ウィークリーレポート(2023年10月20日)

10月第3週の株式市場は、日経平均株価は▲3.27%、NYダウ▲1.61%、ユーロストックス50▲2.69%とそろって下落しました。また、中東情勢緊迫に敏感なITA:防衛航空産業ETFも▲1.64%の下落、安全資産である米国長期債も売られ長期金利+30bpとなった一方で、金価格は2.51%と上昇しました。
VIX指数は+2.39ptの2週続伸で21.71%となりました。
金価格の動きからは安全資産への逃避があるように見えるものの、「より高くより長く」というFRBの方針が意識され、米国長期金利の上昇が止まらず、株式市場にも影を落とす形になっています。

長期金利の急上昇で逆イールドが解消されるパターンでは2007年6月のケースがあります。その当時は米10年債利回りが当時の政策金利5.25%を超えたところがピークで、その後半年で3.28%まで下落となりました。ただし、逆イールドを瞬間的に解消した2007年6月の翌7月にパリバショックが起こっています。

長期金利の上昇に対して、株式市場は昨年のような大幅な調整とはなっておらず、結果、米国債に対して相対的に株価が割高となっており、S&P500予想益回りの米国10年債金利に対するスプレッドは、一時0.57%まで縮小しました。1998年8月LTCM破綻前には同スプレッドは▲1.45%まで逆転して株高/債券安だったことを考えると、米国長期金利が現在の政策金利5.5%まで上昇しても同スプレッドは0%近傍で、まだ猶予はあるとも見れます。

債券安から一転して、株売り/債券買いのラッシュが発生するならば、1987年のブラックマンデーを彷彿とさせますし、そのマグマはたまっている状況と思えますが、債券へラッシュするべき号砲となるような、この先のリセッションを意識するような弱い経済指標も大手ヘッジファンドの破綻もないまま、マグマが溜まり続けているように感じます。

目先の動きとしては、NYSE市場のBreadth Indicatorは今週の下落で58から50へ低下したものの、売られ過ぎラインの40割れまでまだ距離あり、引き続き弱含む展開となりそうです。日本市場では、TOPIX が今月安値2217ptラインを割れると7月から形成された大きな三尊天井の形となり、200日線2148ptまで走りそうですので警戒が必要です。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年10月13日)

10月第2週の株式市場は、日経平均株価は+4.26%、NYダウ+0.79%と反発、ユーロストックス50▲0.20%の4週続落しました。
前週末に勃発したイスラエルとハマスの紛争は、イランなど他国に広がらないとの見方からリスクオフの材料とはならず、むしろ、月曜にシカゴ連銀総裁が、足元の長期金利上昇が経済/インフレを減速させるならFOMCでの利上げ見送りも可能との発言から債券高となり、金利の低下を好感し株高となる展開となりました。
とはいえ、iシェアーズ米国航空宇宙・防衛ETF(ticker:ITA)は前週比+4.39%とNYダウの+0.79%を大幅にアウトパフォームしており、また、WTI原油先物も週間で5.92%高と中東情勢への警戒感を残した状態です。

中東での紛争を無視するとなると、前週末時点でNYSE騰落レシオは売れすぎ水準に達しており、テクニカルな反発局面に入ったと言えます。木曜夜に発表されたCPIが市場予想よりも強く、米国後期金利は上昇したものの、上述のシカゴ連銀総裁の発言による低下分の半値戻し程度であり、一旦は13週線4.28%までの金利低下を見込みます。

米国金利の低下によるセンチメント改善が続くならば、9-12月の株高の季節性から日本株でも上昇が見込まれ、バリュエーション面からは日経平均の上値34932円と、まだ上昇余地はあるものの、東証・名証2市場合計の信用買残が3兆2687億円と最高値を更新、売り買い差し引きのネットでも3兆2687億円と過去最高で、信用倍率5.88倍は2016年1月以来の高水準となっており、2012年-2016年では信用倍率が5倍を超えると株価が天井のシグナルだったので注意が必要です。
中東情勢の緊迫も質への逃避として米国債を支えている側面もあり、緊迫による金利低下からの株高と非常に不安定な経路をたどっていますので、将来的な波乱を考えるならば11月OPはコール・プット両方を買うストラドルの買いがよいかもしれません。あるいは、ATMプット買い+OTMコール買い+1321日経平均連動ETF/225先物買いのプロテクトの付けたカバードコール戦略もあります。


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ウィークリーレポート(2023年10月6日)

10月第1週の株式市場は、日経平均株価は▲2.71%、NYダウ▲0.30%、ユーロストックス50▲0.72%といずれも3週続落になりました。
10/6に発表された米国非農業部門雇用者数は市場予想+170Kに対して+336Kと強い数値となり、債券価格は下落、金利上昇から株安の反応となりましたが、全米自動車労組がストライキの拡大を見送ったことを好感して株価は反発しました。
雇用統計のうち平均時給は前年比+4.2%(前月+4.3%)にと鈍化と、数か月前ならディスインフレの兆候として捉えてもいいような内容でしたが、債券市場はこれを無視する動きとなり、足元のポジションが債券の投げを誘発しやすい状況にあることがうかがえます。

(Reuters) ハマスとイスラエルの大規模衝突、死者480人以上 米は襲撃非難
https://jp.reuters.com/world/mideast/PJLXDNODUFKBHM4FF5CJTEIHXM-2023-10-07/

10/7土曜日には、イスラエル・ガザ地区を実効支配するハマスが、イスラエルへ大規模な攻撃を仕掛け、ショッキングな映像が流れる事態となりました。同地域では、イスラエルの建国以来たびたび戦争となっており、今回もその延長戦ではありますが、『遠くの戦争は買い』の格言とは異なり、過去の第一次中東戦争から第四次中東戦争までのNYダウの動きは、上値の重い展開となっています。第四次中東戦争では、その後のOPECが原油価格を70%引き上げ、イスラエルを支援する米国をはじめとする西側諸国への禁輸などの制裁措置を行い、第一次オイルショックとなりました。
今回のハマスによる攻撃ではイランが大きく支援していると報道されており、戦火がイランまで拡大するならば、ペルシャ湾のシーレーンの危機ともなり、再び原油価格高騰、インフレ加速ともなりかねません。
10/9(月)午前の時点では、S&P先物は前日比▲0.75%と限定的な反応である一方、WTI原油先物は一時5%を超える上昇となりました。

トレードアイデアとしては、事態がエスカレートした場合に備えて、OTMのコール売り/OTMのプット買いのリスクリバーサル戦略がよさそうです。

※中東戦争時のNYダウ推移。開戦日=100で基準化。


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ウィークリーレポート(2023年9月29日)

9月第最終週の株式市場は、日経平均株価は▲1.68%、NYダウ▲0.88%、ユーロストックス50▲0.28%と続落になりました。
6-9月のマーケットを振り返ると、米国10年債利回りは+70bpの4.53%、ドルインデックス+2.81%, ドル円+2.93%と米国の金利高&ドル高が進んだ四半期でした。
株式市場ではNYダウ▲2.15%、NASDAQ▲4.25%と米国株は下落、日経平均株価も▲4.01%と下落しましたが、TOPIXは+1.52%と上昇。特にTOPIXバリュー指数は+6.77%とTOPIXグロース指数の▲3.90%と全く違う景色となりました。
また、日銀のYCC撤廃/ゼロ金利解除への思惑から、日本10年債利回りも36bp上昇の0.76%となりました。

日米ともに、金融政策の行き先への思惑が株式市場へ大きく影響しており、この傾向はまだ継続するものと思われますが、FRBに関して、ターミナルレートは5.5%(あと1回)と言われており、また、円安による物価高は日銀の大規模緩和政策への逆風となっており、日銀は火消しに回ったものの、年内に政策変更が可能かもしれないという植田総裁の発言は年末に近づくにつれ(あるいは円安が進むにつれ)再度意識されるものと思われ、10-12月に政策変更があれば、これまでの流れが大きく変わる可能性もあります。

ここ10年の10-12月では、S&P500は2018年を除き全て上昇、9勝1敗で年末時の株価は9月末比で+8.5%と株価に追い風となる時期です。同様に日経平均も10年で8勝2敗、第4四半期で平均+8.2%のリターンとなっています。また、短期的にはNYSE市場の騰落レシオBreadth Indicatorは38%まで下落して売られ過ぎゾーンに入っており、直近1年の傾向では同シグナルの売れられ過ぎはボトムを示唆していることから、週明けの10月からはリバウンドを期待したいです。
土曜日には懸念材料であった米国政府閉鎖について、閉鎖を回避するための暫定的なつなぎ予算が可決されたことも週明けの株式市場への追い風となりそうです。
米政府閉鎖を回避、上院も期限直前につなぎ予算可決-大統領署名 – Bloomberg

S&P500は節目4400pt、日経平均は25日線32619円をひとまずの高値目途として、カバードコール戦略がよさそうです。


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ウィークリーレポート(2023年9月22日)

9月第3週の株式市場は、日経平均株価は▲3.37%、NYダウ▲1.89%、ユーロストックス50▲2.05%と3指数とも反落しました。9月に入り週替わりに上げ下げを繰り返しています。

FOMCではFF金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%と据え置きましたが、声明と同時に発表した最新の四半期経済予測では、FOMC参加者19人のうち12人が年内あと1回の利上げを支持していることが示され、すでに利上げはピークに達しているとの市場の予想をひっくり返す内容から、金利が上昇、株安という流れになりました。
特に、金利上昇による逆風の強いナスダックは週間で▲3.53%の下落となり、今年に入ってからの上昇トレンドラインを割り込みチャートの形状も悪いことから200日線まであと6%弱下落してもおかしくありません。一方で、NYダウの下落は相対的に軽く、また、ハイイールド債ETF下落も▲1.03%と軽微であり、ハイイールドスプレッドは縮小していることから、FOMC後の動きとしては、米国債とハイテク株だけ売られた状態と言えます。

株価が下がると政府閉鎖懸念や全米自動車労組のストなど、時には無視されるイベントがリスク事象として注目されてきます。政府閉鎖に関して、過去、閉鎖期間が長期化した3回のケースでのNYダウの動きを比べてみると、閉鎖後にいったん下げたところがボトムとなり反発するパターンとなっています。
米国会下院で共和党保守強硬派が妥協しない場合、早ければ10/1から政府閉鎖となり、過去のパターンを踏襲するなら10月第1週に株価が底打ち(つまり来週は続落)となります。

日本市場に関しては中間配当の再投資シーズンという事もあり、欧米の株価下落速度に比べマイルドで、また日経ボラティリティ指数も盛り上がりに欠ける動きとなっています。トレードアイデアとしては権利付き最終日に向けてTOPIX買い/ダウ先物売りあるいは【2842】NASDAQ100インバースETFの買い、その後ドテンのスイングトレードが面白そうです。


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