マザーズ指数先物初の限月交代前の動き

本日9月9日はSQでした。7月に上場したマザーズ先物は初のSQとなり動きがどうなるか注目されていました。SQ値はそれほど大きく動きませんでしたが、9月限から12月限に乗り換える動きで大きな動きがありました。

9月限と12月限の理論的なスプレッドは2ポイントに満たないものでした。しかし、実際の市場でのスプレッドは-17ポイント程まで拡大しました(下のチャートを参照ください)。

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元々、9月限でも先物の逆ザヤが大きくなっていた傾向を鑑みると、先物を売りヘッジに使う向きが多く、買いに使う人が少ないため、このような動きになったのだと想定されます。

そしてSQ通過後の12月限ですが、本日は現物価格から18ポイントほど下方乖離して推移しています。マザーズ指数のETFを買おうと考えておられる方は先物を購入されると、2%弱割安でマザーズ指数を購入することが出来ます。

 

下はマザーズ先物の9月限と12月限の出来高、建玉です(引け値は実際の価格でなく、理論価格に修正されているため、載せていません)。マザーズ先物のロールの動きは9月に入り始まり、SQ週の火曜日、水曜日で多くが行われたことが分かります。

 

マザーズ先物9月限、12月限の出来高と建玉

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本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本 資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

光世証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第14号 加入協会/日本証券業協会

株式投信の長期保有のための先物活用法

投資信託の中から優れたファンドを探し出すのはなかなか難しいことです。もしそれが発見出来たとしても、長期的に保有する場合、優れたファンドであっても、市場の急落の際にはファンドの価格が下落することは避けられません。

この場合、株式市場の先行き見通しが悪化した場合に投信を売却してしまい、先行き不安がなくなる局面で同一の投信を買い戻し、再び優れたファンドからの収益を楽しむという方法が考えられます。しかし、投資信託は購入、銘柄によっては売却の際にも高い手数料がかかるため、普通株式などと同じような売買は、考えにくい選択肢です。

そこで「良いファンドを長期的に保有するために、先物を活用してみてはいかがでしょう?」というのが、今回のレポートの趣旨です。結論から先に述べると、先行きが不透明な場面で、先物と投資信託を組み合わせて利用することにより、相場が急落局面でも評価損益が大きくぶれることがなく、優れたファンドの長期保有が可能となります。

実例を見る

ここからは足元の実例をご覧に入れます。ファンドには足元パフォーマンスが好調なニッセイJPX日経400アクティブオープン(以下アクティブオープン)を採り上げます。このファンドはJPX400をベンチマークとしながら、ROEに注目し、経営効率に優れた銘柄に投資を行います。アクティブオープンの過去の運用成績(緑)とJPX日経400(青)を比較したのが下のチャートです。

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このチャートから二つのことが言えます。

① アクティブオープンは長期に渡ってJPX400指数を上回るパフォーマンスを出している。

② しかし、指数が大きく下落する局面で損失を出すことは避けられていない。

そこで、同ファンドのベンチマークであるJPX日経400指数先物で、ヘッジをどのくらい行えば良いか計算し、ヘッジを常に行ったもの(緑線)と、ヘッジなし(青線)のポジションの評価額の推移を下に表示しました。

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注目していただきたいのは赤い丸で囲んだ部分です。ファンド価格が、市場の暴落と同じように、大きく下落してしまった局面ですが、先物でヘッジを行った緑線を見ると、先物の売りに守られて、収益にぶれは小さくなっています。このように先物でヘッジすれば、急落局面を大きな損失を被らずに乗り切れることが分かります。

この事例では常にJPX日経400先物を売り、アクティブオープンを買い持ちするという事例を表示しましたが、実際に行う場合であれば、市場が堅調であると考えられるのであれば、先物の売りを持たず、市場全体の上昇とファンドが生み出す利益を享受し、市場の先行きが不透明になった時に、先物による売りヘッジを行い、下落に備えても良いでしょう。

このように、先物をうまく活用することにより、自身のポートフォリオを相場の下落から守ることが出来ます。ヘッジの割合などを詳しく知られたい場合は、当社のコンサルタントにお尋ねいただくか、ブログ記事(マザーズ指数先物の活用法③ ヘッジ比率に関して http://kosei.co.jp/wordpress/?p=722)をご参照ください。

 

本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本 資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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2016年9月の相場見通し

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 9月は4,5日にG20があり、6-8日に東アジアサミットなどがあります。安倍首相は2日に日ロ首脳会談行い、東アジアサミットで日米首脳会談もある模様です。また月末には日銀政策決定会合(20,21日)、FOMC(同)も控えます。
 米国ではレイバー・デイが終わると夏休みが終わるといわれます。今年のレイバー・デイは9月5日となります。ちょうど雇用統計の発表が終わり、利上げを織り込むか否かというところに、休みを終えて気力に漲った大口の投資家たちも戻ってきます。そのため、雇用統計の値が良い場合、9月のFOMCにおける利上げを織り込みに、派手に動く可能性があります。
 これまでは年内の利上げは1回との見通しでしたが、9月に行われるとすると年内2回というのがコンセンサスになります。そうすると為替はドル高方向に動き、債券利回りは若干上昇します。そうすると米国株は若干安くなりますが、日本株は強いというここ最近の流れが強化されるでしょう。
雇用統計の前哨戦とされるADP雇用統計は予想を若干上回る流れとなっており、市場は9月の利上げを織り込みに動き始めています。一先ずは今週末の雇用統計後の動きに乗りたいところです。

本資料は、情報提供のみを目的として作成したもので、いかなる有価証券等の売買の勧誘を目的としたものではありません。また、一般的あるいは特定の投資助言 を行うものでもありません。本資料は、信頼できると判断した情報源から入手した情報・データ等をもとに作成しておりますが、これらの情報・データ等また本 資料の内容の正確性、適時性、完全性等を保証するものではありません。情報が不完全な場合または要約されている場合もあります。本資料に掲載されたデー タ・統計等のうち作成者・出所が明記されていないものは、当社により作成されたものです。本資料に掲載された見解や予測は、本資料作成時のものであり予告 なしに変更されます。運用方針・資産配分等は、参考情報であり予告なしに変更されます。過去の実績は将来の成果を予測あるいは保証するものではありません。

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日銀のETF買い(2016年8月)

8月の日銀のETF買い入れは6回で、金額は3,522億円、毎営業日入る「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」買いが(1日12億円)、本日も入っていれば計22回、264億円となりました。

先月末の日銀政策決定会合でETFの買い入れ枠が増額されたことから、8月4日からはそれまでの1日347億円の買い入れから、1日707億円まで増加しました。

今年に入ってからのETFの買い入れは60回となり、今年に入ってからの買い入れ額は2兆1,978億円となっています。

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マザーズ先物とマザーズ指数のスプレッドの大きさ

当社のマザーズ市場デイリーレポートではマザーズ先物の概況も取り上げています。その中でマザーズ先物と現物指数のスプレッドがどうなっているかが毎日記され、チャートも作られています。本日はそのスプレッドがどのようなものであるかを少し見てみたいと思います。

先物の理論価格と裁定取引

現物指数の派生商品である先物は、最終決済日にある一時点の現物指数の価格にて決済されるため、先物と現物指数は最終的に同一の価格になります。そのため、金利と将来の配当が分かれば、現物の価格から先物の理論価格を算出することが出来ます。もし理論価格から先物の価格がずれれば、割高な資産を売り、割安な資産を買う、裁定取引が入り価格の訂正が行われます

 

裁定取引の例として、ある資産Aに先物があると仮定します。現物の価格が1,000円、先物価格が1,100円でした。単純化のため、金利、配当、手数料、税金がゼロだとすると、先物を売り、現物を買い、最終決済日にそのポジションを決済すると100円の利益になります。

 

日経平均とTOPIXの先物と現物のスプレッド

日経平均とTOPIXのスプレッドは下のチャート1のようになっています。この値はのちに採り上げるマザーズ先物が上場した7月19日から8月22日の1分足で、現物と先物ともに値が付いた時間の、先物価格から現物価格を引いたものを先物価格で割り、スプレッドをパーセンテージで見たものです。時折、大きくかい離している局面がありますが、ほぼ一定の値になっているということが言えます。

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数値でみると、日経平均のスプレッドの中央値は‐0.12%、標準偏差は0.05%、TOPIXのスプレッドの中央値は‐0.08%、標準偏差は0.04%となっています。ここのところ、現物の方が高い水準でスプレッドが安定しているのは、日銀のETF買いにより、現物に対する買い需要が大きいことから、このようになっていると見られます。

 

マザーズ先物と現物のスプレッド

チャート2の緑線がマザーズ先物と現物のスプレッドです。対比のために、日経平均とTOPIXのスプレッドも掲載したのですが、2つと比較するとスプレッドが大きくなっていることが分かります。

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スプレッドが大きくなっている原因ですが、一つには先物上場直後から先物の方が割安となっており、裁定取引ができない状態になっていることが挙げられます。先物の方が割安なのであれば、先物を買って現物を売るポジションを作れば良いと思われるかもしれませんが、現物を売る場合、逆日歩などでコストが確定できないリスクが発生し、収益の見通しが立たなくなるため、あまり行われません。

もう一つには投資家にニーズが売りに偏りやすいということも挙げられます。割安な先物を利用した運用などが広まれば、もう少しスプレッドは小さくなるのかもしれませんが、現物を保有しそのリスクを先物で回避するというような運用を行われる方が多いため、先物が安くなる傾向にあります。当社のマンスリーレポート8月号の特集でも取り上げたように割安な先物を使い、マザーズ指数に連動した運用を行うようなことは有用であると思われます。

 

もう一つとしては、マザーズ先物、現物ともに流動性が低いことです。裁定取引を行うためには現物を購入し先物を売る必要があります。その売買が価格を動かしてしまう場合、スプレッドはどうしても大きくなってしまいます。

 

以上のような理由から、マザーズ先物と指数のスプレッドは大きくなっていると思われます。しかし、このようにこれまでの上場商品と異なるということは、逆に何らかの使い道があるということであり、今後はその辺りも研究していきます。

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裁定取引に関して詳しく知りたい方へ

日本証券業協会 : 「裁定取引」とはどういうものですか?

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