JGBトレーディングフロア(2024年8月23日)

債券相場は下落。植田日銀総裁による国会閉会中審査での発言への警戒感が売りに繋がった。発言内容は、タカ派とハト派方向のどちらにも配慮したバランスを取った内容だったが、基本的に7月決定会合から変わっていない印象だとの見方もあり、その分売り圧力が勝った形。前日の米金利もジャクソンホール会合でパウエルFRB議長の基調演説を控えて、年内の積極的利下げを示唆することはないとの見方から上昇したことも、重しとなった。

【メモ】
<植田総裁の主な発言(出所:Bloomberg)>

【7月の利上げの背景】
展望リポートで示した見通しが期間後半に2%物価目標と整合的となっており、おおむね経済が見通し通りに推移していることを再度確認した / 円安による輸入物価の上昇リスクも考慮した / 0.25%は2%を超えるインフレ率と比べてもかなり低く、実質金利は大幅なマイナス / (景気刺激的でも抑制的でもない)中立金利も現在の短期金利よりも相応に高く、現状は緩和的な環境にある

【今後の金融政策運営】
金融市場の動向、経済・物価の見通しとリスクが見通しに及ぼす影響、7月の利上げの影響を見極めつつ、経済、物価が、日銀が見通す姿の通りに実現する確度が高まることを確認できれば、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に変わりはない

【中立金利】
現在の見通しでは2026年度後半に2%物価目標とおおむね整合的な水準に基調的な物価が上昇すると考えている / 見通しが本当に実現すれば、そういう時期に金融政策は中立的な状態になっている / 中立金利は基調的なインフレ率と自然利子率の和で、0.25%の政策金利は想定される中立金利の下限を下回っており緩和的だ

【金融市場の動向】
一方的な円安の修正が進んだ / 内外市場は引き続き不安定、高い緊張感を持って注視する

【市場や国民との対話】
市場とコミュニケーションを取り、適切に政策運営を行う / 政府と緊密に連携し、幅広い層に政策伝わるよう情報発信を行う

【日銀の財務のシミュレーション公表の是非】
将来の金融政策についてさまざまな思惑を呼び、不測の事態を招く懸念がある / 大規模緩和を終了したばかりで金利が非常に低いこと、中立金利には非常に高い不確実性があることから、公表することのマイナス面を考慮して公表してない


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