債券相場は下落。日銀が会合後の声明文で消費についての判断を上方修正したことを受けて売りが優勢になった。また15時半からの植田総裁会見でタカ派的な発言をすることへの警戒感も強かった。秋にかけて賃金と物価の好循環が続くかどうかの材料が出そろうため、早ければ12月に利上げが行われる可能性があるとの声が聞かれた。その後、植田総裁会見では先行きに対して慎重なトーンだったことで、先物が夜間取引で買い戻され終値から40銭ほど上昇している(18:00現在)
【メモ】
☆植田総裁会見要旨(出所:Bloomberg)
<金融政策>
実質金利が極めて低いことを踏まえると、日銀の経済・物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく / データがオントラックなら利上げということに変わりはない / 米経済をはじめ先行き不透明感が強く、市場も引き続き不安定な状況にあり、極めて高い緊張感を持って注視し、経済・物価の見通し実現の確度をしっかり見極めていく必要がある / 円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少、政策判断に時間的な余裕がある / 米国をはじめ海外経済の先行きを巡る不透明感が昨今の金融市場動向の背景にある / 特定のスケジュール感を持って、ここまでにという予断は持たない / 米国のソフトランディングシナリオに近い状態が実現するのか、もう少し厳しめなのか、丁寧に見極めていきたい / 特定の会合について政策変更があるかないか事前に言うのは避けたい / 毎回の会合で、前回会合後に出たデータや情報に基づき、見通しの確度とリスクを判断して決定する姿勢に変わりはない
<物価情勢>
8月のCPIは少し前に見ていたより強め / コメや一部輸入財がこれまでの円安もあり値上がりしているが、こうした一時的要因は今後消えていくものがあり、物価に下落圧力を加える / 一方で、サービス価格の一部に賃金上昇を転嫁する動きも見られ、これらは引き続き物価に上方圧力を加える
<今後の注目点>
賃金上昇が秋以降も続くか、最低賃金引き上げの影響が出てくるか、サービス価格への転嫁が続くか、来春闘に向けた動きに加え、サービス価格を決める大きな要因として消費が堅調であることも必要だ / 10月のサービス価格改定、賃金動向反映されるか強い関心
<中立金利>
利上げ2回行ったが、恐らくまだ中立金利より低い状況