株式市場概況
週末の東京都議会選挙では自民党惨敗の結果となりましたが、市場ではそれほど材料視されませんでしたが、中央銀行の緩和がこれまで考えられていたよりも早く行われるとの見通しが増加したことから売られ、TOPIX指数は前週末比‐0.3%の1,607ポイント、日経平均株価は‐0.52%の19,929円となりました。
セクター別では値上がりが12、値下がりが21、上昇率上位は鉄鋼、輸送用機器、海運、下落率上位はその他製品、不動産、電気ガスとなりました。スタイルインデックスはTOPIXバリュー、東証2部が上昇し、REIT指数、マザーズ、TOPIXグロースの下落が大きくなりました。
前週ドラギ総裁が「デフレ圧力がリフレに変わった」と発言した後、ECBはそのようなことはないと否定に動きましたが、今週木曜日に発表された理事会の議事録で「必要に応じて資産買い入れを拡大する」との従来の文章を削除するかが協議されていたことが明らかになり、欧州各国で10年金利が上昇、フランスでは10ベーシスポイント、ドイツでは9ベーシスポイント、英国でも6ベーシスポイント上げました。
このように中央銀行の約10年継続した金融緩和の終わり、引き締めの始まりの動きを急速に投資家が意識する動きとなったことから、株、債券共に弱い展開となりました。日本国債も10年債が日銀のイールド・カーブ・コントロール上限としていると見られる+0.1%を若干超える場面もあり、今後の展開が注目されます。
今後の見通し
世界的にこれまで株式は堅調な展開が継続していました。これは中央銀行の緩和が長く続くという見通しと、景気、企業業績が良好であるという3つの要因に支えられていました。そのため、ハイテク株の水準などは買われ過ぎにあるとの指摘も多くなされていました。そして今週投資家は中銀の引き締め姿勢に気付きました。そのため買われ過ぎたものが下がる光景が見られ始めました。
この下落が大暴落につながるかというと、そのようなことはないと思います。しかし、元来株式は変動率の高い商品であり、10%程度の調整は当たり前のように起こります。そのため、ここ最近の低ボラティリティに慣れた向きにはちょっと厳しめの下げがもしかしたらみられる場面が来るかもしれません。
しかしそのような局面は押し目買いのチャンスです。中央銀行は焦って金融政策を引き締め方向に変えようとしている訳ではないことは、米国のテーパリングの計画を見ていても分かります。そのため、これまで安心しきっていた人たちの投げが終われば、再び好景気と好業績を好感する相場となると見られます。
このような投資家の売りが強まるかを見るのに、今晩の雇用統計は重要です。もし、予想よりも強い数値が出れば、より株式、債券を売る動きが強くなると見られます。前哨戦のADP雇用統計は予想よりも低い数値となっておりますが、最近は雇用統計との方向感が一致していないため、実際の数値を待ちたいところです。
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