連休明け最初の週は、日経平均▲4.11%と大幅安となりました。
連休中に発表された海外経済指標は安定したものでしたが、連休終盤にトランプ大統領の対中貿易協議への強硬な発言が伝わり、5/10には関税引き上げが実施され、日中の株は大きく調整しました。
セクター別では、前回のレポートで述べたように、4月の月間騰落率とは正反対にシクリカル系が売られ、ディフェンシブセクターが相対的にしっかりする展開となりました(表A、B)。
これまでトランプ政権は、2018年7月6日に500億ドル相当の輸入に25%の課税、同年9月24日の2000億ドル相当の輸入に10%の課税と2回にわたって対中国への制裁関税を課してきました。過去のケースを振り返ると、いずれも関税引上げ前に株価は調整し、引き上げ実施後は小幅高で推移しています(図A)。
今回も同様に、しばらくは小康状態の相場が続きそうですが、過去の関税引き上げが日本・中国の景気急減速を招いた事実は既に昨年年末の株価急落ではっきりしていますので、今回の追加関税がどの程度景気を悪化させるかと考えると積極的には買いづらい相場です。
マクロ環境の見通しは今後厳しくなることが予想されるものの、大規模緩和を継続する日銀と引締め政策を中止したFRBなどグローバルな金融環境は依然緩和的であり株価にプラスです。
また、海外投資家は昨年の日本株の大規模な売り越し以降、いまだに買い戻してはおらず、裁定買い残も7559億円と売り残6890億円に肉薄するほど低水準ですので、需給環境もプラスの状況です。
昨年は7月の関税引き上げから株価の急落が始まった10月まで3か月の遅れがありました。今後は経済指標やIMFの見通しなどに注視しながら、ゴルディロックス継続なのかリセッションの入り口なのか見極める神経質な展開となりそうです。
図A.関税引上げ前後の日米中の株価推移(関税引上げ日=100で基準化)