ウィークリーレポート(2024年8月9日)

日経平均は8/5(月)に終値ベースで▲4451円の下落、翌8/6(火)には3217円高といずれも変動幅歴代1位となる記録的な乱高下となった一週間でしたが、週を終えてみると▲2.17%とよくある下落率に収まりました。
NYダウは▲0.77%、ユーロストックス50+0.69%、NASDAQ総合指数も▲0.35%と先進国の株価は小動きにとどまっています。

財務省発表の対内対外証券投資のデータでは8/8発表(~8/2までの週)の海外投資家の株券等へのフローは6129億円の売り越しとなっていますが、昨年10月からの買い越し額累計は9兆8646億円とまだ高水準にとどまっています。
一方で、今回の暴落の主要因として挙げられている円キャリートレードですが、プロクシとしてCFTCの投機筋建玉を見ると、8/9発表分(8/6火引け後の報告値)は7月第1週の18万9560枚売り越しから11930枚まで急減しており、ほぼほぼ解消されたと見えます。後者の方がより速報性が高いことを考えると、海外投資家の対内証券投資もそれなりに手仕舞いされていると思われ、突発的なニュースは別として、さらなる下げは考えにくい状況と言えます。
また、日経VI指数をみると8/5に高値85.38ptを付けた後、金曜日にはすでに45.28ptとほぼ半減しており、過去に40%以上の高値を付けたケースと比較しても急速に鎮静化していることからも、すでに嵐が通り過ぎた様相が見て取れます。

とはいえ、嵐が通り過ぎた後もしばらくは大波が押し寄せるわけで、一度大きく株価が崩れるとアルケゴスのように破綻するヘッジファンドが出てくる場合や、あるいは様々な投資主体のリバランスなどが発生するため、すんなりとV字回復と行かないのが経験則です。1987年の旧ブラックマンデーとの比較チャートでは、今後31650円-36690円と大き目のレンジが示唆されますし、より深い2番底を付けるなら30203円の安値の可能性もあります。
改めて、日本株の位置を確認しますと、12か月先予想PERをベースにしたレンジでは33,529-39,007円、配当指数先物を用いた予想レンジでは35,493円-41,518円となります。
インプライドボラティリティが落ち着いてきたとは言え、日経VI指数45.28ptは平時と比べるとやはり圧倒的に高水準にありますので、9P32000/9C36000といった広いレンジのストラングル売りが美味しいかもしれません。

メモ:
・ハイイールドスプレッド 前週比▲19bpの3.72%へ縮小。
・(Bloomberg)サーム氏、米国は景気後退に「不快なほど近い」-冷静さが重要とも指摘
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-05/SHR5IRDWRGG000
キャリートレードとは何か、なぜ大打撃を受けたのか- QuickTake
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-07/SHT91TDWX2PS00
・ハリス候補、当選確率(オッズ)でトランプ候補を逆転


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年8月2日)

8月第1週の株式市場は、日経平均▲5.98%と大幅下落。週間で5%以上の下げは4月3週以来です。NYダウは▲2.10%と反落、NASDAQ総合指数は▲3.35%と2週続落、ユーロストックス50も▲4.60%の下落となりました。
8/1に発表された新規失業保険申請者件数が市場予想よりも多かったことから米国の景気後退懸念が持ち上がり、また、翌8/2の雇用統計でも市場予想4.1%を上回る4.3%の失業率が発表されたことも株安を後押ししました。ウィークリーレポート(2024年7月19日)
とは言っても、新規失業保険申請件数は足元3か月連続で減少しており、新興国市場に目を向けると、半導体セクターの大きい台湾加権指数▲3.28%、韓国KOSPI▲2.15%は大きく下落している一方で、インドNIFTY+0.12%、インドネシアジャカルタ総合指数▲0.45%、ブラジルボベスパ指数▲0.99%は小幅な動きにとどまっており、フィラデルフィア半導体指数の▲8.8%下落が示す通り、足元の株安は AI(半導体)バブル崩壊という様相です。

主要市場で最も下落率の大きい日本市場ですが、投資部門別売買動向では、7月4週の海外投資家は1兆5759億円の大幅売り越しとなりました。
対内対外証券投資でみると昨年9月以降に海外勢の日本株買いがトレンドになっており、仮にこれまでのトレンドが逆転するならば30000円-33500円の昨年夏ごろのレンジが下落の目途となりそうです。

8/2金曜日の日経平均の下落幅2,216円は1987年のブラックマンデー以来、歴代2位の下落幅となりました。下落率にすると▲5.81%で25位となります。TOPIXは2016年6月以来(Brexit)となる▲6.1%で、1970年以降で15位の下落率です。
TOPIXの6%超下落の方がレアケースといえますので、TOPIXが6%下落した日の終値で日経平均の比較チャートを作りました。
下落前の形状が似ているものは2000年4月のITバブル崩壊し始めの時と2016年6月のBREXITの時です。
前者のコースだと、この後9月中旬ごろに30000円まで下落して30000円-32500円のレンジとなります。
後者の場合だと8/2が安値ですぐリバウンド、8/15に浅い2番底を付けて上昇局面となります。

いずれにしても逆のポジションを取ると日経平均で軽く2000円はやられる値動きとなりますので、かなりファーサイドになりますがC37000売り/P33000円買いでSQまでに下がれば利食いができるポジションを作るのもよさそうです。
また、AI/半導体関連の売りを加速させている理由に、9月利下げが確実視されるようになった米国債への買い需要があると思われ、株から債券へのグレートローテーションに乗るなら、円高も踏まえた為替ヘッジ付き米国債ETF(2621など)への投資が手堅いです。

メモ:
・ハイイールドスプレッド 前週比+47bpの3.91%へ急進。2022年10月の6.09%にはまだ距離がある。
・S&P BDC指数が▲4.58%の急落、2023年3月以来の下落率。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2024年7月26日)

7月第4週の株式市場は、日経平均▲5.98%と大幅下落。週間で5%以上の下げは4月3週以来です。NYダウは+0.75%と4週続伸ですがNASDAQ総合指数は▲2.08%と2週続落、ユーロストックス50は+0.73%と反発しました。
日経平均の下げが大きく、市場全体でリスクオフモードなのかと錯覚しますが、米国ハイイールドスプレッドは3.43%と5月以来の安値圏でとどまっており、クレジット市場は株安に無反応といった具合です。
恐怖指数といわれるVIX指数も米国大統領選挙のスパイクを除けば期近が安いコンタンゴで、スポットだけ上がっている状況からオプション市場でも足元の下落が一時的なものと考えているようです。
急激な株価下落にしては、他の市場は冷静で、これまでFRBの利下げ期待を先回りして過熱していたハイテク株が、行き過ぎたバリュエーションの調整しているだけと見られます。

一方で、日本市場では月末の日銀政策決定会合で利上げ懸念が台頭してきていますが、22年債利回りは0.40%と5月以来の高値水準まで上昇しており利上げを織り込み来ていると思われますので、日銀会合通過でリバウンドとなるかもしれません。リセッションによる本格的な信用収縮ではないので、今回の下落は限定と思われますが、ボラティリティの高い司教となっていますので200日線36685円、52週線35880円あたりにタッチする可能性もあります。

1990年以降のデータで、高値から10%以上調整した日経平均がさらに下落し高値から20%超の下落となったのは1990年代のバブル崩壊時、サブプライムローンの問題が顕在化し始めた2008年1月、2011年3月の東日本大震災時で、それ以外は概ね10%下落した地点からプラスマイナス5%となっています。
上述のようにクレジット市場は無風状態であることから信用不安の顕在化している状況ではなく、1990年代や2008年のようなさらなる下落は除外し、ストラドルの売り戦略をとるのがよさそうです。


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ウィークリーレポート(2024年7月19日)

7月第3週の株式市場は、日経平均▲2.74%と反落、NYダウ+0.72%の続伸、ユーロストックス50▲4.28%と反落とまばらな結果となりました。ナスダック総合指数は▲3.65%と反落。
NYダウとNASDAQの逆行は、2024年の大統領選でのトランプ当選を確実視した向きによるトランプ銘柄トレードというよりは、日本株や欧州株の下落を見ると、これまで利下げ期待で先行して買いに回っていたゴルディロックス相場が、9月利下げがほぼ確実視となったことによる手仕舞い売りに変わった最中に、トランプ銘柄だけ買いが入ったとみた方が良さそうです。
実際、2016年のトランプ大統領当選の際は、NYダウだけでなくナスダック総合指数しも上昇していましたので、足元のダウ以外の指数下落に関しては、6月下旬以降のゴルディロックス相場の剥落とみて、日経平均では5月-6月のレンジ中心38800円あたりがひとまずの下値目途になるのではないでしょうか。

7/31月末に日銀政策決定会合が開催され、市場予想では利上げの確率は3割程度と後退しており、河野金融担当大臣の円安牽制のための利上げ要求やその後の撤回で右往左往するマーケットの関心はすでに金利に集中しており、前回会合で予告された国債購入額の削減は、仮に月6兆円から3兆円に半減となったとしてもあまりインパクトは出ないかもしれません。
長期国債先物オプションから計算されるJGB-VIX指数は4.31ptと前回会合直前の4.63ptよりも低く、また、オプション取引最終日となる月末での会合だった昨年10月の7.98ptに遠く及ばない水準ですので、予想外のタカ派な動きにプットオプションを買うのもいいかもしれません。植田総裁になってから政策変更のある場合は会合前にリーク報道されますので、ポジションを取る場合には来週早々に取引した方がよいです。

(Bloomberg)来週の円相場はじり高、キャリー取引巻き戻し-日銀利上げ観測は後退
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-19/SGSZW7DWLU6800


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ウィークリーレポート(2024年7月12日)

7月第2週の株式市場は、日経平均+0.68%、NYダウ+1.59%の続伸、ユーロストックス50も+1.28%の続伸となりました。

7/13(土)に、ペンシルバニア州で大統領選へ向け演説していたトランプ大統領が銃撃を受けるという事件が発生しました。大統領(候補) 暗殺未遂というと、1981年3月にレーガン大統領が銃撃され、一命をとりとめる事件がありましたが、その後、支持率は急上昇し、1984年の大統領選では投票人538人中525人がレーガン大統領へ投票するという圧勝でした。
流血しながらも腕を振り上げるトランプ大統領元大統領の力強さに、大統領選の勝利を確信した向きも多く、ブックメーカーでのトランプ大統領の勝率は68%まで急上昇しています。

6/28、バイデン大統領がTV討論会で大きく支持を失い、トランプ元大統領の再選確率が高まった際のマーケットの動きを見ると、米国10年債金利+10bp、NYダウ▲0.06%、ナスダック総合指数▲0.71%と、金利高/株安の反応となっています。トランプ元大統領の元、関税が強化されるならば再びインフレ率が上がるという懸念を反映したものと考えられ、今後も(2016年以降の4年間の様に)、彼の発言に振り回される展開が戻ってきそうです。

さて、改めて、先週のマーケットを振り返ると、7/11に発表された米国7月CPIは市場予想前月比+0.1%に対して▲0.1%と減少、マーケットは9月利下げが確定と判断し急激なドル安となりました。
米国10年債金利は2週続落で前週比▲6bpの4.21%と金利安となっていますが、通常ならば、金利低下は割引現在価値を高めるため、将来の成長をより織り込んでいるグロース株に有利な状況にもかかわらず、NASDAQ総合指数は▲0.38%と反落、これまでのNvidiaを中心とした超大型グロース(ハイテク)相場の変調の兆しのように見えます。
一方で、米国の小型株指数ラッセル2000指数は同日、+3.57%と2023年11月以来の大幅上昇となり(23.12.11 +5.44%)、単純に株売りの流れというわけではなく、物色が大きく変わったとも捉えられます。

日本市場でも、7/12(金)には、日経平均が▲2.45%下落する中、TOPIX構成銘柄は上昇銘柄1316(61%)と過半数の銘柄が前日比プラスになるという珍事が発生しました。1991年以降のデータで、日経平均が2%以上下落、かつ、TOPIX構成銘柄の50%以上が上昇というのは2014年1月6日(大発会)のみです。2014年は大発会後のひと月で約12%の下落となりました。
条件を緩和し、日経平均が▲1%以上下落、かつ、TOPIX構成銘柄の50%以上とすると、1991年以降では17回発生しています。2000年代までは、先物主導の売りがその後の下落相場のシグナルとなっていましたが、2010年代に入ってからは売られ過ぎのシグナルとしてその後反発するケースが多くなっています。

仮に反発するならば、期先配当指数先物が上昇していますので、配当指数先物から計算した配当利回りの平均レンジは44160円~37750円(平均40704円)と前週比で上昇しており、44000円タッチも視野に入ります。
SQを迎えた直後で満期まで日数がありますので、プロテクティブプットやコール買い+先物売りなどガンマロングポジションが良さそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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