ウィークリーレポート(2023年7月7日)

7月第1週は、日経平均株価は▲1.66%、NYダウ▲1.96%、ユーロストックス50▲3.69%と反落、各市場ともジグザグな動きとなっています。
日経平均は、前週まで紹介していた予想PERから見てオーバーバリューになった後の比較チャートのうち2015年のパターンを継続して動いています。週明け7/10月曜日にはTOPIX型ETFの決算があり、分配金捻出売り終了後のあく抜け反発を考えると、やはり2015年の動きをなぞっていくように思えます。

米国市場では、FOMC議事録で複数のメンバーがこの先の利上げ支持をしていたことから、2年債利回りが上昇、さらに追加利上げを裏付けるような堅調な雇用統計(ADP雇用統計:+497K、市場予想+225K)もあって、一時5.11%まで上昇しました。金曜日の雇用統計では逆に、市場予想を大きく下回る数値(市場予想230K⇒発表値209K、さらに5月、6月の数値を下方修正)だったにもかかわらず、米国2年債利回りの前日比3bp下落の4.94%と限定的な反応となりました。一方、為替レートは142円台までドル安が進み、債券市場と為替市場の反応が分かれました。

さて、その2015年の株価ですが、高値圏でボックス相場を形成した後、チャイナショックによってグローバルに調整局面へと移りました。今回も、目先は持ち合いといえ、その先にはなにか急落があるかもしれません。
レンジをした抜けた場合は、13週線30926円、6月8日安値31420円あたりが目先の安値目途になります。
とはいえ、米国債とハイイールド債の利回り格差、ハイイールドスプレッドは4.71%と前年のレンジ下限近くにあり、また、バンクローン版のBDC指数やCLO指数も堅調です。少なくとも7月第1週の段階ではクレジット市場が急速に悪化している兆候はありません。

一方で、S&P500のエクイティリスクプレミアム(株式益回り-10年債利回り)は1.18%へ縮小、2005年以来の低水準となっており、債券が割安あるいは株が割高な状態で、いずれかのマーケットがミスプライスとも言えます。通常はリスクオフのイベントがおこり、株安/債券高となってこういったバリュエーションの不整合は解消されますので、やはりチャイナショックのような急落に気を付けるべきではありますが、いつ、どのマーケットから崩れるのか予測するは難しくもあります。
高値圏でのボックス相場継続中にセクターローテーションが続くと思われますが、医薬品や内需株の陸運などディフェンシブ銘柄が強くなってきたら、そろそろ用心の頃合いと判断できるかもしれません。

ストラテジーとしてはボックス相場継続を前提にストラドル売りですが、ダウンサイドを気にかけるならATMプット売り+OTMプット買いのバーティカルブルスプレッドでもいいかもしれません。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年6月30日)

6月第最終週は、日経平均株価は+1.24%、NYダウ+2.02%、ユーロストックス50+2.98%とそろって反発となりました。
日経平均は前週のレポート通り25日線で反発となりました。先物手口情報からは、週を通して、海外証券の売りが出る一方で国内証券が買い向かう構図となっていました。木曜日に発表された~6/16の週の投資部門別売買動向では、海外投資家の3090億円売り越しに対して個人投資家3938億円買い越しと、これまでの上昇相場と売り買いの主体が逆転しました。おおむね33000円超えると海外勢の売り、33000円を割れると国内勢の買いとなっており、2015年のラリー後のように高値圏でのもみ合い相場となりそうです。

引き続きETFの換金売りには注意が必要ですが、下がった局面では個人投資家の押し目買い意欲もあることから過度の警戒は要らないように思えます。

(Bloomberg)日本株に恒例の需給悪化、1兆円超のETF換金売り-年金再配分も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-22/RWMYFOT1UM0W01

2015年のセクター動向について、同年1月から6月までの上昇相場時には、非鉄金属、卸売といった景気敏感セクターが上昇を牽引していた一方で、2015年6月から7月のレンジ相場では、これらのセクターのパフォーマンスは下位になっており、逆に、上昇相場時に出遅れていた運輸業などが上昇していました。
同様に、本年2023年の4月以降の上昇相場でも卸売セクターが上位となっていますが、海外投資家が売り越しにまわった6/16以降で見ると、4月からの上昇相場で出遅れていた鉄鋼や水産・農林セクターなどが上位に入り始めており、セクターローテーションが始まっているように見えます。

ローテーションの最終局面では医薬品などのディフェンシブ銘柄が買われるのが教科書的なセオリーですが、足元ではまだ医薬品まで物色は行っていないことからも、当面、高値圏でのもみ合いが続くことを示唆しているように思えます。
トレードアイデアとしては、インデックスでは33000円を中心にストラドル売り、個別では、アウトパフォームを始めた鉄鋼株の買いがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2023年6月23日)

6月第3週、日経平均株価は11週ぶりの下落となる▲2.74%の下げ、NYダウ▲1.67%、ユーロストックス50▲2.80%もそろって下落となりました。

週明けは第一四半期最終週となり、足元上昇していた日本株に対してリバランスのフローが懸念されます。また、7/8-10に決算を迎える日経225連動型ETF、TOPIX連動型ETFの分配金捻出売りもあり、昨年は海外勢が6月下旬に2兆0300億円の売り越し、7月のETF決算週に1兆1905億円買戻しという先回りの売りが出る展開でした。

(Bloomberg)日本株に恒例の需給悪化、1兆円超のETF換金売り-年金再配分も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-22/RWMYFOT1UM0W01

日経平均の予想PERのレンジ上限に達した6/14以降、外国証券の先物手口は売りに傾いており、積極的に上値を積極的に買う勢力がなくなったことが確認されました。過去のオーバーバリュー後の推移は前週のレポートで示しましたが、金曜日終値32781円は想定レンジ32400円-34250円の下限に近く、小幅反発しレンジ相場となるのか、下へブレイクして2013年コースへ行くのか、ひとまずは25日線 32145円を割り込むか注意です。

6/24土曜日にロシアの民間軍事会社ワグネルが叛旗を翻しモスクワへ進軍するという事件が起こりましたが、日本時間の翌6/25日には首謀者のプリゴジンがベラルーシに逃亡という形で、マーケットの開いていない土日の間にスピード解決しました。

ロシアのクーデタとしては、1991年8月以来となります。1991年8月19日の早朝、ソ連のゴルバチョフ書記長の改革路線に反対するKGB議長などが別荘地にてゴルバチョフ書記長を監禁し、国営放送を乗っ取り、クーデタを宣言しました。これが伝わると、金融市場は下落となり、NYダウは直近の高値から3.68%の下落となりました。
翌8月20日には、ソ連構成国であったロシアのエリツィン大統領がこのクーデタに抵抗し、反改革派が投降するという、今回と同じスピード解決なり、クーデタ失敗後のNYダウは5%超の上昇となっており、結局、株価はいってこいの動きで終わりました。
今回のワグネルの騒乱も同様のケースと思われますが、土日の間に完結したので月曜の市場に関してはニュートラルと考えます。

さて、日本市場の話題に戻ると、ワグネル騒乱とは関係なく、需給面の悪化、特に積極的に上値買う海外勢がいないという事で、目線は下向きになります。レンジ相場となっても高値更新が無いと割り切るなら、先物売り+プット売りのカバードプットが、2015年レンジ型・2013年急落型の両方のケースに対処できそうトレード案になります。


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ウィークリーレポート(2023年6月16日)

6月第3週、日経平均株価は10週続伸の+4.47%、NYダウも+1.25%と続伸、ユーロストックス50+2.45%の反発になりました。

FOMC市場予想通り利上げ見送りとなりました。会見では年内の再度利上げの可能性を示唆しましたが、FF金利先物市場はこれまで通り1回の利上げを予想するにとどまり、影響は小さかったようです。
日銀政策決定会合も市場予想通りの大規模緩和現状維持となり、緩和継続ということから発表後は株高となりました。また、前日23.08ptの高値を付けた日経VIは政策発表後20.56ptまで下落しました。

日本株の上昇を牽引している海外勢の買いですが、投資部門別売買動向では~6/9の週まで現物先物の合算で10週連続の買いとなり、買い始めた4月からの累積で7.9兆円買い越しとなっており、2013年のアベノミクスを上回るハイペースの買いとなっています。ハイペースな買いが継続していますが、対内証券投資のデータからは、2017年末水準までまだ5兆円ほど余裕があり、ボリューム面ではまだ買い足りていないと見えます。
一方、バリュエーション面では、6/14に過去平均から算出した予想PERのレンジ(1標準偏差)上限33363円を超えました。過去、株価の高値圏でこの水準を超えたのは、2013年のアベノミクス、2014年の黒田バズーカⅡ後のラリーがあり、当時の動きを現在の株価に当てはめると、2013年は34,682円までオーバーシュートした後反落、2014年パターンならは34250円-32400円のレンジとなります。

2013年は、ヒストリカルのレンジ上限を超えオーバーシュートしたのち、米国の金融政策の引締め観測から急落となりましたが、2023年現在ではすでに利上げの最終局面となっており、また、海外勢の7.9兆円大幅買い越しの裏で、自己1.3兆円、信託銀行2.3兆円、投信1.0兆円、個人2.3兆円と国内の主要な投資主体は4月以降大幅な売り越しとなっており、仮に海外投資家が買いを止めたとしても株価を下げる積極的な売り手になれるかは疑問です。また、6/14から米系証券の先物手口が売り越しに転じていることからも、2014年のように高値圏でいったんレンジ相場を形成するのではないかとみています(34250円-32400円)。

トレードアイデアとしては、33000円台のストラドル売りが素直なところですが、レンジ幅も大きいので34000以上へのオーバーシュート狙いでプロテクティブプットの買いや、あるいはその後の反落狙いでコール買い/先物売り(プロテクティブコール)も考えられます。


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ウィークリーレポート(2023年6月9日)

6月第2週は日経平均株価が9週続伸となる+2.35%、NYダウ+0.34%と上昇、ユーロストックス50は▲0.78%の3週続落になりました。

週明けには日米欧の中央銀行による金融政策の発表があります。
5月のFOMC以降の動きを見ると、S&P500は5%超の上昇となっており、「最後の利上げは買い」の過去のパターン通りの動きとなっています。またセクター別の動きを見ても、NVIDIAの好決算という要因があったものの、IT・半導体関連セクターが好調という点でも、やはり、「最後の利上げは買い」のパターンを踏襲しています。
足元の米国経済は、ISM製造業景況感指数など先行指数であるソフト指標では悪化が見られるものの、前週の非農業部門雇用者数など遅行指数は依然として強い数値という景気のはざまにあり、今回の6月FOMCでは利上げ見送りがコンセンサスながらも、一部では7月に再度利上げを予想する向きもあります。
6月FOMCではパウエル議長の会見で7月FOMCの手がかりが得られるか注目です。
S&P500ミニの投機筋建玉は依然として売りに傾いているもの前週から8万枚の減少となっており、6/16のSQに向けてショートスクイーズとなるかもしれません。

日本市場では、週末に日銀政策決定会合を迎えますが、” 日銀は6月会合でYCC軸とした大規模緩和維持の公算大きい”とのリーク報道もあり、また、植田総裁がかつて問題と発言していたETFについても、”ETFを持ち続けることもひとつの選択肢”と国会での発言があり、波乱なく通過すると予想されます。
日経平均株価は33年ぶりの高値更新ということで一時32708円の高値をつけましたが、その後、利益確定とみられる売りに押され、31420円まで下落しました。しかしながら、日経平均の下落した6/7、6/8の先物手口では国内大手証券の売り越しが目立ち、一方で、米系証券は買い越していたことから、これまで株価の上昇を牽引してきた海外投資家の買いはまだまだ止まっていないとみられます。
引き続き、株価の目線は上のままとし、週明けは、FOMC・日銀政策決定会合通過によるボラティリティ低下を狙ってプット売りがよさそうです。


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