ウィークリーレポート(2025年6月27日)

6月第4週、日経平均は+4.55%、NYダウ+3.82%、ユーロストックス50+1.76%と上昇となりました。

イラン・イスラエルの休戦協定の実現に加え、関税問題に関しても米中間での貿易の枠組み合意と報じられ、さらには、関税引き上げの影響を見極めるために政策金利を高く維持しているFRBに対して、次期FRB議長を早々に指名する可能性(利下げ圧力)の報道もあり、これまで懸念されていた地政学リスクなどが急遽、全て解消した1週間でした。

(Bloomberg) 米中、関税休戦への署名を確認-10の貿易相手と合意近いと米商務長官
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-26/SYHDKUDWX2PS00

(Bloomberg) トランプ米大統領、次期FRB議長の早期指名を検討-WSJ紙
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-25/SYFQ20DWLU6800

木曜日に発表された~6/20の週の対外対内証券投資では、海外勢の株式投資が12週ぶりの売り越しとなりました。前週までの11週買い越しは2004年4月の統計開始以来、9位の記録です。過去、海外勢の買いが止まったあとのチャートを確認すると、2005年の郵政解散、2012年アベノミクス解散以外ではおおむね半月で5%超下落となっています。7月に参議院選を控えるものの、郵政解散のような構造改革やアベノミクスのような大規模筋痛緩和が争点になっているわけでなく、したがって今回も同様に下落傾向をたどる可能性が高いと思われます(ただし、チャート自体は2005年と似通っています)。

7/3の日経平均銘柄入れ替えによるパッシブ需要はあるものの、海外投資家の買いもいったん終わり、6月配当の再投資も終わり、前週までのレポートでも触れていたように7月上旬にはETFの分配金捻出売りがあり、需給面では逆風となります。ただし、昨年は7月11日(TOPIX型ETFの分配金確定後)に42426円の高値を付け、その後下落となっています。

前週レポートで述べたようにショートカバー/FOMO(Fear of Missing Out)の動きも強く、目先の需給悪化にベットしようと単純にショートで臨むと担がれる相場になっています。どこまで上値が伸びるか読みにくいショートカバーによる上昇をヘッジしながら、需給悪化の中心となるTOPIXを売る、日経225コール買い/TOPIX先物売りのポジションがいいかもしれません。

(Bloomberg) ウォール街、高リスク株への傾斜強まる-「乗り遅れ」に焦る弱気派
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-26/SYH2M2T0AFB400


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年6月20日)

6月第3週、日経平均は+1.50%、NYダウ+0.02%、ユーロストックス50▲1.08%と日経平均の一人勝ちとなりました。
米国市場では6月に入りS&P500が月初来で+0.95%こじっかりとしているものの、空売り比率の多い銘柄で構成されたGS MOST Short Rolling指数が月初来で+12.93%と大幅高となっていることから、足元の相場の底堅さはショートカバー主体であり上昇トレンドではないことが見てとれます。日本市場のでも【1321】日経平均連動ETFの信用倍率が0.43倍と2022年8月以来の低水準(売り長)になっており、足元の株価の上昇も海外市場からワンテンポ遅れで流れてきたショートカバーの一環だったと思われます。

FOMC、日銀と中銀イベント過ぎ、スケジュール的には次は7/9の相互関税上乗せ分が話題になりますが、足元はイラン・イスラエル紛争で中東情勢ばかり注目されています。日本ではETFの分配金捻出売りという独自の需給イベントがありますので、先週に続きTOPIX売り/ダウ買いのチャンスを伺うのが良さそうです。

さて、中東情勢に関しては、イスラエルを支援する米国が直接イランへ攻撃を実施しました。
トランプ米大統領、イランの核施設を完全に破壊した-追加攻撃辞さず – Bloomberg

イランへの攻撃はベトナム戦争やイラク戦争など議会承認のもとに行われた戦争ではなく、シリア空爆のような通常の国防費の中で行われる限定的な軍事行動のケースとなります。このような議会承認無しの軍事行動の事例について、軍事行動開始日を100としてS&P500の比較チャートを作成しました。軍事行動開始まで上昇傾向があり、作戦開始からは横ばいの動きとなります。2020年のコロナショックと重なったイラン司令官暗殺のケースを除くと、下落した場合でも5%弱の下落にとどまっており、前週のレポートと同様、引き続き13週線5676pt、日経平均36624円あたりを下値の目途として、押し目待つ、カバードコールあるいはリスクリバーサルなど価格変動のブレにある程度余裕のあるポジションを取るのが良さそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年6月13日)

6月第2週、日経平均は+0.25%、NYダウ▲1.32%、ユーロストックス50▲2.57%となりました。

6/13(金)の日本時間にイスラエルによるイラン内の軍事・核開発施設の空爆があり、日経平均は一時、前日比632円安となり日経VI指数も32.10ptの高値を付けました。
中東での戦争からリスクオフとなると湾岸戦争時が想起されます。1990年のイラクによるクウェート侵攻時はS&P500がおおよそ17%下落(直近の株価に当てはめると4月安値と同水準)、原油先物価格は87%上昇となりました(現在の価格で1バレル127ドル相当)。ただし、イランとイスラエルは間にイラク・ヨルダンと別の国があり陸続きではないため2023年からの限定的な紛争の延長として考えると、大きくても5%超の下落にとどまると予想されます。安値目途はS&P500で52週線5748pt、13週線5658pt、日経平均13週線36576円。

日本市場では、週明けには日銀政策決定会合があります。地政学リスクの高まりによるリスクオフの追い風もありましたが、財務省の減額と日銀の買入れ額減額の縮小が期待されており、40年債は単利で3.07%と落ち着いています。市場の超長期債の需給改善期待とは裏腹に、日銀の目線は当然ながら物価に向いており、ノーアクションで期待外れになる可能性も考えられ、アップサイドよりダウンサイドに気を付けたい会合と言えます。

(Bloomberg)日銀はインフレが想定よりやや強めと認識、価格転嫁の継続で-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-13/SXPYSPDWX2PS00

株式市場は来月7月にETFに分配金支払いを控え、資金捻出売りが出てくる需給面で苦しいタイミングでもあります。例年6月中旬からTOPIXがNYダウをアンダーパフォームするので、中東の地政学リスクに振り回されない、日米の指数ペアトレード(ダウ先買い/TPX先物売り)がよいかもしれません。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年6月6日)

6月第1週、日経平均は▲0.59%、NYダウ+1.17%、ユーロストックス50+1.18%とまちまちな展開となりました。
前週に引き続き、トランプ大統領とイーロイン・マスク氏が決別、マスク氏が大統領弾劾を求めるなど、奇想天外なヘッドラインにあふれる一週間でした。しかしながら、マーケットの反応は限定的で、日経平均の週間値幅は547円と、年末年始の休暇を除けば2023年5月以来の動きの乏しさでした。マーケット環境が落ち着いたわけでもなく、VIX指数は週初めに20.45ptを付けるなど2024年の年間平均値15.55ptを上回って推移しており、ヘッドライン疲れから右往左往するのをやめ、経済指標など関税の影響をデータとして確かめるフェーズになったように見え、潜在的なボラティリティは依然として高いように思えます。

見た感じは落ち着いているものの何かまた急変しそうな予感に溢れてる現状で、改めてリスクとの使い方を考えるため、CBOEが算出しているオプションストラテジー指数を確認してみました。

Cboe’s Strategy Benchmarks
https://www.cboe.com/us/indices/benchmark_indices/

同指数のうちS&P500とそのオプションからなるストラテジーをまとめたものが下記表になります。リスク・リターンは昨年11月のトランプ大統領勝利から直近までのものを年率換算しています。
S&P500のバイアンドホールドをリターンで上回ったのはリスクリバーサル指数のみとなりました。
リスク(ボラティリティ)の面で見ると、全ストラテジー指数ともにS&P500のバイアンドホールドより優れていますが、CNDR アイアンコンドルなど一部のストラテジーはそもそもリターンがマイナスとなっています。
リターン÷リスクの指標でみるとリスクリバーサルが最も効率よく、次点でプロテクティブプットとなりました。今後もトランプの不規則発言は続くでしょうし、特に7月は相互関税の暫定措置期間終了などもあり、またダウンサイドリスクを意識する展開が予想されます。買い持ちを外せないならプロテクティブプットを基本ストラテジーとした方が心穏やかに投資できそうです。

リスクリバーサルに関して、日経平均に当てはめてみると、7月限日経225オプションでデルタ±25%の行使価格はそれぞれコール39000円/プット36000円となり、前週でも書いた騰落レシオ急騰後のアノマリーの値幅と一致します。アノマリー通りならば目先反落局面となりますが、7月限満期時点で36000円を下回っていなければプレミアムの差額以上の損失にはなりません。冒頭で、2023年5月以来の値幅の小ささと書きましたが、2023年5月はその後6週間で4614円の急騰となっています。リスクリバーサルなら損失を限定したうえでアップサイドも狙えます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2025年5月30日)

5月最終週、日経平均は+2.17%、NYダウ+1.60%、ユーロストックス50+0.76%と揃って上昇しました。
貿易交渉の遅滞しているEUへ制裁関税の発表と関税措置の延期、米国際貿易裁判所によるトランプ政権の相互関税差し止めと、米連邦控訴裁判所による差し止めの効力停止と、半日で目まぐるしく変わるヘッドラインに振り回された1週間でしたが、日米欧の株価は上昇して週を終えました。
2019年の第1期トランプ政権による対中関税のヘッドライン相場を超える目まぐるしさでしたが、月間でも日経平均+5.33%、NYダウ+3.94%、ユーロストックス50+4.00%とプラスとなっており、マーケットは、短期的にはヘッドラインに反応しても、中長期勢はすっかり食傷気味となっていそうです。

(Reuters)米国株式市場=大幅反発、ダウ740ドル高 対EU関税延期でリスク選好高まる
https://jp.reuters.com/markets/us/3FLFL353RZN37EEBKFDC6RWSMU-2025-05-27/
(読売新聞)トランプ相互関税「復活」…米連邦控訴裁判所、米国際貿易裁の差し止め命令を一時停止
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250530-OYT1T50031/

前週レポートで触れた超長期国債は、財務省が債券市場参加者へヒアリングを行っていると報じられると、発行額減額の期待から債券が買われ、40年債利回りは前週高値3.69%から一時3.11%まで下落となりました。

(Bloomberg)求む国債発行減額、財務省へ圧力強める債券市場-規模と実施時期焦点
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-27/SWWEN4T0AFB400

6月からの株式市場に関してこれまで取り上げてきたアノマリーでは、Zweig Breadth ThrustのパターンではS&P500は2019年1月、2023年11月のリバウンド局面と相似しており、引き続き緩やかな上昇局面と思われます。
また日本市場では、TOPIXチャートが昨年8月、今年4月の下落でWボトムの形状となっており、こちらも上抜け期待が持てます。ただし、6月後半はETFの分配金捻出売りのため、季節的に弱含みやすいので、6月通していってこいの相場になる可能性もあります。騰落レシオ急騰後のパターンとしては36000-39000のレンジが示唆されますので、6月前半はカバードコール、後半はプット買いが良いかもしれません。

Zweig Breadth Thrustのシグナルが出現した後のS&P500比較チャート(2000年以降)

騰落レシオ急騰後のTOPIXの推移


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会