ウィークリーレポート(2023年3月24日)

3月第4週は、日経平均は+0.19%、NYダウ+1.18%、ユーロストックス50+1.61%と反発となりました。
3月FOMCでは利上げ幅は前回同様+25bpとなり政策金利は5.00%に達しました。FF金利先物市場では次回5月FOMCが最後の利上げとなり年末には3.8%までの利下げを予想しています。
FOMC後には株価は急落しましたが、イエレン財務長官が預金全額保護を翻意する発言もあり、FOMCに向けたショートカバーによる株価上昇の息切れかイエレン財務長官の発言か、どちらがインパクトを出したのかはっきりと区別しにくいものの、金曜夜には、ドイツ銀行が一時▲14%安になるなど、銀行の流動性不安が依然とくすぶっています。

3/24金曜日時点での3月に入ってからの動きをまとめると、S&P500指数は月初来+0.02%、米国長期金利低下の恩恵を受けたナスダック総合指数は+3.22%と、金融不安にも負けず健闘していますが、中小企業への貸し出しを行う上場商品のBDC指数は▲8.85%と落ち込み、ハイイールドスプレッドは+74bpの拡大となっていますので、米10年債利回りが▲54bpと下がっている点については、FRBの将来的な利下げを織り込んでいるというよりも、質への逃避といったリスク回避の動きに見えます。日本市場でも騰落レシオはいまだ100を上回っており、いましばらく調整が必要に思えます。

足元、円高に対して日経先物はS&P500先物に対してアウトパフォームしており、ここ1年の為替と日米株価比率の連動性からは乖離している状態です。配当の再投資に絡むフローが日本株を支えていると考えられ、権利付き最終日まではこの流れが続きそうですが、例年、権利落ち後は一転して日本株が相対的に弱くなる傾向がありますので、週前半は日経買い/ダウ売り、週後半は日経売り/ダウ買いのスウィングトレードのチャンスがありそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年3月17日)

3月第3週は、日経平均は▲2.88%、NYダウ▲0.15%、ユーロストックス50▲3.89%と下落になりました。
先週末に流動性が懸念されたSVBは金曜日のうちに破綻、その後、FRBの緊急融資BTFP及び預金者保護が発表されるといったんは落ち着いたものの、次は、欧州のクレディスイスの信用不安から急落。スイス中銀による500億スイスフラン(約7兆円)の貸付が発表されると株価はまた反発とジェットコースターの様相でした。

(JETRO)米SVBに続きシグネチャー銀行も経営破綻、ただし預金は全額保護、FRBは銀行向けの緊急融資枠を設定
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/03/e83b6d45c066f5ae.html

(Reuters)クレディ・スイス、スイス中銀から最大500億フランを借り入れへ
https://jp.reuters.com/article/cs-cen-fin-idJPKBN2VI02A

欧米銀行の流動性不安に対しては各国中銀の対応で落ちついたように見えますが、米国ハイイールドスプレッドは2月の安値4.32%から5.36%まで拡大しています。また、米国債の予想ボラティリティを示すMOVE指数は一時198.71とコロナショックの高値163.70を上回り、2008年以来の高値を付け、米国債市場の動きも不安定になっています。中小企業への貸付ローンを投資対象とするCLOのAAA格とBB格のスプレッドもハイイールドスプレッドと同様に拡大しており、中銀の緊急融資で安心感を得た株式市場とは裏腹に、クレジット市場は臨戦態勢のままとなっています。

銀行の経営不安の背景にはインフレ退治のための急速な利上げ(債券安)があり、破綻したSVBはリスク管理が杜撰だったという個別要因があるにしても、債券含み損はその他の銀行にも共通しており、これから第2、第3の流動性懸念銀行が出てくるものと思われます。
したがって、株価の反発があっても、クレジット市場が落ち着くまでは戻りは限定時と考えており、ひとまずはS&P500 52週線 3999pt、日経平均 25日線 27646円あたりが上値の目途となりそうです。
日本市場については、引き続き配当の再投資が意識される展開で、TPX/Dow取引がよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2023年3月10日)

※市況の数値は3/10(金)夕方時点のものです。

3月第2週は、日経平均は+0.78%、NYダウ▲3.40%、ユーロストックス50▲0.20%となりました。
日本市場では前週のレポートで指摘通りSQ日に向けてショートカバーが進み木曜日までに前週比695円と株高が進みましたが、同日夜、米国SVB銀行持ち株会社の公募増資により金融不安が広まり、金融株が大きく下がると翌金曜日には日本市場も金融株を中心に値下がり、日経平均は479円の下落となりました。

(Bloomberg)米銀持ち株会社SVB、上場来最大の下げ-シリコンバレーで事業
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-09/RR9RSMT0AFB401

米国市場では、SVBの公募増資およびその原因となった債券投資による損失が明るみになったことでその他金融株への売りが膨らむ一方、米国債は買われ長期金利は▲8bpの3.81%となりました。昨年よく見られた、金利上昇/株価下落、金利低下/株価上昇といった関係性は崩れているように思え、週明けのCPIの数値が仮に低く、長期金利が下がったとしても株価下落の支えになるか不透明な状況です。
下落の目途としてはS&P500の昨年12月の安値3764ptがひとまず意識されます。逆に急反発の可能性としては、金融不安は各国中央銀行が最も嫌うテーマですので、FRB高官から手のひらを返したようなハト派は発言が出た場合になると思われます。

これまでの急速な金利引き上げの弊害が意識されてる展開となりそうですので、注目するべき指標としては国債よりも格付けの劣る債務の利回りということで、ハイイールド債と米国債のスプレッドや非上場企業や中小企業への貸し出しを行うBDC(Business Developing Company: REITの貸金版)の指数があげられます。

日本市場では3/10日銀政策決定会合はサプライズ無しの現状維持となり、一時為替が円安に反応するも限定的でした。米国市場の金融不安をネタに、日本市場も軟調な展開が予想されますが、3月末には配当の再投資が控えており、一部では、日経先物で1500億円強、TOPIX先物で9500億円強の配当落ちによる買い需要が発生するとの試算を報じていました。
ここ3年の3月、9月の配当再投資のパターンでは15日以降にダウに対してTOPIXがアウトパフォームする傾向があり、週後半にTPX先物買い/ダウ先物売り、あるいは、ダウ先物売り/日経225プット売りといったトリッキーな組み合わせも考えられます。


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ウィークリーレポート(2023年3月2日)

3月第1週は、日経平均は+1.73%、NYダウ+1.75%、ユーロストックス50+2.78%とそろって反発となりました。米国金利も引き続き上昇、10年債利回りは週間では+0.8bp上昇の3.95%と小幅な上昇でしたが、木曜日には昨年11月以来となる4%を超えました。

その3/2木曜日には、FRB高官の「夏ごろには利上げ停止」発言を受け、債券市場では夏までの連続利上げを織り込み債券安/金利高、株式市場では利上げ停止に反応し株高と、各マーケットで別々に解釈が進んでいます。
債券市場の価格を前提とするならば、長期金利が4%を超えていた昨年11月の安値水準よりもS&P500は7%弱オーバーバリューな水準となっています。また、米国債版VIX指数であるMOVE指数は、2月の安値97.33ptから124.12ptまで上昇しており、特に3/10の米国雇用統計は警戒が必要です。

一方で、日経平均株価は3/3金曜日に2月の高値を抜け年初来高値を更新しました。週明け金曜はSQですので、雇用統計前のスクイーズ狙いで3C285の買い(あるいは先物買い/C285のカバードコール)も面白そうです。ただし、足元の騰落レシオは117%と2月の137%から低下しており、株価の上昇/騰落レシオの低下の同時進行は昨年8月のラリーの終盤に見られた現象ですので、高値を追いかけるならばプロテクティブプット(現物買い+プット買い)など下落のケアも考えた方がよいでしょう。

チャートの形状では台湾加権指数が春節以降、極端なBOX相場になっており、半導体関連銘柄のウェイトの高い同指数が上に抜けるか下に抜けるか、今後の相場を占う指標として注目です。


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ウィークリーレポート(2023年2月24日)

2月第4週は、日経平均は▲0.22%、NYダウ▲2.99%、ユーロストックス50▲2.25%とそろって続落となりました。米国金利は引き続き上昇、10年債利回りは+12bpの3.94%となりました。
S&P500は200MA 3940ptにタッチする手前で反発し、下髭を付ける形となっていますが、全米個人投資家協会(AAII)のデータでは強気-弱気のネット数が▲17と3週ぶりに毎マイナスとなり、センチメントは悪化しており、昨年12月の安値圏3800ptまでの一段の下落を警戒した方がよさそうです。

日本市場でも、騰落レシオが127%と過熱水準で高止まりしており、下落に身構えたいところです。
とはいえ、2/24に行われた植田日銀総裁候補の所信表明では、「足元のインフレは一時的で2%物価目標の安定的な達成には現状の金融緩和政策は維持」との発言があり、当日は株高債券高となり、為替欧州時間から米国金利高もあり136円51銭まで円安が進行しました。
S&P500が3800ptまで下落しても、日銀の緩和継続期待と円安により日経平均の下落は26500円あたりでまでにとどまると思われます。

目先の取引としてはダウ先物売り/日経先物買いや、あるいは日経平均のダウンサイドは限定的と見越してストラドルの売りなどがよさそうです。


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