ウィークリーレポート(2023年11月10日)

11月第2週の株式市場は、日経平均株価は+1.93%、NYダウ+0.65%、ユーロストックス50が+3.99%と続伸となりました。
米国10年債金利は週間で7bp小幅上昇となったものの4.65%と前月の5%超からは落ち着いた様相です。金曜日にはNYダウは391ドル高と大幅な陽線を引き、前日の下げを否定、目先の強さをうかがわせており、引き続き「最後の利上げは買い」のモードとなっています。

ハイイールドスプレッドは4.27%と今年9月以来の低水準で落ち着いており、VIX指数も14.17ptとこちらも9月以来の低水準で、リスク指標面からは危うさは感じられず、次回12月FOMCまでラリーのケースも考えられます。

11/14には米国10月CPIが発表されます。クリーブランド連銀のCPI Nowでは足元のインフレ率は3.28%まで下がっており、10月CPIの市場予想では前年比3.3%と前月の3.7%から鈍化が見込まれていますので、市場予想通りならもう一段の金利低下/グロース株上昇もあります。

日経平均に関しては、向こう12か月の予想EPSに基づいた上限は、34600円とまだ上値余地があり、6月、9月と失敗した34000円台へ期待が持てます。ストラテジーとしては12月限カバードコール、あるいは33000円のストラドル売りがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年11月3日)

10月最終週の株式市場は、日経平均株価は+1.10%、NYダウ+1.70%、ユーロストックス50が+1.90%と揃って上昇しました。
日銀政策決定会合では、事前報道ほどの政策変更はなく、YCCレンジを据え置きとする一方で、指値オペを廃止しより柔軟に運用できるようにという変更でした。発表後には、前夜に日経新聞社の観測報道での下げ分を回復、JGB先物は前日比で小幅安となったものの、為替は円安の反応で日銀の姿勢がハト派のままだと受け止められました。

FOMCでは利上げを見送り、市場予想通りの据え置きとなりましたが、パウエル議長の会見で、最近の国債利回りの上昇や、それが今後の金融政策にどんな影響を与える得るかについての言及もあったことから、足元の米国長期金利の上昇によりこの先の追加利上げの可能性が下がっていることを好感し、同日の米国10年債は19bp低下、S&P500は1.05%の上昇となりました。
さらに、11/2雇用統計が、市場予想+180Kに対して+150Kと弱含み、また、前回までの統計も下方修正されたことから、実体経済の過熱感の低下が意識され、米国長期金利は4.47%まで急低下となりました。
今年何度目かになる「最後の利上げは買い」の動きとなっています。

当レポートでたびたび触れているNYSE市場の騰落率 Breadth Indocatorは、月末31日の38%から11/3金曜日に56%と急速に上昇、10営業日以内(~11/15)に61.5%を上回れば、Zweig Breadth Thrustという中長期の買いシグナルとなります。前回は4/3にシグナル点灯、7/27の高値4607ptまで11.70%の上昇となっており、仮にシグナルが出るようならば、年末に向けたラリーが期待できます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年10月27日)

10月第4週の株式市場は、日経平均株価は▲0.86%、NYダウ▲2.14%と続落、ECBが政策金利を据え置いた欧州市場でも中東情勢への懸念からユーロストックス50が▲0.26%と7週続落となりました。
米10年債は月曜日に5%タッチ後、著名投資家の発言がきっかけに4.79%まで急速に低下したものの、週半ばには堅調な住宅指標から再度5%目前まで利回りが上昇するなど、ボラタイルな展開となっています。
米国株式市場も、長期金利の乱高下に振り回される展開でしたが、小型株指数のラッセル2000指数は、S&P500のリバウンド局面でも一貫して弱含んでおり、センチメントの弱さを示しています。

週明けは日銀政策決定会合、FOMC がありますが、NYSE市場の騰落レシオ、Breadth Indicatorは木曜日に38%と売られ過ぎゾーンに入っており、FOMCが無風通過となると株価は自然リバウンドとなることが期待されます。
日銀政策決定会合については相変わらず、会合直前に観測記事が出てきており、YCCの再修正を長期金利の水準を見ながら直前に判断すると報道されています。ただし、報道翌日の翌25日債券先物はギャップダウンで始まったものの、その後切り返し前日小幅安となっており、債券市場では食傷気味の様相も見えます。

(Bloomberg)日銀のYCC再修正、長期金利動向を直前まで見極めて判断-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-24/S2YJI4T1UM0W01

日経ボラティリティインデックスは一時24.13%まで上昇しており、また米国VIX指数も21.27%と月初から上昇していますので、中銀イベント通過後のボラティリティ急低下を見込んでボラティリティ売りのポジションも面白そうですが、もう一つのリスク、中東情勢には依然として注意が必要で、リスクオンモードを確認するならば、上述のラッセル2000の反発を確認しながらが無難となりそうです。

足元のリスク要因としては、米国長期金利の上昇と中東情勢があります、前者に関して、CFTCの投機筋建玉を見ると2年、5年、10年、30年、いずれの年限の先物も売りになっており、そのまま解釈するならば、ヘッジファンドは債券売りポジションで金利上昇時に買戻すので、金利上昇へのバッファーとなることが期待されますが、ベーシス取引による建玉が大半という報道もあり、仮に2023年の売り建玉増加がすべてベーシス取引とすると、ヘッジファンドの取引相手は先物ロングポジションですので、この債券先物の買い主体がぶん投げる(手仕舞う)までは債券売り圧力があるとも解釈できます。
FOMC終了後にいったん落ち着く局面となっても、建玉の整理が落ち着くまでは金利上昇圧力が再び再燃する可能性もあり、同指標には注意が必要です。

(Bloomberg)ベーシストレードとは何か、なぜ規制当局を悩ませるのか-QuickTake
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-22/S2T8U0T1UM0W01

日銀に関しては、YCCの再修正(レンジ拡大、指値オペ撤廃)があるならばJGBは下落、円高、株安/銀行株高の動きが予想されます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年10月20日)

10月第3週の株式市場は、日経平均株価は▲3.27%、NYダウ▲1.61%、ユーロストックス50▲2.69%とそろって下落しました。また、中東情勢緊迫に敏感なITA:防衛航空産業ETFも▲1.64%の下落、安全資産である米国長期債も売られ長期金利+30bpとなった一方で、金価格は2.51%と上昇しました。
VIX指数は+2.39ptの2週続伸で21.71%となりました。
金価格の動きからは安全資産への逃避があるように見えるものの、「より高くより長く」というFRBの方針が意識され、米国長期金利の上昇が止まらず、株式市場にも影を落とす形になっています。

長期金利の急上昇で逆イールドが解消されるパターンでは2007年6月のケースがあります。その当時は米10年債利回りが当時の政策金利5.25%を超えたところがピークで、その後半年で3.28%まで下落となりました。ただし、逆イールドを瞬間的に解消した2007年6月の翌7月にパリバショックが起こっています。

長期金利の上昇に対して、株式市場は昨年のような大幅な調整とはなっておらず、結果、米国債に対して相対的に株価が割高となっており、S&P500予想益回りの米国10年債金利に対するスプレッドは、一時0.57%まで縮小しました。1998年8月LTCM破綻前には同スプレッドは▲1.45%まで逆転して株高/債券安だったことを考えると、米国長期金利が現在の政策金利5.5%まで上昇しても同スプレッドは0%近傍で、まだ猶予はあるとも見れます。

債券安から一転して、株売り/債券買いのラッシュが発生するならば、1987年のブラックマンデーを彷彿とさせますし、そのマグマはたまっている状況と思えますが、債券へラッシュするべき号砲となるような、この先のリセッションを意識するような弱い経済指標も大手ヘッジファンドの破綻もないまま、マグマが溜まり続けているように感じます。

目先の動きとしては、NYSE市場のBreadth Indicatorは今週の下落で58から50へ低下したものの、売られ過ぎラインの40割れまでまだ距離あり、引き続き弱含む展開となりそうです。日本市場では、TOPIX が今月安値2217ptラインを割れると7月から形成された大きな三尊天井の形となり、200日線2148ptまで走りそうですので警戒が必要です。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

ウィークリーレポート(2023年10月13日)

10月第2週の株式市場は、日経平均株価は+4.26%、NYダウ+0.79%と反発、ユーロストックス50▲0.20%の4週続落しました。
前週末に勃発したイスラエルとハマスの紛争は、イランなど他国に広がらないとの見方からリスクオフの材料とはならず、むしろ、月曜にシカゴ連銀総裁が、足元の長期金利上昇が経済/インフレを減速させるならFOMCでの利上げ見送りも可能との発言から債券高となり、金利の低下を好感し株高となる展開となりました。
とはいえ、iシェアーズ米国航空宇宙・防衛ETF(ticker:ITA)は前週比+4.39%とNYダウの+0.79%を大幅にアウトパフォームしており、また、WTI原油先物も週間で5.92%高と中東情勢への警戒感を残した状態です。

中東での紛争を無視するとなると、前週末時点でNYSE騰落レシオは売れすぎ水準に達しており、テクニカルな反発局面に入ったと言えます。木曜夜に発表されたCPIが市場予想よりも強く、米国後期金利は上昇したものの、上述のシカゴ連銀総裁の発言による低下分の半値戻し程度であり、一旦は13週線4.28%までの金利低下を見込みます。

米国金利の低下によるセンチメント改善が続くならば、9-12月の株高の季節性から日本株でも上昇が見込まれ、バリュエーション面からは日経平均の上値34932円と、まだ上昇余地はあるものの、東証・名証2市場合計の信用買残が3兆2687億円と最高値を更新、売り買い差し引きのネットでも3兆2687億円と過去最高で、信用倍率5.88倍は2016年1月以来の高水準となっており、2012年-2016年では信用倍率が5倍を超えると株価が天井のシグナルだったので注意が必要です。
中東情勢の緊迫も質への逃避として米国債を支えている側面もあり、緊迫による金利低下からの株高と非常に不安定な経路をたどっていますので、将来的な波乱を考えるならば11月OPはコール・プット両方を買うストラドルの買いがよいかもしれません。あるいは、ATMプット買い+OTMコール買い+1321日経平均連動ETF/225先物買いのプロテクトの付けたカバードコール戦略もあります。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会