12月第1週、NYダウは▲4.50%の下落となり前週の上昇分を打ち消す形となりました。10/29に安値を付けてから、反発と下落を繰り返しながら持ち合いを形成しています。
先週末のG20では米中首脳会談で米中貿易協議の進展が期待されましたが、水曜日にはファーウェイCEOの逮捕など米中間の緊張関係が露見する出来事も起こり、また、金曜日には「90日以上の猶予を中国に与えるかもしれない」とのトランプ大統領の発言にNYダウは一時前日比150ドル高、その後「90日以内に合意できなければさらに関税引き上げるとの」とのナバロ氏の発言で急反落、と実体経済をよそにヘッドラインでのみ過剰にアップダウンを繰り返しています。
今週、米国の5年債利回りが2年債利回りを下回り部分的に逆イールドが発生しました。米国の景気後退のサインとしてよく知られている10年-2年債利回り差が今後逆転する前触れではないかということで、このニュースも株価にネガティブに影響しました。
ところで、過去の逆イールド発生後の株価の推移をまとめたものが下記表になります。
逆イールド発生から一年以内に米国景気先行指数はマイナスに陥っており、景気後退のシグナルであることは間違いないです。ところが、株価については、2000年ITバブル崩壊時を除くと、逆イールド発生から2~3か月後に安値を付けたのち、1年後には高値を更新しているケースの方が多いのです。
FRBが今月も含め順調に利上げを行うなら、2019年中には米国債金利が逆イールドとなる蓋然性が高いわけですが、慌てて持ち株を処分するとその後一年間指をくわえて株価上昇を見送らないといけない、なんてことにもなりかねませんので、どのパターンか見極める冷静な対処が必要になります。年内の話としては、逆イールドになったわけでも景気後退に入ったわけでもありませんので、ボックス継続と思われます。
図.NYダウとFRB政策金利(上段)
米国10年-2年債利回り格差(下段、オレンジ)、米国景気先行指数(下段、紫)