連休向け読み物 : PBRという指標


 株式の割安の尺度としてよく使われるのがPBRです。PBRとは日本語では株価純資産倍率と呼ばれ、一株当たりの純資産(自己資本)で株価を割ったものです。純資産は会社が解散する時に株主に分配されるということから、解散価値に対して株価がどの程度の水準化になっていることを示します。この値が1を割り込んでいれば解散価値より安いということで、割安という風に考えられます。しかしながら、純資産が多くある状態で解散する会社はすくないため、あくまで目安であると考えていただけると良いかと思われます。

 純資産が100億円、発行株式数が1億株の会社があるとすると、1株当たり純資産は100円となります。この会社の株価が50円だとすると、PBRは50/100=0.5、株価が200円だとすると200/100=2となります。

現在の日本市場の状況

 では、現在の日本市場の割安度合いの推移はということで、TOPIX指数のPBRを見ます。TOPIXのPBRはバブル時に4.5倍を付けた後下がる一方で、2011年11月には0.9を割り込みました。その後は反発の傾向にあり、現在は1.32程度の水準となっています。一応解散価値を上回っていますが、次に示す海外の指数を見ると、1.7から3とTOPIXよりもかなり高水準となっています。

セクター別のPBR

 次に現在の日本のセクター別のPBRを見るために、下の表を用意しました。この辺は皆さまご存知だと思いますが、鉱業、銀行、鉄鋼などが低く、精密、食品、サービス、医薬品などが高くなっています。

 ここ1年で見ると、低PBRのセクターが買われれた傾向がありますが、年初来に視点を移すと高PBR銘柄の好調が目立ちます。これは、低PBR銘柄群はトランプラリーで買われた銘柄だったため、昨年の11月辺りに強くなったため、このようなパフォーマンスになりました。

 低PBRセクター(鉱業、銀行、鉄鋼、海運、石油石炭)を各20%のウェイトで指数化し、TOPIXと比較したのが下のチャートです。青線がTOPIXで緑線が低PBR指数となります。

TOPIXと低PBR指数(2014年1月より 1段目指数化チャート、2段目前日比、3段目前日比差(低PBR-TOPIX)

 低PBR指数はここ3年TOPIX指数をアンダーパフォームしており、これらより他のセクターを購入したくなります。
 
 リーマンショック後、株式市場に参入された方にはこれらのセクターが万年低PBRに感じられるかもしれません。しかし実は、これらのセクターが低PBRとなったのはリーマンショック後のことなのです。次に2007年12月末のセクター別PBRを掲載しました。
 このころは中国の需要は永遠のように考えられており、海運、鉱業、鉄鋼のPBRは高く、銀行も高金利や投資銀行業務の利益を期待されていたため買われていました。

2007年12月末のセクター別PBR

 このように、低PBRは期待収益の伸びに対しての評価のようにも映ります。

個別株のPBRを利用した取引
 これまで見た感じでは低PBRを利用した取引で利益を得ることは困難なようです。しかし、個別にこれを当てはめると、そうではないことが示されました。
 TOPIX指数の低PBR銘柄を100銘柄ピックアップして1年おきに銘柄入れ替えを行った場合のパフォーマンスはどのようになったと思われますか?2001年7月からそれを行った場合のパフォーマンスを示したのが次のチャートです。
 低PBRのリターンは480%とTOPIXのリターン67%を大きく上回っています。このように一つの指標だけで、これほど大きなパフォーマンスの差を、しかも年1回のリバランスで示せるものはそうありません。個別株の長期的な運用ではPBRは大きな利益をもたらすカギになりそうです。



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