ウィークリーレポート(2024年2月9日)

2月第2週の株式市場は、日経平均+2.04%、NYダウ+0.04%、ユーロストックス50+1.32%と3指数とも続伸となりました。
S&P500は終値で初めて5000ptの大台に乗りました。全米個人投資家協会(AAII)のセンチメント調査でも強気-弱気のネットが26.4ptとここ10年の高値圏に達しており、米国株式市場への熱狂感を示しています。総楽観は売りとは言うものの、S&P500が初めて4000ptを超えた2021年4月からは12月まで9か月間のラリーとなっており、安易に売り向かうよりは慎重にトレンドについていく方が良さそうです。

日本市場では、2/8(木)に、今後の経済・物価情勢次第としながらも、「どんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していく」と内田副総裁の発言が報じられ、3月あるいはそれ以降でのマイナス金利政策解除の可能性を示唆する一方で、連続的に利上げするフェーズにはならないことからハト派と受け止められ、10年債金利は低下、日経平均は同日743円の大幅高となりました。翌2/9には日経平均はザラ場中に37287円の高値をつけ、34年ぶりの37000円台回復となりました。

日経平均のバリュエーションに関しては予想PERのヒストリカルなレンジから35300円程度が上限であり、とっくにオーバーバリューとなっています。しかしながら、海外勢の買いはまだ衰えてはおらず、米国市場と同様に売り向かうよりは上昇相場について行く方が良さそうです。
すでにオーバーバリューなのですが、途を無理矢理算出するとしたら、ヒストリカルな予想PERの1標準偏差バンド上限PER20.08倍を(2年先)‘26/3月期の予想EPS1951円で評価した39191円となります。12か月先予想でオーバーバリューなので、さらに期先24か月で評価してフェアバリューを引き上げてマーケットの方にバリュエーションを合わせようという時は経験上あまりろくな展開になったためしがありませんので、プロテクティブプット(先物買い+プット買い)でヘッジを付けたトレンドフォローが良さそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2024年2月2日)

2月第1週の株式市場は、日経平均+1.14%、NYダウ+1.43%、ユーロストックス50+0.41%と3指数とも上昇しました。
月初2/1に開催されたFOMCでは、パウエル議長は会合後の記者会見で、3月利下げの可能性が高いとは考えていないと述べ、NASDAQ総合指数は▲2.23%と落ち込んだものの、金曜日の雇用統計では市場予想+185Kに対して+353Kという非常に強いナンバーが発表され、3月利下げがますます遠のいたにもかかわらず、今度は NASDAQ総合指数+1.74%と、米国経済の強さを好感して株高というちぐはぐなリアクションとなりました。
FOMC後の株安は月末のリバランス要因が大きかったと見たほうがよさそうです。

米国では、NYコミュニティ・バンコープ(NYCB)の10-12月決算が予想外の赤字となり、株価は一時46%安と、米地銀を巡る懸念が再燃しています。また、あおぞら銀行も米国オフィス向け融資の追加引き当てで、2024年3月期決算が15年ぶりの赤字になると発表しており、きな臭さが漂っていますが、マーケットでは今のところ個別企業も問題として限定的に反応しています。

コロナショックでのWFH(work from homw 在宅勤務)の広がりで、オフィスの空室率は上昇、ポストコロナでもオフィス需要は回復せず、2023年3月にはリーマンショック時を超える空室率19%を記録しました。カテゴリー別で見た米国REIT指数では、オフィスREIT指数は2022年後半にはコロナショック時の安値を割り込んでしまい、最高値を更新した株価とは真逆の様相となっています。
一方で、コロナショック時にはAmazonなどの配達需要が増したことから、物流施設の空きは極端になくなり、結果、業務用倉庫REIT指数の価格は大きく上昇しました。市場規模の近いオフィスと倉庫がそれぞれ真逆に動き、全体として米国のREIT指数は横ばいで推移というのがコロナ後の状況です。

「商業用不動産がヤバい」、といえば確かにその通りなのですが、一方その裏で物流施設は絶好調だったわけですから、商業用不動産の不振が今後のなんとかショックに該当するリスクとなるとは考えにくいと思われます。実際に、ハイイールドスプレッドは3.7%まで縮小しており、CLO指数も上昇していることから、マーケットではニュース記事ほど危機感を抱いているわけではなく、ハイイールドスプレッドなどの「炭鉱のカナリア」指数が動くまでは気にする必要はなさそうです。

さて、週明けの日本市場はSQ週となっています。先月のSQ週はオプション建玉こそ少なかったものの、2199円の大幅高となりました。今月はコール37500の建玉が急増しており、二匹目のドジョウを狙えるかもしれません。


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ウィークリーレポート(2024年1月26日)

1月第4週の株式市場は、日経平均▲0.59%、NYダウ+0.65%、ユーロストックス50+4.20%と、これまでの日本株選好がいったん逆流する形となりました。
1/23の日銀政策決定会合では、市場予想通り現状維持となりましたが、その後の記者会見で、「目標見通せれば、マイナス金利含む緩和策の継続の是非検討」、「マイナス金利、ある程度の副作用は否定できない」、「展望リポートない会合でも政策変更はありうる」など、マイナス金利解除を意識したタカ派な印象を受け、ドル為替レートは会合前高値148円55銭から一時147円割れまで円高となりました。

また、翌日1/24の夕方には、中国人民銀行による預金準備率引き下げのニュースが流れ、上述の日銀の引き締め観測と中国の金融緩和が、年始から顕著になっていた中国株売り/日本株買いの向かい風となり、日経平均株価が▲0.59%と反落する一方で上海総合指数は+2.75%と急反発となりました。
また、中国市場へのエクスポージャーの大きいアディダスやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなどが反発し、欧州株も上昇しました。

年初からのトレンドの逆回転相場がどれだけ続くかですが、2018年の急騰チャートを踏襲する動きが継続しています。投資部門別売買動向では、~1/12の週で信託銀行2959億円の売り越しとなっており、やはり年金のリバランスが想像されます。月末を過ぎても弱いようなら2月SQ週にかけて年初の33000円台までの調整が考えられます。
ボラティリティは相変わらず原資産のダウンサイドに鈍感な状況が続いていますので、先物売り+プットうりのカバードプットがよさそうです。


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ウィークリーレポート(2024年1月19日)

1月第3週の株式市場は、日経平均+1.09%、NYダウ+0.72%、ユーロストックス50▲0.70%と、日本株選好が継続しながらも米国株にも買いが入りました。
日経平均株価は前週比プラスながらも、週間を通して36000円以上の価格帯では売りが優勢となり価格を下げる一方で、35500台では買い意欲が依然として強く、もみ合う形となりました。

先週のレポートに続きの投資部門売買動向を確認すると、現先合計で個人はなんと1兆2186億円のアベノミクス初期以来の大幅売り越しでした。一方、海外投資家は1兆4508億円大幅買い越しとなっており、前週の日経平均6%高は海外勢の買いによるものでした。
震災後の株価の掃除として北海道胆振東部地震(2018)後のパターンとの比較も前週のレポートで取り上げましたが、今回は、明確にオーバーバリューの中での買いという事で、やはり2018年のコースと同様に、海外勢の買いが終わった後は株価の下落となるのではないでしょうか。1/24まで上昇し(高値36116円)その後 2/21まで反落(安値31473円)という予想コースは継続です。

年初からの円安株高でGPIFの推定ポートフォリオは国内株27.9%、国内債20.1%、海外株27.41%、海外債24.48%と、国内債のウェイトが突出して低くなっており、月末にかけてリバランスが意識されることも日経平均の上値を重くする要因となりそうです。

足元のマーケットでは、株価が上昇するとインプライド・ボラティリティが上がり、株価が下落するとインプライド・ボラティリティが下がるというさかさまな状況になっています。この状況では、株価が上昇してもプットオプションが下がりにくい(逆に株価下落時はプットオプション価格が上がりにくい)ため、急落へのプロテクションをかけた原資産買い/プロテクティブ・プット戦略が有効です。
一方で、株価下落時はコールオプションのプレミアム低下が大きい状況ですので、36000円以上の上値は限定的と睨んでカバード・コール戦略もよさそうです。


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ウィークリーレポート(2024年1月12日)

1月第2週の株式市場は、日経平均+6.59%、NYダウ+0.34%、ユーロストックス50+0.37%と、日本株の一人勝ちの様相となりました。

1/12に発表された1月第1週(1/4,1/5)の投資部門売買動向では、現先合計で個人は837億円の売り越し、また海外投資家も1136億円の売り越しとなっており、買い方では自己 555億円、投信612億円、事業法人540億円となりました。投信の買い越しは新NISAでの買付けと思われますが、個人自体は現物だけでも336億円の売り越しとなっており、先週のレポートとは裏腹に依然として逆張り投資家のままのようです。
一方、つみたてNISAについて、対象となっている272銘柄(12/28時点、除ETF)の推定資金フローを見ると、1/11時点で海外株式型への買いが5151億円と急増しており、個人投資家は日本株を処分しつつ海外株購入しています。

バリュエーションとしては、12か月先予想PERのヒストリカルレンジからは1σの35,050円が上限ですが、すでに上方にオーバーシュートしています。リーマンショック以降では、2013年5月、2015年7月も同様にレンジ上限を超える局面がありましたが、その後下落となっており、今回も先々の修正局面に注意が必要な水準です。
テクニカル的にも高値で1/12に十字線が出おり目先天井を示唆していますが、SQ前日の1/11の日本市場引け後にCME日経先物が35790まで一時急騰し、また翌朝のSQ値は36025円と上方に大きく乖離するなどショートカバーのような動きを見た一方で、その後急速に値崩れを起こしながらボラティリティが下がるというショートカバー時特有の動きは無く、引き続き買いが根強い印象を受けました。

不謹慎ながらも震災後の動きという観点でチャートを比較すると、地震発生後から株高となるケースでは北海道胆振東部地震(2018)と相似しており、同じ軌跡をたどるならば36116円(1/24)まで上昇しその後31473円(2/21)まで反落という流れになります。

NY市場では、高値圏のまま騰落レシオ(Breadth Indicator)は売られすぎ水準まで低下しており、連休明けからの反発に期待できます。
海外株高につられて買いフローがもう少し続くとみて36,000越えを狙いに行くにしてもプロテクティブプットがよさそうですし、ボラティリティは高いですが上昇下落両方狙える先物+プットのデルタニュートラルでガンマロング戦略が日の目を見る機会に思えます。


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