株式市場概況
フランスの大統領選で中道無派閥のマクロン候補が勝利したことや、米国の雇用統計にて非農業部門雇用者数が21.1万人増と予想を上回る増加となったことなどが好感され、日本株は上昇しました。TOPIXは前週末比+1.96%の1580.71ポイント、日経平均株価は+2.25%の19,883円で1週間の取引を終えました。
セクター別は値上がりが25、値下がりが8となり、上昇率が大きかったのは空運、石油・石炭、鉱業、下落率が大きかったのは海運、繊維、非鉄金属でした。スタイルインデックスはすべて上昇し、TOPIXグロース、TOPIXスモールの上昇が目立ちました。決算発表を受け小型のグロース株へと資金が向かっている可能性が窺えます。
経済指標では日本の消費者態度指数(4月)は43.2(前月43.9)、毎月勤労統計現金給与総額(3月・前年比)は-0.4%(前月+0.4%)を両者ともに前月を下回りました。景気ウォッチャー調査(4月)は久しぶりに回復し、現状判断DIは48.1(前月47.4)、先行き判断DIは48.1(前月47.4)となりました。
中国の貿易収支(4月)は380億ドルの黒字となり予想を10%ほど上回りました。輸入(前年比)は+11.9%(前月+20.3%)、輸出(前年比)は+8%(前月+16.4%)と伸びは前月程ではありませんでした。
今後の見通し
リスクイベントと見られていたフランスの大統領選を無事通過したことから、投資家はリスクオン姿勢を強めました。米国企業の決算では、発表終了したS&P採用企業の75%で利益がアナリストコンセンサスを上回っており、株を買いたい向きは多いと見られます。しかし、歴史的にバリュエーションは高くなっており、その辺りをどのようにとらえるかというのがまず1点目の問題であると考えています。
2点目にここのところの中国株の下落です。上海総合指数は5週連続で下落となっています。中国当局がレバレッジの抑制を図っていることが影響を及ぼしているようです。10年金利もここのところ上昇しており、3.679%と3年ぶりの高水準となっています。世界的に商品価格も冴えず、この引き締めの影響が感じられますが、中国政府は金融市場をうまくコントロールできるのでしょうか?
3点目はカナダの動向です。住宅金融大手で取り付け騒ぎが4月末に起こったのですが、11日にムーディーズが主要6銀行の格付けを1ノッチ引き下げました。理由は過剰消費者債務と住宅価格の高騰で、資産の下落による損失をカナダの銀行が受けやすくなっているとのことです。これまで、中国マネーが様々な国の不動産を買いまわっていたのですが、その動きが終わり、不動産バブルがはじけるようなことがないか注目しておきたいところです。
この辺りの不安があるため、今後、予想外のラリーになる可能性はそれほど高くないように見えます。一方で、企業決算は良好であるため、気を付けながらその流れに乗りたいところです。
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