ウィークリーレポート(2024年12月20日)

12月第3週の株式市場は、日経平均NYダウは▲1.95%、ユーロストックス▲2.13%と揃って下落しました。

FOMCでは市場予想通り25bpの利下げを発表も、2025年の見通しでは年間の利下げが4回から2回に減少し、経済に中立的な金利水準であるロンガーラン金利を3.00%に引き上げました。
一方、日本銀行は政策決定会合で利上げを見送りました。上述、FOMCのタカ派姿勢による米国債券安につられ一時1.11%まで上昇していた長期金利も会合後は1.03%まで低下する局面もありました。会合後の会見では追加利上げは春闘の結果を見たからとの発言もあり、12月利上げ見送りどころか。1月利上げの可能性も遠のいたことから、為替市場は円安が進行し前週から2円66銭安の156円31銭で週末を迎えました。
思ったよりもタカ派なFRBと思ったよりもハト派な日銀ということで、市場はやや混乱気味となりましたが、FOMC後に27pt台を付けたVIX指数は18.36ptまで下落しており、米国デリバティブ市場のSQを前にした一過性の下落に思えます。

ところで、12/18FOMC後の下落でNYダウは10日続落となりました。翌日わずかながら反発したので連敗記録は10でとまりましたが、10連敗以上となるのは1974年以来という50年ぶりの珍記録でした。
1900年以降、100年以上データを遡ってみると、10連敗以上の続落記録は8回だけでした。9連敗も含めても11回しかありません。
この11回、1931年、1941年の2回が、連敗記録終了後にも大きく下落しています。それ以降の第二次大戦後のデータではやや下落しああと反発となっており、今回の連敗開始時の12/5の終値を基準に当てはまると40000ドルをボトムに反転となります。10%以上下落の調整相場入りするものの、それ以上は崩れず、20%以上の下落の弱気相場にはならない、というのが第二次大戦後以降の特徴に見えます。

メモ:2017年3月、2018年6月、2008年10月など近年でも8連敗まではあるが、9連敗以上となると、1980年代から2020年を過ぎるまで連敗記録がない。インフレ率の高さが関係しているかは不明。
ドル円通貨先物の投機筋ポジション:12月上旬に再び円買いにて転じたものの、前週はすぐに円売りに傾きそう。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年12月13日)

12月第2週の株式市場は、日経平均+0.97%、NYダウは▲1.82%、ユーロストックス▲0.20%とまちまちの動きとなりました。
NYダウは6日続落と不穏な形状となっていますが、ハイイールドスプレッドは前週比11bp縮小の2.79%と今年最低水準を付けていることからリスクオフの気配はありません。夏以降、約3週間サイクルでボトムをつける動きをしており、足元の下落も同サイクル内の動きとみています。サイクルの日柄的には12/19のFOMC前後から反転となります。
なお、日本市場では、8月の暴落以降、日経平均はおよそ満月でピーク、新月でボトムという28日サイクルで動いており、こちらは日銀会合のある12/19前後にピークを付けて年末にボトムという時間軸になっています。
日米でサイクルのタイミングが真逆になっている12/19ですが、米国のFF金利先物から算出された利下げ確率は96%に及んでおり、今回のFOMCでの利下げを織り込み切っている状況と言えます。9月、10月のFOMCの利下げ後にNYダウは上昇しており、今回も同様のケースを期待します。

(Bloomberg) 来週のFOMC利下げ、CPIで青信号-2025年以降には黄色点滅
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-11/SOCGKHT1UM0W00

一方、OIS金利からBloombergが算出しているインプライド政策金利は9月以降上昇基調にあり(つまり利上げを織り込み)、それに伴って10年債利回りも上昇してきました。しかしながら、12月以降、インプライド政策金利が大きく下落しているのにも関わらず、10年債金利の下落は小幅にとどまっており、長期債ゾーンでは利上げを織り込んだままになっているようです。同会合で利上げが見送られた場合は10年債利回りが一時的に急低下/債券価格が急騰となりやすいと思われます。
年末ジャンボの代わりにJGBコールオプションの買いが面白いかもしれません。

(日経新聞)日銀、利上げ急がず為替・米国注視 18〜19日に決定会合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB132X70T11C24A2000000/


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ウィークリーレポート(2024年12月6日)

11月最終週の株式市場は、日経平均+2.31%、NYダウは▲0.60%、ユーロストックス+3.61%と、前週までの米国一強動きの巻き戻しとなりました。

年内株高、年明けからの急変に注意、という流れには変わりありませんが、年末も近いことから、長期的な目線で各国株価の水準感を振り返りたいと思います。
過去30年間の入手できる範囲での予想PERで見ると、米国S&P500は平均から+1.82σと上方に乖離しており、逆に香港ハンセン指数は下方に0.72σ乖離しています。単純に解釈するならば、米国は割高で、香港株が安いということで、米国売り/香港買いとなりそうですが、実際には、長期的な指標の解釈ではモメンタムが強く長く出る傾向にあります。また、割高な状況も株価が先に好況を織り込み、実態(EPS)があとから追い付いてバリュエーションが修正されるケースが多いので、単純に解釈するのは危険です。
とはいえ、S&P500の12か月世予想PERは22.60倍と、2000年ITバブル時のピークの25倍に次ぐ高水準にあり警戒感は当然でてくる水準です。

過去30年の予想PERの平均と現在の位置

少し面白い事例としては、2017年年末にBloombergがS&P500が2000年のドットコムバブル以来の高バリュエーションになっていると記事にしました。年明け、2018年の1月相場は、1月下旬まで強気一辺倒で7.45%上昇となっており、その後、2月にVIXショックが起こりました。
バリュエーションが高く調整が入るという考えは間違ってはいませんでしたが、仮にショートポジションを組んでいたとすると年明け早々担ぎ上げられて逃げ道が無くなっていたと思われます。

(2017.12.21)S&P500種のバリュエーション、ドットコムバブル期のピークに接近
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-12-21/P1AFLM6K50Y301

ともかく、バリュエーションが高いときにさらに上昇するのか、あるいは下落すのか、どちらにせよボラティリティが高まりますので、年明けのポジションはひとまずガンマロングにしておくのがよさそうです。


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ウィークリーレポート(2024年11月29日)

11月最終週の株式市場は、日経平均▲0.20%、NYダウは+1.39%、ユーロストックス+0.32%の反発と、米国一強の中、日欧はまちまちな結果となりました。

その強いNYダウですが、大統領選アノマリー通り、年末に向け最高値を更新し、上昇中となっています。
米国は感謝祭が始まりクリスマス休暇まで消化試合となるでしょうから、このまま2016年と同様に強含んだまま年末を迎えそうです。少し早いですが、年明けの大統領就任式(1月20日)を基準に、次のアノマリーを探ると、上昇継続コース、反落コースとばらばらでこれといったアノマリーは見えてきません。
しかしながら、新政権の元、関税が導入されインフレ再燃が懸念される点に注目すると、1973年、1977年と2回のオイルショックに見舞われた年の大統領就任式は前年年末まで上昇、年明けから相場急変で下落というパターンとなっています。
欧州株がスタグフレーション懸念で安く、また、日経平均も2016年当時とは打って変わって全くさえない流れというなか、米国だけデカップリングで上昇という、あまりよろしくない相場環境を考えると、年明け1月限のプットを買ってみるのも思しろそうですが、まだ満期まで時間があるため、12月限プット売り/1月限プットかいというカレンダー取引がいいかも知れません。

メモ:
~11/22の週の裁定買い残は1兆6792億円(前週比4746億円と、日経平均が週間で▲0.93%下落す中増加。
米国ハイイールドスプレッドは2.97%。11/13の2.71%からやや拡大傾向。


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ウィークリーレポート(2024年11月22日)

11月第4週の株式市場は、日経平均▲0.93%の続落、NYダウは+1.96%、ユーロストックス▲0.12%の6週続落となりました。

地政学リスクに振り回された一週間でした。米国の大統領選でトランプ元大統領が勝利したことから、ロシア側はトランプ次期大統領とウクライナ和平条約に関して前向きと融和姿勢を見せる一方で、米国がウクライナに供与しているミサイルでのロシア本土への攻撃を認可したことから、ロシアは自国の核兵器使用ドクトリンを変更、弾道ミサイルをウクライナに発射するなど、膠着していた戦況が俄かにエスカレートしてきており、夜間市場でヘッドラインに反応して一時的に急落する場面が何度かありました。

(Reuters)プーチン氏、トランプ氏とのウクライナ和平協議に前向き=関係筋
https://jp.reuters.com/world/ukraine/6CQK7QXQMZKAPNWYKVVTDH4TEE-2024-11-20/
(Reuters) ロシア、核指針改定 ウクライナ支援の米国に警告
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PKDBQQMULBINXECVTPR7MADTZ4-2024-11-19/
(Reuters) ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用か
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PXA2DAS5IBOOZDKHH6DLPN3DPU-2024-11-21/

2014年2月のクリミア制圧、2022年2月のキエフへの侵攻時の株価の動きを振り返ってみると、NYダウ、日経平均ともにボックス圏内で推移しており、安値を割り込むようなショック相場にはなっていません。
極端な話をすると、クリミアやウクライナがロシアに制圧されようとも米国経済に直接及ぼす影響は軽微で、したがって経済と企業収益を映す株価には影響は出なかったとも言えます。

その、より重要な米国経済ですが、トランプ次期大統領の政策によるインフレ再燃懸念から米国10年債利回りは足元で4.41%と、9月の安値3.59%から上昇しており、経済には逆風となっています。しかしながら、ハイイールドスプレッドは足元2.82%と、8月高値の4.05%からの下落トレンドの中にあり、発行体のデフォルトリスクなどは意識されているように見えません。
したがって、今回のミサイルの応酬に関して、さらにエスカレートしても一時的な下落ですぐに値を戻すものと思われ、短期的な押し目買いの機会となりそうです。


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