トランプ候補が米大統領選当選で株価は乱高下(2016年11月2週)

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今週の金融市場

今週の株式市場は米国の大統領選挙でトランプ候補が当選したことで、乱高下する場面がありました。当初、クリントン候補が有利と見られ、開票当日、9日の日本株式市場は上昇して取引を開始しましたが、徐々にトランプ氏の獲得票が増えるに従い、金融市場ではリスクオフの動きが進み、株式市場では日経平均株価が前日比で900円超の下げとなり、ドル円は105円前半から101円前半まで円高ドル安が進みました。しかし、トランプ次期大統領の勝利宣言の内容が良かったことから、同日の米国株はトランプ氏が行うと述べていたインフラ投資関連や、規制強化を行わないと見られる金融株が買われ、全体も大幅高となりました。すると翌10日の日本株市場では前日分の下げを上回る上昇となり、ドル円も105円後半まで円安ドル高の動きとなりました。日経平均株価は前週末比+2.78%の1万7,374円で取引を終えました。

セクター別では保険、銀行、非鉄が大きく上昇する一方で、水産・農林、食料品、繊維などが下落しました。スタイルインデックスではバリューがグロースを上回る動きとなっています。

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トランプ氏当選によるマーケットの動きの変化

クリントン候補が当選するであろうというのがメディアの大方の見方でしたが、結局はトランプ氏が米国の次期大統領に選ばれました。開票時も当初はクリントン候補が優位とで、リスクオンの動きとなっていましたが、徐々にトランプ氏が優位になるとリスクオフの動きとなり、米国のS&P500の先物はストップ安まで売られ、日経平均は900円下げました。欧州株も3%弱下げて取引を開始しましたが下げ渋り、米国株は1%程度下げて取引を開始しましたが、その後は上げ、結局前日比で1%強の上昇で取引を終えました。

物色が選好されたのは①インフラ投資関連、②金融関連、③製薬関連でした。①,②は先に理由は述べましたが、③はクリントン候補が掲げていた、薬価の引き下げが無くなることへの好感が要因でした。その他、米国の景気の回復とインフレ期待から、金利が大きく上昇し、10年金利は9日、10日で30bpsほど上昇し2.15%となり、昨年末以来の高水準まで戻しました。一方で、これまで金利の低下で選好されてきたディフェンシブ株が売られる動きも見られました。金利の上昇からドルが堅調に推移しました。

 

日本でも米国と類似の物色が起こりました。日本ではマイナス金利政策により銀行株をショートで入っているファンドも多いことから、銀行株の上昇率が大きくなり、逆に成長期待で買われていた小型株や、変動が小さく配当利回りが高い銘柄などが売られる動きとなっています。インフラ投資期待や12月の日露首脳会談期待もあり建設や建機、素材関連が買われる動きとなりました。これまでの、小型や利回りを先行する物色から、今後の変化を織り込みに資金が動きダイナミックな展開になる可能性が感じられます。また、銀行株がもう少し上昇すれば、銀行株に拘束されている資金が自由に動ける水準となり、市況が盛り上がる可能性も期待できます。

 

今後の見通し

今後注目される予定は12月13、14日に控えるFOMCです。それまではトランプ氏の発言などに一喜一憂する展開となるでしょう。足元の展開は上で見ましたが、まとめると、政策関連の物色と金利の上昇が起こっているということです。米国の金利の上昇に従い、今年堅調だったエマージングマーケットの株式が下落していることや、人民元が1ドル=6.8元を超えるなど、気になる動きがあることも事実であり、その辺りに気を付けたいところです。

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