ウィークリーレポート(2023年6月23日)

6月第3週、日経平均株価は11週ぶりの下落となる▲2.74%の下げ、NYダウ▲1.67%、ユーロストックス50▲2.80%もそろって下落となりました。

週明けは第一四半期最終週となり、足元上昇していた日本株に対してリバランスのフローが懸念されます。また、7/8-10に決算を迎える日経225連動型ETF、TOPIX連動型ETFの分配金捻出売りもあり、昨年は海外勢が6月下旬に2兆0300億円の売り越し、7月のETF決算週に1兆1905億円買戻しという先回りの売りが出る展開でした。

(Bloomberg)日本株に恒例の需給悪化、1兆円超のETF換金売り-年金再配分も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-22/RWMYFOT1UM0W01

日経平均の予想PERのレンジ上限に達した6/14以降、外国証券の先物手口は売りに傾いており、積極的に上値を積極的に買う勢力がなくなったことが確認されました。過去のオーバーバリュー後の推移は前週のレポートで示しましたが、金曜日終値32781円は想定レンジ32400円-34250円の下限に近く、小幅反発しレンジ相場となるのか、下へブレイクして2013年コースへ行くのか、ひとまずは25日線 32145円を割り込むか注意です。

6/24土曜日にロシアの民間軍事会社ワグネルが叛旗を翻しモスクワへ進軍するという事件が起こりましたが、日本時間の翌6/25日には首謀者のプリゴジンがベラルーシに逃亡という形で、マーケットの開いていない土日の間にスピード解決しました。

ロシアのクーデタとしては、1991年8月以来となります。1991年8月19日の早朝、ソ連のゴルバチョフ書記長の改革路線に反対するKGB議長などが別荘地にてゴルバチョフ書記長を監禁し、国営放送を乗っ取り、クーデタを宣言しました。これが伝わると、金融市場は下落となり、NYダウは直近の高値から3.68%の下落となりました。
翌8月20日には、ソ連構成国であったロシアのエリツィン大統領がこのクーデタに抵抗し、反改革派が投降するという、今回と同じスピード解決なり、クーデタ失敗後のNYダウは5%超の上昇となっており、結局、株価はいってこいの動きで終わりました。
今回のワグネルの騒乱も同様のケースと思われますが、土日の間に完結したので月曜の市場に関してはニュートラルと考えます。

さて、日本市場の話題に戻ると、ワグネル騒乱とは関係なく、需給面の悪化、特に積極的に上値買う海外勢がいないという事で、目線は下向きになります。レンジ相場となっても高値更新が無いと割り切るなら、先物売り+プット売りのカバードプットが、2015年レンジ型・2013年急落型の両方のケースに対処できそうトレード案になります。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年6月16日)

6月第3週、日経平均株価は10週続伸の+4.47%、NYダウも+1.25%と続伸、ユーロストックス50+2.45%の反発になりました。

FOMC市場予想通り利上げ見送りとなりました。会見では年内の再度利上げの可能性を示唆しましたが、FF金利先物市場はこれまで通り1回の利上げを予想するにとどまり、影響は小さかったようです。
日銀政策決定会合も市場予想通りの大規模緩和現状維持となり、緩和継続ということから発表後は株高となりました。また、前日23.08ptの高値を付けた日経VIは政策発表後20.56ptまで下落しました。

日本株の上昇を牽引している海外勢の買いですが、投資部門別売買動向では~6/9の週まで現物先物の合算で10週連続の買いとなり、買い始めた4月からの累積で7.9兆円買い越しとなっており、2013年のアベノミクスを上回るハイペースの買いとなっています。ハイペースな買いが継続していますが、対内証券投資のデータからは、2017年末水準までまだ5兆円ほど余裕があり、ボリューム面ではまだ買い足りていないと見えます。
一方、バリュエーション面では、6/14に過去平均から算出した予想PERのレンジ(1標準偏差)上限33363円を超えました。過去、株価の高値圏でこの水準を超えたのは、2013年のアベノミクス、2014年の黒田バズーカⅡ後のラリーがあり、当時の動きを現在の株価に当てはめると、2013年は34,682円までオーバーシュートした後反落、2014年パターンならは34250円-32400円のレンジとなります。

2013年は、ヒストリカルのレンジ上限を超えオーバーシュートしたのち、米国の金融政策の引締め観測から急落となりましたが、2023年現在ではすでに利上げの最終局面となっており、また、海外勢の7.9兆円大幅買い越しの裏で、自己1.3兆円、信託銀行2.3兆円、投信1.0兆円、個人2.3兆円と国内の主要な投資主体は4月以降大幅な売り越しとなっており、仮に海外投資家が買いを止めたとしても株価を下げる積極的な売り手になれるかは疑問です。また、6/14から米系証券の先物手口が売り越しに転じていることからも、2014年のように高値圏でいったんレンジ相場を形成するのではないかとみています(34250円-32400円)。

トレードアイデアとしては、33000円台のストラドル売りが素直なところですが、レンジ幅も大きいので34000以上へのオーバーシュート狙いでプロテクティブプットの買いや、あるいはその後の反落狙いでコール買い/先物売り(プロテクティブコール)も考えられます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年6月9日)

6月第2週は日経平均株価が9週続伸となる+2.35%、NYダウ+0.34%と上昇、ユーロストックス50は▲0.78%の3週続落になりました。

週明けには日米欧の中央銀行による金融政策の発表があります。
5月のFOMC以降の動きを見ると、S&P500は5%超の上昇となっており、「最後の利上げは買い」の過去のパターン通りの動きとなっています。またセクター別の動きを見ても、NVIDIAの好決算という要因があったものの、IT・半導体関連セクターが好調という点でも、やはり、「最後の利上げは買い」のパターンを踏襲しています。
足元の米国経済は、ISM製造業景況感指数など先行指数であるソフト指標では悪化が見られるものの、前週の非農業部門雇用者数など遅行指数は依然として強い数値という景気のはざまにあり、今回の6月FOMCでは利上げ見送りがコンセンサスながらも、一部では7月に再度利上げを予想する向きもあります。
6月FOMCではパウエル議長の会見で7月FOMCの手がかりが得られるか注目です。
S&P500ミニの投機筋建玉は依然として売りに傾いているもの前週から8万枚の減少となっており、6/16のSQに向けてショートスクイーズとなるかもしれません。

日本市場では、週末に日銀政策決定会合を迎えますが、” 日銀は6月会合でYCC軸とした大規模緩和維持の公算大きい”とのリーク報道もあり、また、植田総裁がかつて問題と発言していたETFについても、”ETFを持ち続けることもひとつの選択肢”と国会での発言があり、波乱なく通過すると予想されます。
日経平均株価は33年ぶりの高値更新ということで一時32708円の高値をつけましたが、その後、利益確定とみられる売りに押され、31420円まで下落しました。しかしながら、日経平均の下落した6/7、6/8の先物手口では国内大手証券の売り越しが目立ち、一方で、米系証券は買い越していたことから、これまで株価の上昇を牽引してきた海外投資家の買いはまだまだ止まっていないとみられます。
引き続き、株価の目線は上のままとし、週明けは、FOMC・日銀政策決定会合通過によるボラティリティ低下を狙ってプット売りがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年6月2日)

6月第最初の週は日経平均株価が+1.97%、NYダウ+2.02%と上昇、ユーロストックス50は▲0.32%下落になりました。
米国債務上限問題は無事に共和党・民主党の合意を得られ解決されました。VIX指数は14.60pt 、前週比▲3.35ptの大幅下落となり2021年11月以来となる15pt割れとなりました。S&P500ミニ先物の投機筋売り建玉は拡大いており、懸念事項解決からショートカバーが期待されます。

日本市場では半導体銘柄や時価総額の大きい銘柄が上昇する一方、マザーズなどの小型株は置いてけぼりの状態となっており、2極化が進んでいることから、TOPIX版のヒンデンブルグのオーメンが点灯しました。同シグナルはNYSE市場の上場銘柄から計算され、リーマンショックを予言できたことから有名になりました。具体的には、52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄が同時に2.3%以上出現、指数が50日前よりも上昇など細かい条件がありますが、エッセンスとしては、リスク回避で流動性に乏しい中小型株が売られている中、主力銘柄に資金が集中し指数だけ上がっている状況を示すシグナルです。
同シグナルは出現後、6ヶ月以内の暴落と予言するものですから、週明けすぐにショートポジションを取るものではありませんが、年内のマーケットの急変に警戒をした方がよいです。

一方、日本市場では引き続き海外勢の買いで上昇が続いており、8週続騰となりました。
5/19付の当レポートで、対内証券投資の累積額について、”1.2兆円の買いで2088円のインパクト、5/15の株価から31476円が上昇の目途に見えます”、と記しましたが、今週の統計ではおおむね同水準までの買いが確認されました。その海外勢ですが、米系証券の手口では月末の先物売りはあったものの、6月1日にはすぐに買戻しとなっており、足元では海外勢の買いは依然と続いているように見えます。

2017年の水準まで買戻しが続くなら、さらに6兆円の買いとなるため、単純計算すると日経平均10000円以上のインパクトとなります。さすがにそこまで買い上がると想像するのは合理的ではありませんので、過去の予想PER平均から求めた1標準偏差バンドの上限34500円が高値として意識されます。

ウィークリーレポート(2023年5月19日) – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=18622

目先警戒するイベントがなくなったことから海外市場を中心に強気相場を意識しますが、日本市場に関しては足元の上昇が急すぎることもあり、上述のオーメンを気にするならば下落に備えながらも上昇を取るプロテクティブプットがよいでしょう。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年5月26日)

5月第第4週は日経平均株価が+0.35%の小幅高、NYダウ▲1.00%、ユーロストックス50▲1.32%は下落となりました。
米国債務上限問題でNYダウは反落、また、英国インフレ率の高止まりからのECB金利引き締め連想と中国コロナ感染者数増加報道でLVMHが売られた欧州株も安い中、日経平均も機関投資家の利益確定とみられる売りが5/23火曜日の後場から出て値を下げましたが、週間ではプラスとなり引き続き独歩高の様子となっています。

5/25水曜日には米国格付け機関のフィッチが、債務上限問題で揺れる米国債の格付け見通しをネガティブに引き下げました。同じく債務上限問題で荒れた2011年8月のS&Pによる格下げと韻を踏む流れですが、アウトルックの引き下げにとどまっておりマーケットへの影響は限定的でした。仮に2011年と同様に格下げとなった場合でも、十数年ぶりとはいえ二匹目のどじょう狙いで同じインパクト出るか怪しいように感じます。

その債務上限問題ですが、6/1がXデーとみなされています。5/22以降、米国短期証券は6/6満期物の金利は政策金利よりも130bp以上高く急騰する場面もあり、短資市場ではではデフォルトリスクを織り込んでいましたが金曜夜に合意に近づいているとのマッカーシー下院議長の発言を受けて安心感が広がり、対栄作金でのスプレッドは旧縮小しました。
VIX指数は週間で1.14pt上昇、日経VIも5/26金曜日引けにかけて上昇するなど、警戒モードが強まってきました。一方、ハイイールドスプレッドは5.07%と横ばいになっています。

週明け木曜日にはXデーとされる6/1を迎えます。金曜の米国市場では合意間近と安心感が広がりましたが、2011年のギリシャ危機のように、この手の交渉はギリギリまで右往左往することが多く、週明けには一転、合意が危ぶまれるヘッドラインが出てもおかしくありません。とはいえ、メインシナリオとしてはやはり土壇場で米国与野党が合意し、警戒モードが一気に解消されるものとみています。

債務問題解消へベットするならばボラティリティ売り戦略が素直なところですが、米国債デフォルトとなると未曽有の混乱が予想され、あまりにも大きすぎるテールリスクをあえて取るのは得策ではないかもしれません。
やや面白味にはかけますが、バーティカルブルスプレッド(ATMプット売り、OTMプット買い)で手堅くいく方か、あるいは6C32000の買いでアップサイドを狙うかがよさそうです


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会