米政権への不安から若干の調整に(2017年5月3週)

今週の株式市場

トランプ大統領がロシア絡みの調査を避けるためにFBIのコミー前長官を解任したことを嫌気し、株価は下げる展開となりました。TOPIXは前週末比-1.33%の1559.73ポイント、日経平均株価は-1.47%の19,590円で取引を終えました。

リスクオフの動きから米国の10年金利は前週末比9ベーシス低下し2.23%、金利低下からドルが売られ、ドル円は1ドル=113円40銭から1ドル=111円25銭と円高ドル安に動きました。

セクター別では値上がりが8、値下がりが25となりました。上昇率上位は食料品、パルプ紙、水産農林、下落率上位は石油・石炭、鉱業、銀行となりました。内需ディフェンシブが強く、原油が上昇したにもかかわらず原油関連が弱く、米国金利の低下に金融関連が売られました。スタイルインデックスは全て下落。下落率が大きかったのはTOPIXバリュー、TOPIXラージ70、日経平均株価となりました。

日本の経済指標は、1QのGDP(年率前期比・季節調整済み)は2.2%(前期1.2%→1.4%)と予想を上回る伸びとなりました。設備投資が堅調でした。機械受注(3月、前年比)は-0.7%と前月の5.6%と予想を共に下回りました。

中国の経済指標は、小売売上高(4月・前年比)は10.7%、固定資産投資(4月・年初来)は8.9%、鉱工業生産(4月・前年比)は6.5%と全て前月と予想を下回りました。株価も軟調に推移しており、中国経済の先行きに不安を感じる内容となっています。

米国の刑事指標ではNY連銀製造業指数(5月)が-1.0と前月の5.2と予想を下回った一方で、フィラデルフィア連銀製造業指数(同)は38.8と前月の22.2と予想を上回りました。地域別に製造業の業況に差がある内容となっており、米全体を見るISM製造業指数の行方が注目されます。住宅着工許可件数(4月・前月比)は-2.5%と予想を下回りました。一方でNAHB住宅市場指数(5月)は70と最高水準を維持しています。

今後の見通し

トランプ政権を巡る混乱から、米国では減税策などの実施が確実に遅くなるとの見方が浮上し、史上最高値圏にある株式を利食う動きが目立ちました。米国ではトランプ氏の弾劾もあるかも知れないとの見方もあり、先行きが注目されます。トランプ大統領は20日から外遊を行います。その中には、ロシア高官に機密を漏らしたという情報の提供国であるイスラエルも含まれるため、その動向が注目されます。また、24日には先に解任されたコミー前FRB長官の公聴会があります。

この件をロシアンゲート事件と、ウォーターゲート事件と比較する記事が日経新聞のFTの翻訳記事にありました。ウォーターゲート事件においてダウ平均は約41%下落したようですが、当社facebook記事によると(https://www.facebook.com/kosei.co.jp/ 5月15日付

)、その時とは背景は異なるようです。第一にウォーターゲート事件では不法行為を働いた犯人が既に捕まっていたこと、第二にオイルショックの時期と重なっていたようです。政治スキャンダルは株式市場にとって喜ばしいものではないものの、過度に悲観すべきでないと述べられています。

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