今週の日本株市場
今週の日本株は米国の金利上昇により円安ドル高の動きがあったことから、日経平均株価が一時17,000円に乗せる場面がありました。しかし、米国企業決算の先陣を切り発表されるアルコア決算が悪かったことや、中国の貿易収支の不調から世界景気の成長鈍化が一段と意識されたことから、海外株が下落するとともに為替も戻りを試す展開となり、株価は上値の重い展開となりました。日経平均株価は前週末比-0.02%の16,856円で1週間の取引を終えました。
今週注目された材料
米雇用統計
9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が+15.6万人と予想を下回る値となり、当日の株価は弱含む動きとなりました。しかし、数値は若干弱かったものの、それは雇用がこれまで増加してきた影響で雇用環境は良いとの見方から、月曜日の取引で債券利回りは上昇し、株価は若干高くなりました。発表当日および翌日の動きを合わせてみると、市場に対する影響はフラットという感じで、市場は米国の12月の利上げを織り込む動きとなっています。
第2回米大統領選テレビ討論会
第1回目の討論会で不利だった、ドナルド・トランプ候補がどの程度盛り返せるか注目された第2回でしたが、特筆することなく終わりました。事前にトランプ候補が行った不利な発言が報道されるなどもあり、ヒラリー候補が優勢になりつつあるようです。ウィキリークスがヒラリー候補のメールの暴露を行ったりしていますが、ヒラリー候補の支持率には悪影響は出ていません。NYTimesの世論調査のページを見ると、クリントン候補の支持率が上昇しているというよりも、トランプ候補の支持率が低下しているという傾向が見て取れます。
http://www.nytimes.com/interactive/2016/us/elections/polls.html
中国関連の動き
前週末のレポートでも取り上げたように、国慶節の休暇明けの人民元は下落して取引を開始し、その後も下落が止まらず、連休前の水準である1ドル=6.67元から6.7247元まで低下しました。年初の世界的な株価下落も注目の人民元の下落がきっかけだけに、世界の投資家は再び中国の動向に注目しつつあります。
木曜日に発表された9月の貿易収支で人民元建ての輸出が前年比で-5.6%、ドル建てで-10%となったことが明らかになり、リスクオフの動きとなる場面がありました。人民元安にもかかわらず、中国からの輸出が増えないのは世界の需要低迷を表しているのは明らかとの見解が多くありました。
原油価格
OPECの減産合意に引き続き、ロシアのプーチン大統領が減産に協力すると意思を示したことから、WTI原油は約4か月ぶりに50ドルを回復しました。しかしその後は、9月のOPECの産油量が増加していたことなどから、利食いの動きなどが見られ、一気にレンジを上抜ける展開とはなりませんでした。
セクター・スタイルインデックス
日本株のセクター動向は、上昇が鉱業、水産農林、情報通信、下落が鉄鋼、銀行、空運となりました。原油価格の上昇で鉱業は利益改善見込みから上昇し、空運はコスト増を嫌気し下落しました。水産農林は前週末好決算を発表したサカタのタネ(1377)の上昇にけん引されました。
スタイルインデックスでは大きなブレはありませんが、東証2部、TOPIXスモールが堅調な一方、マザーズ指数が下落率トップになるなど、小型株でもパフォーマンスの差が出ています。マザーズは依然として年初来でプラスであるため、利益が出ている銘柄を売り、その資金をIPO銘柄などへの投資に充てる動きがあるのかも知れません。
今後の見通し
来週は、米国企業決算が本格化します。先陣を切って発表されたアルコアの決算は悪かったものの、前四半期で好調な決算だったハイテク関連が来週後半にかけて発表されるため、ここで米国の株価が持ち直せるかが一つのカギになると見られます。
また、日本企業の決算発表も徐々に開始されます。円高の悪影響やインバウンド消費が声高に叫ばれますが、一方ではARVRや人工知能など新たな技術の流通と共に、半導体などの需要が高まっているという現実もあり、好調な部分にも目を向けたいところです。
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