ウィークリーレポート(2025年5月16日)

5月第3週、NYダウは+3.41%の反発、日経平均株価+0.67%とユーロストックス50+2.22%はともに5週続伸となりました。

注目されていた米国4月の物価統計は、コアCPIが前年比+2.8%(市場予想+2.8%)、コアPPIが+3.1%(市場予想+3.1%)となりました。週末に対中貿易協議の進展が報道され、5/12(月)に米中が90日間の暫定的に関税率を引き下げで合意が発表されたことから、4月の関税を含めた数値が過去のトピックとなってしまい、指標自体のマーケットへの影響は軽微に終わりました。

(野村総研) 米中が90日間の関税率引き下げで合意する劇的な展開
https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20250512_3.html

米中が相互の高関率を引き下げたことからS&P500は上昇し、Zweig Breadth Thrustの発生後パターンの比較では、2009年3月、2019年1月、2023年11月からのラリーと同様の強い勢いとなっています。2009年はリーマンショック後の大規模金融緩和、2019年、2023年は利上げ終了後の利下げ期待によるラリーでしたので、いずれも背景に金融緩和(期待)があります。FRBが利下げに含みを持たせるかによって今後のラリー継続の可能性も考えられます。

その金融政策に関しては、” Higher for Longer”で政策金利を高止まりさせているFRBとおよび利上げのタイミングをうかがっている日銀とは対照的に、ECBが昨年から7会合連続で利下げをしており(4.5%→2.4%)、独DAXは史上最高値を更新しています。

日本市場では騰落レシオが146ptまで上昇しており加熱状態と言えます。10営業日以内に騰落レシオ92pt未満から140pt以上まで急上昇したケースは過去に2022年7月、2014年11月、2006年8月とあり、いずれもその後は2か月ほど上下5%以内のボックス相場となりました(36000-39000)。
トランプ政権の関税に関して、日本などは7月頭まで、中国は8月中旬まで交渉のための暫定税率となりましたので、すくなくとも7月限オプションまではストラドル売りで大丈夫ではないかと思われます。

Zweig Breadth Thrust(買いシグナル)発生後の比較チャート(2000年からの発生例)

騰落レシオ急騰後のTOPIXの推移


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年5月9日)


5月第2週、日経平均株価は+1.83%と3週続伸、NYダウも▲0.16%、ユーロストックス50は+0.46%といずれも続伸となりました。

5/7 には中国との貿易協議開始との報道で急騰、5/8英国との関税交渉で合意が発表されS&P500は上昇、と関税関連については、高率の相互関税が織り込み済みの反応となっています。今後のづ案サイドリスクとしては、貿易交渉の決裂/エスカレーション、および、既に実施されている関税分の経済への悪影響が考えられます。
週明けには米国4月のCPIとPPIの発表が控えており関税の影響を確認する重要なイベントとなります。
VIX指数は22.30ptと先物期近の22.05ptよりも高いバックワーデーションの状態になっており、VSTOXX指数や日経VI指数がコンタンゴ(spot安/先物高の正常モード)であることを踏まえると、同指標への警戒が高まっていると見られます。
上述の関税マターの織り込み度合いやマーケットの警戒感の強さを考えると、多少インフレ傾向の数値では悪材料通過で上昇要因にとなりそうです。

5月に入り、“Sell in May and go away, don’t come back until St Leger day”(5月に売って、9月半ばのセントレジャー・デーまで市場に戻ってくるな)という相場格言が意識されます。過去には、2013年5月には日経平均が1日で高値から9%超下落した5.23などもあり、5月からの相場は弱いイメージがあります。
しかしながら、2015年-2024年の直近10年間の月次騰落率をまとめると、S&P500は7月に10年間負けなし、(5月に売却し9月に買い戻すまでの)6月-8月のパフォーマンスも8勝2敗と好調に推移ししており、セルインメイの格言は過去のものとなっているかもしれません。
日経平均でも6月-8月は7勝3敗と勝ち越しており、仮に5月に下落したとしても押し目買いとの機会と考えた方が良さそうです。

Zweig Breadth Thrust(買いシグナル)発生後の比較チャート(2000年からの発生例)


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ウィークリーレポート(2025年5月2日)

5月第1週、日経平均株価は+3.15%と3週続伸、NYダウも+3.00%、ユーロストックス50は+2.54%といずれも続伸となりました。
日銀政策決定会合では政策金利を現状維持と据え置いたものの、2%物価目標の実現時期を後ずれしたことから、利上げ時期が遠のいたとし、ドル円為替レートは円安へ145円91銭まで円安となりました。
GW連休中の株式市場は、トランプ大統領の映画関税といった不規則自体はあったものの、堅調な雇用に支えられ株価は上昇しました。週明けにはFOMCが開催されますが、市場コンセンサスは現状維持となっており、FOMCでの波乱はないものと予想されます。
一方で、5/13、5/15の物価統計は4月から始まった関税の影響をみる試金石であり、FOMC以上の警戒感が現れるものと思われます。FOMC経過後にVIX指数が下がるようであれば運だめにプットを買ってみるのも面白いかもしれません。

しかしながら、アノマリーの観点からは、S&P500の調整局面入り比較チャートから見ると、1998年の戻り高値を超えて上昇しており類似性は薄まってきたように思われる一方で、Zweig Bredth Thrustの類似では2012年との比較は5%前後の押し目が入る可能性があるものの下値は限定されており、プット売り戦略が有効かもしれません。

S&P500の調整局面入り時の比較チャート

Zweig Breadth Thrust(買いシグナル)発生後の比較チャート(2000年からの発生例)


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ウィークリーレポート(2025年4月25日)

5月第1週、日経平均株価は+2.81%、NYダウは+2.48%、ユーロストックス50は+4.43%と続伸となりました。
トランプ政権が自動車関税や対中関税引き下げを検討というニュースがトリガーとなり日米欧の主要株価指数は上昇となりました。S&P500の動きを見ると、10%下落調整局面での比較は依然として1998年の動きをトレースしています。トレースが続くならば、反発局面の値幅はほぼほぼ十分であり、再度、下落に注意をする価格帯となります。とはいえ1998年は再度下落するもその後反発し、上昇トレンドに入っています(LTCM破綻後のFRB緊急利下げ)。

(Bloomberg)トランプ氏、対中関税「大幅」引き下げ示唆-中国は全面撤廃求める
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-23/SV6D3ODWX2PS00

(Bloomberg) トランプ米政権、自動車産業を対象とした関税の軽減検討-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-24/SV79K2T0G1KW00

一方で、今週の急激な反発により4/24の米国市場ではZweig Breadth Thrustという稀な買いシグナルが点灯しました。直近では2023年11月に発生しており、5か月で20%超の上昇となりました。2000年以降のシグナル点灯後の動きを比較すると、5月中旬までは上昇となります(~5%)。チャートでは13週線5693pt(あと3.8%の余地)が目安になりそうです。
中旬以降、2003年11月~様にそのまま続伸するのか、2011年10月のようにいったん反落して揉み合うのかケースが分かれますが、中旬には関税発動後の影響の試金石となる米国4月CPIとPPIの発表があり、発表値の影響で上下トレンドが分かれるものと思われます。
いずれにせよ中旬までは強気のスタンスというアノマリーになり、冒頭の1998年との類似性は分かれます。

4/25日の主要通貨別の騰落ランキングでは日本円の下落が大きくなっており、他通貨よりも大きな下落はこれまで溜まった投機筋の円ロングポジションの影響がうかがえます。
トランプ政権が当面融和なスタンスを取ると仮定した場合、株価の上昇もあいまって【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価など、為替ヘッジ無しの外国株ETFが大きくアウトパフォームしそうです。
とはいえ、冒頭のアノマリーは反落を示唆しており、また、不規則に発言が変わっていくトランプリスクを考えるとある程度のヘッジも欲しくなりますので225オプションのコールを売る、変則的なカバードコールもよさそうです。


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ウィークリーレポート(2025年4月18日)

4月第第3週、日経平均株価は+3.41%、NYダウは▲2.66%、ユーロストックス50は+3.09%となりました。
S&P500の動きをベースに見ると、高値から20%近くの下落を付けた後の反発局面入りとなっており、4月末に向けて5600pt弱、日経平均で36000円程度までの回復を目指す動きとなりそうです。
とはいえ、パウエル議長は物価安定を優先し株価の下落で利下げは行わないと発言し、また、前週レポートでもふれたように既に10%の関税は発動している状況で、景気後退リスクが減少したわけでもなく、綾戻しの相場にロングで向かうよりはダウンサイドを気にした方がよいと思われます。

改めて、リセッションリスクはどの程度のリスクなのか見てみたいと思います。
1970年から1980年初頭の米国景気後退局面をスタグフレーション期として見ると、米国10年債利回りは全期間での景気後退時は平均で345bpの利回り低下に対してスタグフレーション期は232bpの低下と下げ幅がマイルドになっています。また、原油に関して、長期データを取るためにWTI原油価格ではなくアラビアライトを指標として計算していますが、スタグフレーション期には▲5.20%とマイルドな下落となっており、債券とコモディティに関しては通常の景気後退時とは異なり緩やかな変動となるようです。

足元の相場状況でどの程度まで下がるのか目安を確認するために、2020年4月から2025年4月17日までの景気拡張期間中の高値に、スタグフレーション期間時の平均下落率をかけて想定安値を算出しました。
NYダウは30274ドルとコロナ後の2022年の安値近辺が目途となります。日経平均は意外にも34422円と、すでに過去のスタグフレーション時の下落率を織り込んだ水準となっています。基準とした70年・80年代が高度経済成長期と重なっていたため下落率が低く見積もられたとも言えますが、NYダウの下落率▲32.75%を当てはめると28397円とやはり2022年株価水準となります。
インフレ時に株式以上の上昇率をみせる金に関しては、意外なことにスタグフレーション時は安全資産と言えず株式と同様に30%超の下落となっています。1990年代以降の低インフレ時代での景気後退局面でも平均26.7%の下落となっており、景気後退に対して強い資産ではありません。
原油については、2022年3月のロシアのウクライナ侵攻時に急騰し高値134ドルを付けていることから、高値からの下落率5%で安値127ドルと、現在値よりも高い数値が出されました。
ドル円については127円18銭と2022年に通過し2023年に安値を付けた水準となります。
総じて、2022年の価格水準あたりが、仮に米国経済がリセッション入りした場合の安値水準としてダウンサイドリスクを考えてみるとよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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