挑発と核武装を進める北朝鮮に対して、米国も圧力と批難を強め、日に日に北朝鮮をめぐる情勢は悪化しているように見えます。平和的な解決を望みたいところですが、日本上空を通過するミサイルやJ-Alertの不気味な警告音を聞くと、最悪の事態を想像してしまいます。
それでも私たち投資家は資産を守るために冷静な判断を失わないことが肝要です。
隣国での戦争など起こらないに越したことはありませんが、万が一、軍事衝突となった場合でも、歴史を振り返ると決して未知の事態ではないと分かります。過去の事例を知ることは、不測の事態にあっても冷静さを保つ助けになりますので、以下、1990年以降の米国の軍事行動と市況を簡単にまとめました。
1990年以降、米国は3回戦争を行っています。過去のケースでは、いずれも日本から遠い中近東での戦争でしたが、それでも日本株は平均して26%の下落となっています。
・ 日米ともに戦争開始3か月前に株価はピークを付けています。軍事行動が避けられない事態になっても、周辺国や米国議会との政治的な調整に時間がかかるものと思われます。
・ 宣戦布告等の正式な開戦の1週間前に株価はボトムを付けており、”米英軍、国連決議を待たず軍事行動へ”といった軍事行動決定の報道で底入れとなってると思われます。
・ 米国10年債金利・ドルインデックスは90年代以降、趨勢的に下落しており開戦前の高値の位置が不明瞭です。開戦前後で小規模なリバウンドがあるものの、底入れは開戦後30日程度を要します。
表2. 米国開戦前後のドローダウンとリバウンド(3戦争の平均値)
図1. 1990年以降の米国の戦争とNYダウの推移(開戦日=100)
図2. 1990年以降の米国の戦争と米国10年債金利の推移(開戦日=100)
図3. 1990年以降の米国の戦争とドルインデックスの推移(開戦日=100)
図4. 1990年以降の米国の戦争と日経平均株価の推移(開戦日=100)
図5. 1990年以降の米国の戦争とドル円為替レートの推移(開戦日=100)