ウィークリーレポート(2024年11月22日)

11月第4週の株式市場は、日経平均▲0.93%の続落、NYダウは+1.96%、ユーロストックス▲0.12%の6週続落となりました。

地政学リスクに振り回された一週間でした。米国の大統領選でトランプ元大統領が勝利したことから、ロシア側はトランプ次期大統領とウクライナ和平条約に関して前向きと融和姿勢を見せる一方で、米国がウクライナに供与しているミサイルでのロシア本土への攻撃を認可したことから、ロシアは自国の核兵器使用ドクトリンを変更、弾道ミサイルをウクライナに発射するなど、膠着していた戦況が俄かにエスカレートしてきており、夜間市場でヘッドラインに反応して一時的に急落する場面が何度かありました。

(Reuters)プーチン氏、トランプ氏とのウクライナ和平協議に前向き=関係筋
https://jp.reuters.com/world/ukraine/6CQK7QXQMZKAPNWYKVVTDH4TEE-2024-11-20/
(Reuters) ロシア、核指針改定 ウクライナ支援の米国に警告
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PKDBQQMULBINXECVTPR7MADTZ4-2024-11-19/
(Reuters) ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用か
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PXA2DAS5IBOOZDKHH6DLPN3DPU-2024-11-21/

2014年2月のクリミア制圧、2022年2月のキエフへの侵攻時の株価の動きを振り返ってみると、NYダウ、日経平均ともにボックス圏内で推移しており、安値を割り込むようなショック相場にはなっていません。
極端な話をすると、クリミアやウクライナがロシアに制圧されようとも米国経済に直接及ぼす影響は軽微で、したがって経済と企業収益を映す株価には影響は出なかったとも言えます。

その、より重要な米国経済ですが、トランプ次期大統領の政策によるインフレ再燃懸念から米国10年債利回りは足元で4.41%と、9月の安値3.59%から上昇しており、経済には逆風となっています。しかしながら、ハイイールドスプレッドは足元2.82%と、8月高値の4.05%からの下落トレンドの中にあり、発行体のデフォルトリスクなどは意識されているように見えません。
したがって、今回のミサイルの応酬に関して、さらにエスカレートしても一時的な下落ですぐに値を戻すものと思われ、短期的な押し目買いの機会となりそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年11月15日)

11月第3週の株式市場は、日経平均▲2.17%の反落、NYダウは▲1.24%、ユーロストックス▲0.16%となりました。
FOMCの利下げペースがこれまでの予想よりも減速するとの見方から米国株は下落となりましたが、2016年のトランプ大統領当選時との比較では、NYダウは前回よりもハイペースで上昇した分、ペース調整に入ったようにも見えます。
日経平均は前回2016年と異なり、日中取引時間を中心に弱含んでいます。
ドル円為替レートは一時、前週比3円24銭安(2.12%安)と円安が進行しました。一方、ドルインデックスは同タイミングで1.56%となっており、トランプ次期大統領の保護貿易的政策への件からドル高となっているものの、日本円はそれ以上に売られている状況です。
債券市場では、同じくトランプ次期政権への警戒感から米国10年債利回りは4.44%へ14bp上昇となりました。日本市場でも米国の金利高につられる形で、10年債利回りは6.3bp上昇の1.07%となりました。ただし、金利の変化率でみると、日本10年債利回りが6.24%の変化率に対して、米10年債利回りは3.28%の変化率と、日本の方が急上昇している印象もあります。

第二次石破内閣の組閣後からのトリプル安については、国見民主党による減税推進の行く末とともに、日本版トラス・ショックの可能性もリスクシナリオで考えた方が良いかもしれません。2022年9月、当時就任したばかりのトラス首相は、インフレ対策として大幅な減税を政策として発表しました。ところが、減税による消費喚起はインフレを加速させる政策であるため、債券市場はさらなる利上げを織り込み急落、英国10年債リ利回りは就任後の2週間で140bp上昇の4.50%となり、また英国ポンドは7.21%の急落となりました。
日本の国債市場は日銀による買い支えがあるため、2週間で100bp以上の急落はないと考えられますが、一方で、為替市場は第二次石破内閣就任の11/11から7.21%円安の164円80銭までの上昇は十分に考えられます。
とはいえ、行き過ぎた円安には財務省の介入もあり、また、日銀も利上げに踏み切りやすくなります。
足元のIMM通貨先物市場での投機筋ポジションは、11月に入り再度円売りに傾いていますので、日銀が再びタカ派な姿勢となれば8月のショックの再来も考えられます。とはいえ、建玉の水準は前回の半分程度ですので、マグニチュードもやはり半分程度に見積もればよさそうです。

(NRI)英トラス前首相が読み誤った金利上昇局面での財政拡張策のリスク:日本への教訓は何か
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/1102

さて、混乱に見舞われた英国市場ですが、大幅減税政策案の撤回後に急反発となっていますので、仮に、日本市場で同様のケースが発生しても一時的なものとして終わる可能性が高く、短期的なヘッジとしてプットオプションの購入で対応するのが良さそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2024年11月8日)

11月第2週の株式市場は、日経平均+3.80%、NYダウは+4.61%、ユーロストックス▲1.52%と日米株価指数は上昇する一方で欧州株は4週続落となりました。

米国大統領選はトランプ元大統領が勝利し返り咲きとなりました。
トランプ氏当選に対して、マーケットは株高/債券安/ドル高で反応しています。2016年、サプライズ的にトランプ氏が大統領に当選した際には、日本時間中こそ混乱はあったものの、その後は年末まで一貫して上昇相場となりました。
VIX先物の期間構造もコンタンゴとなり、また、ハイイールドスプレッドは2.84%と2022年1月以来の低水準まで縮小しており、リスクオンな市場環境を示しています。
2016年の株価推移を踏襲するならば、年末までにNYダウが+5%(45789ドルまで)、日経平均は+9%(42828円まで)の上昇となります。

2016年の相場を振り返ると、トランプ大統領当選後から翌2017年12月末までの1年強の期間で、米国のセクター別指数では、IT関連(+41%)と半導体(+55%)、金融(+43%)が大きくアウトパフォームした一方で、エネルギー関連セクター(+8%)がもっともアンダーパフォームしました。
同期間の東証33業種指数では、米国とは対照的に石油石炭(+93%)が最もパフォーマンスが良く、次いで、非鉄金属(+58%)、ガラス・土石(+54%)となりました。ワーストでは電気・ガス(+9%)、不動産(+15%)、食料品(+20%)となっています。

一方、金利に関しては、米国10年債利回りは同期間で58bp上昇、日本10年国債利回りも9bp上昇となっており、日米ともに債券売り/株買いの期間でした。貴金属は金が+2%とほぼ横ばいで、銀・プラチナはともに-7%と下落、商品では銅先物が42%、WTI原油先物が+35%と上昇しました。

2024年の大統領選では、トランプ元大統領は、法人減税を掲げ、減収分を対中関税引き上げで補うと発言しています。関税の引き上げはそのまま輸入物価を引き上げますのでインフレ要因となり、足元2.4%まで落ち着いてきたインフレが再燃する懸念もあり、債券売りの市場の反応は妥当と思われますが、実際に関税引き上げが行われてから経済指標に反映されるまでにはラグがあります。それまでは、法人減税、FRBへの利下げ圧力を前のめりに織り込むユーフォリアな状態が続くとみてもよさそうです。

バリュエーション面では割高感のある株価ですが、2016年同様、年末までの緩やかな株価上昇を見込むならば、カバードコール戦略がよさそうです。


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ウィークリーレポート(2024年11月1日)

10月第最終週の株式市場は、日経平均+0.37%、NYダウは▲0.15%、ユーロストックス▲1.32%となりました。
11/1(金)夜に発表された雇用統計は、市場予想+100Kに対して+12Kと大きく失望的な内容となりました。これを受け、FF金利先物市場では11月FOMCでの利下げを確実なものと織り込みにいった一方で、長期金利は前日比9bp上昇の4.38%と上昇するなど、ちぐはぐな反応となりました。為替市場も指標発表直後は一時151円80銭まで円高になったものの、すぐに切り返し、153円09銭で取引を終えました。市場では今回の弱い雇用統計は、10月に襲来した大型ハリケーンや大規模なストライキが影響した一時的なものとして消化したようです。

週明けには米国大統領選が行われます。足元、ブックメーカーの掛け率では、ハリス氏がトランプ大統領を再逆転しており選挙結果がどうなるかは依然として不明です。しかしながら、1974年以降のデータでは、大統領選終了後に年末までに株安となったのは、ITバブル崩壊時の2000年、リーマンブラザーズ破綻後の2008年の2階のみで、それ以外はいずれも年末まで株高となっている強いアノマリーがあります。
米国大統領選の結果は、日本の取引時間中に大勢が判明することがほとんどで、2016年にはトランプ大統領当選により乱高下する事態もおこりました。が、結局、その後は株価上昇となっていましたので、今回も、選挙結果に関わらずその後は株高とみてよさそうです。

またボラティリティ市場では、2020年ほどの警戒感はありませんが、それでもS&P500指数が大きく下落してないにもかかわらずバックワーデーションとなっており、これも大統領選終了とともに急速に解消するものと思われます。
現物買い+ATMストラドル売りのポジションがおいしいかもしれません。


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ウィークリーレポート(2024年10月25日)

10月第4週の株式市場は、日経平均▲2.74%、NYダウは▲2.68%、ユーロストックス▲0.87%と3指数とも下落となりました。

日本市場は、米国の金利高につられる形で、債券安、円安となり、株安も併せてトリプル安となりました。週末の10/27に投票日を迎える衆議院選挙で与党の過半数割れ予測が報じられたことも日本売りにつながっているようです。10/23にはTOPIX が11日連続陰線という事で、日本取引時間中の売り圧力が強かったことがわかりますが、対外対内証券投資では9月最終週から10/18の週まで海外勢は4週買い越しとなっており、足元の下落は先物を使った短期筋の売りと見てとれそうです。

(Bloomberg)与党過半数割れなら自民非公認の無所属の協力も必要に-石破政権
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-25/SLUKJ7T0G1KW00

11日連続陰線の記録は1990年以降では歴代2位となります。過去の例では連続陰線を記録したあと10営業日程度でボトムを付け反発となっており、陰の極みの前兆として現れることが多いようです。下値の目途は5%下の36100円で9月安値近辺、タイミングとしては米国大統領選終了後からの反発となります。

衆議院選挙に関する過去の例では、仮に与野党交代となった場合、1993年7月と2009年8月の選挙時の日経平均の動きを見ると、選挙後はいったん売られ、4営業日後から反発となっています。下落率は2%程度で、37240円(52週線37327円)、月末にかけて売り込まれ、11月に入り反発というコースになります。

いずれにせよ、下がったところは買いという流れになりますので、プット売り戦略/ターゲットバイイング戦略が良さそうです。


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