株式市場概況
5月16日~5月20日の動き
日本株はドル円が円安ドル高に動いたことや、政策期待から小幅に上昇する展開となった。18日に発表されたFOMC議事録に、経済指標が堅調であるなら政策金利の引き上げがありえると読み取れる記述があった。これまで市場は6月の利上げはないということをメインシナリオに展開しており、利上げを警戒した資金移動が見られた。為替は議事録の内容を受けドル高に推移し、米国株は若干弱含む展開となっている。
日本では14日の朝刊で、安倍首相が消費増税を再び延期することをサミット後に表明する方針を固めたとの報道があったことや、円安ドル高から堅調な展開となった。スズキの燃料不正計測のニュースもあったが、全体には影響を及ぼさなかった。週末の日経平均株価は前週末比+1.97%の1万6,736円で一週間の取引を終えた。
日本の1QGDP(年率・前期比・季節調整済み)は+1.7%(前回分-1.1%→-1.7%)。消費支出の増加が、GDPの伸びを牽引した。しかし、今年はうるう年であるため、数字が大きく出ており、実質的には前期比でゼロ成長と見る向きが多い。機械受注(3月・前年比)は3.2%(前回-0.7%)となり、1-3月期の値は前期比+12.4%だった。4-6月期見通しは前期比-9.3%と、依然弱い数値が想定されている。
米国のニューヨーク連銀製造業調査(5月)は-9.02(前回9.56)と大幅悪化、新規受注の悪化が目立つ。フィラデルフィア連銀製造業景況指数は-1.8(前回-1.6)。6カ月先予想が36.1(前回42.2)と悪化しているのが気にかかる。鉱工業生産(4月・前月比)は0.7%(前回-0.6%→-0.9%)、住宅着工許可(4月・前月比)は3.6%(前回-7.7%→-7.3%)となった。
セクター別では、非鉄金属が上昇率トップとなった。寄与度トップの住友電工が、今期の増益見通しと自社株買いを発表したことが好感され、大幅高したことが要因だ。それに次いだ海運は、運賃の指標であるバルティックドライ指数が、今週は戻り歩調であったことから上昇率が大きくなった。下落率が最も大きかったのは前週に引き続きゴムだった。その他、海運、情報通信、電気ガスなどが下落した。スタイルインデックスではバリュー株の上昇が目立つ一方で、2月以降強さが目立っていたマザーズ指数が主力株の下落の影響から10%強値下がりした。
今後の注目点
19日に成長戦略の素案が発表された。新たな有望成長市場の創造、第4時産業革命の実現と言うことで、IoT・ビッグデータ・AI・ロボットが挙げられている。新たな産業の勃興は、設備の刷新を促すために有効だ。世界的にリーマンショック後に設備投資が行なわれ、設備投資が伸び悩む段階にあるため、これが実現すれば世界的に設備投資が増え、経済環境が一気に好転する可能性もある。総花的な内容などと酷評もあるが、全ての産業に影響を与える戦略と考えると、社会に与えるインパクトは大きく、様々な投資チャンスを生む可能性があり、しっかりと動向をチェックしておきたいところだ。
来週注目の経済指標は、日本では23日の貿易収支と、27日のCPIが注目される。米国では24日の新築住宅販売件数、26日の耐久財受注、27日のGDP2次速報がある。
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