株式市場概況
地政学的リスクを意識し、日本株は弱い展開となりました。TOPIXは前週末比-1.51%の1489.77ポイント、日経平均株価は前週末比-1.29%の18,664ポイントで取引を終えました。両指数とも年初来安値を更新する動きとなりました。リスクが意識され始めたのは、トランプ大統領が北朝鮮に関して「北朝鮮の核の脅威を取り除くために、米国が単独行動を採る」との発言を行ったことでした。その後、日本に戻っていた日本の駐韓大使が韓国に帰任したことが「有事の際の対応を考慮しているのだろう」という見解を生じさせ、防衛関連銘柄へと物色の手が伸びるとともに、日本株は弱い展開に転じました。
そして7日金曜日には米国が、毒ガスを使用したシリアに対し、59発のトマホークを打ち込んだことから、一時日経平均で18,500円つける場面もありましたが、株価は反転し底堅い動きとなりました。
セクター別では原油価格が上昇したことから鉱業が続き、それに内需関連の小売、食料品、情報通死因が強くなりました。下落が大きかったのは鉄鋼、銀行、輸送用機器とトランプラリーで好んで物色されていたセクターが売られました。
スタイルインデックスは全てが下落しました。値下がりが大きかったのは1-3月期に高パフォーマンスを見せた小型株の指数であるマザーズ、東証2部、TOPIXスモールでした。
日本の経済指標では日銀短観が発表され、大企業製造の現況DIが12、先行きDIが11、非製造業の現況DIが20、先行きDIが16、設備投資が+0.6%となりました。設備投資の減少が気にかかるところですが、それ以外は堅調です。
米国では自動車販売が減少しており、それが要因で自動車株が弱含みました。米国では自動車ローンがリーマンショック前の水準を超えており、自動車に潜むバブルが少々懸念されており、自動車株は手が出しにくい状況にあります。週末の雇用統計の前哨戦である2月のADP雇用統計は26.3万(前月+29.8万→24.5万)と予想を上回りました。
今後の見通し
今週の注目は米中首脳会談だったのですが、シリアへの爆撃で一気にそちらへと注目が集まりました。米中首脳会談では夕食を取りながら会談がスタートしましたが、トランプ大統領は習近平国家主席との間に「友情が生まれた」と語ったと報道されています。貿易黒字と北朝鮮情勢に関してどのような話が進むかは、明日の朝の報道までは分からない見通しです。また、夕食後に米軍がミサイルを発射したことから、今晩の会談が見通しにくくなっています。優位に階段をすすめようとするトランプ大統領に対して、習国家主席がどのように対応するかも見所です。
今週はロシアでのテロもあり、地政学的リスクが強く認識された週でした。幸い、米国はシリアへの爆撃を一回限りのものだとしており、そうであるなら、株式市場の混乱は近く収まり、月央から月末にかけての企業の決算発表が良い買い場となるのではないでしょうか。
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