5/4にはFOMCが開催され、日本市場では5/3から連休に入ることもあり(5/1、5/2は営業日)警戒感から手掛けにくい展開となりそうです。
4/14のミシガン大期待インフレ率の上振れ以降、マーケットは5月FOMC後、6月にも1回の利上げあるのではないかと見込んでおり、5月FOMC後の会見がハト派な内容ならアップサイドの動きが期待されます。
日米の金融政策で織り込む方向がづれているように見えますので、ダウ買い/日経売りのチャンスかもしれません。

2023.4.18 (Bloomberg)物価・賃金上昇に良い芽、緩和継続で物価目標達成近付く-日銀総裁
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-18/RTAC0IT0AFB401

2023.3.1 (DIAMOND online)日銀総裁候補・植田和男氏の言う「大問題」について考える
https://diamond.jp/articles/-/318600


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ウィークリーレポート(2023年4月14日)

4月第2週は、日経平均は+3.54%、NYダウ+1.20%、ユーロストックス50+1.89%とそろって上昇しました。
12日に発表された米国3月CPI +5.0%(市場予想+5.1%)は、発表直後はポジティブに反応したものの、その後売りに押されS&P500は前日比マイナスとなりましたが、翌日発表された米国3月PPI が前月比+2.7%(市場予想+3.0%)とこれも市場予想を下回ると、インフレ鎮静化(=利上げ終了)期待から株高となりました。

木曜日時点では債券市場では米国10年債利回りが3.43%と前週から+4bpと小幅上昇したのに対して、同2年債利回りは2bp低下の3.95%と逆イールドが解消される方向で動きました。
物価指標でインフレ圧力の低下が確認されたことから、5/4の利上げが最後で年内利下げの期待まで報じられており、その中で、ローン担保証券のCLO指数は3月の下落を取り返し年初来高値を更新、BDC指数、ハイイールド債ETF(HYG)も上昇とリスクオンムードとなっています。
金曜日に発表されたミシガン大学1年期待インフレ率は市場予想3.7%に対して4.6%と大幅に強く、市場は6月にも更なる利上げがあるか懸念したことからNYダウは反落しましたが、VIX指数、債券ボラティリティのMOVE指数、さらに同日の株式市場の下落を主導したナスダック100指数のボラティリティ指数であるVNX指数も前日比で下落しており、実際には週末の需給要因などが下落なのではないか思われます。

さて、5/4 FOMCに関して、ハイイールド債と米国10年債利回りのスプレッドは、FRBの利上げ最終局面(最終利上げ前)でいったん上昇するパターンが見られ、5/4のFOMCが最後の利上げだとすると、3月のSiVB破綻によるハイイールドスプレッドの拡大は、過去のパターンを踏襲したものと見れます。
同様に、最終利上げ前後のパターンを見ると、米国金利に関しては明確な下落傾向、株式に関しては上昇傾向があり、平均的な推移を仮定すると夏には長期金利3%割れ、NYダウ36000ドル超えの展開が見えてきます。
予想EPSが低下傾向であるアメリカ株式市場のバリュエーションからは36000ドルは容認できる水準ではありませんが、週明けから本格的に始まる米国決算次第では過剰な期待先行となる可能性も否定できません。
パターントレードとしては株買い、金利低下を見越して債券買い、金利低下の恩恵のあるREIT買いとデルタロングに傾けたくなりますが、バリュエーション面で深追いしたくない心理もあり、いったん反落してレンジ相場に逆戻りした場合でも対応しやすいようにATMプット売りがよさそうです。


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ウィークリーレポート(2023年4月7日)

4月第1週は、日経平均は▲1.87%、NYダウ+0.63%、ユーロストックス50▲0.13%とまちまちな展開となりました。

4/4に発表された米国新規失業保険申請件数が市場予想を上回り、リセッション懸念が再び台頭、米国10年債金利は先の利下げを見越して16bp低下の3.30%と昨年9月以来の低水準になりました。ただし株価は微調整にとどまり週間ではS&P500は▲0.10%の下落にとどまりました。
4/7金曜日に発表された米国雇用統計では、前月から雇用者数の増加が減少していることを好感してS&P先物は上昇、一方、フルタイム雇用者数の伸びが依然として堅調であることから米国債は売られ金利上昇(そして為替はドル高円安)と、真逆のリアクションとなりました。

一方、日本市場は4/5以降売りに押され、独歩安となりました。日々公表される先物手口では4/5 国内大手証券、4/6米系証券、4/7欧州系証券が売りの主体となっており、これといってはっきりした傾向はありませんが、先週紹介した2014年4月を踏襲する値動きとなっており、引き継き同じコースで動くとするならば日柄的には4/12まで下落その後反発が期待されますので、プット売り戦略がよいかもしれません。


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ウィークリーレポート(2023年3月31日)

3月最終週は、日経平均は+2.40%、NYダウ+3.22%、ユーロストックス50+4.46%と続伸となりました。
日経平均は先週のレポートでの予想通り配当の再投資で日経>ダウとアウトパフォームしましたが、権利落ち後は予想に反して日経>ダウの勢いが継続しました。期末のリバランスフローならば、週明け期初からの反落考えられます。チャートパターンの形状としては、2014年の3月~の形状と似ており、同様の動きならば4月頭らから反落し26000円を試す動きにも見えます。

とはいえ、日本市場単独で下落というのも考えにくく、米国株式の動きを見ながらなりますがが、その米国市場は3月中旬の米国地銀ショックに対する当局のケアから株価は上昇局面にあり、また、FF金利先物市場では5月が最後の利上げで年内の利下げを織り込んでいます。再び現れたゴルディロックスのような環境の中でNSDAQ100指数は昨年12月安値から20%上昇し、強気相場入りしています。
テクニカル面では、S&P500の騰落レシオBreadth Indicatorは63%と過熱ゾーンに入りましたが、同時にZweig Breadth Thrustという買いシグナルも発生しました。このシグナルは直近では2019年1月、2016年11月に出ており、いずれもその後数か月S&P500はラリーとなりました。
このシグナルに従うなら、前述の通り日経平均が下落するならば押し目買いのチャンスとなりそうです。上昇相場に水を差しそうなイベントでは4/12米国CPIがありますが、無風で通貨できれば、5/4FOMCまで大きなイベントはなく、現物ロング or プット売り戦略がよさそうです。

日本市場の話題に戻りますが、月末に発表された3月東京CPIコアコア は3.4%と市場予想3.2%を上回り、前回2月 3.2%からインフレが強まっていることから、再びYCCの修正など日銀政策決定会合(4/28)での政策変更期待が高まりそうです。こちらはJGB先物オプションのプットロングが期待できそうです。


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