週末に日経新聞を読んでいると「日本企業のROE(自己資本利益率)はなぜ1桁なのか?」(http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19367580Y7A720C1000000/)という記事がありました。この記事は日本企業が低ROEであることに触れ、デュポン分解と呼ばれる3つの要素を見て、低レバレッジ、不要資産の保有が日本企業のROEを低くしているとの見方を示しています。
それと同時期に、ROEを重視した指数として鳴り物入りで作成されたJPX日経400指数とTOPIXのチャートを重ねてみていました(算出開始の2014年1月6日~)。JPX日経400指数が断然良い成績となっているのかと思いきや、若干TOPIXを下回る成績となっていました(表1参照)。
これを見ると、ROEを見ても運用のパフォーマンスには影響がないように思えます。そこでTOPIX500指数を使って、2007年7月~2017年7月末までの期間で、ROEのトップ10%、ボトム10%の銘柄のポートフォリオを作成し、年1回銘柄を入れ替えるという方法で両方のパフォーマンスを作ってみました。それが表2です。
残念ながら高ROEの方が低ROEよりもパフォーマンスが悪くなっております。では米国ではどうでしょうか?そう思いS&P500指数を使って同様のことを行ってみました(表3)。
表2.TOPIX500の低ROE(青)、高ROE(赤)、TOPIX(緑)
表3.S&P500指数の低ROE(青)、高ROE(赤)、S&P500(緑)
S&P500を見ると見事に高ROE銘柄がすべてをアウトパフォームしています。
さてこの理由はというとなかなか難しいところです。一つヒントとなるのは銘柄入れ替えの割合が挙げられるかもしれません。表4に高ROE銘柄の入れ替え割合を示したのですが、平均して日本の方が10%ほど銘柄入れ替えの割合が高くなっています。これは高利益銘柄が翌年稼げなくなる可能性が高く、それ故、株価のパフォーマンスが悪いということがいえるのかもしれません。
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