ウィークリーレポート(2025年7月18日)

7月第3週、主要国株式指数は、日経平均が+0.63%、NYダウ▲0.07%、ユーロストックス50▲0.45%といずれも小動きとなりました。

7/20に行われた参院選では与党が敗北、過半数割れの見込みとなったものの、石破首相は続投の意向を示しており、政権交代の機運からの株高とはならなさそうです。また、一方で、財政拡大路線の政党は議席を増やしたものの、減税を実現できるほどの議席数とは言えず、したがって日本版トラス・ショックも無く波乱の無い週明けとなりそうです。

(Bloomberg)参院選で与党大敗、石破首相は続投の意向-政権弱体化で市場不安定に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-20/SZKRPTGQ1YTE00

イベントスケジュールでは月末にかけてFOMC、日銀政策決定会合と金融政策が予定されており、来月にはトランプ関税の発動が始まった4-6月期の決算シーズンとなります。FOMCについては9月の利下げの有無が焦点となっており、7月の会合は特に動意もなく終了しそうであるため、これもまた無風と想定します。
個別銘柄の決算に関しては、関税発動している自動車・鉄鋼などについては、トヨタ株やJFEなど4月の関税ショックの安値水準に近いところに位置しており、こちらもやはり指数レベルではすでに織り込まれているものと思われ、7月後半・8月はいよいよ本格的な夏枯れ相場になりそうな予感です。

ストラテジーとしては日経225オプションのプット売り(ターゲットバイイング)など指数オプション売りがよさそうですが、決算後のIV下落を狙って三菱UFJやトヨタなどのオプション売りポジションもよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年7月11日)

7月第2週、日経平均は▲0.61%、NYダウ▲1.02%と下落、ユーロストックス50は+1.79%と上昇しました。
7/8に相互関税の交渉期限の直前に日本への関税25%が通知されましたが、当日の日経平均は+101円と小幅上昇。リスク要因どころか自動車など個別品目関税と重複されないことが逆に好感されるという逆転現象ともいえる反応となりました。

(NHK)トランプ氏 “日本に関税25%” 今後もギリギリの交渉続く
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250708/k10014856491000.html

改めて日経平均のバリュエーションを確認すると、4月以降の関税(基礎関税10%+自動車関税25%等)が発動しているにもかかわらず、3月末に2017円だった予想EPSは足元2072円まで緩やかに上昇しており、向こう12か月予想PERから算出したレンジは、36330円-42100円となっています。
また、配当指数先物(期先)も823円と3月末の790円から上昇しており、配当指数先物から計算したレンジは39300円-45900円となり、いずれも上値余地がまだある状態と言えます。

日経平均先物と配当指数先物

ファンダメンタルズについては8月第2週から決算シーズンで、4月以降に発動している関税の影響が見えてくるので上述の楽観的な見通しが再確認されるのかあるいは大きく下方修正されるのか、今後の動向に大きな意味を持つので要注意です。が、それまでに大きなイベントとして参議院選挙があります。
1990年以降の参議院選挙で、日経平均が大きく上昇したのが2回あり、ひとつは新進党が躍進した1995年、もう一つが橋本元総理の退任の引き金となった自民党が大敗した1998年7月の選挙です。
足元の報道では、自民党の苦戦が予想され、1995年、1998年の動きを踏襲するなら6月末から+10%の44535円まで上昇が期待できます。

(読売新聞)比例選の序盤情勢…自民大幅減の見通し、国民・参政に勢い【参院選2025】
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20250704-OYT1T50184/

参議院選挙前後の日経平均比較チャート(6月末を100として基準化)

とはいえ、7/11に発表されたカナダへの関税措置については、日本のように織り込み済みという事もなく、S&P500は▲0.33%の下落となっており、アノマリー頼りにロングを振るのには少々ボラタイル、という状況に変わり有りません。
ストラテジーとしては、ダウ先物でヘッジをしながらの日本株買い、あるいはオプションを用いてP36000売り/C42000買い(流石に保守的?)といった安全なレンジを設けたリスクリバーサルがよいでしょう。

(Bloomberg) トランプ米政権、カナダに35%関税率を通知-EUにも近く提示と示唆
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-11/SZ7KW4T0AFB400


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年7月4日)

7月第1週、日経平均は▲0.74%、NYダウ+2.30%、ユーロストックス50▲0.69%と米国株のみ上昇となりました。
6月の相場を振り返ると、月前半は持ち合い局面が続き動意に乏しかったものの後半に株価は上昇に転じ、S&P500は史上最高値を更新となりました。
以前、当レポートで紹介していたS&P500が10%以上の調整局面を迎えたケースの比較チャートでは、1998年のLTCM破綻時の都の類似を指摘していました。その後、5月に入り株価の戻り局面で類似性が薄れてきていましたが、6月最高値を取り返すタイミングが同じとなり、6月後半のS&P500の上昇は、トランプ大統領によるFRBへの利下げ圧力によるもので、1998年の株価の戻りもFRBの緊急利下げであったことから、再びアノマリーを意識したほうが良さそうです。
さて、その6月相場ですが、オプションのストラテジー指数はすべてのストラテジーが上昇したものの、S&P500のロングが最もパフォーマンスがよいという結果でした。しかしながら、リスク/リターンの観点からはATMにプットを売るPUT指数が優れており、上昇局面におけるプット売り戦略は有効といえます。

ウィークリーレポート(2025年5月9日) – TRADING FLOOR
https://kosei.co.jp/wordpress/?p=22915

米国株に関しては、5月の当レポートで書いた、S&P500が10年間7月に負けなし、というのもサポートになるかもしれません。
7/9にはトランプ関税の交渉期限となり、日本を含めた対米貿易黒字国にとってはネガティブな結果が出そうです。

(Bloomberg)【焦点】トランプ関税、90日間の猶予終了で発動迫る-迷走の末 – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-06/SYXZKNDWRGG000

(Bloomberg) トランプ氏、7月9日の期限延長は必要ない-日本車に不満表明
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-29/SYMIYYDWX2PS00

しかしながら、最も関税の影響を受けそうな自動車株(トヨタ、SUBARUなど)は相互関税が発表された4月急落時の安値近辺に位置しており、すでに関税の影響を織り込んだ水準にあります。
分配金捻出売りの需給悪化に関して、NYダウ÷TOPIXのレシオチャートはここ5年で最も下落しており、こちらもすでに織り込みずみと考えれば、週明けは警戒感から上昇したプットを売り向かうのが良いかもしれません。


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ウィークリーレポート(2025年6月27日)

6月第4週、日経平均は+4.55%、NYダウ+3.82%、ユーロストックス50+1.76%と上昇となりました。

イラン・イスラエルの休戦協定の実現に加え、関税問題に関しても米中間での貿易の枠組み合意と報じられ、さらには、関税引き上げの影響を見極めるために政策金利を高く維持しているFRBに対して、次期FRB議長を早々に指名する可能性(利下げ圧力)の報道もあり、これまで懸念されていた地政学リスクなどが急遽、全て解消した1週間でした。

(Bloomberg) 米中、関税休戦への署名を確認-10の貿易相手と合意近いと米商務長官
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-26/SYHDKUDWX2PS00

(Bloomberg) トランプ米大統領、次期FRB議長の早期指名を検討-WSJ紙
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-25/SYFQ20DWLU6800

木曜日に発表された~6/20の週の対外対内証券投資では、海外勢の株式投資が12週ぶりの売り越しとなりました。前週までの11週買い越しは2004年4月の統計開始以来、9位の記録です。過去、海外勢の買いが止まったあとのチャートを確認すると、2005年の郵政解散、2012年アベノミクス解散以外ではおおむね半月で5%超下落となっています。7月に参議院選を控えるものの、郵政解散のような構造改革やアベノミクスのような大規模筋痛緩和が争点になっているわけでなく、したがって今回も同様に下落傾向をたどる可能性が高いと思われます(ただし、チャート自体は2005年と似通っています)。

7/3の日経平均銘柄入れ替えによるパッシブ需要はあるものの、海外投資家の買いもいったん終わり、6月配当の再投資も終わり、前週までのレポートでも触れていたように7月上旬にはETFの分配金捻出売りがあり、需給面では逆風となります。ただし、昨年は7月11日(TOPIX型ETFの分配金確定後)に42426円の高値を付け、その後下落となっています。

前週レポートで述べたようにショートカバー/FOMO(Fear of Missing Out)の動きも強く、目先の需給悪化にベットしようと単純にショートで臨むと担がれる相場になっています。どこまで上値が伸びるか読みにくいショートカバーによる上昇をヘッジしながら、需給悪化の中心となるTOPIXを売る、日経225コール買い/TOPIX先物売りのポジションがいいかもしれません。

(Bloomberg) ウォール街、高リスク株への傾斜強まる-「乗り遅れ」に焦る弱気派
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-26/SYH2M2T0AFB400


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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ウィークリーレポート(2025年6月20日)

6月第3週、日経平均は+1.50%、NYダウ+0.02%、ユーロストックス50▲1.08%と日経平均の一人勝ちとなりました。
米国市場では6月に入りS&P500が月初来で+0.95%こじっかりとしているものの、空売り比率の多い銘柄で構成されたGS MOST Short Rolling指数が月初来で+12.93%と大幅高となっていることから、足元の相場の底堅さはショートカバー主体であり上昇トレンドではないことが見てとれます。日本市場のでも【1321】日経平均連動ETFの信用倍率が0.43倍と2022年8月以来の低水準(売り長)になっており、足元の株価の上昇も海外市場からワンテンポ遅れで流れてきたショートカバーの一環だったと思われます。

FOMC、日銀と中銀イベント過ぎ、スケジュール的には次は7/9の相互関税上乗せ分が話題になりますが、足元はイラン・イスラエル紛争で中東情勢ばかり注目されています。日本ではETFの分配金捻出売りという独自の需給イベントがありますので、先週に続きTOPIX売り/ダウ買いのチャンスを伺うのが良さそうです。

さて、中東情勢に関しては、イスラエルを支援する米国が直接イランへ攻撃を実施しました。
トランプ米大統領、イランの核施設を完全に破壊した-追加攻撃辞さず – Bloomberg

イランへの攻撃はベトナム戦争やイラク戦争など議会承認のもとに行われた戦争ではなく、シリア空爆のような通常の国防費の中で行われる限定的な軍事行動のケースとなります。このような議会承認無しの軍事行動の事例について、軍事行動開始日を100としてS&P500の比較チャートを作成しました。軍事行動開始まで上昇傾向があり、作戦開始からは横ばいの動きとなります。2020年のコロナショックと重なったイラン司令官暗殺のケースを除くと、下落した場合でも5%弱の下落にとどまっており、前週のレポートと同様、引き続き13週線5676pt、日経平均36624円あたりを下値の目途として、押し目待つ、カバードコールあるいはリスクリバーサルなど価格変動のブレにある程度余裕のあるポジションを取るのが良さそうです。


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