ウィークリーレポート(2024年12月6日)

11月最終週の株式市場は、日経平均+2.31%、NYダウは▲0.60%、ユーロストックス+3.61%と、前週までの米国一強動きの巻き戻しとなりました。

年内株高、年明けからの急変に注意、という流れには変わりありませんが、年末も近いことから、長期的な目線で各国株価の水準感を振り返りたいと思います。
過去30年間の入手できる範囲での予想PERで見ると、米国S&P500は平均から+1.82σと上方に乖離しており、逆に香港ハンセン指数は下方に0.72σ乖離しています。単純に解釈するならば、米国は割高で、香港株が安いということで、米国売り/香港買いとなりそうですが、実際には、長期的な指標の解釈ではモメンタムが強く長く出る傾向にあります。また、割高な状況も株価が先に好況を織り込み、実態(EPS)があとから追い付いてバリュエーションが修正されるケースが多いので、単純に解釈するのは危険です。
とはいえ、S&P500の12か月世予想PERは22.60倍と、2000年ITバブル時のピークの25倍に次ぐ高水準にあり警戒感は当然でてくる水準です。

過去30年の予想PERの平均と現在の位置

少し面白い事例としては、2017年年末にBloombergがS&P500が2000年のドットコムバブル以来の高バリュエーションになっていると記事にしました。年明け、2018年の1月相場は、1月下旬まで強気一辺倒で7.45%上昇となっており、その後、2月にVIXショックが起こりました。
バリュエーションが高く調整が入るという考えは間違ってはいませんでしたが、仮にショートポジションを組んでいたとすると年明け早々担ぎ上げられて逃げ道が無くなっていたと思われます。

(2017.12.21)S&P500種のバリュエーション、ドットコムバブル期のピークに接近
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-12-21/P1AFLM6K50Y301

ともかく、バリュエーションが高いときにさらに上昇するのか、あるいは下落すのか、どちらにせよボラティリティが高まりますので、年明けのポジションはひとまずガンマロングにしておくのがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年11月29日)

11月最終週の株式市場は、日経平均▲0.20%、NYダウは+1.39%、ユーロストックス+0.32%の反発と、米国一強の中、日欧はまちまちな結果となりました。

その強いNYダウですが、大統領選アノマリー通り、年末に向け最高値を更新し、上昇中となっています。
米国は感謝祭が始まりクリスマス休暇まで消化試合となるでしょうから、このまま2016年と同様に強含んだまま年末を迎えそうです。少し早いですが、年明けの大統領就任式(1月20日)を基準に、次のアノマリーを探ると、上昇継続コース、反落コースとばらばらでこれといったアノマリーは見えてきません。
しかしながら、新政権の元、関税が導入されインフレ再燃が懸念される点に注目すると、1973年、1977年と2回のオイルショックに見舞われた年の大統領就任式は前年年末まで上昇、年明けから相場急変で下落というパターンとなっています。
欧州株がスタグフレーション懸念で安く、また、日経平均も2016年当時とは打って変わって全くさえない流れというなか、米国だけデカップリングで上昇という、あまりよろしくない相場環境を考えると、年明け1月限のプットを買ってみるのも思しろそうですが、まだ満期まで時間があるため、12月限プット売り/1月限プットかいというカレンダー取引がいいかも知れません。

メモ:
~11/22の週の裁定買い残は1兆6792億円(前週比4746億円と、日経平均が週間で▲0.93%下落す中増加。
米国ハイイールドスプレッドは2.97%。11/13の2.71%からやや拡大傾向。


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ウィークリーレポート(2024年11月22日)

11月第4週の株式市場は、日経平均▲0.93%の続落、NYダウは+1.96%、ユーロストックス▲0.12%の6週続落となりました。

地政学リスクに振り回された一週間でした。米国の大統領選でトランプ元大統領が勝利したことから、ロシア側はトランプ次期大統領とウクライナ和平条約に関して前向きと融和姿勢を見せる一方で、米国がウクライナに供与しているミサイルでのロシア本土への攻撃を認可したことから、ロシアは自国の核兵器使用ドクトリンを変更、弾道ミサイルをウクライナに発射するなど、膠着していた戦況が俄かにエスカレートしてきており、夜間市場でヘッドラインに反応して一時的に急落する場面が何度かありました。

(Reuters)プーチン氏、トランプ氏とのウクライナ和平協議に前向き=関係筋
https://jp.reuters.com/world/ukraine/6CQK7QXQMZKAPNWYKVVTDH4TEE-2024-11-20/
(Reuters) ロシア、核指針改定 ウクライナ支援の米国に警告
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PKDBQQMULBINXECVTPR7MADTZ4-2024-11-19/
(Reuters) ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用か
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PXA2DAS5IBOOZDKHH6DLPN3DPU-2024-11-21/

2014年2月のクリミア制圧、2022年2月のキエフへの侵攻時の株価の動きを振り返ってみると、NYダウ、日経平均ともにボックス圏内で推移しており、安値を割り込むようなショック相場にはなっていません。
極端な話をすると、クリミアやウクライナがロシアに制圧されようとも米国経済に直接及ぼす影響は軽微で、したがって経済と企業収益を映す株価には影響は出なかったとも言えます。

その、より重要な米国経済ですが、トランプ次期大統領の政策によるインフレ再燃懸念から米国10年債利回りは足元で4.41%と、9月の安値3.59%から上昇しており、経済には逆風となっています。しかしながら、ハイイールドスプレッドは足元2.82%と、8月高値の4.05%からの下落トレンドの中にあり、発行体のデフォルトリスクなどは意識されているように見えません。
したがって、今回のミサイルの応酬に関して、さらにエスカレートしても一時的な下落ですぐに値を戻すものと思われ、短期的な押し目買いの機会となりそうです。


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ウィークリーレポート(2024年11月15日)

11月第3週の株式市場は、日経平均▲2.17%の反落、NYダウは▲1.24%、ユーロストックス▲0.16%となりました。
FOMCの利下げペースがこれまでの予想よりも減速するとの見方から米国株は下落となりましたが、2016年のトランプ大統領当選時との比較では、NYダウは前回よりもハイペースで上昇した分、ペース調整に入ったようにも見えます。
日経平均は前回2016年と異なり、日中取引時間を中心に弱含んでいます。
ドル円為替レートは一時、前週比3円24銭安(2.12%安)と円安が進行しました。一方、ドルインデックスは同タイミングで1.56%となっており、トランプ次期大統領の保護貿易的政策への件からドル高となっているものの、日本円はそれ以上に売られている状況です。
債券市場では、同じくトランプ次期政権への警戒感から米国10年債利回りは4.44%へ14bp上昇となりました。日本市場でも米国の金利高につられる形で、10年債利回りは6.3bp上昇の1.07%となりました。ただし、金利の変化率でみると、日本10年債利回りが6.24%の変化率に対して、米10年債利回りは3.28%の変化率と、日本の方が急上昇している印象もあります。

第二次石破内閣の組閣後からのトリプル安については、国見民主党による減税推進の行く末とともに、日本版トラス・ショックの可能性もリスクシナリオで考えた方が良いかもしれません。2022年9月、当時就任したばかりのトラス首相は、インフレ対策として大幅な減税を政策として発表しました。ところが、減税による消費喚起はインフレを加速させる政策であるため、債券市場はさらなる利上げを織り込み急落、英国10年債リ利回りは就任後の2週間で140bp上昇の4.50%となり、また英国ポンドは7.21%の急落となりました。
日本の国債市場は日銀による買い支えがあるため、2週間で100bp以上の急落はないと考えられますが、一方で、為替市場は第二次石破内閣就任の11/11から7.21%円安の164円80銭までの上昇は十分に考えられます。
とはいえ、行き過ぎた円安には財務省の介入もあり、また、日銀も利上げに踏み切りやすくなります。
足元のIMM通貨先物市場での投機筋ポジションは、11月に入り再度円売りに傾いていますので、日銀が再びタカ派な姿勢となれば8月のショックの再来も考えられます。とはいえ、建玉の水準は前回の半分程度ですので、マグニチュードもやはり半分程度に見積もればよさそうです。

(NRI)英トラス前首相が読み誤った金利上昇局面での財政拡張策のリスク:日本への教訓は何か
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/1102

さて、混乱に見舞われた英国市場ですが、大幅減税政策案の撤回後に急反発となっていますので、仮に、日本市場で同様のケースが発生しても一時的なものとして終わる可能性が高く、短期的なヘッジとしてプットオプションの購入で対応するのが良さそうです。


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ウィークリーレポート(2024年11月8日)

11月第2週の株式市場は、日経平均+3.80%、NYダウは+4.61%、ユーロストックス▲1.52%と日米株価指数は上昇する一方で欧州株は4週続落となりました。

米国大統領選はトランプ元大統領が勝利し返り咲きとなりました。
トランプ氏当選に対して、マーケットは株高/債券安/ドル高で反応しています。2016年、サプライズ的にトランプ氏が大統領に当選した際には、日本時間中こそ混乱はあったものの、その後は年末まで一貫して上昇相場となりました。
VIX先物の期間構造もコンタンゴとなり、また、ハイイールドスプレッドは2.84%と2022年1月以来の低水準まで縮小しており、リスクオンな市場環境を示しています。
2016年の株価推移を踏襲するならば、年末までにNYダウが+5%(45789ドルまで)、日経平均は+9%(42828円まで)の上昇となります。

2016年の相場を振り返ると、トランプ大統領当選後から翌2017年12月末までの1年強の期間で、米国のセクター別指数では、IT関連(+41%)と半導体(+55%)、金融(+43%)が大きくアウトパフォームした一方で、エネルギー関連セクター(+8%)がもっともアンダーパフォームしました。
同期間の東証33業種指数では、米国とは対照的に石油石炭(+93%)が最もパフォーマンスが良く、次いで、非鉄金属(+58%)、ガラス・土石(+54%)となりました。ワーストでは電気・ガス(+9%)、不動産(+15%)、食料品(+20%)となっています。

一方、金利に関しては、米国10年債利回りは同期間で58bp上昇、日本10年国債利回りも9bp上昇となっており、日米ともに債券売り/株買いの期間でした。貴金属は金が+2%とほぼ横ばいで、銀・プラチナはともに-7%と下落、商品では銅先物が42%、WTI原油先物が+35%と上昇しました。

2024年の大統領選では、トランプ元大統領は、法人減税を掲げ、減収分を対中関税引き上げで補うと発言しています。関税の引き上げはそのまま輸入物価を引き上げますのでインフレ要因となり、足元2.4%まで落ち着いてきたインフレが再燃する懸念もあり、債券売りの市場の反応は妥当と思われますが、実際に関税引き上げが行われてから経済指標に反映されるまでにはラグがあります。それまでは、法人減税、FRBへの利下げ圧力を前のめりに織り込むユーフォリアな状態が続くとみてもよさそうです。

バリュエーション面では割高感のある株価ですが、2016年同様、年末までの緩やかな株価上昇を見込むならば、カバードコール戦略がよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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