ウィークリーレポート(2023年12月15日)

12月第3週の株式市場は、日経平均株価は+2.05%の反発、NYダウ+2.92%、ユーロストックス50+0.58%は7週連続の続伸となりました。
12/14のFOMCでは政策金利は5.5%で据え置いたものの、今後の政策金利の予想を示すドットチャートで2024年の利下げが示されたことから、FRBのハト派への転換が印象付けられ、10年債金利は8月以来となる4%割れとなりました。為替市場ではドル安が進み、ドル円為替レートはFOMC前の145円99銭から翌日本時間には140円96銭まで急激な円高ドル安となりました。

一方、日本市場では、日銀のマイナス金利解除への警戒感から、前週の30年債入札に続き12/14の20年債入札も市場予想を大幅に下回る最低落札額がつくなど、金利上昇/債券売りの圧力にさらされています。
週明けの日銀会合では、すでにTONA3か月先物など短期の債券市場での織り込みが進んでいる分、マイナス金利解除でなかった場合のリバウンドが警戒されますが、長期債に関しては、足元のJGB-VIXは4.48ptと10月会合直前の7.98ptほどの警戒感は無く、むしろマイナス金利解除へ賭けるプットロングのポジションがいいかもしれません。よりコンサバなポジショニングとしては、先物買い+プット買いのプロテクティブ・プットがワークしそうです。

2024年にFRBが利下げに転じるなら、インフレを抑え込む引き締め政策から中立的な水準への正常化を意味し、米国10年債金利はロンガーラン金利の2.5%を目指すことになります。一方で、日銀は引き締め転換が期待されており、今回の会合でマイナス金利解除を見送っても次に会合までにまた期待が膨らみ(3月の春闘の回答をまたぐとしても)、長期金利1.5%がひとまずの節目と意識される流れと考えます。また、日米金融政策の違いから、為替ではドル安円高が続き、ドルインデックスの水準から130円、日米金利差の縮小(スプレッド2%)から110円を目指す展開も考えられます。

株式市場に関して、S&P500の過去の予想PER平均16.75倍~(1σ)19.88倍に24か月予想EPS267ptをかけると4472pt-5307ptとのレンジになります。ただし、FRBのQT進行による波乱を利下げが緩和し、米国経済は堅調に成長を続けるという、綺麗なソフトランディングが前提となります。
同様に、日経平均では、足元の12か月予想EPS 1740円に対して、24か月予想では11%増益の1934円となっており、予想PERのヒストリカルの上限(1σ)20.33倍を当てはめると39318円、ヒストリカルの平均17.39倍で33632円となり、海外中央銀行の利下げと堅調な経済を前提とすると、33630-39300円と強気な見通しになります。
為替レートでは円高が進行するとの予想ですので、ドル資金ではない限り2024年は日本株>米国株が選好されます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年12月8日)

12月第2週の株式市場は、日経平均株価は▲3.36%の下落、NYダウ+0.01%、ユーロストックス50+1.25%は6週連続の続伸となりました。米国10年債利回りは+3bp反発し4.22%と上昇、日本10年債利回りも6bp上昇の0.76%となりました。

12/6に氷見野日銀総裁が講演で金融緩和の出口について言及、翌12/7には、日銀の植田和男総裁が参院財政金融委員会で、金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことが材料視され、12/19の日銀政策決定会合でのマイナス金利解消の思惑が再び浮上してきました。
前週まで米金利安に逆行するようにCFTC投機筋ポジションが円売りに傾いていたこともあり、前週末148円台を付けていたドル円為替レートは、一時141円台まで急落、日経平均株価も、急速な円高に反応し、週間では1.27%の下落となりました。

(Bloomberg)日銀12月会合ライブに、正副総裁発言でマイナス金利解除観測が再浮上
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-07/S59SGHT0G1KW01

(Bloomberg) 金融政策運営、年末から来年かけ一段とチャレンジングに-日銀総裁
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-07/S59QO5DWX2PS01

12/19の会合に向けた市場の空気感は、円買い/国債売り/株売りとなりそうですが、東証のPBR1倍割れ解消要請や、新NISA制度による貯蓄から投資へという構造変化への期待に関する環境に変化はなく、また日米金融政策の方向性の違いは数か月前から認識されていた問題であり、足元の下落は一時的なものにとどまると思われます。

昨年の12月も黒田総裁退任後の日銀引き締め観測から円高/株安の流れになっており、月初の高値から12/29安値まで2469円安となりました。今年の12月高値から同意レベルの下落を想定すると200日線の31112円が目安となります。昨年は年明け一段安したところがボトムとなっていますので、下値を追いかけるよりは、19.72ptまで日経VIも上昇していることから、32500円を中心にしたストラドル売りの戦略がよさそうに見えます。


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ウィークリーレポート(2023年12月1日)

11月最終週の株式市場は、日経平均株価は▲0.58%の小幅反落、NYダウ+2.42%、ユーロストックス50+1.06%は5週連続の続伸となりました。米国10年債利回りは▲27bp下落し4.19%と低下した一方で、NASDAQ総合指数は+0.38%と金利低下に比べて小幅な上昇にとどまりました。

12/1にアトランタで行われたパウエル議長の講演では、「十分に景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論づける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ」と、早期の利下げを期待する市場を牽制するものでしたが、「かなり景気抑制的な領域に入っている」との言及を重視し、米国債利回りは急低下、ドル円為替レートは146円台まで円高ドル安が進みました。急激な円高の結果、NYダウは294ドルの上昇となった一方、CME日経先物は▲70円安と前日NY取引終了時間から反落となりました。

さて、このまま米国金利安&円高を前提にすると、日本株の上値は重たくなると予想されますが、12月の季節性としては前半は弱含み、下旬から強くなるという掉尾の一振りが伝統的なアノマリーです。
直近では2013年、2014年がそのパターンでした。いずれも11月に大幅高した年であり、今年も同様に11月に2628円高となっているため、月前半は個人投資家の売りが出やすい状況で、久しぶりにアノマリー通りの展開が期待できそうです。引き続き年内は強気のままで、下落するようならプット売り戦略など良いかもしれません。


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ウィークリーレポート(2023年11月24日)

11月第4週の株式市場は、日経平均株価は+0.12%、NYダウ+1.27%、ユーロストックス50が+0.72%と続伸となりました。米国10年債利回りは+3bpの4.46%と小幅反発した一方で、VIX指数が1.34pt減少し、12.46ptと5週続落となりました。

マーケットでは「最後の利上げは買い」が継続しており、12月中旬までは大きなイベントもなく、S&P500は7月高値4607ptを抜く次は最高値4808ptが視野に入ってきます。年内の株価動向に関しては、前週示した日経35000円を目指す展開として、カバードコールやOTMコール買い/OTMプット売りのリスクリバーサルなどアップサイドの狙える戦略はそのままですが、年明け以降のやや長いタームで考えると、FRB利下げ/日銀利上げによる急激な円高の可能性は頭に入れておきたいところです。

FF金利先物およびOIS(オーバーナイトインデックススワップ)の取引から推計された各国の政策金利の市場予想値は、FRBとECBは政策金利のピークを付け、年明けからは利下げの可能性を織り込んでおり、RBA(オーストラリア準備銀行)は、FRBにワンテンポ遅れて来年5月にピークを付けその後利下げ局面へと予想されている一方で、日本銀行に関しては、来年10月まで利上げ一辺倒と予想されており、高インフレ化で利上げを急いだ欧米各国とは異なるサイクルの局面にあると思われています。

市場予想通りに政策金利が動くならば、円高を前提に銀行や医薬品セクターが相対的に有利になり、また、日経平均よりもTOPIX優位の展開も予想されます。スプレッドは広いですが、1306 TOPIX連動型ETFの株OPにもマーケットメーカーの気配掲示がされており、ターゲットバイイングなどの戦略が取れます。


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ウィークリーレポート(2023年11月17日)

11月第3週の株式市場は、日経平均株価は+3.12%、NYダウ+1.94%、ユーロストックス50が+3.42%と続伸となりました。米国10年債利回りは▲21bpの4.43%と大幅に下落しました。

11/14の市場予想よりも弱い米国CPI発表を受け、FRBの利上げフェーズは終了との見方が広がり、債券高(金利低下)/株高の流れが流れとなりました。FFレート先物から計算される今後のFOMCでの利上げ確率はほぼ0%となり、年明け2月以降は利下げを織り込んでいます。過去の例では、FRBが利下げに転じるときは米国景気がリセッション入りするケースで、大幅な株価下落を伴っていました。利下げに転じてもリセッション入りしなかったソフトランディングは、過去50年で1984年と1995年の2回のみとなります。

今回は、強い米国経済と利上げにより鈍化するインフレ率という、まさしくソフトランディングが期待されている状況です。今年7月の利上げが最後の利上げだったとすると、その後、株価が半信半疑な動きで低迷していた1984年のパターンと似ており、同じ動きを踏襲するなら7月利上げ後から9.6%上昇の4966ptまでうかがえます。

海外株式市場の堅調さを背景に日本株も上昇を見込めますが、これまで当レポートで取り上げてきた予想PERをもとにした上限は35000円弱を想定しており、年内はここを目指す動きとなるのではないかと考えます。
ただし、年明けは新NISA稼働の年ということもあり、NISAが導入された2014年1月は月間で日経平均▲8.45%、ジュニアNISAが始まった2016年1月は▲7.96%と、悪いアノマリーになっている点は注意が必要です。
ストラテジーとしては、カバードコールや、OTMコール買い/OTMプット売りのリスクリバーサルなどアップサイドの狙える戦略がよさそうです。


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