ウィークリーレポート(2020年12月25日)

12月第4週の株式市場はNYダウ+0.07%、ユーロストック50▲0.07%、日経平均▲0.72%と小幅な動きとなりました。欧米市場がクリスマス休暇入りするなか非常に閑散としており、大納会12/30まで動意の乏しい展開が続きそうです。
2020年最後のウィークリーレポートという事で、今年のマーケットを振り返りながら新年の展開を考えてみたいと思います。

2020年は新型コロナウィルス感染症のパンデミックによる株式市場の暴落から巨額の金融緩和・財政出動による株価の急回復と激動の一年でした。2020年12月現在で、米英カナダで既にワクチン接種が始まっており、来年2021年には本格的なワクチン接種の拡大、新規感染者数の減少、経済活動の正常化という良い流れになることを期待します。

株式市場はリーマンショック後のと同様に回復軌道に乗っていますが、2021年には経済活動の正常化に伴い行き過ぎたDXへの是正が起こるのではないかと考えられます。2000年ドットコムバブルの時代には、在庫循環の無いニュー・エコノミー、オールドメディアの駆逐など言われましたが、それから20年経った現在でも景気変動や新聞は健在です。テクノロジーの発展は早いですがそれを使う人間の国民全体としての発展は思ったほど早くないのかもしれません。

世界各国で巨額の金融緩和が継続されることから、DX銘柄の調整に関しては、ハイテク株の下げよりも出遅れセクター(航空、鉄道、資源など)への見直し買いという形で現れる可能性が高いと考えます。

新型コロナウィルスワクチン普及後の株価市場について
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=13064

年明け1月にはバイデン新大統領の就任式があり、グリーン・ニューディール政策に再び注目が集まりそうです。また、日本においても、菅政権はカーボンニュートラル政策を打ち出しており、各国の政策の下、SDGs銘柄の続伸に期待します。

さて、リーマンショック後は1年のリバウンド期間後、2010年は上昇一服、やや乱高下する年となりましたが、今回のコロナショックでは当時をはるかに上回る20兆ドル(2072兆円)以上もの財政・金融支援がなされていることから、引き続き株価は上昇トレンドにあると考えます。
当社ブログ記事で紹介した、いいとこどりの予想EPS(詳細は以下リンク先参照)は足元で1704円まで上昇しており、これをもとに2021年の日経平均レンジを計算すると24,000~31,000円となります。
2021年には是非、日経平均30,000円超えを見たいものです。

ダウ30,000ドルの次は日経30,000円
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=12904

一方で、これらの巨額の資金は国債発行で賄われるため、財政悪化懸念や金融緩和による通貨安などが懸念されますが、為替レートは2国間通貨の相対価値を表しており、各国ともに出口の見えないレベルで大規模に緩和している状況では変動は限定的になると思われます。

この大規模緩和の影響は、他国通貨ではなく資源価格へ反映される可能性はあると思われ、リーマンショック後の資源価格の上昇と比べると、コロナ禍での資源価格の上昇はまだ控えめであることからも、2021年に注目すべきはコモディティの価格動向ではないかと思われます。

2020年4月のWTI原油先物価格がマイナスへ暴落した事件は、商品先物市場における在庫キャパシティの問題を明らかにしました。新型コロナワクチンの普及と経済活動の本格的な再稼働により、在庫減少速度が速まれば、商品先物市場でも在庫を意識することのない買いが先行し価格急騰という流れになるかもしれません。

商品価格の上昇は最終的にCPIの上昇という形で反映されますので、長期国債への影響も懸念されます。しかしながら、同様の議論は、2008年リーマンショック後も繰り広げられていたものの、結局は米国においても2%をわずかに超えるインフレにとどまりました。

インフレの上昇局面で国債下落はあると思われるものの、悲観論者の期待するような暴落とはならず、中銀による買支えで長期金利の上昇は限定的にとどまると思われます。インフレ懸念の下ではむしろ相対的に金に再び注目が集まる可能性の方が高いと考えます。

最期にリスク要因ですが、2022年4月に東証は市場再編を実施しますが、それに先立ち、2020年6月を基準として、上場企業の新たな市場への割り振りを決めます。この変更は、関連する指数(TOPIX、マザーズ、業種別)および指数へ連動するパッシブ運用へ大きな影響を与え、特に、東証一部小型株へ逆風となります。

また、年末には代表的な金利指標Libor公表停止が控えており、年後半にはこういった制度面での変更がリスク要因となるかもしれません。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

JGBトレーディングフロア(2020年12月24日)

債券相場は下落。EUと英国のFTA交渉の大枠合意で米長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが優勢だった。
ただ米国債は、今晩の短縮取引前のアジア時間では小幅のもみ合いとなり、国内債も売り圧力は限られた。また、この日の2年債入札は波乱なく通過した。

【メモ】
☆2年債入札(420回,CPN0.1%)落札結果
最低落札価格100円45銭5厘(-0.127%)、平均落札価格100円45銭8厘(-0.129%)、応札倍率4.18倍(前回3.21倍)。(事前予想中央値100円45銭)


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新型コロナウィルスワクチン普及後の株価市場について

  • 新型コロナウィルスワクチンの接種拡大により、渡航規制解除前からラリーの可能性
  • コロナ禍以前の株価/業績水準を考えると航空株が割安
  • 財務体質の面からも公募実施済みの航空株に妙味

2020年は新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大、これに伴う経済活動への抑止と株価暴落、巨額の金融緩和・財政出動による株価の急回復、と激動の1年でした。2020年12月現在でも、日本では感染第3波の中、飲食店への営業時間短縮要請など為されている状況です。

今年1年を東証33業種別のパフォーマンスで比べると、巣ごもり需要を捉えたその他製品(任天堂)や、リモートワーク関連での情報・通信業、クラウド需要増加が後押しした精密機械(半導体関連)などwithコロナ銘柄上昇した一方、空運業や陸運(鉄道)業などコロナ禍に伴う影響の大きいセクターは値下がりしました。

ところで、2009年、強毒性鳥インフルエンザが発生した際に公表された対策資料には、100年前のスペイン風邪パンデミック時の対応が書かれています。興味深いことに、当時の米国でも劇場や映画館といった人の密集する施設の閉鎖措置が取られており、現在のコロナ禍と重なります。
逆説的になりますが、スペイン風邪パンデミック期に閉鎖された劇場や映画館は、コロナ禍以前の2019年でも依然として存続しており、人は娯楽無しでは生きられないものと痛感します。
ツーリズムを含む、ビジネスとしての娯楽はこれからも生きながらえていくことは間違いありません。

ソース:日銀:鳥インフルエンザから新型インフルエンザ大流行へ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/data/fsc0902a2.pdf

さて、そのツーリズムですが、旅客数の急激な落ち込みから元の水準へ回復するまで、2003年SARS感染拡大時には11か月、2001年の9.11同時多発テロ後には14か月、2008年リーマンショック後には19か月を要しています。
今回のコロナ禍では、国連世界観光連盟はさらに厳しく以前の水準へ戻るまで30カ月から48か月かかると想定しています。ただし、国連世界観光連盟のレポートでも述べられている通り、回復は、1. 旅行者の安心感、2. 各国政府の渡航規制の撤廃度合い、3. 経済状態、に依存するためシナリオは流動的であるとしています。

2020年12月現在、ファイザー及びモデルナの新型コロナウィルスワクチンの接種が開始され始めており、ワクチンが効果を発揮し新規感染者が減少してくれば1. 旅行者は安心して旅客機などの使用ができそうです。また、ワクチンの効果と感染者の減少が確認されれば、各国とも渡航規制を漸次撤廃していくもの思われます。3. 経済状態に関しては、財政出動により下支え効果もあり、2021年の観光業界には明るい兆しが見えてきそうです。


• Scenario 1: recovery in 2½ years (mid-2023)
• Scenario 2: recovery in 3 years (end of 2023)
• Scenario 3: recovery in 4 years (end of 2024)

ソース:UNWTO World Tourism Barometer and Statistical Annex, August/September 2020 (e-unwto.org)
https://www.e-unwto.org/doi/epdf/10.18111/wtobarometereng.2020.18.1.5

株式市場では、実際のイベントに対して先回りして株価が動きます。上述の観光業界の回復過程を考えると、ワクチン接種の拡大、新規感染者数の減少で株価は上昇し始め、政府の渡航規制緩和でSell the factとなるのはよく有り得るシナリオです。

インバウンドに沸いた空運・鉄道株を見ると、小田急(9007)や京王電鉄(9008)など既にコロナ禍以前の高値を抜いている銘柄もある一方、ANA(9202)やJR九州(9142)のように3月安値からリカバリーできていない銘柄もあり、ワクチン接種拡大に伴いこれら出遅れ銘柄への見直し買いが期待できそうです。
2020.3月期までの5年間の平均EPS、平均PERと株価水準を、比較した表2を見ると、コロナ禍以前への水準回復でもっとも上昇余地があるのは次いで東急(9005)、JR九州(9142)、JAL(9201)となりました。
あべのハルカス建造費は全て社債と借入で賄うと言いながら大型増資で借金を返済した近鉄のように、鉄道会社については手元資金の具合によっては公募増資の可能性もあることを考えると、既に大規模な増資をしており財務体質に余裕ができているJALは、2012年増資後からのANA株価上昇のように、ワクチン後の株価回復に期待ができます。

表1. 鉄道・空運株のコロナ前後の株価水準

表2. 鉄道・空運株のコロナ以前の5年平均EPS、PER、株価


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JGBトレーディングフロア(2020年12月23日)

債券相場は引き続き超長期債の上昇が目立った。新型コロナウイルス変異種の感染拡大を受けて米長期金利が低下したことに加えて、クリスマスや年末休暇を控え、10年債利回りのゼロ%を下回る水準を積極的に買い進めにくい中、来年度の20年債の増発見送りなどで需給懸念が後退した超長期ゾーンに資金が集まった。


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JGBトレーディングフロア(2020年12月22日)

債券市場では超長期債中心に上昇。超長期ゾーンを対象にした流動性供給入札が無難に通過したことが材料となった。来年度の国債発行計画での40年債の増発を織り込み、また来年3月の日銀会合での各種施策の点検でイールドカーブのスティープ化を警戒する動きもいったん後退した格好となった。

【メモ】
流動性供給入札(324回、残存期間15.5年超39年未満)
最大利回り格差はマイナス0.000%、平均利回り格差はマイナス0.002%、応札倍率2.64倍(前回3.93倍)


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