債券相場は上昇。日銀が金融政策決定会合でYCC政策を軸とした現行の金融緩和政策維持を決めたことを受けて買いが優勢となった。フォワードガイダンスが見直され、政策金利に関する項目が削除される一方で、金融政策運営について1年から1年半程度の時間をかけて多角的にレビューを行うこととしたことで早期の政策変更に対する思惑が大きく後退した。
【メモ】
植田日銀総裁会見要旨(出所:Bloomberg)
・(1年から1年半程度の多角的レビューに関して)「その時々に必要な政策変更は期間中であっても毎回の金融政策決定会合で議論し、必要があれば実行していく」
・(基調的なインフレ率は2%に達していないと判断も)「1年半の間に変わる可能性はゼロではなく、当然それに伴って政策変更はあり得る」
・「出口あるいは正常化を始める可能性はゼロではない」
・(レビューは)「政策正常化を狙ってやるわけではない」
・(結果発表の時期について)「最後には何かまとめたものを出したいが、途中でも少しずつまとまったものができて、それを外に問うことが有益と考えられる場合には随時発表していきたい」
・(金融政策運営について)「引き締めが遅れて2%を超えるインフレ率が持続するリスクよりも、拙速な引き締めで、2%を実現できなくなるリスクの方が大きい」
・(基調的な物価は徐々に上昇し始めているが)「まだ自信の度合いが少し低い」
・「もう少し辛抱して粘り強く金融緩和を続けたいというのが正直な気持ち」
・「物価だけでなく企業収益や雇用、賃金の上昇が必要」
・(来年の春闘が)「非常に重要な要素」
・「今年のいろいろな経済数の動きを見ていく中で、持続的な2%が達成されそうだという判断に至るケースも十分あり得る」
・(YCCについて)「スムーズなイールドカーブの形成に役に立っている」、「副作用が全くなくなったわけではもちろんない」ほか。