注目の雇用統計は若干弱く、その後のISM非製造業指数も悪く、9月の利上げ見送りを織り込む動きに(2016年9月2週)

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今週の株式市場

今週の日本株は横ばいとなりました。

前週末に発表された、8月の米国の雇用統計では非農業部門雇用者数は15.1万人増加と予想を若干下回る値となりました。それまで1ドル103円半ばで動いていたドル円は雇用統計を受け、一旦103円を割り込んだものの、その後はドルを買う動きが目立ち104円台まで上昇し、株価も強含みました。指標を受けての9月の利上げに対する意見は割れましたが、市場は強気に推移しました。週明けの日経平均は17,000円の大台を回復しました。

しかし、6日火曜日に発表された、8月のISM非製造業指数が51.4と前月の55.5から大きく下振れたことから、9月の利上げを予想する声はなくなりました。それを受け景気の腰折れを不安視する向きが再び増え、それまで1ドル103円中盤で推移していたドル円は一気に101円台と、急速に円高ドル安が進み、株も売り優勢となり、日経平均も大きくは下振れないものの17,000円を割り込みました。

その後は大きな動きもなく、17,000円を挟んで小動きとなりました。日経平均株価は前週末比+0.36%の16,986円で1週間の取引を終えました。

経済指標では、日本の8月の景気ウォッチャー調査が前月を上回りました。6月のBrexit直後の調査を底に回復傾向にあり、好感できる値となりました。中国では8月の貿易収支で、輸出輸入共に予想を上回る伸びが示され、こちらの値からも景気が上向く兆候が感じられます。

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今後の見通し

世界的には、米国の中央銀行が9月に利上げするのかという点が気にかけられ、動き難い展開が想定されます。足元の米国の経済指標は今一つな値に感じられますが、非農業部門雇用者数は一時期にかけられていた3か月平均が20万人を超えるなど、景気は案外好調といえます。また、ISM非製造業指数は弱い値となりましたが、同月が対象のマークイットの米国サービス業PMIは上向いているなど、似た指標でも出る値がかなり違います。しかしながら、市場参加者の見解としてはよほど景気が良くなければ、大統領選挙を前にして政策金利を上げることはできないだろうというのもあり、9月は利上げなしというのが大方の見解となっています。

もう一つは日銀の動向です。9月のFOMCと同じ日に日銀政策決定会合は行われます。今週は黒田総裁、中曽副総裁の講演がありましたが、共に言及されていたのが「緩和の死縮小という方向の議論ではない」ということでした。今月の決定会合では、物価2%目標を実現できていない理由を総括的に検証します。足元、長期金利が上昇していますが、それは日銀が長期金利を上げ、短期金利を一段と引き下げるとの見通しもあり、そのような動きとなっています。株式市場ではそれにより銀行株が上昇しているという面があります。市場の認識と総裁、副総裁の講演とのずれが生じていないかを、しっかりと考えておきたい場面です。

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