ウィークリーレポート(2024年8月23日)

8月第4週の日経平均は週間で+0.79%、NYダウは+0.11%、ユーロストックス50+0.05%と、前週の大幅高の後だけに小幅な動きとなりました。

ジャクソンホールを前に足踏みとなった株式市場ですが、パウエル講演では「主要政策金利を引き下げる時が来た 」と9月FOMCでの利下げに明確なシグナルを送り、米国10年債利回りは前日比5bpt低下の3.79%、2年債利回りは8bp低下に3.91%と金利低下、為替市場では対ドルで円は一時144.05円まで円高ドル安となりました。VIX指数も前日比1.69pt下落の15.86ptまで低下し、利下げ期待によるゴルディロックス相場の反応となりました。
NYダウ、ナスダック総合指数ともに前日比上昇となりましたが、日経平均先物の夜間市場では円高が重しとなり金曜日中終値比▲130円安と反落しました。
IMM通貨先物市場の投機筋ポジションは22770枚の円買い越しとなっており、前週からやや減ったもののの、依然として円高へのベットに傾いており、9月FOMCへ向かって円買い/日本株売りの流れになる可能性もあります、

チャートパターンを見ると、強烈なリバウンドは2011年の震災時のコースを踏襲していますが、同じコースならば下落に転じる頃合いです。とはいえ下値目途は36630円までで2番底を目指すには浅く、軽い押し目といった水準です。日経VIは前週▲1.16ptの25.38ptまで低下しており、トレンドとしては落ち着きを取り戻す方向ですが、依然としてインプライドボラティリティ(オプションプレミアム)は平時よりも高い水準ですので、下落するようならば37500を中心レンジに想定したオプション売り戦略が良さそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年8月16日)

8月第3週の日経平均は週間で+8.68%と大幅高となりました。NYダウは+3.92%、ユーロストックス50+5.33%、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)も+10.83%と7月中旬からの下落を無かったことにしようという勢いのリバウンドです。

8/5の暴落から1週間が経過し、各種統計も出てきましたので、記録的な暴落とリバウンドの週の数字を見て見ると、財務省発表の対外対内証券投資では海外勢は日本株を5219億円の買い越しとなっていました。一方、JPX発表の投資部門別売買動向では海外勢は現物先物合計で7730億円の売り越しですが、現物は4953億円の買い越し(先物1兆2683億円の売り越し)となっており、裁定買い残高(≒投機筋先物ポジション)は前週の2兆1105億円から1兆3441円へ7664億円の急減したことも併せると、先物ロングの短期筋はふるい落とされた一方で、現物買いの長期投資家は押し目買いに走っていたことがうかがえます。

信用買い残高について、3兆9635億円と前週比で9086億円の減少となっており、1990年10月以降の統計で最大の減少額となりました。TOPIX採用銘柄を対象に、浮動株比で買い残高の減少額の大きい銘柄から5分位に分けて、それぞれの平均リターン(8/5から8/14までのリバウンド期間)を調べると、買い残高が大きく減ったグループほど上昇率が高く、8/5までの暴落で結果的に信用需給が改善したことがわかります。

【信用買残減少の大きい(小さい)銘柄群の平均騰落率】
1分位: 18.15% / 2分位: 14.86% / 3分位: 12.88% / 4分位: 12.56% / 5分位: 12.38%

(Bloomberg) 円キャリートレード復活の兆し、ヘッジファンドが再開に動く
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-16/SIACBFT0G1KW00

さて、暴落の主因とみられている円キャリートレードですが、「場不安定な状況で利上げしない」といった内田日銀副総裁の発言もあってか、早くも復活の動きが報じられています。しかしながら、IMM通貨先物の投機筋建玉は、NY時間8/13引け時点で23054枚の円買い越しに転じており、投資部門別売買動向の海外勢先物の売り越しと合わせるとやはり完全に元の状態へ回帰を目指しているわけではなさそうです。

日経平均は週間で8%超の大幅高となったことから、1987年ブラックマンデー時の戻り高値を当てはめた36900円をすでに超えており、リバウンドの高さという点では2011年東日本大震災時と似た動きになってきました。このまま2011年コースを想定するならば、目先は36500円-39000円のレンジとなります。また、2013.5.23の暴落時のコースなら39793円が目先の高値として意識されます。

警戒材料としては、毎年恒例のジャクソンホールがあげられますが、ここ数年、メディアで話題になるほどのマーケットインパクトはなく、むしろ夏枯れ相場のなかでこのイベントに動意を求めるもがっかりして終わるという風物詩になっています。今年も、9月利下げへの言及が関心を集めていますが、これまでのFRB高官の発言から逸脱する情報は無いと思われ、ボラティリティ低下イベントと考えています。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2024年8月9日)

日経平均は8/5(月)に終値ベースで▲4451円の下落、翌8/6(火)には3217円高といずれも変動幅歴代1位となる記録的な乱高下となった一週間でしたが、週を終えてみると▲2.17%とよくある下落率に収まりました。
NYダウは▲0.77%、ユーロストックス50+0.69%、NASDAQ総合指数も▲0.35%と先進国の株価は小動きにとどまっています。

財務省発表の対内対外証券投資のデータでは8/8発表(~8/2までの週)の海外投資家の株券等へのフローは6129億円の売り越しとなっていますが、昨年10月からの買い越し額累計は9兆8646億円とまだ高水準にとどまっています。
一方で、今回の暴落の主要因として挙げられている円キャリートレードですが、プロクシとしてCFTCの投機筋建玉を見ると、8/9発表分(8/6火引け後の報告値)は7月第1週の18万9560枚売り越しから11930枚まで急減しており、ほぼほぼ解消されたと見えます。後者の方がより速報性が高いことを考えると、海外投資家の対内証券投資もそれなりに手仕舞いされていると思われ、突発的なニュースは別として、さらなる下げは考えにくい状況と言えます。
また、日経VI指数をみると8/5に高値85.38ptを付けた後、金曜日にはすでに45.28ptとほぼ半減しており、過去に40%以上の高値を付けたケースと比較しても急速に鎮静化していることからも、すでに嵐が通り過ぎた様相が見て取れます。

とはいえ、嵐が通り過ぎた後もしばらくは大波が押し寄せるわけで、一度大きく株価が崩れるとアルケゴスのように破綻するヘッジファンドが出てくる場合や、あるいは様々な投資主体のリバランスなどが発生するため、すんなりとV字回復と行かないのが経験則です。1987年の旧ブラックマンデーとの比較チャートでは、今後31650円-36690円と大き目のレンジが示唆されますし、より深い2番底を付けるなら30203円の安値の可能性もあります。
改めて、日本株の位置を確認しますと、12か月先予想PERをベースにしたレンジでは33,529-39,007円、配当指数先物を用いた予想レンジでは35,493円-41,518円となります。
インプライドボラティリティが落ち着いてきたとは言え、日経VI指数45.28ptは平時と比べるとやはり圧倒的に高水準にありますので、9P32000/9C36000といった広いレンジのストラングル売りが美味しいかもしれません。

メモ:
・ハイイールドスプレッド 前週比▲19bpの3.72%へ縮小。
・(Bloomberg)サーム氏、米国は景気後退に「不快なほど近い」-冷静さが重要とも指摘
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-05/SHR5IRDWRGG000
キャリートレードとは何か、なぜ大打撃を受けたのか- QuickTake
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-07/SHT91TDWX2PS00
・ハリス候補、当選確率(オッズ)でトランプ候補を逆転


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2024年8月2日)

8月第1週の株式市場は、日経平均▲5.98%と大幅下落。週間で5%以上の下げは4月3週以来です。NYダウは▲2.10%と反落、NASDAQ総合指数は▲3.35%と2週続落、ユーロストックス50も▲4.60%の下落となりました。
8/1に発表された新規失業保険申請者件数が市場予想よりも多かったことから米国の景気後退懸念が持ち上がり、また、翌8/2の雇用統計でも市場予想4.1%を上回る4.3%の失業率が発表されたことも株安を後押ししました。ウィークリーレポート(2024年7月19日)
とは言っても、新規失業保険申請件数は足元3か月連続で減少しており、新興国市場に目を向けると、半導体セクターの大きい台湾加権指数▲3.28%、韓国KOSPI▲2.15%は大きく下落している一方で、インドNIFTY+0.12%、インドネシアジャカルタ総合指数▲0.45%、ブラジルボベスパ指数▲0.99%は小幅な動きにとどまっており、フィラデルフィア半導体指数の▲8.8%下落が示す通り、足元の株安は AI(半導体)バブル崩壊という様相です。

主要市場で最も下落率の大きい日本市場ですが、投資部門別売買動向では、7月4週の海外投資家は1兆5759億円の大幅売り越しとなりました。
対内対外証券投資でみると昨年9月以降に海外勢の日本株買いがトレンドになっており、仮にこれまでのトレンドが逆転するならば30000円-33500円の昨年夏ごろのレンジが下落の目途となりそうです。

8/2金曜日の日経平均の下落幅2,216円は1987年のブラックマンデー以来、歴代2位の下落幅となりました。下落率にすると▲5.81%で25位となります。TOPIXは2016年6月以来(Brexit)となる▲6.1%で、1970年以降で15位の下落率です。
TOPIXの6%超下落の方がレアケースといえますので、TOPIXが6%下落した日の終値で日経平均の比較チャートを作りました。
下落前の形状が似ているものは2000年4月のITバブル崩壊し始めの時と2016年6月のBREXITの時です。
前者のコースだと、この後9月中旬ごろに30000円まで下落して30000円-32500円のレンジとなります。
後者の場合だと8/2が安値ですぐリバウンド、8/15に浅い2番底を付けて上昇局面となります。

いずれにしても逆のポジションを取ると日経平均で軽く2000円はやられる値動きとなりますので、かなりファーサイドになりますがC37000売り/P33000円買いでSQまでに下がれば利食いができるポジションを作るのもよさそうです。
また、AI/半導体関連の売りを加速させている理由に、9月利下げが確実視されるようになった米国債への買い需要があると思われ、株から債券へのグレートローテーションに乗るなら、円高も踏まえた為替ヘッジ付き米国債ETF(2621など)への投資が手堅いです。

メモ:
・ハイイールドスプレッド 前週比+47bpの3.91%へ急進。2022年10月の6.09%にはまだ距離がある。
・S&P BDC指数が▲4.58%の急落、2023年3月以来の下落率。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2024年7月26日)

7月第4週の株式市場は、日経平均▲5.98%と大幅下落。週間で5%以上の下げは4月3週以来です。NYダウは+0.75%と4週続伸ですがNASDAQ総合指数は▲2.08%と2週続落、ユーロストックス50は+0.73%と反発しました。
日経平均の下げが大きく、市場全体でリスクオフモードなのかと錯覚しますが、米国ハイイールドスプレッドは3.43%と5月以来の安値圏でとどまっており、クレジット市場は株安に無反応といった具合です。
恐怖指数といわれるVIX指数も米国大統領選挙のスパイクを除けば期近が安いコンタンゴで、スポットだけ上がっている状況からオプション市場でも足元の下落が一時的なものと考えているようです。
急激な株価下落にしては、他の市場は冷静で、これまでFRBの利下げ期待を先回りして過熱していたハイテク株が、行き過ぎたバリュエーションの調整しているだけと見られます。

一方で、日本市場では月末の日銀政策決定会合で利上げ懸念が台頭してきていますが、22年債利回りは0.40%と5月以来の高値水準まで上昇しており利上げを織り込み来ていると思われますので、日銀会合通過でリバウンドとなるかもしれません。リセッションによる本格的な信用収縮ではないので、今回の下落は限定と思われますが、ボラティリティの高い司教となっていますので200日線36685円、52週線35880円あたりにタッチする可能性もあります。

1990年以降のデータで、高値から10%以上調整した日経平均がさらに下落し高値から20%超の下落となったのは1990年代のバブル崩壊時、サブプライムローンの問題が顕在化し始めた2008年1月、2011年3月の東日本大震災時で、それ以外は概ね10%下落した地点からプラスマイナス5%となっています。
上述のようにクレジット市場は無風状態であることから信用不安の顕在化している状況ではなく、1990年代や2008年のようなさらなる下落は除外し、ストラドルの売り戦略をとるのがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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