串カツ田中(3547)

 今回のマンスリーレポートでは、2016年9月14日にマザーズ市場に上場した串カツ田中を採り上げます。

基礎情報

 同社は串カツを主とする居酒屋チェーンで、直営店とフランチャイズにより店舗展開しています。物件にはそれほど手をかけず、コストを抑えて利益率の向上を目指しています。現在の出店状況は関東圏が9割弱と偏りがありますが、今後は年40店舗程度のペースで全国的な展開を目指し、中期的には1000店を目指すようです。
 業績に関して、昨年度は売上、利益ともに前期比+50%前後伸びています。今年度の見通しは売上+28%、当期純利益+16.3%です(表1)。直営店の毎月の売上、客数、客単価も発表されており、3月までの分を見ると全店で売り上げは40-50%の伸び、既存店でも売上高は100%を超える月もあるなど、好調な数値となっています(表2)。
 株価に関してはここのところ6,000円前後の狭いレンジで取引されていますが、4月14日に5月末の株式分割(1対2)を発表したため、今後動意づいてくる可能性もあります(チャート1)。

表1.業績(百万・見通しは会社予想)

表2.2017年11月期 前年同月比(直営店)

チャート1 串カツ田中(時価総額、PER)

同業他社比較

 ここでは最近上場した同業他社との、株価のバリュエーションなどを比較してみます。比較対象はヨシックス(3221、2014年12月24日JASDAQに上場)と、鳥貴族(3193、2014年7月10日JASDAQに上場)とします。2社の業績の推移は以下のようになります(表3,4)。
 上場時点での店舗数はヨシックスが約170店、鳥貴族が約360店となっていました。串カツ田中は約140店です。

表3.ヨシックスの業績推移(見通しは会社予想)

表4.鳥貴族の業績推移(見通しは会社予想)

チャート2.ヨシックス

チャート3.鳥貴族

 この3社はコストパフォーマンスが良い飲食店という部分で業態は類似しています。共通していない特徴を挙げると、ヨシックスはフランチャイズ店が少なく、ほとんどが直営店であるということが挙げられます。鳥貴族の異なるとことは、店作りにお金をかけているところです。お互いに異なるのはその元となる地域で、串カツ田中は東京、ヨシックスは名古屋、鳥貴族は大阪となっています。

 上場直後のバリュエーションに目を向けると、串カツ田中の時価総額は現在約90億円(売上見通し51億円、純利益見通し3億円)です。ヨシックスの上場直後の時価総額は約70億円(売上90億円、当期利益5.17億円)、鳥貴族は約100億円(売上146億円、当期利益4.1億円)でした。上場近辺のPERを見ると、串カツ田中は30倍、ヨシックスは14倍、鳥貴族は25倍となっており、ヨシックス以外の2社はPERが高く、その中でも串カツ田中のPERが高くなっています。
 ここでまず思い出していただきたいのはPERで見ると割高な串カツ田中、鳥貴族とヨシックスのビジネスモデルの差です。前2社はフランチャイズ展開を行っています。これは、直営店モデルよりも店舗を早く増やせるメリットがあります。そのため、バリュエーションがフランチャイズ展開を行っている会社の方が高くなります。
串カツ田中と鳥貴族のバリュエーションの差ですが、それは成長段階の差です。串カツ田中はまだ140店舗ほどしかありませんが、鳥貴族は上場直後に400店近くありました。そのため、串カツ田中の方が収益の伸びが高い段階にあるため、高いバリュエーションとなっています。

まとめ

 串カツ田中は成長段階の企業であり、高めのバリュエーションとなっています。その株価を考える上で重要なのは、その成長が維持もしくは加速できるかというところでしょう。
 調査のため、我々は大阪の土佐堀にある串カツ田中に足を運んでみました。同店舗は2015年3月19日と出来て2年経つ店舗なのですが、店は満員でした。会社の事業説明でもあるよう、顧客の年齢層も幅広く、子供さんも来られていました。地域になじんでいるようで、東京の串カツだから大阪で人気が出ないということはないようです。
 このように串カツの本場大阪でも、串カツの知られていない、関東でも人気があるということは、貫啓二社長が仰る様に「串カツが日本を代表する食文化に育つ」ことも可能かもしれません。串カツ屋は大阪以外には少なく、成長余地が大きいとも考えられます。現状のバリュエーションは若干高く見えるかもしれませんが、グロース株としてはそれほどでもなく、長期的な保有で大きなリターンが得られるかもしれません。



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