ウィークリーレポート(2023年8月10日)

8月第2週の株式市場は、日経平均株価は+0.87%の反発、NYダウ+0.62%の続伸、ユーロストックス50▲0.27%の反発となりました。

8/10 発表の米国CPIは市場予想通り+4.7%(コア、前年比)となりましたが、翌日発表されたPPIは食料・エネルギーをのぞくコア指数で市場予想+2.3%を上回る+2.4%となったことから、長期金利は上昇、前週比+11bpの4.15%となりました。株式市場は根強い物価上昇=堅調な米国経済と受け止め、NYダウが上昇する一方で、金利上昇によるバリュエーション低下からNASDAQ総合指数は▲1.90%と2週続落となりました。
今後のFRBの利上げについてはデータ次第という事になっていますが、肝心の経済データが物価安定のはっきりとした数値を示さない限りは金利高/グロース株の流れが続きそうです。

日本市場に関しては、前週はFitchの米国債格下げショックにより、米系証券の先物手口は連日10000枚超えの売りとなっていましたが、週をまたいで落ち着いたのか、祝日前の8/10木曜日には一転して10000枚超えの買いこしとなっていました。
海外勢の姿勢としては、突発的なリスク事象は、基本的に日本株についてはロングの目線が継続しているといえます。チャートでは32000円をボトムにラインにダブルボトムを形成しているように見え、引き続き7月のレンジの中に留まる動きと見ます。目先の高値の目途は8/1高値33488円、足元の決算を反映したバリュー上限 は34300円となっています。
戦略としては、引き続きプット売り/カバードコールがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年8月4日)

8月第1週の株式市場は、日経平均株価は▲1.73%の反発、NYダウ▲1.11%の続伸、ユーロストックス50▲2.99%の反発となりました。

週初めこそ株高で推移していたものの、8/2水曜日(米国時間8/1引け後)にFitchが米国債の格下げ(AAA→AA+)を発表し、一転、リスクオフの流れとなりました。
米国のソブリン格下げは2011年のS&P以来2度目となります。
2011/8/5のS&Pによる米国債格下げ時は、米国10年債が買われ金利は2.40%から2.06%台まで低下、一方でハイイールドスプレッドは5.16%から6.45%へ拡大し、株価は6%超の下げとなりました。

今回も株安となっており、金曜日時点で1.63%の下落となっていますが、債券市場では、2011年と真逆に米国債が売られ金利が4.02%から4.17%まで上昇、ハイイールドスプレッドは4.38%→4.45%と小幅な上昇にとどまっています。
2011年当時は、リーマンショックからの回復期で社債のデフォルトリスクがまだまだ意識されていた上、ギリシャの債務問題で南欧諸国の国債に厳しい目が向けられていた相場環境の中での、米国債格下げであり、リスクオフの対処としてハイイールド債など高リスク商品を売り、格下げされたとはいえ安全資産である米国債が買われるという動きでした。

翻って、2023年のマクロ状況を見ると、FRBの急速な利上げにもかかわらず、好調な米国経済にインフレ率の鎮静化が長引いている状態ですので、格付けの下がった分だけ米国債は利回りが上乗せされる一方、ハイイールド債などはそのままという、素直に受け止めやすい結果となっています。

株価は、前回同様下落というリアクションになっています。日経平均のオーバーバリュー後の株価推移比較チャートでは、再びレンジ下限まで到達しました。2013年、2015年ともにタイミングの違いはあるものの、(2023年の株価換算で)27600円まで売り込まれており、今回もいずれかのタイミングでそれが来るものとは思います。
しかしながら、8/4金曜の日中取引では、32000円割れの水準では買いが強く、ひとまずは25日線32704円までの反発となるのではないかと思われます。

株価の下落に関しては、震源地のアメリカよりも日本株の下げが大きいことも目を引きます。米系証券が連日10000枚超の先物売りとなっており、また、下落する日本株とは真逆に中国株が上昇していることから、4月からのフローの巻き戻しが起きているとみられ、反発後にそのまま33000円を超えていく展開は難しそうです。

トレード戦略は反発&その後の持ち合い狙いでカバードコール(C32750+先物買い)、あるいは反発後の急落にかけるならプットのバックスプレッドとなります。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年7月28日)

7月第最終週の株式市場は、日経平均株価は+1.41%の反発、NYダウ+0.66%の続伸、ユーロストックス50+1.71%の反発となりました。

FOMCでは25bpの利上げとなりましたが、事前の織り込み具合に加え、今後の利上げに対してパウエル議長が消極的な見解を見せたことで、発表当日は、米国2年債利回りは低下、債券高株高となりました。5月に続いて再度「最後の利上げは買い」モードに入ったように見えます。過去のアノマリーの平均では5%の上昇となっており、2021年の最高値近辺の4800ptが意識されます。

一方、サプライズとなったのが日銀政策決定会合で、会合直前の夜間に出たリーク報道通り、YCCのレンジ目標50bpは維持しつつも柔軟化、無制限の国債買いオペである指値オペの水準を100bpへ後退。代わりに毎月の国債購入額のレンジを大きくとり、50bpを超えても基本的には国債買いオペ増額(QE強化)で対処するというYCC政策の柔軟化を示ました。10年債利回りは一時0.58%まで上昇するものの、指値オペの100bpまで見に行く流れとはならず、為替も141円を回復しました。YCC政策の後退というよりもQE政策の強化として捉えられたようです。
株価も発表直後は32000円を試す下落となったものの、その後引けにかけて反発、NY時間引け時点で、CME日経先物は33000円超となっています。 YCCの修正でも32000円台前半では買いが強いことが確認され、引き続き、レンジの下限から反発の局面と見ます。

前週、ディフェンシブ銘柄が強かったことで気になっていたセクター動向は、NASDAQ100リバランスではなく日銀のYCC修正により、銀行、保険などの金融セクターが強くなり、ローテーションはまた最初からやり直しといった印象で、これも株価サポート材料とも言えます。
戦略としては引き続きプット売り(あるいはファーサイドを合わせて売るブルスプレッド)がメインとなりそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年7月21日)

7月第3週は、日経平均株価は▲0.27%の反落、NYダウ+2.08%の続伸、ユーロストックス50▲0.20%の反落と市場ごとに明暗がわかれました。

週明けにはFOMC、日銀政策決定会合と重要イベントが待ち構えています。FF金利先物市場では7月に25bp利上げを予想していますので、実際に利上げとなってもむしろその後のパウエル議長の会見で、最後の利上げなのかあるいはさらにもう一回残っているのか手がかりを探る展開となりそうです。

金曜日朝に発表された注目の日本6月CPIは、総合指数で市場予想+3.2%を上回り、前年比+3.3%(前月+3.2%)と強い数字となりました。前週に発表された米国の総合CPIは3.0%でしたので、インフレ率は日米逆転となりましたが、日本国債市場では10年債利回りは0.478%とYCC上限の0.50%を試す展開とはならず、警戒はあるものの落ち着いた反応でしたが、同日夕方に”日銀は現時点でYCC修正の必要性乏しいとみている”とのBloomberg報道があり、10年債利回りは0.44%まで下落、観測報道ですでに現状維持を織り込んだ格好となっています。

(Bloomberg)日銀は現時点でYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-21/RY49W3DWX2PS01

どちらのイベントも無風通過となった場合、8月は閑散相場入りの可能性が高く、戦略的にはボラティリティ売りがベストとなります。対内証券投資では海外投資家の日本買いは継続しており、先物を売りながら現物を買うアロケーション変更が続いていると思われます。海外投資家が売りに転じる可能性については、当面は日銀の政策変更がリスクだと思いますので、緩和継続が確認されればやはりレンジ相場継続となりそうです。

セクターローテーションでは、空運や電気・ガス、医薬品などのディフェンシブ銘柄の上昇が目立ちました。NASDAQ100のリバランスに絡んだ米国市場でのグロース株調整が伝播し、日本市場でもグロース株が売られた結果と考えるならば、リスクオフの傾向と捉えるのは早計と言えます。リバランス終了後の火曜日以降の物色動向に注目です。

(Bloomberg) 100%プロテクションETFが登場-米株下落から投資家を完全に保護
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-19/RY0UILT0G1KW01

さて、もう一度Bloombergの記事になりますが、米国市場でダウンサイドに100%プロテクション付きのETFが上場ということが話題になっていました。同ETFの模倣ポートフォリオを試すと、日経先物(あるいは日経225ETF)ロング + ATM 32500プットロング + OTM 33500円コールショートとなります。オプションプレミアムの差で3%ほどのコストが出るため、記事中のETFのように100%保護とはいきませんが、レンジ下限ブレイクからは守られながら、反発は取りに行ける戦略となります。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年7月14日)

7月第2週は、日経平均株価は+0.01%、NYダウ+2.29%、ユーロストックス50+3.86%と反発となりました。
米国では6月の物価指数が発表され、CPI前年比 3.0%(前月4.0%)、PPI前年比 0.1%(前月+1.1%)とインフレの鎮静化がはっきりと認められる数値でした。前週までのFOMCメンバーの追加利上げ発言に水を差すような結果で、どうにも、FRB高官の反応が経済指標に対してワンテンポ遅れているような印象を受けます。
7月のFOMCでは追加利上げ/利上げ見送りの予想が交錯しており見通しは不透明ですが、S&P500株価指数は5月安値から11%上昇しており、NYSE市場の騰落レシオを示すBreadth Indicatorは60%を超えて過熱水準に入ってきましたので、ここからの上値追いには慎重になった方がよいように思えます。

一方、日本市場では、前週の内田副総裁の発言から月末7/28の日銀政策決定会合でのYCC修正観測が台頭してきており、上述の米国CPIの弱いナンバーとも合わさり、ドル円為替レートは先月末の144円台から一時137円台まで急速に円高ドル安が進みました。
月末の政策決定会合の前に、週明け7/21には6月CPIが発表されます。数値が強ければ日銀の政策変更の思惑が高まり、株安、債券安、円高のショック的な動きにもなると思われますし、また、会合への観測報道なども市場を攪乱する恐れもあります。

2015年のチャートパターンを踏襲するならばレンジ下限ですのでここから34000円を目指した反発が期待されます。セクターローテーションの面でも、まだ医薬品や陸運株が買われるフェーズにはなっておらず、また、対外対内証券投資で見る非居住者の株式フローは取得超(日本株買い)が継続していますので、目先の急落を示唆する状況ではなく、週明け会合絡みのニュースで急落する場面があれば、引き続きプット売り戦略か、カバードコール戦略に分があるように見えます。

金融政策修正リスクへのヘッジならば、JGB先物売りや、先月上場したばかりの【2251】NEXT FUNDS JPX国債先物ダブルインバース指数連動型上場投信の買いといった投資手段があります。

(日経)日銀内田副総裁、金利操作修正は「バランスとって判断」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB30ACH0Q3A630C2000000/

(日経)日銀会合「全会一致」崩れる兆し YCC修正で割れる意見
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB135740T10C23A7000000/


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会