ウィークリーレポート(2024年10月18日)

10月第3週の株式市場は、日経平均▲1.58%、NYダウは+0.96%、ユーロストックス▲0.35%とまちまちの展開となりました。懸念していた米国のVIX指数は、底堅く推移する株価指数に対応してフラット化が進みました。
目先のイベントは、与党自民党の苦戦が報じられ始めた衆議院解散総選挙、再利上げの観測が出てきた日銀政策決定会合、トランプ元大統領が一部ブックメーカーで当選確率を逆転してきた米国大統領選、米国経済の動きを受けたFRBの利下げ動向、と11月上旬にかけてビッグイベントが目白押しとなっています。

そこで重要イベント前に改めて、現在の株価の位置を確認したいと思います。
向こう12か月予想PERをベースにした日経平均のレンジは、34,616円~40,241円となっており、足元の株価は既に上限に近いです。一方、配当指数先物の価格をベースにした配当利回りのヒストリカルレンジでは37,043円~43,296円と寄り高いレンジを示唆しています。
FRB利下げ後のアノマリーでは、高インフレ時利下げは株高に働いており、1980年、1984年、1989年、1995年の日経平均は上昇しており、半年後の株価は、過去4回のケースの平均で43000円まで上昇、レンジは概ね(1980年コース)39000円-(1989年コース)51000円となっています。
米国経済が足元の堅調に推移しており、ソフトランディングが前提となるならば、43000円を中心としたレンジに期待が持てます。

米国経済が高インフレ状態から低インフレへ変遷する1980年代後半から1990年代前半の株価推移をみると、S&P500指数を原資産にするオプションのプットライト(≒ターゲットバイイング)指数が、原指数であるS&P500を上回っています。FRB利下げの最中で、ソフトランディングかハードランディングかで株価が揺れることがボラティリティを高め、結果、ボラティリティ売り戦略であるプット売りが有利に働いていました。
イベントに一喜一憂しながら、一進一退を繰り返しながら43000円を目指す展開を考えると、日経平均のプット売り戦略がよさそうです。
また、大阪取引所上場の有価証券オプションでは、主要10銘柄にマーケットメイカーが常時気配を出しています。保有株を売却し代わりにプットを売るレバレッジを掛けないターゲットバイイング戦略も有効に見えます。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
光世証券株式会社
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年10月11日)

10月第2週の株式市場は、日経平均+2.51%、NYダウは+1.21%、ユーロストックス50+0.99%と小幅な上昇となりました。
堅調な米国経済指標を受けてソフトランディング期待が高まり、株価が上昇する一方で債券は下落となりました。米国10年債利回りは前週比+13bpの4.10%と4週続伸で7月以来の4%を超えました。

2006年-2007年と比較してFRBの政策金利の推移を改めて振り返ると、利上げを停止してから1年ちょっとで利下げに転じた点、利下げ後にNYダウが最高値を取った点など類似点があります。2007年には、サブプライムローンバブルの崩壊に伴うパリバショックが発生しましたが、2024年8月の円キャリートレードの極端な巻き戻しによるショックはあったものの、広範な信用不安に拡大していない点は相違点と言えます。
発表される経済指標は常に遅行しており、バックミラー越しに経済状況を確認しているわけですので、足元のソフトランディング期待が果たして正しいのか疑う必要があります。
とはいえ、短期的には利下げ後の良好なムードで、日本株については解散総選挙のアノマリーもあることから早々に40000円回復が期待されます。

(Bloomberg)なお身構えるウォール街トレーダー、8月相場メルトダウン記憶鮮明
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-12/SL7N2DT0AFB400

一方で、気になる点としてVIX指数の高止まりを指摘します。VIX指数は20.93ptと高止まっており、VIX先物の期間構造を見ると、期近が期先よりも高くなるバックワーデーションの構造となっています。
米国だけでなく欧州VSTOXX指数先物、日経VI指数先物も同様の形状で、通常は株価の暴落時に現れるリスク警戒ムードが強く出ています。
来月の米国大統領選に向けたヘッジとも考えられますが、11月限よりも大統領選前にSQ日を向かえる10月限の方が高値である点、やはり、大統領選以外のリスクを反映しているように見えます。
引き続き、現物を持っているならヘッジのプットオプションを買ってガンマロングにしておくのがよさそうです。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

 

ウィークリーレポート(2024年10月4日)

10月第1週の日経平均は▲3.00%、ユーロストックス50▲2.22%と反落、NYダウは+0.09%と小幅ながら4週続伸となりました。

中国株は、上海総合指数が9/30(月)+8.06%と大幅続伸し、火曜日から国慶節で連休となっています。市場の開いている香港株(ハンセン指数)は+9.66%の上昇となりました。グローバル投資家の関心はやはり中国に集まっているようです。ただし、足元の株価の急騰は大規模な財政出動の報道だけに反応しており、実体経済の急回復を確認したものではないため、一過性のものと思われ、ある程度(2008年の半分程度)の上昇で利食いに押されながら、中国投資への関心が薄れていく流れが予想されます。

(Bloomberg)突然上昇した中国株にシフトか、日本株など他のアジア株から資金流出
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-03/SKR5TYT1UM0W00

(Bloomberg)ヘッジファンド、中国株に殺到-「銘柄選択の必要すらない」と強気派
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-02/SKPAECT1UM0W00

(Bloomberg)中国株の熱狂、崩壊に転じる恐れ-15年に類似と野村エコノミスト
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-04/SKSYW1T0AFB400

日本市場では、石破新総理が脱デフレを最優先と所信表明を行い、従来主張してきた緊縮財政や高金利などから大きく方針転換したことで、円安が進行しました(前週比6円49銭安)。しかしながら、株高とまではならず、再度日本株が上昇するのは、上述の中国株への関心が薄れたタイミングになるのではないかと思われます。

(Bloomberg)デフレ脱却を最優先に実現、地方創生で独自色-石破首相が所信演説
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-04/SKRIJST0AFB400

マーケットのリスク事項として、10月2日にイランがイスラエルへミサイル攻撃を行ったことで、中東の地政学リスクに注意が必要になりました。イランのイスラエルへの直接攻撃は今年2回目となります。今年4月にシリアのイラン大使館をイスラエルが爆撃したことに対する報復としてドローンとミサイル攻撃を行いましたが、当時のイランは攻撃を事前に米国に通達するなどエスカレートを避ける態度が出ていました。
今回は事前通達もなく、また、イスラエル側も報復としてイラン石油施設攻撃を検討していると報道されるなど、前回とは違って激化しており、4月は攻撃後も下落トレンドだったWTI原油先物価格が、今回はイランの攻撃後に9.11%上昇と反応しており、また、VIX指数も4月の攻撃時は翌営業日が19.23ptのピークですぐに収束に向かったのに対して、今回は1攻撃後直後の10/1終値19.26ptからさらに上昇し20.75ptまで上昇するなど、前回と違うマーケットの反応にリスクの高さがうかがえます。

遠くの戦争は買いと言いますが、原油価格が上昇するとせっかく落ち着いたインフレが再燃し、FRBの利下げ観測が遠のき株安となるコースが考えられます。インプライド・ボラティリティがすでに高い水準ですが、ヘッジのプット買いを検討するのがいいかもしれません。


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ウィークリーレポート(2024年9月27日)

9月第4週の日経平均は自民党総裁選への期待から+5.58%と大幅高、NYダウは+0.59%と小幅な動きでしたが、ユーロストックス50は+4.02%と大きく続伸となりました。
欧州株はLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが週間で18.84%上昇するなど、中国関連の銘柄が大きく上昇に貢献しました。

(Reuters) 中国、特別国債2兆元を今年発行 消費刺激と地方債務対策=関係筋
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/BLVI5SWNSVLJTC3P545ULAMKFI-2024-09-26/

大規模な経済対策が報道された上海総合指数は12.81%と週間ベースでは2008年11月以来の大幅高となりました。奇しくも、その2008年11月は、サブプライムバブル崩壊で景気減速が強まりリーマンブラザーズが破綻し世界金融市場が動揺している中で、中国政府が4兆元の巨額景気対策を発表し、日米主要国の株価が2009年3月の大底を付けるまで反発できなかった中で、上海総合指数が2008年11月に終値ベースで1728ptの底をつけ、翌年7月末に3412ptと97%上昇のトレンドを作る発端となった上昇でした。

自民党総裁選に関して、アベノミクスの再来が期待された高市氏が敗れ、緊縮財政、金融所得課税強化を唱えていた石破氏が新総裁となったことから、日経平均先物はザラ場中の高値39970円から急落、NY時間引け時点で、37450円となっています。週間ベースではそれでも+4.85%と前週のNY終了時点より上昇していますが、新総裁選手後の演説で岸田政権の経済政策を踏襲する姿勢をみせたものの、NY時間での下落が止まらなかった事から、具体的な政策が見えてくるまでは日本株投資は敬遠されるものと思います。

前週の日銀政策決定会合を経ていったんは円安に向かったドル円為替レートですが、9/24(火)時点での、IMM通貨先物の投機筋ポジションは64063枚の円ロングに傾いたままで、円高を狙った姿勢に変化はありません。
円高と金融所得課税により、目先数週間は、日経平均は上値の重い動きが予想されます。
下解散総選挙で株価が上がるアノマリーを考えると、組閣後の10月半ばまで9月安値の35120円を安値の目途とし、解散発表後から買い戻される流れになるのではないかと思われます。

5月以降、中国株が売られ続けていた中で、日本株やインド株が買われるデカップリングが続いていましたが、ここにきて、中国は巨額の財政出動が報じられ、一方で日本では、金融課税強化が懸念される新首相誕生と、取り巻く環境が大きく変わろうとしています。一番明確なトレードアイデアは、日経先物売り/中国ETF買いとなりますが、東証上場の中国株ETFは流動性が少ないため注意が必要です。


 本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。
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ウィークリーレポート(2024年9月20日)

9月第3週の日経平均は+3.12%の上昇。NYダウ+1.62%、ユーロストックス50+0.57%と欧米市場も上昇となりました。
9/19のFOMCでは50bpの利下げが発表され、初動では円安となり、9/20の日銀政策決定会合で追加利上げの手がかり無く据え置きとなったことも後押しし、ドル円為替レートは前週比3円安の143.85円となりました。
日銀政策決定会合では利上げ無しの据え置きが発表され、植田総裁の会見後に円安/株高が進行しました。

アノマリーでは、FRBの利下げは米国のリセッション入りとセットになっており、今後、大きな株安局面を示唆するものとして記事にされます。実際に、2001年の利下げ(ITバブル崩壊)、2007年の利下げ(サブプライムバブル崩壊)などリセッション入りのタイミングで利下げが行われていますが、一方で、1995年、1989年、1984年、1980年の利下げ局面ではその後1年間で20%超の上昇となっており、時代によってアノマリーは異なるものと思われます。
また、新興国通貨のメキシコペソを見ると、1995年、2007年の利上げ時にはペソ高となっている一方で、1995以前はドル高ペソ安となっており、やはり時代によってマーケットのリアクションは異なります。
1990年代後半以降を低インフレ時代として区分けするならば、FRBの利下げが株安になるのは低インフレ時代で、高インフレ時の物価抑制のための利上げ幅を縮小する限りにおいては決してリセッションとイコールではないと言えるかもしれません。
FRB利下げで株高となった、1980年、1984年、1989年、1995年の日経平均を見ると、向こう半年で42500円までの上昇が見込まれます。

上述の、米国経済がソフトランディングを果たし株高となっていくシナリオですが、リスクファクターとしては、インフレの再燃が考えられます。1970年代のオイルショック時も、突発的な外的要因ではあったものの2回の危機に見舞われており、今回も2022年のインフレ率のピークから2年経ち、FRBだけでなくECBや各国の中央銀行が利下げに転じている中ですので、何かの拍子にまた物価上昇率が加速しやすい下地を作りに行っているように見えます。とは言え、インフレの再燃とその認識には数か月以上の時間軸がかかるので、当面は潜在的なリスクよりも、利下げによる景気拡大の恩恵を先取りする環境になるのではないでしょうか。

メモ:ハイイールドスプレッドは3.23%までさらに縮小


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