債券相場は大幅高。日銀がこの日の金融政策決定会合で長期国債買い入れの減額方針を決めた上で、今後1-2年程度の具体的な減額計画は市場参加者の意見を聞いて次回会合で決めると発表したことを受け、目先の需給不安が後退し買いが優勢となった。植田総裁はかねてより「国債買い入れは能動的な政策手段として用いない。政策的に動かすと市場で投機的な動きを引き起こし、政策運営が困難になるリスクがある」と述べており、今回の政策では長期金利の上昇や為替相場の円安変動をおおむね抑えることに成功したようだとの声も聞かれた。ただ一方で、7月の会合に向けて「その時までに出る経済、物価に関するデータや情報次第で、短期金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整することは当然あり得る」とも述べており、今回の決定による金利低下は長く続かないとの見方も少なくはないようだ。
【メモ】
☆植田総裁会見(出所:Bloomberg News)
【7月利上げ観測について】
* その時までに出る経済、物価に関するデータや情報次第で、短期金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整することは当然あり得る
【国債買い入れ】
* 減額する以上、相応の規模になる。
* 金融市場の安定に配慮するため、柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切。
* 長期的に望ましい状態に1-2年では到達できない。
* 国債買い入れは能動的な政策手段として用いない。政策的に動かすと市場で投機的な動きを引き起こし、政策運営が困難になるリスクがある。
* まず1年間分についてスケジュールを大まかに示すことができないかという判断に至った。市場参加者の意見なども伺って丁寧に進めたい。
【円安】
* 最近の円安の動きは物価上振れ要因であり注視している。
【長期金利が一時1.1%まで上昇したことについて】
* 長期のインフレ期待がそこそこ上昇しているため、長期の実質金利もかなり低く、まだマイナスなので、十分緩和的だ。など。