ウィークリーレポート(2023年7月28日)

7月第最終週の株式市場は、日経平均株価は+1.41%の反発、NYダウ+0.66%の続伸、ユーロストックス50+1.71%の反発となりました。

FOMCでは25bpの利上げとなりましたが、事前の織り込み具合に加え、今後の利上げに対してパウエル議長が消極的な見解を見せたことで、発表当日は、米国2年債利回りは低下、債券高株高となりました。5月に続いて再度「最後の利上げは買い」モードに入ったように見えます。過去のアノマリーの平均では5%の上昇となっており、2021年の最高値近辺の4800ptが意識されます。

一方、サプライズとなったのが日銀政策決定会合で、会合直前の夜間に出たリーク報道通り、YCCのレンジ目標50bpは維持しつつも柔軟化、無制限の国債買いオペである指値オペの水準を100bpへ後退。代わりに毎月の国債購入額のレンジを大きくとり、50bpを超えても基本的には国債買いオペ増額(QE強化)で対処するというYCC政策の柔軟化を示ました。10年債利回りは一時0.58%まで上昇するものの、指値オペの100bpまで見に行く流れとはならず、為替も141円を回復しました。YCC政策の後退というよりもQE政策の強化として捉えられたようです。
株価も発表直後は32000円を試す下落となったものの、その後引けにかけて反発、NY時間引け時点で、CME日経先物は33000円超となっています。 YCCの修正でも32000円台前半では買いが強いことが確認され、引き続き、レンジの下限から反発の局面と見ます。

前週、ディフェンシブ銘柄が強かったことで気になっていたセクター動向は、NASDAQ100リバランスではなく日銀のYCC修正により、銀行、保険などの金融セクターが強くなり、ローテーションはまた最初からやり直しといった印象で、これも株価サポート材料とも言えます。
戦略としては引き続きプット売り(あるいはファーサイドを合わせて売るブルスプレッド)がメインとなりそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年7月21日)

7月第3週は、日経平均株価は▲0.27%の反落、NYダウ+2.08%の続伸、ユーロストックス50▲0.20%の反落と市場ごとに明暗がわかれました。

週明けにはFOMC、日銀政策決定会合と重要イベントが待ち構えています。FF金利先物市場では7月に25bp利上げを予想していますので、実際に利上げとなってもむしろその後のパウエル議長の会見で、最後の利上げなのかあるいはさらにもう一回残っているのか手がかりを探る展開となりそうです。

金曜日朝に発表された注目の日本6月CPIは、総合指数で市場予想+3.2%を上回り、前年比+3.3%(前月+3.2%)と強い数字となりました。前週に発表された米国の総合CPIは3.0%でしたので、インフレ率は日米逆転となりましたが、日本国債市場では10年債利回りは0.478%とYCC上限の0.50%を試す展開とはならず、警戒はあるものの落ち着いた反応でしたが、同日夕方に”日銀は現時点でYCC修正の必要性乏しいとみている”とのBloomberg報道があり、10年債利回りは0.44%まで下落、観測報道ですでに現状維持を織り込んだ格好となっています。

(Bloomberg)日銀は現時点でYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-21/RY49W3DWX2PS01

どちらのイベントも無風通過となった場合、8月は閑散相場入りの可能性が高く、戦略的にはボラティリティ売りがベストとなります。対内証券投資では海外投資家の日本買いは継続しており、先物を売りながら現物を買うアロケーション変更が続いていると思われます。海外投資家が売りに転じる可能性については、当面は日銀の政策変更がリスクだと思いますので、緩和継続が確認されればやはりレンジ相場継続となりそうです。

セクターローテーションでは、空運や電気・ガス、医薬品などのディフェンシブ銘柄の上昇が目立ちました。NASDAQ100のリバランスに絡んだ米国市場でのグロース株調整が伝播し、日本市場でもグロース株が売られた結果と考えるならば、リスクオフの傾向と捉えるのは早計と言えます。リバランス終了後の火曜日以降の物色動向に注目です。

(Bloomberg) 100%プロテクションETFが登場-米株下落から投資家を完全に保護
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-19/RY0UILT0G1KW01

さて、もう一度Bloombergの記事になりますが、米国市場でダウンサイドに100%プロテクション付きのETFが上場ということが話題になっていました。同ETFの模倣ポートフォリオを試すと、日経先物(あるいは日経225ETF)ロング + ATM 32500プットロング + OTM 33500円コールショートとなります。オプションプレミアムの差で3%ほどのコストが出るため、記事中のETFのように100%保護とはいきませんが、レンジ下限ブレイクからは守られながら、反発は取りに行ける戦略となります。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年7月14日)

7月第2週は、日経平均株価は+0.01%、NYダウ+2.29%、ユーロストックス50+3.86%と反発となりました。
米国では6月の物価指数が発表され、CPI前年比 3.0%(前月4.0%)、PPI前年比 0.1%(前月+1.1%)とインフレの鎮静化がはっきりと認められる数値でした。前週までのFOMCメンバーの追加利上げ発言に水を差すような結果で、どうにも、FRB高官の反応が経済指標に対してワンテンポ遅れているような印象を受けます。
7月のFOMCでは追加利上げ/利上げ見送りの予想が交錯しており見通しは不透明ですが、S&P500株価指数は5月安値から11%上昇しており、NYSE市場の騰落レシオを示すBreadth Indicatorは60%を超えて過熱水準に入ってきましたので、ここからの上値追いには慎重になった方がよいように思えます。

一方、日本市場では、前週の内田副総裁の発言から月末7/28の日銀政策決定会合でのYCC修正観測が台頭してきており、上述の米国CPIの弱いナンバーとも合わさり、ドル円為替レートは先月末の144円台から一時137円台まで急速に円高ドル安が進みました。
月末の政策決定会合の前に、週明け7/21には6月CPIが発表されます。数値が強ければ日銀の政策変更の思惑が高まり、株安、債券安、円高のショック的な動きにもなると思われますし、また、会合への観測報道なども市場を攪乱する恐れもあります。

2015年のチャートパターンを踏襲するならばレンジ下限ですのでここから34000円を目指した反発が期待されます。セクターローテーションの面でも、まだ医薬品や陸運株が買われるフェーズにはなっておらず、また、対外対内証券投資で見る非居住者の株式フローは取得超(日本株買い)が継続していますので、目先の急落を示唆する状況ではなく、週明け会合絡みのニュースで急落する場面があれば、引き続きプット売り戦略か、カバードコール戦略に分があるように見えます。

金融政策修正リスクへのヘッジならば、JGB先物売りや、先月上場したばかりの【2251】NEXT FUNDS JPX国債先物ダブルインバース指数連動型上場投信の買いといった投資手段があります。

(日経)日銀内田副総裁、金利操作修正は「バランスとって判断」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB30ACH0Q3A630C2000000/

(日経)日銀会合「全会一致」崩れる兆し YCC修正で割れる意見
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB135740T10C23A7000000/


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ウィークリーレポート(2023年7月7日)

7月第1週は、日経平均株価は▲1.66%、NYダウ▲1.96%、ユーロストックス50▲3.69%と反落、各市場ともジグザグな動きとなっています。
日経平均は、前週まで紹介していた予想PERから見てオーバーバリューになった後の比較チャートのうち2015年のパターンを継続して動いています。週明け7/10月曜日にはTOPIX型ETFの決算があり、分配金捻出売り終了後のあく抜け反発を考えると、やはり2015年の動きをなぞっていくように思えます。

米国市場では、FOMC議事録で複数のメンバーがこの先の利上げ支持をしていたことから、2年債利回りが上昇、さらに追加利上げを裏付けるような堅調な雇用統計(ADP雇用統計:+497K、市場予想+225K)もあって、一時5.11%まで上昇しました。金曜日の雇用統計では逆に、市場予想を大きく下回る数値(市場予想230K⇒発表値209K、さらに5月、6月の数値を下方修正)だったにもかかわらず、米国2年債利回りの前日比3bp下落の4.94%と限定的な反応となりました。一方、為替レートは142円台までドル安が進み、債券市場と為替市場の反応が分かれました。

さて、その2015年の株価ですが、高値圏でボックス相場を形成した後、チャイナショックによってグローバルに調整局面へと移りました。今回も、目先は持ち合いといえ、その先にはなにか急落があるかもしれません。
レンジをした抜けた場合は、13週線30926円、6月8日安値31420円あたりが目先の安値目途になります。
とはいえ、米国債とハイイールド債の利回り格差、ハイイールドスプレッドは4.71%と前年のレンジ下限近くにあり、また、バンクローン版のBDC指数やCLO指数も堅調です。少なくとも7月第1週の段階ではクレジット市場が急速に悪化している兆候はありません。

一方で、S&P500のエクイティリスクプレミアム(株式益回り-10年債利回り)は1.18%へ縮小、2005年以来の低水準となっており、債券が割安あるいは株が割高な状態で、いずれかのマーケットがミスプライスとも言えます。通常はリスクオフのイベントがおこり、株安/債券高となってこういったバリュエーションの不整合は解消されますので、やはりチャイナショックのような急落に気を付けるべきではありますが、いつ、どのマーケットから崩れるのか予測するは難しくもあります。
高値圏でのボックス相場継続中にセクターローテーションが続くと思われますが、医薬品や内需株の陸運などディフェンシブ銘柄が強くなってきたら、そろそろ用心の頃合いと判断できるかもしれません。

ストラテジーとしてはボックス相場継続を前提にストラドル売りですが、ダウンサイドを気にかけるならATMプット売り+OTMプット買いのバーティカルブルスプレッドでもいいかもしれません。


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ウィークリーレポート(2023年6月30日)

6月第最終週は、日経平均株価は+1.24%、NYダウ+2.02%、ユーロストックス50+2.98%とそろって反発となりました。
日経平均は前週のレポート通り25日線で反発となりました。先物手口情報からは、週を通して、海外証券の売りが出る一方で国内証券が買い向かう構図となっていました。木曜日に発表された~6/16の週の投資部門別売買動向では、海外投資家の3090億円売り越しに対して個人投資家3938億円買い越しと、これまでの上昇相場と売り買いの主体が逆転しました。おおむね33000円超えると海外勢の売り、33000円を割れると国内勢の買いとなっており、2015年のラリー後のように高値圏でのもみ合い相場となりそうです。

引き続きETFの換金売りには注意が必要ですが、下がった局面では個人投資家の押し目買い意欲もあることから過度の警戒は要らないように思えます。

(Bloomberg)日本株に恒例の需給悪化、1兆円超のETF換金売り-年金再配分も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-22/RWMYFOT1UM0W01

2015年のセクター動向について、同年1月から6月までの上昇相場時には、非鉄金属、卸売といった景気敏感セクターが上昇を牽引していた一方で、2015年6月から7月のレンジ相場では、これらのセクターのパフォーマンスは下位になっており、逆に、上昇相場時に出遅れていた運輸業などが上昇していました。
同様に、本年2023年の4月以降の上昇相場でも卸売セクターが上位となっていますが、海外投資家が売り越しにまわった6/16以降で見ると、4月からの上昇相場で出遅れていた鉄鋼や水産・農林セクターなどが上位に入り始めており、セクターローテーションが始まっているように見えます。

ローテーションの最終局面では医薬品などのディフェンシブ銘柄が買われるのが教科書的なセオリーですが、足元ではまだ医薬品まで物色は行っていないことからも、当面、高値圏でのもみ合いが続くことを示唆しているように思えます。
トレードアイデアとしては、インデックスでは33000円を中心にストラドル売り、個別では、アウトパフォームを始めた鉄鋼株の買いがよさそうです。


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