債券相場は大幅上昇。長期金利は約2カ月ぶりの低水準0.715%を付けた。米長期金利が弱めの経済指標で低下したことに加えて、日銀植田総裁が国会答弁で金融緩和策の継続姿勢を強調したことも買い戻しの動きを強めたようだ。ただ午後に入って先物が146円台に達したところで買いが一巡、来週の20年債入札を意識したポジション調整で上げ幅をやや縮めた。
【メモ】
日銀植田総裁答弁ポイント(衆院財務金融委員会、引用:Bloomberg)
・輸入物価上昇というマイナス効果がある一方、インバウンド消費を含む輸出増やグローバル企業を中心とした企業収益に好影響を及ぼす面もあり、一概に円安が経済にマイナスと言い切ることもできない。
・実質賃金下落の大きな要因はインフレ進行によるものであり、輸入物価上昇に円安が効いているのは事実としたが、インバウンドに関連した中小企業も含めて、円安が企業収益や雇用を引き上げ、雇用者所得に好影響を与える可能性もある。足元の実質所得低下のほとんどが円安の影響ということではない。
・食料品や日用品の値上げによる低所得者層を中心とした家計負担への理解を示すも、円安の功罪を説明することで為替相場に直接働き掛けるような金融政策運営を行わない方針。
・YCCの枠組みの下で、粘り強く金融緩和を継続することで経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく。
・賃金と物価の好循環が強まっていくかどうかに関する不確実性が大きく、現時点では物価安定目標の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には、なお至っていない。
・(日銀の金融緩和継続と政府の総合経済対策との整合性)両者の間で物価情勢に対する基本的な見方や目指している方向性は一致していると認識している。