ウィークリーレポート(2024年3月22日)

3月第4週の株式市場は、日経平均+5.63%と大幅高で最高値を更新、NYダウも+1.97%と大幅上昇で最高値更新、ユーロストックス50は+0.91%と2022年12月以来となる9週続伸となりました。

3/19に発表された日銀政策決定会合の結果は、事前の報道通り、政策残高へのマイナス金利解除し無担保コールレート0%~0.1%を目標とする大規模緩和以前の金融政策の回帰で、長期国債の買い入れは継続、ETF・J-REITの買い入れも終了となりました。事前報道の多さから警戒感が強かったため、発表後は材料出尽くし感から、株高・円安・債券高と、まるで追加緩和があったような動きとなりました。
債券は前週レポートに記載したアノマリー通りとなりましたが、株は予想外に上昇という結果でした。

3/21には、さらに日銀追加利上げの報道があり5年物国債は前週比1.1bpと利回りが上昇しましたが、株式市場では明け方に発表されたFOMCで年内3回の利下げが示唆されたことを好感し米国株につられる形で株高となりました。

日銀追加利上げ「10月」「7月」観測 円安進行が左右 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB200VM0Q4A320C2000000/

日銀は年内追加利上げが予想される一方で、米国FRBは3回の利下げ予想と、日米金融政策の逆転が鮮明となりましたが、為替市場では前週比2円29銭の円安となっており、(予想)金利差からは不整合な動きとなっています。CFTC投機筋のドル円先物の建玉は10万684枚の円売りとなっており、2012年以降の象場ではおおむね10万枚以上の売りが上限となっていたことから、投機筋は既に十分円売りに傾いている状況と言えます。
しかしながら、チャートの形状は2022年10月、2023年11月と151円台で高値を抑えられながらも、安値は2023年1月の127円23銭、2023年1月の140円25銭と切り上げてきており、トライアングルのチャートパターンを形成してきています。仮に152円を突破するならば、170円手前まで一気に円安になる可能性があります。
とはいえ、上述の通り、日米金融政策は円高を示唆し、CFTC投機筋の円売り建玉はおなか一杯に近い状態で、レパトリ/キャピタルフライトが起こるような突発的な事象などカタリスト待ちに見えます。

週明けは年度末となる3月最終週です。例年通りならば、配当の再投資による買い需要が発生しますので、TPX買い/ダウ売りおよび配当落ち日以降のTPX売り/ダウ買いというスイングトレードがうまくいきそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2024年3月15日)

3月第3週の株式市場は、日経平均▲2.47%、NYダウは▲0.02%と続落、ユーロストックス50は+0.50%の上昇、日米株式市場が足踏み状態の横で、利下げ期待に湧く欧州株市場は8週続伸となりました。

来週に日銀政策決定会合を控え、マイナス金利解除だけでなく、ETFの買い入れ停止を検討しているとする観測報道が出る一方、参議院の財政金融委員会で答弁をした植田総裁は「春闘データなど見極めて政策判断」とあくまでデータを見て決めるという慎重な姿勢を示し、日本の長期金利は前週比4bp上昇と、前週レポートでの15bp上昇予想よりも控えめな上昇となりました。

(Bloomberg) 日銀がETF新規購入の完全停止を検討、正常化開始で-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-13/SA9VUXT1UM0W00

植田総裁が見極めたい述べた春闘のデータは、連合のまとめによると24年春闘の平均賃上げ率は5.28%(前年3.80%)と賃金インフレが加速しており、利上げへのお膳立ては整ったと言えます。

日銀利上げ時の日経平均のパターンは、政策発表前から下落し発表後も2営業日ほど下落するもの発表後1週間ほどで再度上昇に転じるケースとなります。日柄的には来週は下落、その翌週3月最終は横ばいとなり、4月から再上昇となります。下落の目途としてはテクニカルには13週線36,634円、年初からの上昇幅の半値押しで36943円などがありますが、年度末のリバランスや配当再投資による需給など季節的な要因が大きく、幅よりも日柄が重要なタイミングかと思われます。

さて、週明けの3/18には、JPXプライム150指数先物が上場します。原指数となるエクイスティスプレッド上位銘柄とPBR1倍超の銘柄で構成した優良企業を集めたような指数ですが、昨年7月の指数算出開始以降のパフォーマンスはTOPIX+15.87%に対して+9.32%と劣後しており、ある意味、特徴的な指数となっています。
買う分にはやや躊躇ってしまうパフォーマンスですが、ヘッジ売り用にと考えると日経よりも安心感があるので活用の道はありそうです。

https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/domestic/jpx-prime150futures/index.html


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2024年3月8日)

3月最第1週の株式市場は、日経平均▲0.56%と6週ぶりの下落、NYダウは▲0.93%の2週続落、ユーロストックス50は+1.35%の7週続伸とばらばらな動きとなりました。

投資部門別売買動向では海外勢は前週と同じく、先物売り(3150億円)/現物買い(3835億円)と売り買い拮抗しており、相場を押し上げるようなグロスの買いは止まってしまったようです。
銘柄入れ替えの影響もあり、反落した日経平均とは逆に、TOPIXは週間で+0.64%と6週続伸となりました。

(Bloomberg)政府が「デフレ脱却」表明を検討、賃上げや物価見極め判断-報道
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-03/S9QX57DWX2PS00

(Bloomberg)日銀の3月か4月のマイナス金利解除、一部の政府関係者が容認姿勢
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-07/S9V7R7DWLU6800

3/19の日銀政策決定会合を前にして、複数の政策決定会合委員から「物価見通し」について強気の発言が相次ぎ、また、また脱デフレのための政府・日銀アコードを念頭に、政府側も脱デフレ宣言を検討という報道もなされ、利上げ前の地ならしが進んできています。

伝統的な無担保O/Nコールレートではなく、当座預金残高の政策金利である点が異なるものの、過去の日銀が利上げを行ったのは、不動産バブル期の1989年6月2日、ITバブル期の2000年8月11日、サブプライムローンが問題化する前の2006年7月14日といずれも日本あるいは米国のバブル期でした。
利上げ前後の長期金利の推移を比較すると、2000年の米国ITバブル崩壊時を除くと、政策金利発表日の2営業日前までに約15bp上昇し、発表後は同じだけ下げる、いってこいのパターンがあります。

先物に換算すると来週は144円70銭まで下落、その後月末にかけて146円台半ばまで回復という動きが予想されます。特に、3月末は年度末という事もありリバランスが意識され、年初来からの株高を考えるとフローは株売り/債券買いとなることから、会合後の債券高に期待が持てます。

ストラテジーとしてはJGBオプションのプット買い/会合後にプット売りといったスイングトレードや、カバードプット(プット売り+先物売り)から会合後に先物のみ買い戻すなど考えられますが、過去の比較チャートはあくまで利上げをしたときの当時のリアクションであり、利上げがしなかった場合のものではないため(その場合はやはり債券高に)、あくまで会合後の債券高をメインに狙っていくものとしたいです。

株式市場に関しては、海外勢がグロスで買い越していない状況でリバランスによるフローが株売りとすると需給的に上値が重い展開が予想されますが、最終週には配当の再投資が期待されるため足元のTOPIX買い/日経売りの流れに追い風となります。また、3月配当の再投資は日本特有の需給となりますので、TOPIX買い/ダウ先物売りなども考えられます。


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ウィークリーレポート(2024年3月1日)

2月最終週の株式市場は、日経平均+1.90%の上昇、NYダウは▲0.12%、ユーロストックス50も+0.46%となりました。

投資部門別売買動向では海外勢は先物売り(756億円)/現物買い(787億円)とグロスでは買いが止まる一方で、2/29(木)までは前週比でTOPIX+0.03% >日経▲0.11%とこれまでとは違う物色動向となっていました。同日NY取引時間に、インフレ上振れが警戒されていた米国個人消費支出(PCE)価格指数が市場予想通りの結果だったことから、早ければ6月からFRBの利下げが始まるとの期待で株価は上昇しました。
この流れを受け、3/1(金)の日本市場でも日経平均が744円高となり、3月限先物の清算値は40,000円ちょうどとなりました。

一方、日銀の金融政策に関しては、高田委員から物価目標実現が見通せる状況になっているとの発言があり、3/19の会合でマイナス金利解除が俄かに現実味を帯びてきました。マイナス金利解除ならば銀行株優位で再びTOPIX優位のパターンとなりそうです。

(Bloomberg)物価目標実現が「見通せる状況」、出口の検討必要-高田日銀委員
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-29/S9I8W0T0G1KW00

TOPIXにもオプションあり、マーケットメーカーが気配提示を行っています。権利行使の間隔が日経225オプションよりも広いのが難点ですが、TOPIXオプションのプット売りは日銀政策決定会合への思惑もありうまくいきそうです。


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光世証券株式会社
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ウィークリーレポート(2024年2月22日)

2月第4週の株式市場は、日経平均+1.59%の上昇、終値で39,098円と1989年12月のバブル最高値を更新しました。NYダウは+1.30%、ユーロストックス50も+2.24%と上昇しMSCI世界指数も最高値を更新しました。

バブル後最高値を更新した日本市場ですが、投資部門別売買動向では、海外勢が1133億円、自己が1272億円の買い越しとなった一方で、個人が1485億、信託が1740億円の売り越しとなっており、依然として海外投資家主導の株価上昇となっています。
急激な株価上昇ではその後の反落が懸念されますが、アベノミクス開始時の2013年上旬その相場では、信用残高(ネット)が6298億円から2兆6516億円まで急激に増えたのに対して、今年に入ってからは2兆9000億円前後で推移し落ちついており、信用倍率も3.8倍とコロナショック後の平均程度で推移しており2013年5月23日のような急落の心配はひとまずなさそうです。
裁定残高は売り買い差し引きのネット値で1兆5830億円とコロナショック後の高値を更新しているものの、コロナショック以前の天井水準であった3兆円(2017年ぼピークで3兆2311億円)に比べるとまだ半分程度の水準です。また、騰落レシオは107%と過熱感のある120%までまだ距離があります。
年初からの急激な株価上昇で史上最高値を更新した日経平均ですが、バリュエーションは高いものの、相場に過熱感はなく、判断に困る状況です。

ところで、足元の上昇はコア銘柄や一部半導体銘柄に集中しており、TOPIXで見るとまだ実はまだバブル時の最高値は更新しておらず、8%超下回っています。また、バリュエーション面でもヒストリカルPERの+1標準偏差ラインで2799pt(2/22 終値2660pt)と7.2%の上値余地があります。ここで、オーバーバリューの日経売り/バリュエーションで余裕のあるTOPIX買いの動きとなれば、理性的な動きで美しいと言えますが、過去の経験上、海外勢のフローは日経に集中したままになる可能性が高いと思います。

今後の上値の目途としては、キリの良い40000円、41000円があげられますが、買いの主体である海外勢が「TOPIXがオーバーバリューになるまで日経を買う」とすればNT倍率はさらに拡大を続けると思われ、最高値15.66倍(2021年2月)に上述のTOPIX上限2799ptをかけると日経平は43832円となります。


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