マザーズ指数先物の活用法③ ヘッジ比率に関して

マザーズ指数先物の活用方法として、成長株を保有すると同時に先物を売ることにより、ポジションの変動率を下げ、ポジションを長期的に保有し、利益を得ようということを考えてきました。

 

マザーズ指数先物の活用方法①

マザーズ指数先物の活用方法②

 

このようなことを考える際に重要なのは、ヘッジをどのように行うかです。具体的にはヘッジする金額、枚数などをどのように設定するかです。

 

完全ヘッジ

最初に結論を述べておくと、同一資産から作られるポートフォリオと先物でなければ、完全にヘッジすることはできません。しかし、もし同一資産から作られるポートフォリオと先物を同時に保有した場合、損益のブレは発生しないことになります。

 

例えば、マザーズ指数のETFを保有し、同一金額のマザーズ指数先物を売り建てすると、損失は発生しませんが、利益も発生しません。これは完全ヘッジと呼ばれます。しかし、例えば、JPX日経400指数に連動するETFを保有しているときに、目先の高値を市場がつけたのではないかと思われるタイミングで、JPX日経400指数の先物をETFと同額分売り建ちすると、そこから市場がどのように動いても、理論的には損益の振れは発生しません。

 

最小分散ヘッジ

多くのケースにおいて、ヘッジを行いたいポートフォリオが先物と同一の中身で作成されていることはありません。そのような場合、完全ヘッジを行うことはできませんが、ポートフォリオと先物の過去の値動きから、ヘッジ比率を求めるやり方を最小分散ヘッジといいます。マザーズ指数先物の活用方法②でもこの方法でヘッジ比率を計算しました。この方法は計算が簡便です。計算方法は以下のようになります。

20160817 hedge

その他、将来の動きを想定してヘッジを行う最適ヘッジや、オプションや債券のヘッジを行う際の非線形リスクのヘッジなどがあります。色々なヘッジ方法を試してみて、場合により適切なヘッジ比率を自分なりに探し出すのも相場の楽しみの一つであると言えます。

 

参考図書:金融工学入門 [第2版] デービッド・G・ルーエンバーガー

 

本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本 資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

マザーズ指数先物の活用方法②

マザーズ指数先物の活用方法①(http://kosei.co.jp/wordpress/?p=638)では以下のようなことを述べました。

① 先物売り・株式買いによりポートフォリオの変動率を下げられる。

② 成長株の保有の問題点は変動率の高さであるが、先物売り・株式買いにより、変動率も抑えられる。

③ マザーズ指数は長期的に下落トレンドにあるため、成長株とのヘッジの組み合わせに有効である。

 

今回は、過去の値動きから複数銘柄を保有するポートフォリオを、そのまま保有した場合と、ヘッジを行った場合を見てみます。

 

3銘柄を保有するポートフォリオ

まず銘柄を選択します。ここでは、サイバーダイン(7779)、フリークアウト(6094)、ナノキャリア(4571)をポートフォリオに採用することにします。そのポートフォリオの変動率が、ヘッジをすることによりどの程度変化するかを調査します。パフォーマンスの調査期間は2015年4月1日からとします。ちなみに同期間内の個別銘柄とマザーズ指数の動きは以下の通りです。6094が際立ったパフォーマンスを見せています。

20160812 maza_kobetsu

各銘柄の株数ですが、4月1日時点で金額にばらつきがないように、サイバーダイン:200株、フリークアウト:100株、ナノキャリア:300株とします。(分割などで実際とは異なる場合もありますが、現時点での分割考慮後の価格で株を購入できたと仮定します。)

そして、ここではそのポートフォリオとマザーズ指数の相関を4月1日より前の60営業日から求めます。そして求めた相関からヘッジ比率を作りヘッジで売る単位数を作ります。

そしてヘッジありとヘッジなしを見たものが以下のチャートとなります。

hedged or not

一目見ても緑色の線の方が動きが滑らかで、青色の線の方が変動が激しいことが分かります。また数値化してもそれは明確です。下のチャートはヘッジあり(緑)、ヘッジなし(青)の年率のボラティリティですが、ヘッジありの方が低くなっています。

hedged or not std

ヘッジ比率の問題

さてここではヘッジ比率として、過去60営業日分のポートフォリオとマザーズ指数の相関を求め、利用しました。しかしこの過去何日分から相関を求めるかは例えばということで、どの程度が良いかなどは人それぞれの経験や考え方によります。また、そのまま計算値を利用するのでなく、少し加工するようなこともあります。つまり、ヘッジ比率は人それぞれ決められるということになります。その辺りを次回は少し見てみます。

本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本 資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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マザーズ指数先物の活用方法①

先物売り・株式買いのロング・ショート

先物の活用方法として、株式を買い、先物を売るポートフォリオが考えられます。このように売り買いを組み合わせることにより、相場自体の変動がポートフォリオから取り除かれるため、ポートフォリオの変動率は現物のみを保有しているよりも、低くなります。

その逆作用として、先物が対象としている市場自身同じように動く部分の上昇からは、収益が得られないということが挙げられます。例えば、売っている先物が10%上昇し、買っている株式が12%上昇したとします。

この場合、株式の買いだけを持っていれば、12%のリターンが得られるのですが、先物の売りと株式の買いにすると株式の買いで12%の収益を得られるのですが、先物の売りで10%の損失が出るため、先物の売り・株式の買いのポートフォリオから得られる収益は12-10で2%となります。

 マザーズ指数のトレンド

マザーズ指数は2003年9月12日を1,000ポイントに置き、算出されている指数です。そして2016年8月9日引け現在では900ポイントとなっています。つまり、長期的なトレンドは下落傾向にあると言えます。この傾向は、成長銘柄は他市場に上場市場を変更しますが、成長しない企業が残るという、マザーズの市場特性を表しているのかもしれません。

しかし、そのトレンドは成長株のヘッジにおいてありがたいものとなります。成長株というのは売り上げも利益も株価も伸びる企業の株のことです。成長企業を保有し、一方で、あまり伸びないマザーズ指数を先物で売ることにより、ポートフォリオの変動率を下げながら収益を得るということが出来るようになります。

20160810 マザーズ指数

成長株投資の問題点

成長株は1年で株価が2倍や3倍になることがあります。しかし、多くの方が経験されていると思いますが、そのような成長株を保有していても、少しの利益でその株を売却してしまい、売却後しばらくして、その企業の株価を見ると自分の売却値段から倍になっていたというようなことが起こります。

そのようなことが起こる原因は、成長株の変動率の高さです。変動率が高いと保有することに投資家はストレスを感じてしまうため、最終的には株価が大きく上昇するような企業の株式でも、若干の利益でポジションを閉じてしまうのです。

先物を組み合わせることにより変動率を抑える

そのような成長株投資の問題点を、先物の売りを組み合わせることにより、軽減することが出来ます。もちろんすべての動きを打ち消すことはできませんが、軽減することにより、その株式を長く保有し、利益を多くすることが可能となります。

具体的にはその株と利用する先物の指数の相関を求め、ヘッジ比率を決め、先物売り・株式買いのポジションを作成します。それにより変動率を抑え、収益を伸ばすことを目指します。

マザーズ指数先物の活用方法②では、過去の値動きを使って成長株買いとマザーズ指数の売りの具体例を採り上げます。

本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本 資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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マザーズ市場の投資部門別売買動向(現物・先物)

マザーズ指数の投資部門別売買動向が日本取引所のサイトで公表されています。そこで、7月第3週(7月19日~22日)と第4週(7月25日~29日)の売買動向を見てみます。

(先物の投資部門別売買動向:http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-derivatives/sector/index.html)

(現物の投資部門別売買動向:http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/index.html

第3週から取引が開始された先物に関して、第3週、第4週共に傾向として、個人は、売買代金シェアは大きいですが、ポジションに偏りがないということ、海外投資家が2週連続で大きく売り越したこと、その売りを自己売買が買ったことが分かります。先週まで先物の取引価格は現物指数に対して安くなっていたのですが、ここから、安いところで売り越していたのは、海外投資家ということが分かります。

前週から先物が理論価格辺りで取引されるようになってきており、売買動向に変化が表れている可能性があり、今週の動向の発表も注目です。

現物に関しては、第3週は個人、投資信託の売りに対し、海外投資家、自己の買い越し、第4週は自己、海外投資家の売りに対して、個人が買っています。

先物投資部門別売買動向(7月3週 7月19日~7月22日)20160703-mothers-future

先物投資部門別売買動向(7月4週 7月25日~7月29日)

20160704-mothers-future

現物投資部門別売買動向(7月3週 7月19日~7月22日)

20160703-mothers-eq

先物投資部門別売買動向(7月4週 7月25日~7月29日)

20160704-mothers-eq

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日銀のETF買い一日707億円に

前の日銀政策決定会合で、ETFの買入れ枠は年間3兆円から年間6兆円に拡大されました(通常の購入の外、設備投資及び人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETFの枠、年間3,000億円/1日1億円もあります)。

8月に入り、一日の購入枠がどの程度まで増加するのかと注目されていましたが、ついに8月4日に増額されました。8月3,4日と1日347億円だったのですが、それが707億円となり、1日の購入金額は倍以上となりました。チャートも分かり難いですが、飛び抜けています。

8月4日引け時点での、2010年12月以降の日銀ETF買い越し額は8兆9,033億円、購入単価は日経平均で換算すると14,708円となります。

2016年8月の動向は日銀のETF買い(2016年8月 http://kosei.co.jp/wordpress/?p=934)を参照ください。

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