ウィークリーレポート(2023年6月2日)

6月第最初の週は日経平均株価が+1.97%、NYダウ+2.02%と上昇、ユーロストックス50は▲0.32%下落になりました。
米国債務上限問題は無事に共和党・民主党の合意を得られ解決されました。VIX指数は14.60pt 、前週比▲3.35ptの大幅下落となり2021年11月以来となる15pt割れとなりました。S&P500ミニ先物の投機筋売り建玉は拡大いており、懸念事項解決からショートカバーが期待されます。

日本市場では半導体銘柄や時価総額の大きい銘柄が上昇する一方、マザーズなどの小型株は置いてけぼりの状態となっており、2極化が進んでいることから、TOPIX版のヒンデンブルグのオーメンが点灯しました。同シグナルはNYSE市場の上場銘柄から計算され、リーマンショックを予言できたことから有名になりました。具体的には、52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄が同時に2.3%以上出現、指数が50日前よりも上昇など細かい条件がありますが、エッセンスとしては、リスク回避で流動性に乏しい中小型株が売られている中、主力銘柄に資金が集中し指数だけ上がっている状況を示すシグナルです。
同シグナルは出現後、6ヶ月以内の暴落と予言するものですから、週明けすぐにショートポジションを取るものではありませんが、年内のマーケットの急変に警戒をした方がよいです。

一方、日本市場では引き続き海外勢の買いで上昇が続いており、8週続騰となりました。
5/19付の当レポートで、対内証券投資の累積額について、”1.2兆円の買いで2088円のインパクト、5/15の株価から31476円が上昇の目途に見えます”、と記しましたが、今週の統計ではおおむね同水準までの買いが確認されました。その海外勢ですが、米系証券の手口では月末の先物売りはあったものの、6月1日にはすぐに買戻しとなっており、足元では海外勢の買いは依然と続いているように見えます。

2017年の水準まで買戻しが続くなら、さらに6兆円の買いとなるため、単純計算すると日経平均10000円以上のインパクトとなります。さすがにそこまで買い上がると想像するのは合理的ではありませんので、過去の予想PER平均から求めた1標準偏差バンドの上限34500円が高値として意識されます。

ウィークリーレポート(2023年5月19日) – TRADING FLOOR (kosei.co.jp)
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=18622

目先警戒するイベントがなくなったことから海外市場を中心に強気相場を意識しますが、日本市場に関しては足元の上昇が急すぎることもあり、上述のオーメンを気にするならば下落に備えながらも上昇を取るプロテクティブプットがよいでしょう。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年5月26日)

5月第第4週は日経平均株価が+0.35%の小幅高、NYダウ▲1.00%、ユーロストックス50▲1.32%は下落となりました。
米国債務上限問題でNYダウは反落、また、英国インフレ率の高止まりからのECB金利引き締め連想と中国コロナ感染者数増加報道でLVMHが売られた欧州株も安い中、日経平均も機関投資家の利益確定とみられる売りが5/23火曜日の後場から出て値を下げましたが、週間ではプラスとなり引き続き独歩高の様子となっています。

5/25水曜日には米国格付け機関のフィッチが、債務上限問題で揺れる米国債の格付け見通しをネガティブに引き下げました。同じく債務上限問題で荒れた2011年8月のS&Pによる格下げと韻を踏む流れですが、アウトルックの引き下げにとどまっておりマーケットへの影響は限定的でした。仮に2011年と同様に格下げとなった場合でも、十数年ぶりとはいえ二匹目のどじょう狙いで同じインパクト出るか怪しいように感じます。

その債務上限問題ですが、6/1がXデーとみなされています。5/22以降、米国短期証券は6/6満期物の金利は政策金利よりも130bp以上高く急騰する場面もあり、短資市場ではではデフォルトリスクを織り込んでいましたが金曜夜に合意に近づいているとのマッカーシー下院議長の発言を受けて安心感が広がり、対栄作金でのスプレッドは旧縮小しました。
VIX指数は週間で1.14pt上昇、日経VIも5/26金曜日引けにかけて上昇するなど、警戒モードが強まってきました。一方、ハイイールドスプレッドは5.07%と横ばいになっています。

週明け木曜日にはXデーとされる6/1を迎えます。金曜の米国市場では合意間近と安心感が広がりましたが、2011年のギリシャ危機のように、この手の交渉はギリギリまで右往左往することが多く、週明けには一転、合意が危ぶまれるヘッドラインが出てもおかしくありません。とはいえ、メインシナリオとしてはやはり土壇場で米国与野党が合意し、警戒モードが一気に解消されるものとみています。

債務問題解消へベットするならばボラティリティ売り戦略が素直なところですが、米国債デフォルトとなると未曽有の混乱が予想され、あまりにも大きすぎるテールリスクをあえて取るのは得策ではないかもしれません。
やや面白味にはかけますが、バーティカルブルスプレッド(ATMプット売り、OTMプット買い)で手堅くいく方か、あるいは6C32000の買いでアップサイドを狙うかがよさそうです


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年5月19日)

5月第第3週は日経平均株価が+4.83%の大幅高、NYダウ+0.38%、ユーロストックス50+1.79%も上昇となりました。

前週までに引き続き、日経平均株価は週間で1420円の大幅高となった一方、6月限P25000が前週末10円から一時17円まで上昇するという異常事態も発生しました。週を通しての一方的な株価上昇に伴い、(コール)オプション売り投資家の大規模なショートカバーといった様相で、同様のケースは2017年9月の衆院選に伴う株価上昇でも見られましたが、OTMプットオプションまで幅広く上昇するのは2013年のアベノミクス依頼の珍事となりました。
日経VI指数は5/19金曜日には高値22.48ptをつけてその後前日比マイナスとなる20.07ptまで下落。オプション売り方によるショートカバーは一巡した感があり、来週以降は上昇しても上げからはマイルドになるかと思われます。

ショートカバーを巻き起こした背景は先月から続いている海外投資家の買いです。対内証券投資の非居住者による株式取得金額(ネット)の推移をみると、コロナショックで減らした日本株投資を急速に買い戻しているように見えます。コロナショック前2019年の水準まで買い戻すならば5/15時点で1.2兆円の買い余力があり、ここ2年のデータからは、海外投資家の買い1000億円に対して日経平均が約174円上がっており、1.2兆円の買いで2088円のインパクト、5/15の株価から31476円が上昇の目途に見えます。
上昇が一服しても、この手のラリーはすぐに下落に転じることは少なく、昨年末の欧州株のラリーは小幅な下落を挟みながらいまだ緩やかな上昇を継続しています。バリュエーション面では、過去の予想PERのレンジからは上限34365円となり、1990年6月の33,344円も地合いの良さが続くなら無理のないターゲットに見えます。

前週のレポートで取り上げた米国債務上限問題は、5/18木曜日夜には合意への道筋で進展ありと報道され、ひとまずの懸念は和らいだと米国株式市場が反応したものの、翌5/19金曜日には共和党議員が退席し交渉が一時中断するなど、ドタバタ劇を繰り広げています。最終的には合意するものと思いますが、期日の6/1に向けてヘッドライン相場の度合いが強くなるかもしれませんが、しかしながら、S&P500先物の売り建玉を考えると下値は限定的と思えます。

(Bloomberg) 米債務上限問題、下院議長と民主上院首脳は6月1日前の採決視野
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-18/RUUYM0T0AFB401

(Bloomberg) 米債務交渉、週末も継続へ-共和党退席でいったん中断後に再開
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-19/RUWVVHT0AFB401

週明けのトレードアイデアでは、日本株買いの需給相場で跳ねあがったボラティリティの売りを考えたいところです。海外勢の買いがどこまで続くか不明瞭な点からアップサイドリスクの方が高そうですので、ストラドル売りよりはプット売り戦略がよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年5月12日)

5月第第2週は、日経平均+0.79%、NYダウ▲1.11%、ユーロストックス50▲0.52%とまりました。

5/10に発表されたCPIは前年比4.9%と市場予想通りの結果となり無事通過となりました。次回のCPI発表は6/13と、FOMC(6/15)と同じ週になりますが、それまでの約1か月間は目立った経済指標の発表が無く、米国の債務上限問題に注目が集まる可能性があります。
与野党の合意なき場合、米国債のデフォルトは6/1にも訪れるといわれおり、もし仮に米国債がデフォルトした場合は、世界中の取引所(クリアリングハウス)へ担保として預けられている米国債の価値をめぐって、リーマンブラザーズ破綻以上の大騒ぎとなります。とはいえ、さすがに政治的パフォーマンスのために核兵器級ともいえる爆弾で自爆はしないだろうということで、株式市場ではデフォルト確率を真剣に織り込んでいる様子はありません。

2011年、2013年、2015年とこれまで何度も繰り返してきたいつもの政治ショーといった感じですが、2011年8月にはS&Pによる米国債格下げもあり、NYダウは直前の高値から約15%の下落となりました。また、債務上限問題ではありませんが、同じく米国のねじれ議会の紛糾で2018年12月には予算案の合意が得られず政府機関の閉鎖となり、こちらもNYダウは15%安となりました。いずれも一過性の下落と言え、また、現在のS&P500の水準から15%下は昨年10月の安値水準、つまり、昨年のレンジの範囲内とも言えますので、過度の警戒は要らず、むしろ押し目買いのチャンスに思えます(もちろんまさかのデフォルトした場合は別ですが)。

ダウンサイドの話が続きましたが、メインシナリオとしては引き続き、「最後の利上げは買い」の上昇シナリオを想定しています。S&P500に関しては依然として投機筋のポジションが375,825枚(前週比+ 21,081枚)と大量のショートに偏って残っており、下値をトライするには無理がありそうです。
海外勢の買いで独歩高の様相を示している日本株に関しては、昨年12月から欧州株が買われていたケースが連想されます。当時のユーロストックス50は予想PERで割安に放置されており、それが一気に、ヒストリカルな平均値まで買い戻された形でした。
日経平均も欧州株ほどではないものの割安ゾーンにあったため、ひとまず平均へ回帰していくのではと推測できます。予想PERの過去の平均値から計算した水準30,122円が上昇の目途になるのではないかと思います。

(NRI)デフォルトの「Xデー」は6月1日にも
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0509

(Bloomberg) 米国債の支払いは継続か、「Xデー」後の場合のイエレン長官の選択肢
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-12/RUINPPDWRGG001


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年5月5日)

5月第1週は、日経平均+1.04%、NYダウ▲1.24%、ユーロストックス50▲0.43%となりました。
日本市場がゴールデンウイーク連休中の5/4早朝に発表されたFOMCでは25bpの利上げを決定し、その後パウエル議長による会見では利上げ停止が示唆されましたが、ファーストリパブリック銀行の破綻救済からの連想でパックウェスト銀行やウェスタン・アライアンス銀行株価が急落しているなか、利下げの手がかりがなかったことからかNY株式市場は下落となりました。

一方で、5/5(金)に発表された雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想+185Kに対して+253Kと政策金利高止まりを示唆したパウエル議長の発言を裏付ける非常に強い数値がでましたが、NYダウは546ドルの大幅高となり、ちぐはぐな反応を示しいています。需給面ではS&P500ミニ先物の投機筋建玉がコロナショック時を超える35万枚の売り越しとなっておりショートカバーの圧力が強い状況です。
また、金曜日の上昇でNYダウ、S&P500はダブルボトムの形を作ったこともあり、連休明けの相場は上昇が期待できそうです。5月言えばSell in Mayが意識されますが、上述のショートポジションの解消までは下値の堅い展開となりそうです。

連休中の海外市況は結局、FOMC前後で下落し雇用統計で上昇といってこいの展開となったため、金曜日NY時間引けの水準で計算すると、月曜日の日経平均は87円安とほぼ変わらずのスタートとなりそうです。指数ベースではほぼ変わらずですが、セクター別にみると、米国S&P500銀行株指数は地方銀行の財務状況不安から前週比▲4.59%と大きく下落しており、日本市場でもこの影響が出るかもしれません。しかしながら、日本では米国のように政策金利を引き上げているわけではないため地方銀行のポートフォリオ懸念の心配は少なく、また、3月のシリコンバレー銀行破綻時の日本の銀行株連れ安は結局ちょうどいい押し目となったこと、さらに、東証のPBR1倍割れ改革の流れもあり、今回も三菱UFJ(8306)など銀行株を拾うチャンスかもしれません。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会