プットオプション売り時買い時

要約
・ 強烈なリスクオフ時は日経VIが大きく上昇する
・ オプション価格はボラティティに大きく依存するので、ボラティリティ上昇局面のプットは買い
・ ボラティリティが下落始めたあとのプットオプションは買っても損しやすい

2020年3月の金融市場はリーマンショックやブラックマンデー、または前世紀初頭の世界恐慌が比較としてあげられるほど記録的な暴落となりました。この暴落の中では、株はもちろんの事、REIT、債券までもが換金売りの圧力で値下がりする事態となりました。
このような状態で、値上がりする数少ない商品がプットオプションですが、いつ来るかわからない暴落の為に毎月プレミアムを払い続けるわけにもいきません。数年に一度の暴落の時だけ買いたいというのが、欲深いながらも本音ではないでしょうか。あるいは、数年に一度の暴落が実際に起きたわけですが、今からでも買った方がいいのか、という点も気になります。

図1. 日経平均株価と日経VI指数の推移

数年に一度クラスの暴落時には、恐怖指数と呼ばれる米国VIX指数の急騰がしばしばニュースなどで取り上げられますが、日本にも日経VI指数と言う同種の指数があります。指数の詳細を割愛しますが、米国の恐怖指数と同様に、日経平均株価が急落すると日経VI指数も急騰する性質を持っています。
そこで、日経VI指数35%を超えた時に「リスクオフ状態」になり、リスクオフ状態の時に日経VI指数が25%を割り込むとリスクオフを解除し「平常状態」に戻るシグナルを考えました。

図2. 日経VI指数とリスクオフ状態のイメージ(日経VI>35%、日経VI<25%を閾値とする)

図2を見る限り、過去の暴落局面で適切に「リスクオフ状態」となっているように見えます。
さて、ここで本題に入りますが、このリスクオフ状態でプットオプションを買えば儲かるのかどうか?という点について検証してみました。検証に当たっては以下のルールで取引をした場合の損益を確認してみたいと思います(表1)。

【ルール1】
・平常状態からリスクオフ状態に移行した場合、買いシグナル発生としてプットオプションを購入
・購入対象のプットの限月はシグナル発生日の属する月の翌月が満期日であるプット
・購入対象のプットの行使価格はATM
・購入価格はシグナル発生日の翌日終値
・反対売買は行わずSQ決済をする

2007年1月から2020年4月20日までにデータでは、当該シグナルは12回発生し、7357円の利益となっています。勝率は五分五分ですが、勝ちケースの平均では2520円の利益である一方、負けたケースでは平均▲488円の損失と損失リスクに対してリターンの非常に大きい良い結果となりました。

表1. リスクオフ状態移行時にプットオプションを買った場合の損益

次に、ボラティリティの下落局面でのプット買いのパフォーマンスを見てみましょう。足元では3月16日に60.86まで上昇した日経VI指数も4月17日には35.31まで落ち着いてきました。ボラティリティが大きく下落した状況を強調するため、日経VIが45%を超えると「リスクオフ状態」、リスクオフ状態から日経VIが35%を割れると「平常状態」とし、

【ルール2】
・リスクオフ状態から平常状態に移行した場合、買いシグナル発生としてプットオプションを購入

と少しルールを変えて検証した結果が、表2となります。同じく2007年からのデータで8回のシグナル発生し1勝7敗という散々な結果です。また、唯一の勝ち事例でも負けたケースと同じ程度の利益しかなく、非常に分の悪いトレードという結果でした。

表2. リスクオフ状態から平常状態へ移行した時にプットオプションを買った場合の損益

ブラック=ショールズなどの理論モデルの詳細は省きますが、オプションの価格は想定するボラティリティ(インプライド・ボラティリティ)に大きく依存します。ですので、下落シグナル(今回のケースでは日経VI35%越え)が出た際に買いに行くときは、その後、株価が急落した場合にボラティリティも上昇するので、プットオプションの価格は大きく上昇します。一方で、逆にリスクオフ状態から一息ついて落ち着いてきた段階で買うと、株価が多少下落してもボラティリティの下落がプットオプションの価格上昇を抑え、期待したリターンを産み出しません。

当レポートでは、日経VI指数の水準(35%)を用いて「リスクオフ状態」を決め、バックテストを行いました。当然ながら35%の水準を変えればバックテストの結果は変わります。また、日経VIの水準だけではなく、先物手口情報や投資部門別売買動向、騰落レシオなど様々な指標を用いてシグナルを作ることも可能です。あるいは相場観で売り時(株価の下落)を決めるのも結構です。
肝要なのは、いったんシグナルが出たら躊躇なく「えいや!」と買う事がプットオプションでの利益につながりやすく、株価が一度大きく値下がりし後に落ち着き始めたタイミングで、「この後2番底があるだろうか?」と悩みながら買っても分が悪いという点です。

※日経平均VI指数は下記サイトで確認できます。
・日経平均プロフィル:日経平均ボラティリティー・インデックス
  https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nk225vi
・日本取引所:株価指数リアルタイムグラフ – 日経平均VI
  https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/real_index2&QCODE=145


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

新型コロナウィルスパンデミック後について

要約

  • 4月8日現在、NYダウは過去の暴落パターンを踏襲
  • 今後の展開は、V字回復よりも2~3年の緩やかな回復局面をメインシナリオとして想定
  • 回復局面では、ハイイールド債・コモディティから回復、その後REIT・株が続く
  • 投資もよいが、まずは健康第一

新型コロナウィルスの世界的感染爆発によって生じた金融市場の混乱は、NYダウの下落率で3月16日に歴代4位となる▲12.93%記録するなど、まさに歴史的な暴落といえるものでした。昨年末から4月8日時点までのNYダウの株価をみると、確かに、2008年リーマンショック、1987年ブラックマンデー、1929年世界恐慌、1914年の第一次世界大戦時の暴落と似通った価格推移をしています(図1)。

 

図1. 暴落時のNYダウ推移(2020年1月17日の株価で基準化)

暴落の時はいつも似た形で株価は下がっていきますが、より長くスパンを取ると、暴落後の株価推移はいくつかのパターンに分かれます(図2)。

  1. ひたすら下落が続く世界恐慌パターン
  2. 高値奪回まで2~3年を費やす2009年パターン
  3. 1年程度で高値を取り返すV字回復の第一次世界大戦後のパターン

 

図2. 暴落後のNYダウ推移(2020年1月17日の株価で基準化)

世界恐慌パターンについて

1929年当時、世界各国は金本位制を取っており信用緩和が出来なかったことから資産価格の暴落を止められませんでした。2020年の現代では、FRB、ECB、日銀と主要中央銀行は大量の量的緩和に舵を切っていることから、同様のケースが生じる可能性は非常に低いと考えます。

V字回復パターンについて

1月23日に封鎖された武漢市は4月8日に封鎖が解除され、また、3月9日から封鎖に踏み切ったイタリアも5月4日から段階的な封鎖解除を検討と報じられるなど、概ね2か月程度の都市封鎖でパンデミックは終わるのではないかと希望が見えてきました。
米国は経済対策で最大2兆ドル、日本も経済支援で108兆円の巨額支出を計画しており、仮に2カ月で都市封鎖が終わるならばお釣りがくるような支出にも見え、今後のV字回復の期待が高まります。

しかし、1918年から流行したスペイン風邪(インフルエンザ)は、一度収束したあと、第2波、第3波と流行が来ました。今後、都市封鎖の解除後に、第2波が訪れ、再度封鎖に踏み切る可能性もあります。また、航空会社やボーイングなど、今回のパンデミックによって深手を負った巨大企業も多く、これら企業の債務にまつわる信用不安もこれから発生するものと考えられることから、V字回復は楽観的過ぎる期待と言えます。
スペイン風邪流行中の1918年は株価は上がらず、流行の収まった1919年からNYダウは騰勢を強め、1年で30%上昇しています(その後、第一次世界大戦後の戦後不況を経てバブルへ)。

根拠のある数値ではありませんが、直感的に、世界恐慌パターン 5%、緩慢な回復パターン 75%、 V字回復パターン 20%の確率を想定し、2009年パターンをメインシナリオに据えたいところです。

 

図3. スペイン風邪流行後の米国の株価・経済指標推移

2009年パターンについて

2020年第1四半期の各種アセットの騰落率を見ると、原油価格が▲66%、米国債は+8%と、リーマンショックが発生した2008年第4四半期と非常に近い値になっています。リーマンブラザーズ破綻後の2009年第1四半期では、米国ハイイールド債、金、原油の価格上昇が最も大きく、続く2009年第2四半期に株、REITが反発しました。2020年第2四半期には3月期企業の本決算発表および今期の予想があり、足元の混乱状況では業績予想も織り込みにくく、株は買いにくいことから、2009年と同様にまずはハイイールド、コモディティから上昇するものと考えられます。

 

表1. リーマンショック後の各種アセットの騰落率(円換算)

コモディティに関する上場商品では【1671】原油ETFや【1540】金ETFならば、当社でオプションも取引できますので、ターゲットバイイングなど高ボラティリティを利用したトレードも可能です。
株式への投資なら、2020年第3四半期からがよさそうですが、株価の予想変動率を示す日経VI指数は40.53と高水準にあり、今後も乱高下が予想されます。株価の乱高下に付き合わされるのは嫌だが、2020年の企業業績は悪い/2021年から回復する、というざっくりとした見通しで取引したいのでしたら、日経配当指数先物を利用するのも手です。
足元ではボラタイルな値動きが続きますが、2022年頃には株価は再び高値圏まで回復すると期待します。

(JPX)日経平均・配当指数先物
https://www.jpx.co.jp/derivatives/products/dividend/225-dividend-futures/index.html

ここまで相場について書き連ねてきましたが、現在、日本は緊急事態宣言下にある状況ですので、優先順位として、一に自身の健康、二に自身の仕事、三に投資、ということで、まずは手洗いうがい、マスク着用を忘れないようにしましょう。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ボラティリティの取引なら先物が有利

2月5日のNY市場の暴落により、S&P500指数オプション価格から算出されるVIX指数(通称:恐怖指数)は終値ベースで17.31ptから37.32ptまで跳ね上がりました。この影響で、VIX指数が上がると価格の下がる【2049】NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETNは、前日比80%以上の下落となる見込みとなり、約96%減価した基準価格で早期償還が決定となりました。

・上場廃止等の決定:NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN
http://www.jpx.co.jp/news/1021/20180206-11.html

ところで、【2049】NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETNや【1552】S&P 500 VIX短期先物指数などの商品は、VIX指数そのものと連動するわけではありません。より正確には”VIX先物指数“と連動します。

VIX指数はS&P500指数の全てのOTMオプションから算出されるため、VIX指数と直接連動するポジションを構築することは難しく、そこで、SQ日のVIX指数で決済されるCBOE上場のVIX指数先物を用いた”VIX先物指数“が開発されました。【2049】など上場しているVIX指数関連商品は後者のVIX先物指数(あるいはこのインバース指数等)をベンチマークとしています。

VIX先物指数はVIX指数先物(期近と期先の加重平均)の日次リターンから構成されるため、冒頭で述べたような前日比96%というような途方もない数値が出てきます。

詳細な算出方法については下記リンクにメソドロジーがありますのでそちらを参照ください。

・S&P 500 VIX短期先物インバース日次指数
http://japanese.spindices.com/indices/strategy/sp-500-vix-short-term-futures-inverse-daily-index-er

VIXなどボラティリティ指数関連商品の裏付けとなる資産は実は指数オプションではなく、ボラティリティ指数の先物なのですから、ETFやETNではなく直接ボラティリティ指数先物を取引するという選択肢もあります。

大阪取引所には日経平均のボラティリティ指数である日経VI指数の先物が上場しており、同商品は当社で個人投資家の方も売買できます(参考:2018/2/7現在、当社の日経VI先物の1枚当たりの発注必要証拠金は240,750円となっています)。

再度冒頭の話題に戻りますが、【2049】ETNのベンチマークであるVIX短期先物インバース日次指数は、期近と期先のVIX指数先物の売りを(残存期間が一定になるよう日々リバランスしながら)ロールする戦略と言えますので、非常におおざっぱな模倣ではありますが、日経VI先物の期近を1枚売り、SQ日に買い戻して翌限月を1枚売り直す戦略をとった場合の累積実現損益を下のチャートにまとめました(数値は日本円です)。

証拠金を多めに積んでおくか、ギリギリの金額で攻めるかでリターン(%)は変わりますが、それでも安定的な収益となります。ETF・ETNと違い、証拠金を厚くすることで強制償還されることもなく、また、日次リターン指数と異なりボラティリティ指数の水準そのもので取引するため、ボラティリティが20%⇒40%⇒20%と行って来いになるとちゃんと損益も元に戻ってきますので、ボラティリティ指数関連商品に関しては先物取引が有利です。

参考の為、期近の日経VI先物を1枚売り建てSQで決済を繰り返した場合の損益も下記チャートに記載してあります。こちらは残存が短いため、日経VI指数の影響を強く受けることから収益が大きくブレます。期先売り/買戻し戦略はチャートの期間中うまくいっていますが、それでも潜在的には期先売りSQ決済戦略と同じく大きく損失する可能性がある点には注意が必要です。


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JGBトレーディングフロア(米国債券市場のスティープニングに関して)

昨年末、米国債券市場においてイールドカーブのフラット化が話題となっていましたが、2018年に入り巻き戻しが起きそうな雰囲気が漂っています。
1/5の雇用統計が市場予想に届かなかったことから、2018年の利上げ回数が3回以上ではなく2回にとどまる可能性が出てきました。

これまで、年1回×25bpの利上げにとどめていたFRBは2017年には年3回×25bpと利上げペースを加速させました。好調な米国経済を背景に2018年はさらに利上げが加速するとの思惑から、昨年末はフラットニングが進んでいたわけですが、ここに来て弱い雇用統計に水を差された格好となり、短期債売り/長期債買いのフラットニングポジションの解消が発生、長期債売り(長期金利の上昇)となったものと思われます(日銀の超長期ゾーンの買い入れ減額もこの流れを後押しした模様)。

さて、2018年に年2回しか利上げがなかった場合、10年債利回り-2年債利回りスプレッドはどのくらいになるかと気になります。冒頭の図を見ると、2015年に利上げ開始していよいよ本格的に利上げが始まると思われながらも、結局1回しかしなかった2016年のスプレッドが1%くらいでしたので、このあたりが目途となりそうです。

2015年(利上げ1回):1.45%(年平均)
2016年(利上げ1回):1.00%(年平均)
2017年(利上げ3回):0.91%(年平均)

2018年にリセッションはなく、2年債がFOMC目標金利を上回るとすると、年2回×25bpの利上げで2年債利回りは2%以上となります。一方、長期金利に関しては、目安となる実質経済成長率はアトランタ連銀のGDPNowで3.00%ほどとなっており、10年債利回りが3.00%まで上昇とすると、やはり、スプレッドの上限は1.00%ほどで冒頭のグラフを眺めた感じと同じ水準感になります。

新債券王と呼ばれる著名投資家のジェフリー・ガンドラックは2018年の見通しとして米国10年債利回りが3.25%まで上昇すると発言、元債券王のビル・グロスも負けじと3.00%超えを予測するなど、米国債券市場の下落を見る投資家が多いようですが、日本の債券市場については、日銀はインフレ2%の物価目標をギブアップしておらず、また、足元の物価上昇率は0.9%(全国コアコア、11月)にとどまっていることから、海外債券安につられ国内金利が上昇した場合でも、日本10年国債利回りが+0.10%を上回れば、これまで通り指値オペで対応するものと思われます(その場合、テーパーリング懸念払拭からの円安も同時に起こりそうです)。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ポートフォリオ運用の考え方

分散投資

長期的な資産運用において重要なこととは何でしょうか?

答えは分散投資です。
投資対象の商品を増やすということが最も重要なのですが、その動きが似ていると分散にはなりません。分散投資で重要なのは価格の動きが異なる資産に資金を分散するということです。

それらの組み合わせにより、価格変動のリスクを低減させてリターンを上向かせることがポートフォリオ運用の醍醐味です。

もう一つ重要な分散に時間の分散があります。投資するタイミングを分けて、価格変動のリスクを分散させます。それにより、買ったタイミングが最高値であったというようなことを防ぐことが出来ます。月一回定額の資産購入を行う積立投資などがそれにあたります。

今回は商品の分散に関して取り上げます。

下のようなグラフをご覧になられたことはあるでしょうか?
これは様々な商品に分散投資した場合の期待リターンとリスクを表したグラフです。具体的には国内株式、国内債券、海外株式、海外債券、短期資産を色々な比率で組み合わせて作ったもので、同一のリスクで最高のリターンが得られる点をつないで作ったものです。これは効率的フロンティアと呼ばれます。

リスクとリターンのバランスを考え、どう運用したいかを考えると、どの資産をどの程度組み込めば良いかが分かり、その比率に基づき、ポートフォリオの運用を行います。

このような曲線を作るためには、各商品のリスクと期待リターン、そして商品ごとの関係性のデータが必要となります。そしてこの手法では期待リターンがどの程度かを推測するのが、非常に重要となります。
通常、株価データは取得しやすいのですが、長期的な債券のデータの取得は難しいため、ここではGPIFのページにあるデータを利用しています。

ここからは関係性の低い資産の組み入れの重要性を見てみたいと思います。
例えば追加資産として、期待リターンが4%、リスクが8%、他の資産との相関が低いものを取り込んだとしてみましょう(他資産との相関は0.1から0.3にして(相関が小さめ)、type2(赤線)としてグラフに効率的フロンティアを表示しました)。
すると、先ほど見たポートフォリオよりも、リスクに対して高いリターンが期待できるポートフォリオが作れることが分かります。

他の資産と動きが異なるという話が出ましたが、その効果を見てみましょう。
先程は期待リターンが4%、リスクが8%、他資産との相関を0.1から0.3の商品を加えてみましたが、期待リターンとリスクは同じで、他資産との相関を0.8から0.9に変えて効率的フロンティアを作成したのが次のチャートです(type3(緑線))。
他の資産と動きが異なる資産を付け加えたポートフォリオを表す赤い線よりも、新たに付け加えた緑線の方が同じリスクを取っても期待リターンが小さいことが分かります。

このように、ポートフォリオの作成の際には複数の商品に分散すること、そしてその商品間の動きが異なるものに投資するということに気を付けたいところです。
そのような商品を選ぶという部分で、当社の取り扱っているヘッジファンドのような商品は株式や債券などとは異なる動きをとるため、ポートフォリオのパフォーマンスを向上させる要因となります。

リスク・パリティという考え方

ここまでは資産の期待リターンとリスクを想定して、商品間の相関も見てポートフォリオを作る方法を説明してきました。
この過程で難しいことの一つが期待リターンをどのように見積もるかです。どのようにリターンを見積もるかで大きくポートフォリオの配分が変わってくるのですが、将来どうなるかというのを正確に測ることはできません。
また、もう一つの問題点としてリスクの大きい商品に投資が偏りがちなことが挙げられます。例えばポートフォリオの分散事例では、株式と債券に50%ずつ資産を配分するというようなものが多いのですが、そのように分散すると、ポートフォリオのリスクが株式に偏りがちになります。
それを補うのがリスク・パリティという考え方です。リスク・パリティでは推測しにくい期待リターンは重視せず、商品間のリスクをそろえるように資産を配分を行いポートフォリオを作成します。


本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言を行うものでもありません。本資料は信頼できると判断した情報源から入手した情報・データをもとに作成しておりますが、これらの情報・データなどまた本資料の内容の正確性、適時性、完全性などを保証するものではありません。情報が不完全な場合又は要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデータ・統計などのうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり、予告なしに変更されます。運用方針・資産配分などは、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいはほしょうするものではありません。光世証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会