債券相場は大幅安。前日の米金利低下を受けて高く始まったものの、この日の30年債入札が低い金利水準から低調になることが警戒され、先物が中心に売り圧力が掛かった。また入札に前後して、この日の植田日銀総裁の国会答弁での内容が再び政策修正観測を強める形となり、その結果、午後に発表された30年債入札は記録的な不調となり、幅広い年限で売りが強まった。短期ゾーンの金利の上昇で、来年の早い段階での利上げも幾分織り込む動きが出てきていることから、無風とみられていた次回の日銀政策決定会合もにわかに注目度が高まってきているようだ。
【メモ】
☆30年債入札(80回、CPN1.8%)落札結果
最低落札価格102円35銭(0.707%)、平均落札価格103円55銭(0.697%)、応札倍率2.62倍(前回3.60倍)、(事前予想価格103円70銭)
☆植田日銀総裁答弁(参議院財政金融委員会)<出所:Bloomberg>
(さまざまな不確実性が高い状況の下)「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」、「丁寧な説明、適切な政策に努めていきたい、「物価目標達成の見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、YCCのフレームワークの見直しが視野に入ってくる」、(マイナス金利解除後の金利水準)「現時点でこういう姿であるというふうに決め打ちしたものを、心の中に持ってるというわけでは全くない」、(物価目標の持続的・安定的な実現について)「十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っておらず、今後、賃金と物価の好循環が強まっていくか注視していくことが重要」、「粘り強く金融緩和を継続することで経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく」、「 国民からの批判的な意見増えている、インフレ・円安を反映」、「物価上昇が個人消費の足を引っ張っていることは重々承知」、「 当座預金付利使う場合の利上げ、マイナス0.1%を例えばゼロや0.1%に引き上げる」など。