ウィークリーレポート(2022年8月12日)

8月の第1週の株式市場は、日経平均は+1.32%、NYダウ+2.92%、ユーロストックス50+1.38%と続伸となりました。

8/10 米国CPIは前年同月比+8.5%と市場予想を下回りインフレピークアウトを印象付け、株価は大きく上昇しました。米国長期金利は指標発表直後こそおおきく下げたものの、その後、エヴァンス シカゴ連銀総裁のタカ派な発言で切り返し、週間では+0.4bpの2.83%となりました。
9月FOMCについてはダドリー総裁の50bp引き上げ発言などもあり、FF金利先物市場では65.5%の確率と+75bpの34.5%を上回ってます。

債券価格が下がり金利が上昇する中で株価が上昇した結果、S&P500の予想益回りと米国10年債利回りの格差、イールドスプレッドは2.74%まで低下しました。同水準は5/29 2.64%、6/2 2.79%とS&P500が高値を付けた水準に近く、引き続き、ダウンサイドへの警戒が高まる状況ですが、株式市場は楽観的な状態です。

(Bloomberg)債券トレーダーは酔わず、株高の熱狂はイールドカーブの警告を無視
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-11/RGGFDWT0G1KW01

CPIを無事通過し、目先のイベントとしてはジャクソンホールがありますが、例年警戒されるわりに無風となるケースがほとんどで、目先、急落を警戒するイベントが見当たらないことから、日経平均年初来高値29388円、S&P500 200日線4323ptなどテクニカルな節目へのトライが期待できます。

CME FED WATCH
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2022年8月5日)

8月の第1週の株式市場は、日経平均は+1.35%の反落、NYダウ▲0.13%、ユーロストックス50+0.47%とまちまちの結果となりました。

ペロシ米下院議長の訪台に伴い台湾海峡での緊張の高まりがありますが、訪問翌日こそ株価は下げたもののすぐに切り返し、震源地の台湾加権指数+0.24%と上昇して終わりました。1995-1997年の台湾海峡危機では台湾の総統選終了まで長期間の軍事演習が続きましたが、今回は演習範囲こそ拡大しているもの前回同様のミサイル発射実験という事で、市場は冷静に米中対立の経過を見ているようです。

FOMC後のパウエル議長会見以降、データ次第では利上げペースの鈍化もありうるという発言から、米国長期債は上昇/金利下落となっていましたが、複数のFRB理事からタカ派な発言が相次いだこと、また米国雇用統計が市場予想+250Kに対して倍以上の528K増となったことから、米国長期金利は前週比+17bpの2.82%と反発しました。長期金利の上昇にもかかわらず、ナスダック総合指数は+2.15%と上昇し、これまでの金利高・グロース株安の流れに変化が起きています。
S&P500のベア入り後のパターン比較では1標準偏差バンドを上に抜けている格好になり、今後のブル相場を示唆しているようにも見えます。
しかしながら、米国の失業率とインフレの関係性を示したフィリップス曲線を前提に考えると、強い雇用は強いインフレを示すことから、債券市場の反応が合理的で株価の反応はイレギュラーに見えます。
ナスダックの向こう12か月の予想PERを見ると、今年の株価の大幅調整にも関わらずコロナ禍以前の高値圏にあり、また大規模な緩和政策も反転して引き締めにあることから、積極的に上値を追いかける正当性はなさそうです。

週明けには米国8月CPIの発表があります。市場では前年同月比8.8%の上昇と前回9.1%より鎮静化を予想しています。クリーブランド連銀のCPIナウキャストでも8.8%予想となっており、予想よりも強いナンバーが出た場合のインパクトは大きそうです。
日本市場では、8/12金曜のSQ日の前日が祝日ということもあり、オプション取引は8/10水曜日が取引最終日、二日後の8/12がSQ日というイレギュラーに日程になっていますので、オプション取引をされている方は注意してください。

日経平均の季節性では、ここ10年間8月は上値が抑えられ、9月から上昇するパターンが多いことからも、目先の株価の反発につられないほうがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2022年7月29日)

7月の第最終週の株式市場は、日経平均は▲0.40%の反落、NYダウ+2.97%、ユーロストックス50+3.10%はそれぞれ続伸となりました。

7/28FOMC後のパウエル議長会見では、9月大幅利上げもその後はデータ次第で利上げペースダウンする可能性を示唆し、長期金利は低下、株式市場は大幅上昇となりました。
同日夜の米国4-6月期実質GDP前期比年率換算は市場予想+0.4%に対して▲0.9%と2期連続のマイナス成長となり、テクニカル・リセッションとなりました。景気後退懸念の台頭から米国債は買われ、長期金利は週間で▲7.4bp下がり2.67%となりました。株式市場は景気後退懸念とは逆説的に、米国金利の低下から上昇となりました。
金利と株価の関係については、10年債利回りと株式益回りの差であるイールドスプレッドで確認できます。ここ1年はおおむね3%前後のスプレッドで推移してきています。GDP発表後の株高も、国債利回りの低下による相対的な株式益回りの上昇から株への買いが出たものとみられます。

とは言え、こういったアロケーションがこのまま続くかというと懐疑的です。1-6月期がマイナス成長となったので、今年の1月からリセッション入りと”仮”置きすると、NYダウは昨年の高値から最大で▲18.09%の下落を経験していますが、過去のリセッション局面での平均▲31%と比較すると下落余地はまだあり、リセッションの影響(EPSの下落)は織り込んでいないとみられます。この点に関しては耐久財受注などの経済指標の急速な悪化があればこれまでよりもインパクトを持ってくると思われます。
経済指標については、今回のGDP後の発表を踏まえると、悪い数値→金利低下→株価上昇となる可能性もありますが、2021年までのゴルディロックス相場と異なり、金融政策は量的にも引き締めに入っており、金利低下の裏でジャンク債と国債の利回り格差であるハイイールドスプレッドが拡大している場合にはその後の株価急落に注意が必要です。

テクニカル的には、先週取り上げたNYSE総合指数のBreadth Indicator(10日間騰落レシオ)が60を上回り過熱感が出ており、また、過去のベア相場入り後のパターンからも1標準偏差を上回るリバウンド記録しており、FOMC/GDPでの株価の反応は行き過ぎた動きに見ます。
日本株についても、騰落レシオ(25日間)が143まで上昇し、米国同様に過熱感のある水準となっています。米国金利の低下から内外金利の縮小、行き過ぎた円安の修正から米株対比で重たい展開が予想されます。

とはいえ、2期連続マイナスとなるGDPを株価上昇でこなしてしまった以上、目先、押し目を作るようなイベントは見当たらず、8/10CPIまではサマーラリーとなる可能性もあり、特にVIX指数は3か月ぶりに23ptを下回ってきたことなどからも、当面のラリーを示唆しています。
状況としては、株価の反落を睨みながらのチキンレースとなっていますので、8月限オプションでのカバードコールや、9月限オプションでのリスクリバーサルの売りなどのストラテジーが考えられます。


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光世証券株式会社
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ウィークリーレポート(2022年7月22日)

7月の第4週の株式市場は、日経平均は3週続伸となる+4.20%の大幅高、NYダウ+1.95%の反発、ユーロストックス50も+3.43%の反発となりました。
7/19の米国市場ではS&P500の構成銘柄の98%が上昇となりました。構成銘柄の9割程度の上昇は大幅高の際によく見かけますが、さすがに98%となるとレアな出来事になります。過去の例では、2018年12月の急落時にボトムを付け相場が反転する際に出現しており、目先の株高を示すシグナルといえます。
当レポートで取り上げてきた、ベア入り後のパターンでも目先はリバウンド局面となっており、7/19の騰落率はベアマーケットラリー入りのシグナルだったといえそうです。

ところで、構成銘柄の騰落を用いた指標は、日本では騰落レシオ(25日)が使われますが、米国ではBreadth Indicatorの呼び名で10日間移動平均が使われることが多いようです。
NYSE総合指数のBreadth Indicatorを見ると、ここ一年は10日移動平均線が60%を超えると株価が天井を付ける動きが続いていますので、週明け後も一本調子で株高が続くようなら注意が必要です。

7/21に行われた日銀政策決定会合は予想通り無風な結果となりました。次は、7/27(日本時間7/28早朝)のFOMCがビッグイベントとなりますが、コンセンサス通りの+75bp利上げでマーケットインパクトは薄いのではないかと思われます。むしろ、日本時間同日夜の米国4-6月期GDPの結果に注目です。市場予想では年率換算で前期比+0.8%となっていますが、アトランタ連銀のGDPNowでは同▲1.6%と乖離があり、仮に後者の予想が正しいとすると、市場期待を裏切るだけでなく1-3月期から2期連続のマイナス成長となり、テクニカルにリセッションとなるため債券市場も含め大荒れとなりそうです。

The Atlanta Fed GDPNow
https://www.atlantafed.org/cqer/research/gdpnow

週明けの戦略としては、Breadth Indicatorが60%を上回っているなら、FOMC/GDPショックへの備えとして単純にプットロングを持つイベントトレードが考えられます。


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ウィークリーレポート(2022年7月15日)

7月の第3週の株式市場は、日経平均+1.02%、NYダウ▲0.16%、ユーロストックス50▲0.84%となりました。

7/13発表の米国6月CPIは前年比9.1%と市場予想を上回る数値でしたが、株価の反応は限定的でした。
FF金利先物では7/28 FOMCの利上げ幅の予想が75bpから100bpへと増えましたが、米10年債金利の動きも限定的。大きく反応したのは、ドル円為替レートで、1998年以来となる138円台へと円安が進みました。
翌日にはウォラー理事、ブラード・セントルイス連銀総裁が相次いで7月FOMCでの+75bpを支持する発言をしたため、FF金利先物市場では一転して100bp利上げ予想から75bp利上げ予想へと戻りました。

CPIと利上げをめぐっての論点としては、
1. 政策金利3.75%がピークでインフレが鎮静化するか、あるいは更なる利上げが必要か
2. ロンガーラン金利を上回る政策金利でどの程度のリセッションになるか
ということになりますが、100bp利上げ予想でもマーケットの動きは限定的だったことから、先週のレポートでも述べたように、市場では、目先のインフレ/利上げよりも後者のリセッションの深さに関心が移っているように思えます。

さて、その契機に関してですが、7/15 (金)発表のNY連銀製造業景気指数は市場予想▲2に対して+11、ミシガン大消費者マインドも市場予想50.0に対して51.1と予想よりも好調な結果となり、少なくとも足元の米国経済は深刻なリセッションを懸念する状態ではないようです。

6月末以降、S&P500は3750以下に下髭をつけて買い支えられており、また上述の意外と悪くなかった経済指標もサポートとなり、これまでの通り4000pt弱までの緩やかなリバウンド予想を継続します。ベースとしてはS&P500のベア入り後のパターンを踏襲し、8月までだらだらとした上昇相場、その後、上下いずれかへ大きくトレンドを形成と考えます。

日本市場では、7/21水曜日には日銀政策決定会合が予定されています。
投機筋は依然としてYCC撤廃期待を持っているようですが、前回会合前のようにJGB先物が売り込まれているチャートにはなっておらず、金利絡みでの波乱はなさそうです。会合前の観測記事に注意が必要ですが、結局は現状維持となり、結果的に円安が再度進行すると思われます。日経平均は海外市況(S&P500)の堅調さを前提に200日線27638円までの上昇を見込みます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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