株式市場概況
5月30日~6月3日の動き
日本株は5月末まで堅調に推移し、4月末以来の水準である日経平均株価で17,000円を回復した。しかし、6月に入ると円高ドル安の動きなどから、株価は一気に下落した。週末の日経平均株価は前週末比1.14%安の16,642円となった。
前週末にあったイエレンFRB議長の講演では、「数ヵ月以内での利上げが適切」との発言があった。これまでハト派と見られていた、イエレン議長のこの強気な発言に、株価が下落する場面もあった。しかしそれまであったFRB幹部の発言と比較して、それ程強気でもないと受け止められ、株価は回復した。今週に入り米国の10年金利は低下しており、イエレン議長の発言で利上げの可能性が高まったと見る向きは少ないのかも知れない。
6月1日の夕方に安倍首相が消費増税の延期を表明したが、株価は発表前から下落に転じた。株価の下落の最初の要因は円高だった。その円高の最初の要因は、上述の米国金利の低下だ。その翌日、日銀の佐藤審議委員が一段の利下げには明確に反対だと発言したことが伝わり、円が一段と上昇する場面があった。ドル円は5月30日に1ドル=111.45円をつける場面もあったが、現在は108.80円付近で推移している。
セクター別では、円高ドル安の動きから内需関連が買われ、農林・水産、小売、食料品が上昇した。下落は空運、鉄鋼、証券・商品となった。スタイルインデックスでは前週に引き続き、マザーズ指数が上昇率トップとなった。マザーズ外国部のアキュセラ・インクは5日連続のストップ安のあと寄り付いたが、小型株物色の心理を大きく悪化させる要因とはならなかった。
経済指標
日本の経済指標では、小売売上高(4月・前月比)が0%と予想を上回り、失業率(4月)は前月同様3.2%に、有効求人倍率(4月)は1.34倍と前月の1.3倍を上回った。全世帯家計調査の支出(4月・前年比)は-0.4%と前月の-5.3%から大きく改善、法人企業統計の設備投資(1Q・前年比)は4.2%と前回の8.5%から減少したものの、予想中央値を上回った。
中国の製造業PMI(5月)は50.1と予想を若干上回った。
米国の個人支出(4月・前月比)は1.0%と7年振りの大幅な伸びを見せたが、消費者信頼感指数(5月)は92.6と予想、前月を大幅に下回り、捉え方が難しい内容となった。ISM製造業景気指数(5月)は51.3と前月の50.8を上回り、好調な値となった。ADP雇用統計(5月)は17.3万人増、前月分は15.6万人増から16.6万人増に上方修正された。
今後の注目点
来週はまず米国の雇用統計を受けて、市場がどのような反応が見せるのかが注目される。FFレート先物から計算されるFOMC理事会での利上げ確率は、6月が22%、7月が54%となっている。
その他、中国の経済指標が多く発表される。人民元は1ドル=6.58元となっており、年初の安値レベル1ドル=6.59元に接近中だ。元安を受け、経済指標が徐々に良くなるのかに注目している。
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